ええ、ホントお久しぶりです……
大体三ヶ月振り位ですね、ホントすみません…
言い訳としては、最近忙しくて話を作る時間が殆ど取れなかったのが大きいです。
正直8月中旬までは忙しいので新話上げるのもまた遅れると思いますが更新は続けていくつもりですのでどうかごゆるりお待ち下さい。
8月中旬過ぎたらある程度時間はできるので、その位からまたしばらく週一更新出来たらなと思っております。
何やら声が聞こえて来るので、その声の方向にザエルアポロが耳を傾けながらそちらを向く。すると──
「アンジェ殺ス。アンジェ殺ス。アンジェ殺ス。アンジェ殺ス。アンジェ殺ス」
仏頂面で物騒な言葉をブツブツと呟く
「君の主、とても危ないこと口走っているけど大丈夫なのかい? いきなり暴れられたら僕もたまったものじゃないのだけれど」
そんなザエルアポロの問いに、アンジェは作業の手を止めることなく対応する。
「あーあれね。別に無視してしまっても構わないよ。今の身体になる前の感情が爆発してるだけだから。
何か不安になるようなことを言っていたが、小さく呟いていたためザエルアポロには聞こえなかったようだ。
それよりも気になることを言っていたのでそっちが気になったようである。
「ちょっと待ってくれ。彼の記憶は消したんじゃなかったのかい? それなのに何で前の記憶に引っ張られた言葉を発してるんだ?」
アンジェは相変わらず作業をやめない。何かを操作しているのか奥から謎の氷の塊が、厳重管理と書かれた紙が貼られた透明な容器に入れられた状態で、機械に吊られて運ばれてきた。
「別に消したとは言ってないよ。初期化だよ初期化。記憶を完全に消すなんてはっきりいって不可能さ。どうでもいい事だったら何もしなくても忘れてしまうだろうけど、深く根付いたものはそう易々と消せるもんじゃあないよ。深く脳に焼き付いてしまっているからね。記憶の
私が行ったのは簡単に言ってしまえばただど忘れさせてしまっただけに過ぎないんだ。何か切っ掛けがあれば思い出してしまう。だから男尊女卑思想も消えていないのさ。彼にとっては結構大きな思想だったみたいだからね。もし
そう言い切ると氷の塊が入った容器を、溶液で満たされた大きなカプセルの中へとゆっくり入れていく。完全に入りきったらすぐさま蓋を閉めて密閉していた。氷を閉じ込めた透明な容器の中にも溶液が進入していき、氷に溶液が触れていく。
一通りの作業が終わったのか、アンジェはザエルアポロの方へ向かい、自分愛用のティーカップへ紅茶を注いでいく。
「ふぃ〜、終わった終わった。私の保管庫から探して引っ張り出すだけでこんなに苦労するとは思わなんだ」
そして一気に紅茶を飲む。結構良いティーカップを使っているが、飲み方は上品ではなかった。
「そういえば一体あれは何なんだ? 良かったら僕にも教えてくれよ」
そう言ってアンジェが先程まで扱っていた物の方向を向く。そこにはカプセルの中に溶液が満たされているだけになっており、氷はおろか、
そんな興味深い状況をまじまじと観察しているザエルアポロとは裏腹に、二杯目の紅茶を注ぎ始めるアンジェ。人の話を無視しているかのようである。
ザエルアポロもアンジェがどういった人物か大体分かって来ているので、急かす事なく反応を待っていた。二杯目にミルクを入れて美味しそうに飲みながら、やっとザエルアポロの質問への返答を開始したのであった。
「アレはとある存在からこぼれ落ちたモノだよ。搾りかすとも言えるね。ちょっとこれから運用出来るようにしていくつもりの存在さ」
全くもって知りたい事の説明になっていない。一体どういった力があるかなどを知りたいのに、教えてくれるのはどうでもいいあやふやな誕生秘話であった。もしかしたら説明したくない代物なのかとも思ったが、それなら何故ここに呼んだのかが分からない。そんな事を考えていると、アンジェがニタニタと笑いながら見ているのに気が付いた。
「アレの事を知りたいのかい? しょうがないなぁ〜。私が一から教えてあげるよ……と言いたい所だけど、今回は少しばかし条件があるんだ。条件を飲んでくれなかったら、アレと関わる事はご遠慮願いたいって事だね」
