お待たせしました、4ヶ月ぶりの投稿です。
オリジナルの要素がございますので気をつけてください。
翌日、1組の教室にて前日の試合の結果が発表されることとなった。一部の人はこれに反応を示さず、大半の人は「えー!?」と驚いていた。「アイエー!?」と驚くニンジャヘッズは近くに居た他の生徒に「南無三」され、しめやかに倒れ伏した。
「クラス代表に関してだが、私と山田先生によって審議をした結果、オルコットの辞退によって織斑一夏に決定した。異論がある奴は手を挙げろ」
そう、余裕の圧勝をしたセシリアでは無くそのセシリアと奮闘した一夏に代表が渡ったのだ。一夏は一番の驚きを示していた。新人はただ一人拍手をして一夏のことを祝っていた。
「おめでとうございます、頑張ってくださいね一夏くん」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
「何だ異論があるなら言ってみろ」
「俺じゃ力不足だろ!?」
「ほう、辞退したオルコットに十分奮戦していたお前のどこが適任で無いと」
「でも、俺はセシリアには一撃も、当てられなかった」
「ふむ、確かに天下はオルコットに対して攻撃を当てることはできただろう。だが、織斑のやり方と天下のやり方は別だ。
「うっ」
「これ以上反論はないな?
なら、これで決定だ。さあ、授業を始めるぞ」
国数英、IS科目三時間を終えて放課後。そこには倒れ伏した一夏がいた。隣ではシャルロットと新人がISの理論や設計に関して話し合っている。今は丁度世界の汎用機についての話をしている。教室内に居るのはこの3人だけのようだ。
「IS学園にあるのは
「はい、丁寧説明していただきありがとうございます。打鉄のシールドはこの前の試合でも使わせてもらいましたがあれはいいものでした。自分が情けないことにすぐに手放してしまったせいでうまく性能を発揮させられませんでしたが、あれは生半可な攻撃を簡単に防いでくれます。あれをセシリアさんのビットみたいに使えたら負けることはそうそう無いと思います」
シャルロットの簡略化された説明を聞いて納得するとともに、打鉄のタワーシールドを賞賛する新人。あれはまた機会があるなら使い方について深く考察をしたいと、思いながら次のシャルロットの説明に意識を向ける。
「あはは、それじゃあ次はIS学園にあるもう一つのIS、ラファール・リヴァイブだね。昨日の試合で使ってたからわかってると思うけど、ラファールは打鉄とは対照的に固定の武装が無く、装甲が少し薄いんだ。その分だけ
「はい、ラファールに関しては試合前にシャルさんから教えていただいたおかげでなんとか戦うことができました。たしかラファールはシャルさんのお父さんが社長をしているデュノア社が作った機体でしたね。初心者にもたくさんの選択肢を与えられるバススロットの大きさは本当にありがたかったです。あれが無かったらセシリアさんに一矢報いることもできませんでしたから」
「えっと、ここまで長々と語っちゃったけど」
「はい、なんでしょうか」
「ひ、引いたりしない?」
「なぜでしょうか、特にそんな要素はないと思うのですが」
「そ、そうだね。ごめんねいきなり変なこと聞いて」
「それに楽しそうにラファールのことを語るシャルさんを見れて僕も嬉しいです」
「う、うん」
楽しそうに笑顔でラファールを語るシャルロットに前日の試合の感想を語る新人。最後に機械に関して嬉々として語るシャルロットは引かれないか心配するも、新人は友人が楽しそうに語る姿を見ることができて満足と伝えると、シャルロットは頬を朱く染めながら俯く。そして、俯きながら、
「でも、あんなことはもうやらないでね。すごく、すっごく心配したんだから…」
悲しげな雰囲気を含ませた声を新人に向けて放つ。前日の試合にしたセシリアへの自爆特攻の件である。あれは会場の全員が心配していた。それはそうだろう、ISには絶対防御がある。その事前知識があってもあの自爆は会場にいた生徒を青ざめさせた。近くにいた人間が目の前で、しかもかなり大きな爆発だったのだ。ゾッとするだろうし、怖いものだ。
