最近、ーーー作者です、の前振りが定着してきてるなぁと思っています。別にどうでもいいですが。
今回は原作にようやく入るお話。でも少し原作とは違う部分があったり。
ISと少年たち 〜夢と学園〜
夢を見ているのだろう。新人は自分の現状をそう判断した。なぜなら自分がいつも感じている体の感覚が無いからである。
新人の視線の先には一人の男がいた。顔を見ることはできないが体格で男ということがわかった。その男は賭博に溺れ、酒に酔い、女に囲まれる。その姿をいつもの新人が見たのならば、そうですかと一言で興味をなくしただろう。たが新人は目を離せなかった。賭博に負け、酒に堕ち、女に貢ぐ、そして借金まみれになった男の人生に目を背けることができなかった。一瞬の暗転から次に映ったのは借金まみれになった男がフードを被った男に刺されている場面である。刺した男は、金を寄越せと何度もつぶやき、刺された男は口を開いて何かを言っているようだが、新人にはまったく聞こえなかった。次の瞬間にはまた視界が暗転した。そして目の前に現れたのは先ほどの刺された男である。俯いていて顔を見ることができないが、それは此方へと不気味な足取りで近づいてくる。此方まで後一歩、新人より大きい男の顔はなぜか暗くてよく見えない。その男が顔を上げる。そこには
自分と同じ顔をした男がーーー
!?
新人は目を覚ます。何か夢を見ていた気がするのだがなんの夢を見ていたのか思い出すことができなかった。新人はすごく気だるいと感じながらも上半身を起こして周りを見渡す。が、カーテンによって周りを見ることはできなかった。わかることは自分が病人がきる服を着ていることである。ここがどこなのか、待てば誰かが来て説明なりなんなりしてくれるだろう。だが新人は気だるい体を動かして床に足をつけると、そのまま立ち上がりカーテンを開く。そこには人はおらず、だがここがどこなのかのヒントがあった。保健室である。二つあるベッドや机だけでは他の施設か何かかもしれないが、その机の上には使用履歴が書かれていた。知らない名前がたくさん書き連ねてあるがどれも3-3や2-2のようにクラスが書かれていた。なぜ自分が保健室にいるのか訳がわからない新人だが、ここに人がいない以上探しに行って事情を聞くしか無いと、保健室を出て行った。自動でドアが開いたことに少し驚いたのは内緒である。
ペタペタと裸足で学校であろう場所を探索する新人。どこかに地図があるはずと歩き続けて約30分。近くにあった時計を確認すると8時59分を指している。そして針が動いて9時を指すと、どこからか学校でよく流れるチャイムが鳴る。今いる場所は一階のどこかで教室をまだ見つけていない。下手にこの学校の生徒に見つかって不審者扱いされるのは困ると撤退する新人。気だるさが抜けたので全速力で駆け戻り保健室に入るとまだ人はいなかった。特に息が乱れることもなく帰ってきた新人は一度ベッドの上に座る。そして誰か人が来ないものかと考えたその瞬間、保健室の自動ドアがプシュと空気が抜けたような音を立てて開かれた。新人が顔を上げるとそこには、
「む、起きていたのか。久しぶりだな新人」
「ええ、お久しぶりです、千冬さん」
久しく見ていなかった織斑千冬が居た。
「気絶、ですか」
「ああ、お前が試験用のISに触れた瞬間、ISを装着すると同時にそのまま倒れてしまってな、気絶していたらしい。そこで病院に運んでもらい検査をしたが異常はなかった。だが一週間程目を覚まさなくてな、本来なら受けてもらわなければならない試験などがあったがその間にすることができないまま、今日まで寝ていたというわけだ」
「そうでしたか、迷惑をかけていたようで申し訳ないですね」
「別に気しなくてもいいさ、既にやれることはやってあるしお前の家族にもこのIS学園に入ることに関しては伝えてある」
「拒否権はありませんよね」
「まあ、そうなるな」
家族と会えなくなるのは少し寂しい気もするが、会えないことは無いと新人は気にする様子もなかった。
「ここはIS学園の保健室ということですか」
「ああ、そうだ。ついでに言えば今日は入学式の日でもある」
