カラクリの行方   作:うどんこ

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前回のあらすじ

イールフォルト「オデハグウ……ゼンブグウ……」

以上です(嘘)


第十九話 猛牛

「おい、死神。テメーの卍解の力はこんなもんかよ? 穴アキにしちまうぞ?」

 

 空座町住宅街の上空、そこには目付きの悪い男──グリムジョーとこの町を護る一護が相対していた。

 グリムジョーは四肢を武器に、卍解した黒崎一護と激しく衝突を繰り返している。一護が自慢の速さで周りこむも軽くあしらわれ、弾き飛ばされる。

 しかし、グリムジョーの表情はつまらなそうである。ウルキオラが注意するほどの成長を遂げる者とは思えないのだ。

 そして軽い踵落としを喰らわせ、一護を地上へと叩き落とし、粉塵に包まれた一護へ向けて叫ぶ。

 

「......ちっ、こんなモンが卍解かよ。ガッカリさせんじゃねえよ死神! 卍解になってマトモになったのはスピードだけか! あァ!?」

 

 何もかもが気にくわない。力を持たないくせに突っかかってくる。自分を満足させる程の存在でもないのに。

 すると、その粉塵の中から霊圧が高まって行くのが感じられた。煙の中に黒が混ざりどんどん侵食していく。そして霊圧が煙を散らし、姿を再び現した。そこにいる黒崎一護の『天鎖斬月』には、漆黒の霊圧が纏わりついていた。

 先ほどまでとは霊圧の密度が明らかに違う。グリムジョーは回避しようと思えば出来たが、あえて受けるために防御の姿勢をとる。

 

 月牙天衝

 

 黒い斬撃がグリムジョー目掛けて牙を剥く。グリムジョーは両腕を交差させ、防ぐ

 

「ジャマだ……ノラネコが……」

 

──筈だった。

 

「ッッ!?」

 

 真横からの声に咄嗟に反応するが、目を向けた時には漆黒の角がグリムジョーの身体を薙ぎ、左肩から右わき腹かけて大きな裂傷を作った後であった。そしてそのまま何者かの右腕に殴り飛ばされ、吹き飛ぶ。

 幸いにも傷は浅く、戦闘に支障が出るものではなかった。そして自分の邪魔をした愚か者を睨みつけ、目を見開いた。そして、新たなる闖入者に警戒していた一護も、その者がとった行動に驚きを隠せずにいた。

 

「おい……冗談だろ……!?」

 

 ニッチャ……ニッチャ……

 

 咀嚼の音が響き渡る。

 

「これだ……だが、まだタりない……」

 

 グリムジョーを急襲した漆黒の猛牛──イールフォルトは月牙天衝を()()()()()()。グリムジョーを殴り飛ばした後、自身の目の前に迫った月牙を口で受け止め、そのまま全てを吸い込んでいたのだ。当然、無事で済むわけがない。口は血まみれになっており、まるで生き血を(すす)った様であった。

 まだ足りないといった様子で一護に目を向ける。睨みつけているグリムジョーなどこの場に居ないかの様にあしらって。

 

「オレンジアタマ、おマエをクらえばタりないナニカがミみたされるキがする。さあ、そのチニクをヨこせ!」

 

 飢えた野牛は脚に力を溜め、地上に居る一護に飛び掛かろうとした。その瞬間、背後から来たいきなりの衝撃に反応する事が出来ず、地面へと叩きつけられた。

 

「イールフォルト、テメー……オレのジャマをするってコトはどういうコトか分かってんだろうなァ? あァン!?」

 

 殺意を一護から闘牛(イールフォルト)へと向ける。しかし、殺意を向けられている当の本人は、まるで煩い羽虫を見るかの様な目でグリムジョーの方を向く。

 

「ジャマをするな。おマエのコトなどナニもシらん。アトでクってやるからマタタビでもカいでマってろ」

 

 短気なグリムジョーがこの挑発で怒らない筈がなかった。先程よりも更に霊圧を高めていく。それに対し、イールフォルトは仕方ないといった様子で、攻撃対象を一護からグリムジョーへと移す。

 

