できるだけ無欲で生きていきましょう   作:タクロス

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一か月経つ前にギリギリ投稿できた作者です。

BF1やってました、すみません。

戦闘シーンの描写ってものっそい大変でした。結構書いたつもりが3000字にも満たないとは思いませんでした。特に音の表現で擬音を使うか、文字で比喩にするかで迷ったり、いい擬音が思いつかなかったりで色々漁ってみたりしてました。

今回は試合終了までです


ISと少年たち 〜一夏とセシリア〜

 

一夏は剣を持つ手の力を抜く。リラックスした状態でセシリアを見据える。次の一手を待つ。攻めるだけが脳では無い。それはただの脳筋がする事である。一夏はそこまで愚かではなかった。剣道でも何度かやったことのある待ちの姿勢。その時は待つのがじれったくてすぐに突っ込んでいき、千冬に返り討ちにされた。だが、今は苦にもならない。勝つために、認めさせるために、

 

(さあ来い。セシリア・オルコット!)

 

ただ一手を待つ。

 

 

 

(ブルーティアーズ)から蒼が離れた。蒼の翼と思われていた部分、そこが本体から離れ白い機体へ切っ先を向ける。その数、4。次の瞬間、

 

ビュオン

 

セシリアのライフルよりも迫力のない、蒼く細い閃光が一直線で白い機体(白式)へ殺到する。

 

一夏はブルーティアーズの翼が分離した時点で何かを予感していた。あれはやばいと、脳内の警鐘が鳴り響く。少しでも遅れていたら全弾大当たり、の追加にこれよりぶっといのが一夏を貫いていただろう。先ほどの位置には4つの穴が穿たれている。そして、息をつく間もなく4つのビット(ブルーティアーズ)が一夏に近づきながら高速で位置を変え、惑わすように四方八方から細い閃光を放つ。

一発、一発、一機、一機が放っていく。これを見たら多分こう思うだろう、

 

これ、前にガン◯ムで見たやつだ!

 

どう見てもファン◯ルです本当にありがとうございます

 

と。あくまでもコレはビットであり、決しってファン◯ルなどではない。

 

 

それは置いておこう。

 

一夏は最初の斉射を避けた後は、一発、一発放たれる閃光に苦戦していた。それもそうだろう。避けたと思ったらすぐに次が来る。そして、時々放たれる彼女のスナイパーライフル。彼に休む暇はなく、集中力を使い、只々SE(シールドエネルギー)を無駄遣いし、体力も削られる。その時間約十分。たかが十分、されど十分。代表候補生にこれだけ長い時間の間初心者が耐えることができたのは奇跡と言っても過言ではない。しかし、残りのSEはすでに3割を切っている。絶望的だが、その闘志はまだ燃え尽きてはおらず、反撃のチャンスを虎視眈々と狙っている。そしてそのチャンスが今、訪れた。

360度パノラマでいつでも視界を開いているハイパーセンサーが、ビット(ブルーティアーズ)が見せた一瞬の隙を捉えた。それを見逃せるほど甘くもなければ余裕もないのである。白式は一瞬でトップスピードになる。最初にも使った瞬時加速(イグニッションブースト)である。それによってビットの一機に近づく。そして刀を逆袈裟に(左下から右上へ)振り抜いた。

 

 

鉄と鉄のぶつかった金属音、そして小型のダイナマイトが爆発したようなという音と、銃声が、会場内に立て続けに鳴り響いた。

 

 

セシリア・オルコットは少し残念に思っていた。久しぶりに歯ごたえのある相手()と戦えていたのにあっけない最後で終わってしまったことを。閃光の直撃によってフィールドの地面に叩き落とされ、砂塵を巻き上げて見えなくなった場所を見つめる。

彼女が行ったのは、所謂ブービートラップというやつである。隙を見せたり、囮を使うことで相手を誘導し罠に嵌める、簡単かつ単純ゆえに嵌る者も多く、効果も大きい。ビットの一機をわざと犠牲にすることで、ガラ空きな懐に一撃を撃ち込む。一夏はこれで二回スターライトmkIIの直撃をもらった。それ以外にもビットダメージなども含めて、そのSEは尽きている。

 

 

 

ガキィィィィン

 

 

セシリアの中で何かが一つ消えた感覚が流れる

 

鉄と鉄のぶつかった金属音、それが再びアリーナ全体に鳴り響いた。遅れて同じように小型のダイナマイトが爆発したような音が鳴る。

それが、それぞれ2回。

 

