できるだけ無欲で生きていきましょう   作:タクロス

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宿題はやっぱりギリギリまで引っ張る癖のある作者です。最近寝不足(完全なる自業自得)で眠いです。夏休みは怖いですね。人をダメにしますから。

なんかすごく強引な気がするのは気のせいだと思いたい。前回からなんか話の展開がひどい気がするけど、気のせいだと信じたい

今回でドイツ編は最後。
みんな日本語でしゃべってます。


モンドグロッソ 〜答えと友達〜

 

新人は目を覚ます。だがそこは知らない天井というやつがあった。工場でもなければ泊まっていたホテルでもない。ホテルよりは少し硬いベッド。起き上がろうとするが唐突に背中に痛みが走り体を起こせなくなる。そういえばと記憶の最後にはあのISの一撃を避けようとして背中を切り裂かれていたと思い出す。あの後どうなったかを聞ける人物はここにはいない。新人以外に人がいなかった。仕方ないので胸ポケットから音楽プレイヤーを取り出そうと胸元を探るも胸ポケットは無かった。片方の腕を上げ布団をめくるとそこには明らかに病院服といった感じの服が着させられていた。ここは病院なのかと周りを探るもあるのは照明とベッド、出入り口の引き戸、そして備え付けであろう机と椅子だけである。完全に暇になった。そう思いながらもう一度眠りにつこうとした新人だったが目を閉じた瞬間に、引き戸が引かれる音がした。目を開け視線をドアへとやるとそこには、今回の騒動の原因である織斑一夏と、今回も(・・・)ブリュンヒルデになったであろう織斑千冬が立っていた。

 

 

 

 

 

「そうですか、気絶した後にそんなことが…ところで一夏くんは怪我は無いんですか?」

「あ、ああ。お前のおかげで怪我は一つも無い。・・・・・・悪いな、俺のせいで治らない傷を作らせちまって」

「いえ、人を守るために負った傷ですし、これはもともと自分が勝手にやったことですから一夏くんが気にやむことは無いですよ。それに自分の力だけではありませんでしたし」

「ボーデヴィッヒのことだよなあいつにも礼は言ってきたよ。あいつも自分が勝手にやったことだ、って言ってたけどな」

「そうでしたか。そういえばボーデヴィッヒさんの怪我はどうでしたか?大きい怪我を負ってなければいいのですが」

「お前は少しは自分の心配をしたらどうだ?お前らしいと言えばお前らしいが、周りの人にも気をつかえ。お前が倒れると悲しむやつがいるんだ。少なくともお前の家族はそうだし私もそうだ。それとお前の心配しているボーデヴィッヒだが幸い大きい怪我はなく、顔についていた傷も跡なく治ったそうだ」

「そうですか。以後気をつけるように頑張ります。それとボーデヴィッヒさんのことを教えていただきありがとうございました。一夏くんも無事でよかったです」

 

新人は一夏と千冬からあの後何が起こったかを聞かされた。ここが軍の病院であること、軍の人間から情報を受け一夏を助けに行ったら血だまりを作っていた自分がいたこと、自分の怪我の跡が残ること、一夏をさらった犯人で男二人を捕まえたが女は捕まえれず、その男二人もただの雇われで手がかりもなかったこと、そして千冬がモンドグロッソを辞退した(・・・・・・・・・・・・・・・)こと。最後に関しては意外すぎて声を上げてしまったことだ。と言っても、へぇと気の抜けた声だが。まあブラコンの姉として弟を助けに行くことは当然なのだろうが、新人は千冬がブラコンなのを知らず、ただの家族愛なのだと勘違いしているだけである。そして、もう一つ驚いたことは、千冬がここに残って一年間軍のIS乗りや志願者の訓練をするらしい。なんでも情報提供した代わりに是非と言われたらしい。そこは国単位で謝罪や慰謝料を払ってもらうところでは?と新人が聞いたが、なんでも国の偉い人がわざわざ来て、今回の不祥事をなかったことにして欲しいと土下座されたらしい。代わりに弟の一夏が生活が困らないように毎月の直接五十万、口座に四百五十万円が毎月振り込まれるらしい。そして、ドイツ滞在中は最高級ホテルのロイヤルスイートに泊まらせてもらえるらしく、食事は毎日豪華なものが運ばれてくるらしく、酒も飲み放題とのこと。しかも訓練もやりたいと思った時だけやってくれればいいと言っていたらしい。そこまで隠したいのか国の重鎮さんよ。そして、話している途中で唐突に新人が頭を押さえて苦しそうにしだした。それはすぐに治まり、本人は多分貧血だと思うと言った。医者を呼ぼうか?と千冬に聞かれるが別に構いませんと答える新人。一夏は心配そうに新人を見るが大丈夫です、といつもの無表情で答えるとそうか、とあまり納得してないようなそんな微妙な顔をした。一夏は立ち上がると、そろそろ戻らないとなと言って、千冬と共に病室から出て行った。また一人になったと思った束の間、入れ替わるように今度はボーデヴィッヒが入ってきた。表情はあまり良くなさそうではあったが。