「イイぜ、テメーのケンカ買ってやる! あの変態共(ザエルアポロ達)に何かされたんだろうがそんなコトカンケーねぇ! 叩きのめして正気に返してやるよ!」

 

 その言葉と同時に黒き巨獣がグリムジョー目掛けて凄まじい勢いで突き進んで行く。その姿は、進む先にある物全てを砕くのではないかと思われる程であった。グリムジョーはその爆進を前にしても回避行動をとることなく、凄惨な笑みを浮かべて迎え討つ。

 

「ンなモン角に当たらなけりゃ大したコトねぇんだよ! コレでも喰らって、ちったぁ頭でも冷やしな!」

 

 目前まで迫って来た角を身体を捻って間を縫い、跳ね飛ばさんと猛々しい勢いで進む、顔の鼻っ柱を掴んだ。

 

 掴み虚閃(アガラール・セロ)

 

 グリムジョーの得意とする技の一つである。零距離で放たれる膨大な霊圧の奔流が、イールフォルトの鼻を始めとし、全身を飲み込んだ。少しも手加減をしていない一撃だ。並の破面(アランカル)など跡形もなく吹き飛ぶ代物である。例え無事でもタダでは済まない筈だ。グリムジョーはそう考えていた。しかし──

 

「……チッッ! 悪い冗談だぜ!!」

 

 魔牛(イールフォルト)の突進の勢いは少しも落ちる事はなかった。決して軽くはない傷を負っているのに全く怯まず、グリムジョーを自身の顔面に縫い付ける。何発も鼻っ柱に零距離の虚閃(セロ)を叩き込むが、暴走は止まることを知らない。そしてその勢いを落とすことなく大きく旋回して方向転換を行い、とある場所へとその勢いを解き放つ──黒崎一護目掛けて。

 

「そんなモノでオレをトめられるものか! キサマもオレンジアタマも、ホンキをダすマエにミンチにしてクってやる」

 

 王者の爆進(カンピオン・アドバンス)

 

 流れ星の様に大地へと突き進んでゆく。グリムジョーは脱出しようと足掻くが、凄まじい勢いの所為で身体が顔面に縫い付けられており逃げ出せず、斬魄刀を抜く余裕すら与えてもらえなかった。

 

「くそっ……少しでいいから動いてくれ……!」

 

 自身に黒き凶弾が迫るが一護は動くことが出来なかった。あの黒い雄牛が現れてから、内なる虚が暴れているのだ。抑えるだけでも精一杯であり、身体を動かす余裕などなかった。

 最早(かわ)すのも難しい距離まで詰められる。無残な姿となった死神と、重傷の十刃(エスパーダ)がその場に出来上がると思われた瞬間、場違いな無邪気な子供の声が響いた。

 

「なんで僕らが後始末しなきゃいけないんだ? やったのは殆どアンジェなのに……」

「酔い潰れてたから代わりに私達をとのことだってよ。まあ酒を飲ませ過ぎた私達の自業自得だね〜」

「まあ、現世(コッチ)に初めて来れたからいいや〜」

「でも、遊ぶの禁止だからツマンナーイ」

 

 一護もグリムジョーも驚いていたが、一番動揺したのはイールフォルトであった。それもそうであろう。この場に居る者の誰もが止められなかった己の全力を、見た目も霊圧も非力な子供の右手で、軽々と止められたのだから。どれだけ押そうが引こうが掴まれた漆黒の角はびくともしない。

 少女の破面──レクシーは、右手に白兎のぬいぐるみを抱えたまま、左手でイールフォルトの顔面にへばりついたグリムジョーの襟首を掴むと、とある方向へ投げ飛ばす。投げられて正気に戻ったグリムジョーは、レクシーと闘牛(イールフォルト)を黒兎のぬいぐるみの耳を握ったまま抑えている少年──ハロルドを怒鳴りつけようとしたが、後ろから聞こえた声で自制し、苦虫を噛み潰した様な顔をした。

 

「縛道の六十三 『鎖条鎖縛(さじょうさばく)』」

 

 蛇の様な鎖が、暴れ牛を縛り付ける。そして先程まで猛威を振るっていた者は、一瞬で沈黙した。

 