砂塵の中から何かが勢いよく飛び出してくる。

セシリアはそれに向けて愛銃(スターライト)を向け、スコープを覗き込む。

それは鉛色の刀身、その()は日の光を反射することはなく、雲のような色をした、死んだ()がフィールドの地面に突き刺さっていた。日本製ISの打鉄の初期武装、【(あおい)】。それが煙の中から出てきた物体の正体である。そして、一夏が今まで使っていた刀の正体でもあった。

セシリアはすぐさまビットを自分の元まで退かせると、ハイパーセンサーを頼りに一夏が居るであろう位置に向けて閃光を放つ。煙の中へ突き進んでいった閃光は見えなくなる。と、次の瞬間、フィールドに噴きあがっていた砂塵が真ん中から裂かれるようにして切り払われた。

 

 

そこには、真っ白な機体が居るはずだった。

 

 

真っ白な処女雪のようだった機体がところどころに青と金の装飾が施されている。右手に握られている剣は葵とはまた別物のようで光を反射して鋼色に光っている。そして、最初は頭部には何も無かったのだが、今では白色の太いサークレットのようなものを着けている。

 

 

操縦者登録(フィッティング)には10分かかります』

 

山田先生の言っていたフィッティングがスターライトの閃光が白式に直撃した瞬間に終了したのだ。衝撃によって地面に叩き落とされたことで舞い上がった砂塵が隠れ蓑となったのだ。そして、二撃目のスターライトの閃光は直撃コースで放たれたのにヒットしなかったのはーー

 

 

「これで決める!」

「っ! させませんわ!」

 

一夏は剣を正面に構えて突っ込んでくる。

セシリアはもう一度愛銃(スターライト)を一夏に向けるとその引き金を引く。銃口から吐き出された閃光は一直線に向かって進んでいき、一夏の目の前で

 

消えた。

 

セシリアは二度目の引き金を引く。

 

 

残り約50m

 

 

閃光はまたも一夏の目の前で消える。

 

 

残り約35m

 

 

三度目の引き金を引く

 

 

残り約20m

 

 

目の前で消える

 

 

一夏は刀身が青く光る(・・・・)刀を振り上げる

 

セシリアは迫って来る刀身をただ見つめていた

 

刀を振り下ろす

 

 

 

 

 

聞き覚えのある音がなった。

 

セシリアのライフルよりも迫力のない(・・・・・・・・・・・・・・・・)

ビュオンという音が鳴った(・・・・・・・・・・・・・)

 

細い閃光が白式と一夏を貫いた。

 

 

ビィィー、という音とともに、

 

「勝者、セシリア・オルコット

試合時間12分37秒

 

両者は次の試合の準備があるため、近くのピットに移動してください」

 

山田先生の声が無情にもアリーナ内に響いた。

 

 

 

 

公式記録

 

織斑一夏(おりむらいちか)VSセシリア・オルコット

 

試合時間12:37

 

先制攻撃 ブルーティアーズ本体による蹴り

 

最終攻撃 ブルーティアーズ【ビット】によるハイドアタック

 

SE(シールドエネルギー)残量(公式試合のルールに則り最大量700)

織斑一夏 白式:0

セシリア・オルコット ブルーティアーズ:592

 





まずはいつもの
UA40000越え、お気に入り410件越え。ありがとうございます。ついにこの小説も40000回UAを突破しました。これもひとえにいつも読んでくれている読者の皆様のおかげです。次は50000回を目指して更新していきたいと思います。そして、今回も感想をいただきました。LW6qCYqsさん(以降ロックさんと略します)、ケモナー兄貴さん、感想ありがとうございます。ケモナーニキの指摘が無かったら新人くんがISよりもオリンピックに出場しなければならなくなってしまうところでした。


ここで最後ところの解説と砂塵の中での一夏くんの補足を

最後のところは一夏くんがセシリアさんに迫って来るまでに4機のうち残っていた一機のビット背後につかせました。そのために視線誘導のために何発も無意味に撃ち続けていました。ミサイルビットもありましたがさすがに自爆で相手をダウンさせるのは気が引けたのと貴族のプライド的な感じでやめました。

一夏くんの方はフィッティング後、持っていた葵てハイパーセンサーのレーダーに映っていたビットのうち、近くにいた一機を切り裂いたあとにセシリアの砲撃を警戒して手元の葵を投げました。葵は綺麗に突き刺さり見事爆発四散。突き刺さっていた葵は爆風をモロにくらい、ビットに溜まっていた分のエネルギーを受け止めたため刃がボロボロになり、フィールドの地面に突き刺さりました。 以上です。


次回は二回戦を開始できるといいなぁ

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