「となると、先ほどのチャイムが終わりの合図ですか」
「そういうことだな。さて、お前には今からそこにある制服に着替えてもらって私と一緒に1年1組の教室に行ってもらう。そこには一夏もいるから周り全員が女子ということは無いから安心しろ」
「まあ、別に気にしませんから大丈夫ですが」
「まあ、お前ならそう言うと思ったよ。さあ、さっさと着替えろ。外で待っている」
「あっ、待ってください」
「なんだ、何か気になることでもあったか?」
「はい、一つだけ。
靴はどこにありますか?」
靴を支給され、IS学園の制服を着る新人。サイズはしっかりと合っており、袖長すぎたり、短すぎるといったことはなく、鏡を見てもいつもの無表情な顔とIS学園の制服を着た自分がいるだけである。保健室を出ると目の前に千冬が立っていた。
「終わったか、それなら行くぞ」
千冬が動くのに合わせて新人も動き出す。道中、学園の施設の説明を簡単に受け、1-1までもう少しといったところで、新人が質問をする。
「千冬さんはここの先生なんですよね」
「ああ、そうだな。だからーーー」
「なら千冬先生と呼べばいいでしょうか」
「いや、私のことは織斑先生と呼べ。あまりここで下の名前を呼ばれるのは好かん」
「そうですか、なら織斑先生と呼ぶことにします」
そうこうしているうちに、教室の前に着く新人と千冬。千冬は振り向くと、
「さて、ここからは私とお前は生徒と教師の関係だ。私情を持ち込んで甘くしてもらおうなどとお前が考えるとは思えんが覚悟しておけ」
「わかりました、これからよろしくお願いします」
「うむ、では私が入って来いと言ったら来るんだ。それまでここで待っていろ」
そういって教室のドアを開け中に入っていく千冬を見届ける新人。すると教室の中からは一夏の叫び声や女子の黄色い悲鳴、千冬の罵倒のような言葉の数々が聞こえてくるがここは割愛。そして、千冬が、事情があってくるのが遅れた奴がいる、入っていこい、と言った。それを聞いた新人は教室の扉を開けて中に入る。すると周りからは、男!?、二人目!?、たしか会場でISにーーー、ここに男子が二人なんてーーー、あぁ^~心がーーー、
今すぐ二人の絡み愛をーーー、な、なんでここに新人が、嘘じゃない…よね、などとかなりうるさい。だが、バァンと机から鳴るとは思えない音が千冬によって叩き出されると、教室は一転して静かになった。
「馬鹿どもが、こんなことでいちいち騒ぐな。さあ、自己紹介しろ。余分なことは言わなくていい。休み時間に喋ればいいからな」
「わかりました。
自分の名前は
新人が45度の綺麗なお辞儀をすると、ハッとしたのか遅れて拍手が飛んでくる。顔を上げ教室を見渡すとほとんどが日本人ではあるが、中には見知った顔がいた。目の前の先頭の席には一夏が、そして窓際一番後ろには見慣れない金髪の少女の隣に見慣れた金髪の少女の顔を見つける。その少女はかなり驚いていて半ば放心状態となっているが、なんとか拍手を送っているといった感じだろう。
少し経つと自然と拍手がやむ。そこに間髪入れずに千冬が、
「お前の席はそこにいる織斑の隣だ。さっさと席に着け。
では、この後のことについて少し話したら授業と施設のガイダンスを行う。寝るような奴がいればIS学園の外周を5週走らせる。いいな」
千冬がそう締めくくると、誰も嫌とは言わず、ハイと返事をした。
まずはいつものアレを。
UA17000、お気に入り件数190件越え、ありがとうございます。いつも読まれているのを感じて、つい最近友達にこのことを報告してしまいました。普通によかったじゃんと返されましたが。そして、感想を書いてくださった、ゴオーさん、さくら餅@キチガイさん、ありがとうございます。感想があるとやっぱりにやけてしまうのが癖になりつつある作者です。
さて、新人君の視点からどうやら知り合いがいたようですが一体誰なんでしょうか(すっとぼけ)。見当がつきません(大嘘)
誰なのかは次回をお楽しみに待ってください。
待って…くれてます…よね?
|電|ω・')
|信|_ /
|柱|
次回は金髪なあの人が来たりするお話