試合後の保健室でも千冬に二度とあんなことをするなと叱られていた。それはもうこってりじっくりと三時間ほど。彼は足掻いた結果ゆえに自分の中では満足していたのだが、周りの人はとても心配していたようだ。それに対して新人は、
「ええ、二度とあんなことはしません。あれをするとみなさんを心配させてしまうみたいですし、シャルさんを悲しませてしまいますから」
「だめ、だよ…本当に怖かったんだよ。そんな薄い言葉じゃ、納得できないよ」
二度としない、そうは言うがシャルロットにはありきたりで安っぽい言葉に聞こえたのだろう。ついには新人に縋り付くように顔を隠しながら、納得できないと涙声で新人に訴えかける。新人はシャルロットに答える。
「では、シャルさんが見ていてください。僕がもうそんなことをしないように、見守ってくれませんか」
そんな告白まがいの言葉を
「そ、それって?」
新人からは見えないが顔を朱く染めながら問いかけるシャルロットの姿がある。コイツチョロイゾ。
「
「そう、なんだ。なら私が新人のこと
「えへへ、一番信頼してるかぁ、えへへへ」
友達として、という言葉が聞こえなかったのか聞こえてたのかは定かではないが、一番信頼しているという言葉に顔を綻ばせるシャルロット。そこはかとなく匂うヤンデレ臭とともに、えへへと照れながら新人に背を向けて笑う姿には少し恐怖を覚えそうだ。
それを隣で見ていた一夏はというと、シャルロットと新人って仲いいんだなぁ、と突っ伏したままクラス代表の現実から目を背けていた。
放課後過ぎ去って今は夜。食堂へ向かうのは新人と一夏だ。シャルロットは用事があると言って教室での勉強後、どこかへ行ってしまった。今日は何を食べようかと考える新人と何とか割り切って覚悟を決めた一夏が食堂へ入ると、何重もの軽い炸裂音とともに紙吹雪が一夏に向けて放たれる。驚いた一夏はその場でたじろいでしまう。新人はその場に止まって食堂全体を見渡す。目に映るのは様々な菓子、菓子、菓子、これを全部処理したら確実に太りますねと思いつつ、まあ、女性は甘いものが好きな方が多いですからと、結論付けると券売機まで一直線に向かう。そんな新人をスルーしちゃうかー、と1組女子生徒勢。まあ、主役は一夏だと女子生徒たちは一夏に向けて、
「「「一夏くんクラス代表おめでとう!」」」
1組の生徒他見知らぬ生徒が一斉に祝いの言葉を放った。呆気にとられる一夏はその場に固まったままだ。一つも動かなくなっている。そのままよいさよいさと1組女子に運ばれると目の前にはケーキと突き立てられている幾本かのロウソク。
「さっ、織斑くん。ロウソク消しちゃって。主役がやってくれなきゃパーティーは始まらないわ」
「え、えっと、それじゃあ」
流されるまま一夏はスー、と聞こえるほど大きく息を吸い込むと剣道やその他運動で鍛えられた肺活量を使って立てられていたロウソクの火をすべて吹き消す。それと同時に拍手が鳴り響き、様々な祝いの言葉がかけられる。その裏で食券を渡す新人は定食を受け取ると、そそくさと何も置かれていない机を見つけ、席に着く。だいたいの生徒が一夏をもてはやす中、一人孤独のグルメをしようじゃないかというところで後ろから声がかけられる。
「天下くんは参加しないの?」
後ろを振り向くと見知らぬ生徒、つまりは他クラスの生徒が新人を見つけて声をかける。
「僕は主役ではないのでひっそりとしている方がよろしいかと」
「そんなことないよ、みんな天下くんのことも待ってるよ」
「では、いただいた定食を食べ終わり次第参加しますので、それでよろしいでしょうか」
「うんうん、じゃあ待ってるからねー」
コミュ力の高さと場の雰囲気でさらっと新人に近づく女子生徒。羨ましいくらいだが新人は丁寧に断ると、女子生徒もあっさりと引く。
時刻は19:30頃。パーティも始まったばかりだから参加できないこともないだろうと、いただきますと感謝の念を込めてから定食に手をつける新人だった。