「それにしてもアンジェはなんでこんな未完成の状態の薬を投与したんだろうねぇ?」

「何言ってんの? レクシー。アンジェの性格知ってるだろ? すぐにわかる事じゃん!」

「ん〜? 後はザエルアポロさんに丸投げ?」

「言い方が悪いな〜。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()薬なんだから、後の調整をどうするか高みの見物と言ってあげなよ」

 

 双子の破面(アランカル)は、真後ろにいる一護に見向きもせず、動けなくなったイールフォルトをまるで家畜を見る様な目で見ている。

 

「レクシー、ハロルド。お前達は早く仕事を終わらせろ」

 

 イールフォルトを縛り上げた本人──東仙要が命令すると、レクシーはポケットから小さな注射器を取り出す。

 

「「はぁ〜〜い」」

 

 この場にそぐわない間の抜けた返事をする。そしてその注射器の針をイールフォルトに向けた。

 

「ヤめろ! チカヨるな! バけモノドモが!!」

 

 イールフォルトは拘束を解こうと暴れる。その姿は此処から一刻も早く逃げ出したいと怯えた様でもあった。

 

「化け物なんて酷いなぁ!」

「私達は全然強くないのにねぇ!」

 

 ケラケラと笑う双子。その様子は不気味そのものであった。

 

「てめえら、一体何をする気だ……?」

 

 漸く口を開いた一護は此方を見向きもしない双子へ問いかける。その疑問への返答は胸糞が悪くなる様なものであった。

 

「何って……()()()()『実験動物』の()()()だけど?」

「被害が広がる前に処分しとかないと苦情が来るからね」

 

 当たり前の事をどうして聞くんだとキョトンとした顔をする2人。無邪気で、そして残忍さが篭った四つの瞳が今初めて一護の姿を映した。

 

「殺処分って……コイツはお前らの仲間じゃねぇのかよ!!」

 

 敵であったが、戦いの中に生きる者が受けるものではない扱いに憤りを感じた。そんな一護に不満そうな顔をする双子。

 

「なんで私達怒られてるの? やられそうなところを助けたんだから感謝するのが普通じゃないの?」

「もしかして、ツンデレってやつ? 分かりにくいから困るね〜。僕達、そういったのに興味ないからはっきり伝えてよね、『ありがとう』って」

 

 見当違いな事言い出す双子にさらに苛立ちが募る。そしてその苛立ちをそのまま言葉にしてぶつけた。

 

「てめえらは仲間を殺すのに何の躊躇いもねぇのかよ!!」

 

 一護の叫びが双子は理解出来ないのか、困った顔のまま言葉を紡ぐ。

 

「仲間なんかじゃないよ? 飼育場(虚夜宮)から逃げ出した害獣(イールフォルト)は駆除するのが当たり前じゃないのかな? 被害も出ちゃってるんだからさ」

「第一、屠殺(とさつ)の度に感傷に浸ってたら、農家の人達なんて心が病んじゃうじゃないか。僕達にそういった感情論を押し付けるのはやめて欲しいね」

 

 会話が全くと言っていい程噛み合わない。()()()が違うのだ、他者の命に関しての。

 

「てめえらは命をなんとも思わないのか!? 一緒に戦ってきたんじゃないのか!?」

 

 まだ自分達に感情をぶつける一護に嫌気がさしたのか、少し不愉快そうに話を持ちかける。

 

「あーもう、五月蝿いな! 分かったよ! そんなに気に食わないんなら賭け事で決めようじゃあないか!!」

「手っ取り早いコイントスでもいい? 時間もあんまりかけたくないからさ〜。私等が勝てば、予定通りの行動をする」

「キミが勝てば、僕達は何もしない。これでいいでしょ?」

 

 遊びで生き死にを決めようなどと、当然一護に受け入れられる筈がない。

 

「ふざけるなっ! 遊びじゃねえんだぞ!!」

 

 一護の怒りに、双子は憤りを見せた。聞き分けのない子供に向ける時の様な憤りを。

 