そういう事か──今回何故連れて来られたのかザエルアポロは納得がいった。自分を呼び出したのはアレについて、自分に何か協力を仰ぎたかったからなのであろうと。
しかしこちらとてタダ働きするつもりはない。確かにアレの正体が何なのかは知りたいが、おいそれと自身の技術を見せるには値しない。そう発言をし、アンジェに対価を求めようと考えた。
「悪いけ「そうそう、もし協力してくれるのだったらアレをキミの研究に取り入れてもいいよ。おそらくキミが求めているものに相応しい可能性を秘めていると思うからね」……なんだって?」
アンジェが対価として出したのはかなり破格のものであった。未知なるものの正体はおろか、それを研究対象として扱っていいと言っているのだ。この対価にどんな事を要求されるのであろうか。そんな事を考えながら身構えていると──
「ああ、そんなに身構えなくてもいいよ。ちょっとノウハウが欲しいだけさ。キミの
その言葉にザエルアポロは眉を潜めた。彼女の出生の事など教えた覚えなどない。それなのに何故アンジェは知っているのであろうか。
そんな反応のザエルアポロに対し、アンジェは相変わらずヘラヘラとした態度で話を続ける。
「あの子が普通の虚と違う事なんて私にゃあ見れば分かるさ。これでも研究者だからね。あ、ロカちゃんの全てを教えて欲しい訳じゃあないよ。ほんの一部でいいんだ。
その言葉にザエルアポロは更に眉をひそめた。それもそうであろう。ザエルアポロからして見ればアレはただの「道具」で感情などある筈もないのだから。
「君がどこまで知っているのかはこの際置いておく事にしよう。ただ、一つだけ勘違いしている様だから言わせてもらうよ。あいつは『道具』だ。あいつに感情なんか存在しやしないさ」
そう断言するザエルアポロに、アンジェは心底どうでもよさそうな顔をしている。丸でザエルアポロの思ってる事などどうでもいいといった様子である。
「ザエルアポロ君はそう思ってるのかも知れないけど、私はキミの考えなんかどうでも良いんだよ。私はただ同じ様な過程を経て、同じ様な結果を出してくれればそれで良いんだから」
ザエルアポロは少し頭に来たが相手はあのアンジェである。イラつくだけ無駄だと分かっているのでこの際置いておく事にした。
しかも一から人工虚を作れと言っている訳でもないので、それ程手間が掛かる事でもない。アンジェが求めているものも大体どの工程で誕生するだろうかも検討はおおよそついている。……まあ、感情を持っているなど信じてはいないのだが。
「分かった。君の手伝いをしてあげる事にするよ。それで? アレは一体どういう目的の為に倉庫から引っ張り出してきて、どういった力を持っているのかちゃんと説明してくれるのかな?」
アンジェの要求をのんだザエルアポロは、早速自分が気になっている事を訪ね始めた。そんな真面目に対応しているザエルアポロとは反して、アンジェは、紅茶のお茶請けに持って来たクッキーを口の中に放り込みながら、だらけた様子でザエルアポロの問いに答える。
「どもども協力の意思表明ありがとう〜。で、アレを今更出して来た意図と能力の説明だっけ? アレを使う目的から話そうか。そりゃあ織姫ちゃんを手に入れる時か手に入れた後、鬱陶しい虫を追い払う為の戦力として宛てがう為さ。ちょいとばかし向いていないかもだけどそこは他でカバーすれから問題無いはずさ。
で、アレが持つ最大の特徴なんだけと……アレアレ言うのもなんか分かりづらいな……そろそろ名前でもつけてやるか」
話が脱線した挙句、脱線した内容でウンウン悩み出したアンジェ。そんなアンジェを若干呆れた様子で見ていたが、どうやらいい案が出たのか唸るのをやめ、こちらに向き直った。
「今日からアレのことは『セルラ』と呼ぶ事にしたよ。ザエルアポロ君も今からそう呼ぶようにしてね〜。そうそう、特徴が知りたいんだったね。セルラはね、どうしようもなく
そこて一呼吸置くと、普段のニタニタした笑いとは違う、凄惨な笑みを浮かべながら続けた。
「だからこそ
──────────
