アンジェは今、己の研究に没頭していた。辺りには要らないパーツが散らばっており、その中心にはアンジェと人型の「何か」がたたずんでいた。
「腕、脚、胴体部分の武装はオールオッケー。後は、
そう言うと散らかっている場所から抜け出し、自分の机へと歩いて行って、イスにドカリともたれかかった。
「
しばらく考え込む事数十分、アンジェは何か良い名案が思い浮かんだといった様子で立ち上がった。
「そうだ、ハイブリッド機にしよう! 人工頭脳とモノホンの頭脳を混ぜ合わせてしまえば良いんだ。そうと決まれば早速準備しなければ……」
そう言うとアンジェは研究室の奥へと消えていった。
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ノイトラ・ジルガは不機嫌であった。己の
1日目は珍しいことがあるものだなと思った。2日目は一体何をしているのだと怒った。3日目からは、何者かに襲われたということを悟った。それからノイトラはずっと不機嫌である。
そうして今日も、己へ牙を剥いた愚か者を見つけ出してぶっ潰してやると思いながら広い
──あの建物の主がテスラを襲ったのではないか、と
あの建物の主は恐らく新参者であろうとノイトラは踏んでいた。そしてその新参者が何も考えずにテスラを襲ったのだろうと。
もし違ったとしても相手は
そこまで考えて、さて乗り込もうかと思った時である。例の建物から1人の
そうして怒りと一緒に殺気を飛ばしていると、先程の
はたしてどういった行動に出るのだろうとノイトラが眺めていると、何も無い砂漠の方向へ一目散に逃げ出したではないか。その様子に一瞬呆気にとられていたが、決して逃すまいと追いかけ始めた。
しばらく進んだ頃であろうか、辺りに何もなくなった頃、いきなり追いかけられていた
するとその
「朝から中々ヘビーな運動をさせてくれるではないか君、インドア派の私には堪えたよ。私はこういったサプライズは御免こうむるんだけどね……。で、どうしてこんな私なんかを追いかけて来たんだい?」
それに対してノイトラは少しイラついた様子で返答した。
「そんなもん答えは一つしかねェだろ! テメェをぶち殺しにきたに決まってるじゃあねぇか‼︎」
その返答に、その
「おお、怖い怖い。何でそんなにも殺気を向けられてるのかわからないや。あ、そういえば自己紹介がまだだったね。私はアンジェ・バニングスと申す者だよ。以後お見知りおきを〜」
そんなふざけた事をぬかす始末である。益々ノイトラの苛立ちはつのっていく。
「テメェ舐めてんのか? 今からテメェをぶち殺そうとしている相手に自己紹介をするなんざ正気じゃねえぞ」
そんなノイトラの様子を見ても、アンジェの調子は相変わらずであった。
「なんだい、別に自己紹介してもいいじゃあないか。そんなにかっかしてないで少しは落ち着きたまえよ。そうすれば、私をぶっ殺すという物騒な考えもなくなると思うんだ」
ノイトラは無言のまま、己の斬魄刀でアンジェに斬りかかった。斬魄刀が当たる直前、アンジェの姿はいきなりかっ消えた。
「問答無用で攻撃ですか。仕方がないなぁ〜。……そうだ、キミも実験体にしてあげるよ」
軽く蹴飛ばされたノイトラは、その言葉の一点だけに反応を示した。
「おいテメェ、キミ『も』ってなんだ! まさかとは思うが人の
そんなノイトラを見て、アンジェは面白いといった様子で語り始めた。
「なんだ、あれはキミの部下だったのか〜。だから私をぶち殺すって言ってたのね。いや〜、納得納得。でも彼のことはもう諦めた方がいいよ。もう既に脳みそだけになっちゃってるからね〜」
その言葉にノイトラの怒りは爆発した。
「テメェあんまり調子乗ってんじゃねぇぞ! ヒトの
再びアンジェに斬りかかるが、またしても当たる直前で姿が消えた。今度はノイトラから少し離れた場所に姿を現す。そしてそのまま更にノイトラを挑発しにかかった。
「いや〜。キミの
その言葉にノイトラの怒りは頂点に達した。
「テメェそんなにも早くぶち殺して欲しいんなら速攻でぶち殺しやるよ! 精々後悔しないように逃げ回りやがれ!」
そのままノイトラは斬魄刀を構えた
「
膨大な霊圧が吹き荒れると、砂塵の中から巨大な三日月のシルエットが浮かび上がる。
頭には左右非対称の三日月のような角が生え、腕が4本に増え、その4本の腕に大鎌を持つ姿へと変貌した。
その様子を眺めていたアンジェはやれやれといった様子である。
「はぁ、気が短いと女の子に嫌われちゃうよ。仕方ないな、私も少し本気を出そうかな」
そういうと左腕を横に振った。するとどうであろうか、左腕の袖の中からどうやって仕舞っていたのか分からない、大きな対戦車ライフルのような斬魄刀が飛び出してきた。そして、両腕で構えるとそのままノイトラの方向に銃口を向け、引き金を引いた。轟音と共に一発の弾丸が発射される。
ノイトラは最初、
しかし、行動が少し遅れてしまったため、左腕の一本に直撃してしまった。
──するとどうであろうか、
これには流石のノイトラも驚きを隠せなかった。
「くそッ! ふざけやがって‼︎ おいテメェ、今さっきのはなんだ!」
そんなノイトラをよそに、アンジェは少しつまらなさそうな顔をしていた。
「油断して真正面から喰らってくれればいいものを……。まぁいいや、さっきのは超圧縮した霊子の弾丸だよ。
ノイトラは吹き飛んだ左腕に意識を集中させた。するとどうであろうか、吹き飛ばされた左腕が瞬時に再生していく。
「次は喰らわねぇぞ、ンな技は! テメェの両手両足捥いでやるから覚悟しやがれ!」
そういって距離を詰めようとするも、アンジェは近い間合いを嫌い、またしても遠ざかった。どうやら接近戦は苦手のようである。
するとアンジェはノイトラから距離を取りながら、自分の斬魄刀の銃口を天に向け始めた。
「鬼ごっこは苦手なのでね、悪いけど違う遊びに変えさせてもらうよ」
そういうと引き金に指を掛け、そのまま引き金を引いた。
「
次回、後半戦
※カサドールは日本語で狩人という意味です。