できるだけ無欲で生きていきましょう   作:タクロス

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チャイナリターン 〜食事会〜

 

翌日はあっさりと過ぎて行った。偵察班が3組の練習を見ていたが3組には代表候補生やIS操縦に詳しいものがおらず四苦八苦しているそうだ。3組なら楽勝でしょといったムードになるも、意外とそういった人たちの方が強くなれると新人が言うと、油断なんかできないということを一回で理解してくれた。そう、新人がセシリアに自爆特攻を仕掛けたように相手が何をしてくるかなんてのは全くわからないのだ。油断して足元をすくわれないように気をつけなければならない。

一方一夏の方は箒と一対一の試合を何戦も続けていた。一夏も箒もお互いの一閃一閃を見て次の一手で何をしてくるかを注意深く観察する。だが、最後に箒の気合とともに放たれた小手は、一夏の連戦で疲れた集中と反射神経では間に合わず綺麗に叩かれてしまう。8戦3勝5敗、これが今日の一夏の戦績だ。零落白夜は相手のほんの一瞬の隙をつかなければならない。相手の呼吸、視線、指先への力の入れ方や、攻撃ができる範囲を把握しいかにリスクを減らして近づけるか、瞬時の判断と度胸を持って肉薄する。これが今の一夏のやり方である。兜を脱ぐと観戦していた1組の生徒が2人に飲み物やタオルを渡す。

休憩している2人に、失礼しますと聞き覚えのある声が耳に入る。

 

「お疲れ様です、一夏くん箒さん。前に話していたお弁当のお話は覚えていますか?」

「ああ、サンキュ。たしかいい場所見つけたからみんなで一緒に食べようって言ってたやつだろ」

「はい、明日のお昼にしようと思っていたのですが大丈夫でしょうか?」

「ああ、準備はしてあるから大丈夫だ。なっ箒」

「うむ、みんなで食事をするいい機会だ。そうだお前たちもどうだ?少し狭くなるかもしれんが数は多いほうがいいだろう?」

 

新人は道場に入るとこの前の約束の話を一夏に振る。用意は良いらしく箒とともに準備していたようだ。箒はタオルと飲み物を渡してくれた2人にも一緒にどうだ?、と尋ねるが2人は食堂で食べると、震え声で喋っていた。残念そうに箒はそうかと呟く。だが当の2人は弁当は面倒で食堂で済ませる派だった。が、それが災いして男子との交流イベントを見逃してしまう。先程の震え声は心の中の声が出ないよう自制した結果だった。

新人はしばらく2人と会話をすると道場から出て行った。残った2人は休憩をやめると練習を再開する。もう2人はこの情報をクラス中に回すとみんなが、ハンカチを噛み締めながら悔しがっている様子が悠々に想像できる文面で返信が来るのだった。そりゃそうだ、弁当なんてあらかじめ用意してなければ作れないのだから。

 

そんなこんなでそのまた翌日

 

そう、今日はみんなでお弁当を食べる日になった。

 

 

 

「風が気持ちいいね」

「いやー、新人は良くこんな場所見つけれたな」

「ええ、私ここが気に入りましたわ。時間があったらまたここで昼食を食べることにしましょう」

「うむ、悪くないな。私もここが気に入った」

「それは良かったです、シートを引きますので少し待っててくださいね」

 

各々が感想を短く言う。新人は少し離れたところでシートを広げる。そして、屋上からの風景にみんなの視線がいっている隙にスマホから、メッセージを送った。

 

すると、屋上の一つしかない入り口のドアが開く音でみんなの視線が集中する。そこから茶色のツインテールを携え、快活そうな身長が一般平均より明らかに低い女の子が屋上に足を踏み入れる。

 

「へぇー、新人が言う通り結構良いところじゃない。あっ、一夏だ。やっほ〜一夏、久しぶりね」

 

まあ、あえて引き延ばして登場したが隠す必要もない。鈴である。

 

「なっ、鈴?鈴なのか!?