定食を食べ終わり、食器を返すとまだまだパーティは続いている。一夏は居ないかと軽く探すと紙とペンを持った女子生徒に詰め寄られている。なんだかんだで大丈夫そうな一夏を視界の端にやると、何気なく見つけた菓子にへと手を出す。そのとき、
「あれ、新人もこれなの?」
横から手が伸びてくる。西欧人特有の白い肌と金色の髪の毛、そして幼い頃から聞いてきたこの声色、言わずもがなシャルロットである。ただ、同じものを取ろうとして手が触れ合うなんてドラマチックなことはなく、複数あるうちの別々をとっていく。
「はい、久しぶりにこれを食べたくなりまして。今日はパーティですし少しくらいなら大丈夫かと思いまして」
「そうなんだ。なんだか懐かしいね、これを見てると昔を思い出すなぁ」
「そうですね、迷子になっていたシャルさんと初めてあったときにも食べましたね」
「そ、そのことは言わないでよぉ、だいたい新人だって迷子だったでしょ!」
昔を懐かしむ2人。出会った当時のことを思い出す。お互いが迷子で歩き回ったときに、シャルロットが疲れて歩けなくなった。そのときにたまたま近くにあった駄菓子屋で買ったものを2人で休みながら食べていた。そのことを思い出せる品、それが、
「「おいしいよね(ですよね)、シガレット」」
である。
2人は箱を開けると、中に6本入っている袋を破り、それぞれ口にする。シャルロットは小動物のようにポリポリとゆっくり咀嚼していく。ふと、シャルロットは新人の方を向くとそこには、
「どうしたの、新人?なんだか疲れてるように見えるんだけど」
一瞬反応に遅れる。無意識だったのか、まるで本当に疲れているように見える。アニメだったらクエスチョンマークが出てきそうな、生返事を返すとその後、口を開く。
「よくわからないんです。ですがなんだかこうしていると、とても落ち着くんですよね。まるでこうするのが当たり前みたいな、そんな曖昧な感じなのですが」
シャルロットは疑問を抱いてしまうが、すぐにかき消されてしまう。
パシャリ
カメラ特有のシャッター音を聞くと慌てて振り向く。そこには先ほど一夏を問い詰めていた女子生徒がいた。
「いやー、タバコを咥えてる大人みたいでクールだねぇ。どう?もう一枚撮らない?」
「遠慮します。それと白黒つけられたくないのなら今すぐ盗撮したものを消した方がいいかと」
「あっはい」
軽い挨拶と、堂々と本人の前で盗撮をした彼女は新聞部の生徒だったとシャルロットは記憶している。そんな彼女は、新人にさりげなく忠告をされあっさりと頷いてしまうと、ささっと盗撮した写真を消去する。ジャパニーズジョークをマジレスにて返された彼女はそれ以降何も言わなくなると消える様にどこかへといつの間にかいなくなる。
そんな感じでパーティは終盤。またもどこからともなくやってきた新聞部の生徒は、みんなで写真撮りましょうと提案する。乗り気なみんなに乗せられた一夏と新人は、中央に押し込まれながら写真を撮られる。頬を朱らめる一夏とあいも変わらずに無表情な新人、さりげなく新人に抱きつくシャルロットと、恥ずかしてくて一夏に近づけずにいる箒、パーティ序盤にはいなかったのにいつの間にか来ていたセシリア、他1組の生徒によって埋め尽くされた写真は後日、今時アナログな学校の掲示板に新聞として掲載された。
新人たちが写真を撮っている頃、IS学園の敷地内に1人の人影が月明かりによって浮かび上がる。片手にはボストンバッグ、IS学園の制服を着ているそれは、あまり明かりのついていない本校舎へ向け歩をすすめる。バッグについている、鈴の音を響かせながら。
あまりに遅すぎる投稿、待ってくれている方が居たのなら本当に申し訳ないです。正直、エタってしまいそうでした。前に書いた自分のメモ帳にあるものを見てようやく重い腰を上げれました。8割がたは完成してたのですが残り2割がどうしようか悩んでいるうちに忙しくなってしまい、書こう書こうと思いつつもダラダラしてしまいました。
こんな感じで続くと思いますが、よろしければ今後ともお付き合いください。
9/15 誤字修正。誤字報告をしてくださった方、ありがとうございました。