「何勘違いしてんだよ。こっちはキミに譲歩して勝負を持ちかけてやったんだ。普通聞く必要もない戯言にね」

「それでも偉そうにするなんて、礼儀がなってないんじゃないの〜。チャンスを与えてもらった事に感謝の意くらい示してよね」

「それと、ものの価値は人によって違うんだよ。僕達にとって『遊び』は『命』と釣り合うんだ」

「自分の価値観を他人に押し付けるのはやめてよね。『()()()()』が」

 

 一護の返事を待たずして懐から取り出したコインの両面を見せる。どうやら参加は強制のようだ。

 

「兎の絵の面が表、狼の絵が裏。一回切りだかんね。そら、いくよ」

 

 小気味良い音と共にコインが回転しながら中を舞う。そして落下するとコインはハロルドの手の甲の上へと吸い込まれ、もう片方の手で挟まれた。

 

「ほら、早く選んでよ。表と裏どっち? 私達が先に選ぶという()()()は嫌でしょ?」

 

 我慢の限界が来たのか、先程まで東仙と何か話をしていたグリムジョーが口を出して来た。そんなグリムジョーを東仙は不快そうに見るが、何も口出しせずに黙って見ている。

 

「ガキ共が……何勝手に決めてやがるッ! テメー達がオレの従属官(フラシオン)の処遇を遊びで勝手に決めてんじゃねえよ!!」

 

 先程まで静かにしていたグリムジョーであったが、これだけは我慢ならなかったようだ。だか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「野次飛ばすのも程々にしてよね〜。そもそもキミの行動が原因なんだからさ〜」

「キミの『無秩序』な行動の()()がこれなんだから、馬鹿な真似をした事を後悔しながら黙って見ててよね」

 

 グリムジョーに視線を少しだけ移した後、再び楽しそうな目を一護へ向ける。

 

「さ、オレンジツンツン頭さん、あんな奴ほっといて決めちゃってね」

「あの(うるさ)い奴と相談して決めてもいいよ。二択なんだから悩む必要もないと思うけどな〜」

 

 この双子には何を言っても通じないのだろう。そう思いながら、渋々といった様子で一護も表か裏か悩み始めた。

 

「くそっ……裏、いや表だ」

 

 一護の悩む姿に双子は楽しそうだ。その間、常にニコニコしていた。

 

「表だね! 後でゴネるのはなしだかんね〜。それじゃ開くよ〜!!」

 

 今か今かと待ち遠しいといった様子でハロルドはコインを隠した手と一護を交互に見ており、レクシーは手をブンブンと振り、興奮を露わにしていた。

 

「東仙さんもそんな顔怖くしてないで安心してよ。物事に『()()』なんてものはないけど、ツキが来てない奴が大勝負に勝てる訳がないのさ。ましてや()()()()()()()()になんてね」

 

 コインを覆った手がゆっくりと離され、そして──

 

「残念!!」

「私達の勝ちだよ!!」

 

 狼の絵が描かれた裏面がその存在を主張していた。イカサマをしてないか確認させる為に指一本でコインをひっくり返すが、反対の面は何の問題もなく兎の絵が描かれている。

 

「どうしたの? 納得いかないって顔してるけど」

「続ける? 勿論次は他のものを賭けてもらうよ。……そうだな〜、あそこでぶっ倒れてる死神(ルキア)の命を賭けるなら、もう一回勝負してもいいよ」

 

 その提案に、一護は何も口に出来ず呆けていた。仲間の命を賭ければこのふざけた遊びを続けてやると言っているのだ。そんなものに乗れる筈がなかった。

 何も言葉を発しない一護に、双子はすぐに内心を察したらしい。その表情は少し物足りなさそうであった。

 

「やっぱ降りちゃうか〜。ちょっと残念。だけど判断は悪くはないと思うよ。実質マイナス収支はないからね」

「ハロルド〜、東仙さんが能面みたいな顔してこっち見てるよ〜。そろそろ般若に変わるかもだから早く済ませちゃお?」

「そだね〜。支配人が店仕舞いしたそうだから、そろそろ畳むとするか」

 

 先程の注射器を取り出して掲げ、(うた)うように言葉を紡ぐ。

 

「弱者には痛みを」

 

「間抜けには苦しみを」

 

「幸なき者には『罪』を」

 