 

「無事だったんだな」

「はい、おかげさまで。なんとか生きて帰ってこれました」

「そう、か。なあ「あまり気にやむ必要はありませんよ」・・・」

「今回、ボーデヴィッヒさんが居なかったら多分、死んでいました。ですから「でも!」?」

「守れなかった。本来守るべき市民に守られ怪我を負わせてしまった。これは、弱かった私の責任だ」

「・・・前にも言いましたがボーデヴィッヒさん、あなたは弱くなんかありませんよ「しかし!」誰かのために自分から動くことができる。それも立派な強さの一つです。前は心、と言いましたがそれもしっかりとしたボーデヴィッヒさんの強みです」

「・・・・・・」

「自分をあまり卑下しないでください。ボーデヴィッヒさん、あなたは自分が思っているよりとても強い人です。自信を持ってください。傲慢や慢心は自分の力にはなりませんが自信は自分を強くします。自分を信じることも強さの秘訣ですよ。そうですね、これが僕からの答えです」

「え?」

「忘れましたか?ボーデヴィッヒさんから受けた相談の答えですよ」

「ああ、そうだったな。・・・自分を信じる、か。そうだな、今まで通り、いや今まで以上に頑張ってみる」

「なら僕は応援しますよ、一人の友達として」

「とも、だち?」

「そうです。友達です」

「ともだちとはいったいなんなんだ?」

「そうですね…僕の意見ですが信頼できる人、それが僕の中での友達の定義ですね」

「信頼できる人、か。そうか。私もお前を信頼しているぞ、新人」

「それは、嬉しいですね」

「んっ!?新人は笑うことができたのか!」

「確かに僕はいつも無表情ですし、表情筋が固いからあまり表情が変わることはありませんが笑うときは笑いますよ」

「すまないな。少し意外だったから、つい」

 

新人の表情筋が珍しく動きラウラに微笑みを見せる。もしこの場に家族や日本にいる新人の友人たちがいたら驚くだろう。あの新人が笑った表情を見せたのだから。家族ですらまだ数回しか見たことのないからだ。

 

「まあ、いいでしょう。千冬さんに頼んでラウラさんの訓練量だけ増やすように頼んでおきますから」

「ふむ、ならばっちこいというやつだ。今の私ならなんでも出来る気がするぞ。もう何も怖くない!」

「親友がそれは確か、死亡フラグだと言っていましたが大丈夫でしょうか?」

 

この後ラウラは少し雑談をしたら帰っていった。翌日にボロ雑巾のようになった銀髪の少女が軍の訓練所で見つかったらしいがそれはまた別のお話。

翌日。一夏は学校があるから帰らなければならなくなり、ドイツの護衛と一緒に日本へと帰って行った。時間の余った新人は暇つぶしを考えていたが、病室の扉にノックする音が響く。どうぞ、と一言告げると入ってきたのはラウラを保護していた軍の上官と護衛を連れてきたドイツの大統領だった。

大統領の話の内容をまとめると千冬と同じように自分にも口止め料を払うから今回の不祥事をなかったことにしてくれとのこと。新人は簡単に了承をした。曰く、自分から首突っ込んだんだから別に構いませんとのこと。大統領はそれが済むと、すまないが急ぎの用事があるからこれでと言って病室から出て行った。だが、護衛の一人としてきていたと思っていたラウラの保護者である、マクシミリアン・シュナイダー大尉は残ったままだった。

 

