ヴィランスレイヤー   作:ジャギィ

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◆◆◆◆前回の あらすじな◆◆◆◆

ヒーローに憧れていた少年 緑谷出久は最高のヒーロー オールマイトに見込まれ、所持者のカラテをストックしそれを他の者に譲渡するという彼の“個性”「ワン・フォー・オール」を受け継ぐことになった。過酷な修行の果て、緑谷は「ワン・フォー・オール」を受け継ぎ、ヒーロー最高教育校「雄英高校」のヒーロー科に合格する!最高のヒーローになるための日々を過ごす中、ヒーロー科の生徒たちは災害救助訓練の授業を受けるのだが、そこで「ヴィラン連合」を名乗るヴィラン集団の襲撃を受けた


イクサ・イン・ザ・ミニチュアガーデン・オブ・ヒーロー#1

ドクロに似た被り物をつけた男が告げる。「手ぇ上げろ、“個性”は禁止だ。使えばこいつを殺す」男の左手は金髪の少年の服の襟の部分を掴んでおり、言葉は文字通りの脅迫。言葉を投げかけられ手を上げたのは年端もいかぬ2人の少女であり、その顔は苦い表情だ。「上鳴さん…!!」

 

「やられた…!!完全に油断してた……」人質の上鳴 電気(かみなり でんき)を心配するのは、長い黒髪を後ろに1つで結った大和撫子めいた八百万 百(やおよろず もも)であった。レオタードの如く実際性的なヒーローコスチュームから見て取れるように、彼女のバストは豊満である

 

人質を取られた悔しみの声を上げる少女は耳郎 響香(じろう きょうか)。福耳で三白眼が彼女の特徴の1つでもあり、シャツの上から見たその胸は平坦であった

 

今彼ら彼女らがいる場所は、雄英高校の災害訓練所「USJ(ウソの災害や事故)」である。雄英は多くのヒーローに教育者たちにヒーロー指導を受けることができる、カチグミヒーローと成り上がるには卒業が必須と言われるほどの、エリート校である!今人質となった少年も脅迫を受けた少女たちも、高い倍率の過酷なセンタ試験をさらに高得点で勝ち上がりヒーロー科への進学を果たした、実際スゴイ級の高校1年生なのである!ならばこの状況の説明は?訓練の一環なのであろうか?

 

「ウェ…ウェ〜〜〜〜イ…」「同じ電気系個性としては殺したくはないが、しょうがないよな」殺すということに抵抗を覚えない確かな殺気アトモスフィアを放つこの男はヴィラン。そう、ヴィランなのである!周囲で倒れ伏している者たちも皆ヴィラン!エリート校の警備は堅牢である!これは一体どういうことなのか!?

 

人質として捕らえられた、いかにも現代人の若者といった出で立ちの上鳴が言葉にならぬ声を上げる。上鳴の“個性”「帯電」は電気を肉体に纏い放出することのできる“個性”だが、1度に大量の電気を放電すると脳がショートし著しくアホになるのである

 

鼻水とよだれを垂らし表情筋が弛緩した顔で人質となる上鳴の様はブザマ極まりない。しかしライオンの子供が殺人バッファローに勝てるであろうか?当然そんなことはなく、この現状で彼が強く責められる謂れは1つとしてないのだ「全滅させたと思わせてからの伏兵……そんなことも想定できていなかったなんて…」「電気系…!おそらく轟さんの言ってた、通信妨害してる奴ね…!」

 

だが見よ!こんな状況でも彼女たちは絶望していない!例え“個性”があろうとモータルがヴィランに脅迫されればショックのあまり失禁もあり得たであろう。ましてや彼女たちは、つい最近までごく一般的なモータルだったというのに!「そっちへ行く。決して動くなよ」

 

爪先から電気を漏らしながら、ヴィランは簡素に命令する。「…上鳴もだけどさ…電気系ってさ、「生まれながらの勝ち組」じゃん?」「?」耳郎が関係なさげな話を切り出す。「何を…」ここで八百万が気づく!耳郎は右耳たぶから伸びたプラグをヴィランから見えないよう脚部に伸ばしているのである!

 

彼女の「イヤホンジャック」はプラグになった耳たぶを挿すことで己の心音を増幅させて攻撃することができるのである!彼女の足には音響増幅(アンプ・リファー)装置があり、そこからの音響攻撃はこの事態にうってつけと言えた!