「愚か者には『罰』を」

 

「「そして選ばれし者には祝福を」」

 

 そして注射器をイールフォルトに突き立てた。

 

「グガァァァァァァ!!!!」

 

 喉が潰れる程の悲鳴の様な咆哮が空座町に響き渡る。断末魔は耳に残りそうな程の苦しみが篭っており、とても聞けたものではなかった。そんな中でもケラケラ笑う双子。まるで悲鳴を歓声のように聞いているような顔だ。

 グリムジョーは東仙に抑えられながらも、殺意に満ちた瞳を双子に向けており、一護も許せないといった様子で双子を見ていた。

 

「アンジェの注射怖いね〜。これ他の人に打ったらどうなんだろ?」

「全く効果ないんじゃない? こいつの為だけの薬って事もあるだろうし。第一、危険な薬を僕達みたいな『()()()』に持たせやしないよ!」

「それもそだね〜」

 

 凄まじい形相で睨む二人を少しも意を介することなく、楽しそうに談笑する双子。その傍らで悲鳴をあげる者の身体に変化が起こり始めた。

 黒かった虚の部分が更に深い黒へと変わり、肌もどんどん同じ色に染まっていく。そして、耐えきれなくなった部分からボロボロと崩れていく。

 

「ガ……ガガガ……クズれてしまう……キえてしまう……」

 

 何かを求めるように、ボロボロと形が保てなくなっていく腕を伸ばす。その先にはグリムジョーの姿があり、それに気がつくとなにかを感じたのか目を細めた。

 

「サイ…ゴ……グ…リム……ジョー……ス……マナ………イ…………」

 

 少しだけ、かつてのイールフォルトに戻った様な気がした。しかし、すぐに全身が崩れ落ち、この世からもあの世からも消えてしまった。最後に、黒い小さな水晶が形見の様に残った。

 それを拾ったレクシー達は、やり遂げた様な顔で東仙に報告する。

 

「終わったよ〜。ちょっと時間掛かっちゃったけど」

「そろそろ帰ろ、東仙さん。僕達少し眠くなっちゃった」

 

 その言葉と同時に東仙が黒腔(ガルガンタ)を開く。そしてその中へと破面(アランカル)達を促した。

 

「グリムジョー、お前の処罰は虚圏(ウェコムンド)で下される。お前がする事は、何もせずに虚圏(ウェコムンド)に帰ることだ。分かっているな?」

 

 その命令に苛立ちを見せながらも、何も言わずに中へと進んで行く。そんなグリムジョーの背に、声が掛けられた。

 

「ま、待て! どこ行くんだよ!」

「ウルセーな、帰んだよ虚圏(ウェコムンド)へな」

「ふざけんな! 勝手に攻めて来といて勝手に帰るだ!? 冗談じゃねえぞ! 下りてこいよ! まだ勝負は、ついてねえだろ!」

「......まだ勝負は、ついてねえだと? ふざけんな。邪魔が入って命拾ったのは、てめえのほうだぜ死神」

 

 一護は力量差を理解できないまで無能なのか。それが苛立ちを燻らせる。

 

「俺の名を、忘れんじゃねえぞ。そして二度と聞かねえことを祈れ」

 

 歯をむき出しにして獰猛に笑う。

 

「グリムジョー・ジャガージャック。この名を次に聞く時が、てめえの最後だ、死神」

 

 そのまま黒腔(ガルガンタ)の奥へと消えて行く。呆然としている一護へ今度は可愛らしい声が掛けられる。

 

「今度また遊びましょ」

 

 双子が中へ入ると黒腔(ガルガンタ)は閉じていく。閉じる瞬間、一護に向けてなのか分からない言葉が聞こえた。

 

 

 

 

「それじゃ、また出会う時まで」

「バイバイ」




いつからイールフォルトが強化されて生き残ると錯覚していた?

はい、イールフォルトさんが好きな方スンマセン。やはり、死の運命からは逃れられなかったよ。

因みに、レクシー&ハロルドは正直素の戦闘能力は高くないです。まあ、能力がイカれてますが……チートや最強ではないですよ?

そして次回からやっと残りの3キャラが出てきます。本当に長かった…

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