なんでここに…ってもしかして中国からの代表候補生って鈴のことだったのか!」

「そーよ、と言うわけでまたよろしくね一夏!」

「いやぁ、びっくりしたぜ。ところで新人に何も言ってないけどいいのか?」

「ん?ああ、新人とは先に会っててね、このサプライズも新人がしようって言ったのよ」

 

驚く一夏に笑顔でピースする鈴。このサプライズは新人が考えたと伝えながら一夏たちの輪へと入っていく。

 

「そういうわけで、私の名前は(ふぁん) 鈴音(りんいん)よ。新人と一夏たちの幼馴染で中国の代表候補生をやらせてもらってるわ。みんなよろしくね」

 

全員に自己紹介をすると、一夏と新人以外も自己紹介で返した。

 

「鈴と言ったな。私は篠ノ之(しののの) (ほうき)という。い、一夏の幼馴染同士仲良くしようではないか」

「ふ〜ん、箒って言うのね。よろしく。

…それと一夏のこと頑張りなさいね」

「なっ!?なぜそれを」

「わかりやすいのよ、あんた。一夏の幼馴染のところだけ声大きいし、少し噛んじゃってる。あと表情で何となくね、まあ女の勘ってやつよ」

 

箒は、シャルロットに見破られた時と同じように少しニヤニヤした鈴に見破られたことに大きく驚く。そして、そんなに私はわかりやすいのかと、うなだれる。

 

「私はシャルロット・デュノア。シャルロットで良いよ、鈴」

「ええ、よろしくね、シャルロット」

「私も新人の幼馴染でね…その…ま、負けないからね!」

「あら、あんたがいつも新人が言ってた海外の幼馴染なのね、ふーん、可愛いじゃない」

「えっ、あ、うん…ありがとう…」

「…そういうことね、ええ、わかったわ。

よろしくねシャルロット、私も負けてなんかやらないわよ」

「う、うん。よろしくね鈴!」

 

シャルロットの宣言を軽く避け、返しの刃でシャルロットを可愛いと両断する。しかし、こいつは似た者(ライバル)なのだと理解すると、笑みを浮かべシャルロットに手を差し出すとそのまま握手した。

 

「2日ぶりですね鈴さん」

「せ、セシリアじゃない。ええ、2日ぶりね…

 

…誰にも話してないわよね」

「ええ、英国淑女としてオルコット家の名前に誓って」

「そ、そうならいいのよ、うん。

これからよろしくね」

「ええ、こちらこそよろしくお願いします」

 

セシリアとは特に何も無く、セシリアの懐の深さを再確認しただけで終わった。

 

 

 

さて、自己紹介も終わりいまから弁当をみんなでワイワイ食べるわけなのだが、作者の技量不足のようだ。適当な描写しか書かれていない。

 

 

一夏たちは和食系、鈴は酢豚をメインに米などを、シャルロットはデザートと普通食に別けてガレットを、新人は今回は冷凍食品を使わず、卵焼き(少し焦げている)やミニハンバーグ、マカロニサラダにコップ付きの水筒に野菜のコンソメスープと米という本人とっての自信作だ。セシリアは自分では作ったことがなく、流石に不味い料理を食べさせるわけにはいかないと今回は辞退。もっと上手くなってから皆さんと弁当を持って囲みたいとのことだった。

 

結果的に言えばどれも美味かった、である。久しぶりに酢豚を食べた新人と一夏は満足げな顔をしたし、新人のハンバーグは何六等分にして食べたが、不評が出ることはなく美味しくできていたようだ。一夏と箒の方は南瓜の甘煮や、サバの味噌煮を同じように六等分にしてみんなで食べる。シャルロットのジャガイモのガレットとデザート用のガレットは評判が良く、新人に美味しいです、今度作り方を教えてもらえませんかと聞かれ、照れながらうん、と頷くのだった。さりげなく胃袋を掴むことを断念する鈴は、やっぱり手強いわねと改めて思うのだった。

 


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