アンジェからセルラの特徴、これからどの様に扱っていくかの話を聞いたザエルアポロは、やはりと言うか呆れた様子であった。いつもながら色々と考えがおかしい。そう考えながらも口には出さず、単に気になった事を訊ねてみた。
「話を聞けば、殆ど君が作業する様だけど、本当は君一人でも全部できるんじゃないのかい?」
そんな疑問を投げかけてみたが、アンジェはそれを笑って一蹴した。
「バカ言っちゃいけないよ! 私にも出来る事と出来ない事はあるに決まってるじゃん! 私は別に何でもかんでも出来る訳じゃないんだ。特に、無から人工的に虚を作るなんてやった事もないからね。そういった専門外の事は他の専門家に頼るよ。まあ、自分の得意分野は誰にも負ける気はせんがね」
そして、ドヤ顔をしたまま背もたれに体重をかけて椅子を傾け、踏ん反り返り始めた。どうやら格好良く見せようとしている様だ。しかし──
「アレ? ちょっと体重かけ過ぎたか、わーーッ!! 止まって止まっ──」
そのまま椅子は後ろに倒れ、アンジェも後ろに転がるといった醜態を晒す羽目になった。実に格好悪かった。
「イテテテテ……アレ?」
アンジェが転がっていった先には誰かの足が目の前にあった。そのまま視線を足の上へと向けていくと──
「戯け者が、何を遊んでおる。さっさとこの儂をもてなす準備を始めんか」
アンジェの天敵、バラガン・ルイゼンバーンの姿がそこにはあった。
「そして詳しく教えて貰おうではないか。儂も知らぬあの斬魄刀に篭った力についてな」
──────────
その頃、何処かの小さな部屋には市丸と東仙、そして藍染が集まっていた。
「隊長もアンジェちゃんのあの力については何も知らなかったんすね。ボクはてっきり知ってるモンと思ってましたわ」
そう言って市丸は藍染の方を見る。そこには少し考え込むようにしている藍染の姿があった。
「アンジェの事は色々と調べてたつもりだったんだけどね……まあ、彼女もちゃんと説明してくれたから良かったよ。隠してる事はまだまだ沢山あるだろうけどね」
そんな様子の藍染に対し、東仙は不満そうにしていた。
「それが分かっているのに何故問いたださなかったのですか? 藍染様の御命令とあらば、拷問してでも聞き出すつもりでしたのに」
アンジェが聞いていたら勘弁してくれと叫びそうな事を言う東仙。それに首を横に振って答える。
「そこまでしなくても良いよ、要。彼女に聞きたい事がある場合はしっかりと具体的な内容で無いと拷問してもはぐらかされるだけだからね」
少し真剣な表情をした市丸も藍染に助言をする。
「でもあんな力を持っとるんやったら、多少問題がありそうな気がするんすけどええんですか? 釘を刺しといた方が良いような気がしないでもなかったすけど」
「大丈夫だよ、ギン。彼女自身もあの力を嫌っている様だったからよっぽどの事が無い限り使わない筈さ。
でも早い段階で今回の事が知れて良かったよ。彼女が話して無い事も一つ知る事が出来たしね」
「ん? どういうことですか?」
疑問を漏らした市丸に藍染はゆっくりと説明していく。
「彼女の霊圧が弱々しく不安定な事について、実は前々から疑問には思っていたんだ。でもそれは彼女が司る『死の形』が関係しているのだろうと考えてた。しかし今回の件でそれは間違いだと分かり、ある事に気付いた」
その時の藍染の表情は推理を楽しんでいるかの様であった。
「あの力があったとしても、彼女の存在はどう考えても不自然なんだ。例えるなら、色々な所に穴が空いた絵を見ている気分だね」
「まさかっ……!?」
東仙の反応を横目で楽しそうに見ながら、藍染は好奇心の光を両眼に宿らせている。そんな、藍染本人も気付いていない藍染の様子を市丸は不安そうな様子で見ていた。
「彼女はまだまだ何かを
前回のあとがきで、次回に戦闘が入ると言っていましたが戦闘シーンは次回の次になると思います。
戦闘シーンが好きだからお気に入り登録したんだよ! ダボがぁ! と思っている方申し訳ございません! 途中から戦闘シーンはどんどん増えてくと思うのでそれまでお待ち下さい!
あ、次回新キャラが出ますのでご注意下さい。次回の更新は今月中には一つ上げたいです…