「君に言いたいことがある」

「なんでしょうか?軍の偉い人に礼を言われるようなことはした覚えがないのですが」

「君のおかげでラウラは前のような活力を取り戻せた。ありがとう」

「いえ、自分はほとんど何もやっていませんよ。ただ、ラウラさんが本来自分で見つけられた探し物の手伝いをしただけですから」

「それでもだ。今の彼女はとても生き生きとしている。君と会わなかったらあのままだったかもしれない。本当にありがとう」

「そうですか」

「それで君にお礼をしたいんだ。何か言ってくれ。可能な限りなら力になろう」

「なら貸し一つでお願いします」

「貸しか、それなら今すぐ決める必要もないし、本当に必要な時に頼まれることもできる。それで手を打とう」

「わかりました(本当は大統領のときと同じで別に欲しいものがないから、このまま使わずじまいにしようとしているのは秘密にしておこう)」

「では、私はこれで。何度も言うが本当にありがとう。ラウラは娘みたいなものだからとても大事なんだ。君のおかげでもう少し軍を続けられそうだよ」

「そうですか。それではさようなら」

「ああ、さようなら」

 

 

 

この後は入院中は、怪我をしたと聞いて両親がわざわざ来たり(来る前に普通の病院に移された)毎日ボーデヴィッヒが目を輝かせながら今日の出来事を報告してきたり、ときどき千冬が見舞いに来たりと充実な一週間を過ごした新人は無事、日本に帰国。遅れた分の授業は前世知識や鈴が貸してくれたノートなどのお陰で特に困ることもなく、怪我のことなどの心配をされながらも日常に戻ることができた。なんとなく春休みにはフランスとドイツに行こうと思った新人だった。

 

 

一人旅は危険だと言われ親同伴になったが。





おまけ

ラ「なあ新人。新人は私にとって、その、初めての友達というやつなんだ」
新「そうなんですか。それは嬉しいですね」
ラ「それでだ、初めての友達ということで他とは区別をつけたいというかその、特別というやつにしたいんだ」
新「そうですか。ですが僕にはいい案はありませんね」
ラ「ふっふっふっ。こんなこともあろうかと案は考えてきてあるのだ!(ドヤァ)この中から選んでくれ。徹夜して頑張って考えた自信作だ(ドヤヤァ)」
新「 わかりました。うーん、悩みますね。ですがここは下手にこだわりすぎて逆にダメになるのは嫌ですし、無難にベストフレンドでどうでしょうか?」
ラ「いいかもしれないが少しありきたりだな。やっぱりここはインパクトのある、アラトマイフレンドとかはどうだ?」
新「そしたら僕はラウラさんのことをなんと呼べば?」
ラ「ラウラマイフレンドでいいだろう。だが、やはりこれはダメだな。よくわからないけどダメだ」
新「そうですね…ならこれでどうでしょうか?」
ラ「戦友か、確かにいいかもしれない。響きも格好いいし私たちはすでに一緒に戦場を仲間と言っても過言ではないからな。よし、決めた、これにしよう!今日から私と新人は戦友だ!うんうん!カッコ良いいし、なんだか気分がいいぞ!今ならなんでもできる気がする!!」
新「あっ、それを言ったらまた……」
千「ほう、それは良いことを聞いた。ならお前だけは明日の特訓は三倍にしてやろう。なんでもできる今のお前なら楽勝だろう」
ラ「お、おっ、おおおお、織斑教官!?なぜここに!?」
千「弟の友人の見舞いに来るのが何か珍しいことか?まあいい。それよりも体調は大丈夫か?」
新「はい、だんだん良くなってきています。もう立って歩くこともできますし、さすがに走るのはまだ無理ですが多分大丈夫でしょう」
千「そうか、ならいい。じゃあな新人。 明日が楽しみだな」
ラ「戦友よ、助けてくれ。お前のパートナーがピンチなんだぞ」
新「ごめん、さすがに千冬さんを止めるのは無理です。諦めて明日に備えてください」
ラ「せっ、せんゆ〜う!」


UAが一万を超えました。読んでもらえてると感じることができて嬉しい限りです。お気に入りも120件越え。いつもこんな駄文にお付き合いいただきありがとうございます。そして、感想を書いてくださったゴオーさんいつもありがとうございます。


次回はチャイナリターンです。
おまけ長すぎて後書きが千文字超えてしまった

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