 

「だってヒーローでなくても色んな仕事あるし、引く手数多じゃん。いや純粋な疑問ね?なんで(ヴィラン)なんかやってんのかなって…………」(((なるほど!耳郎さんならプラグさえつなげれば、ノーモーションで攻撃できる!)))伸びたプラグが徐々に近づき…。「…………気付かれないとでも思ったか?」

 

ナムアミダブツ!作戦はヴィランに見抜かれていた!「ウェイ!?」致死量の電気を流せる爪を顔に添えられ、上鳴は悲鳴をあげる。「くっ!!」「子供の浅知恵などバカな大人にしか通じないさ」ヴィランの血走った目はどこまでも無慈悲で冷たい。「ヒーローの卵が人質を軽視するなよ。お前たちが抵抗しなければ、このアホは見逃してやるぜ?」

 

欺瞞!なんとあからさまな嘘であろうか!隠す気のない殺気がその言葉の嘘を証明していた。だがヒーローを目指す彼女たちは、例え欺瞞の言葉であろうとクラスメイトを見捨てることはできないのだ。「他人の命か、自分らの命か…!さぁ…動くなよ…」3人は青ざめた。自分たちを助けるヒーローはこの場にいない!おおブッダよ!寝ているのですか!?

 

1歩1歩確実に歩を進めてくるヴィランを見て、八百万と耳郎の2人はゴルゴダの丘に向かうジーザスの如き悲壮さで、あるいは十三階段を昇る死刑囚の如き思いを味わっていた。解決手段を考えたが……皆無だ

 

とうとう目の前まで移動してきたヴィランは念のために上鳴の首を掴み、爪を肉に食い込ませる。「ウェッ!?」緊張感のない表情でも、その抵抗は必死だった「まずはこの場で遠距離攻撃ができるお前からだ」「っ!」

 

右の指爪を電気のエネルギに変え、感電死させるべく耳郎に迫る!(((ウチ、ここで死ぬの?)))明確にやってくる死の感覚がニューロンを高速回転させ、彼女にソーマト・リコールを流させた。やりたいことが多くあり、悔いだらけの人生に彼女は涙も流せずソーマト・リコールを眺め続け……

 

「イヤーッ!」轟くシャウトが耳に響き、ニューロンの海から意識を覚醒させた。開いた彼女の瞳に映っていたのは、自分たちを殺そうとしたヴィランの両腕と首が切断され、夥しい量の血を噴き出す光景であった!

 

「え?」「え…」「…ウェ?」そのあり得ない光景に3人が当然の反応を返す。先ほどのニンジャシャウトの主がメンポ越しに声を出す。「随分と分かりやすい殺気を出していたものだ。そんなに早く殺されたかったか?」ヴィランの後ろで蠢く赤黒の影…ヴィランスレイヤーは挑発を含めた罵倒を口から出すが、対象のヴィランは既に物言わぬ死体と化しており答えることなどできやしない!

 

なぜヴィランスレイヤーがここにいるのかと問われれば答えは単純、ヴィランを殺すためである。ではどうやって堅牢なシステムを突破してきたのか?それはこの電気系統の“個性”を持つヴィランの電波妨害によりセンサーが無力化、別口にあった非常口システムがショートしていたのである。防衛システムのない鉄扉の突破など、ニンジャの彼にしてみればショウジ戸を破るに等しい!

 

そして赤黒の殺戮者はヴィランの殺気にいち早く気づき、神速のカラテで人質救出・攻撃無力化・スレイを同時に行ったのである!なんたるワザマエ!つまりヴィランが起こした2つの行動が、回り回ってインガオホーをなしたのであった。今までしてきたであろう非道を鑑みれば、当然の報いである

 

「イヤーッ!」半だるま状態にされたヴィランは、そのままヴィランスレイヤーに服を掴んでのイポン背負いで後方に投げ飛ばされる。「サヨナラ!」半だるまヴィランは爆発四散!ヴィランスレイヤーにしてみればアンブッシュでスレイされる程度の、イクサをするに値しないサンシタヴィランの憐れな最期であった

 

ヒーローの卵3人は危機を脱した。しかし上鳴電気と八百万百と耳郎響香からしてみれば、先ほどよりもずっと恐ろしい危機の到来を感じ取っていた!「こいつもヴィラン!?」「なぜ仲間を…仲間割れ…?それとも私たちを助けて…?」

 

エントリーしてきたヴィランスレイヤーを畏れながらも戦闘態勢に入る2人だが、自分たち3人では例え有利なフィールドで束になっても勝てぬと如実に感じていた。強力なヴィランを不意打ち(アンブッシュ)でとはいえ瞬殺、圧倒的殺戮アトモスフィアと死神めいた眼光、何よりヴィランスレイヤーの内に秘めたニンジャソウルが3人の闘争心を余すことなく押し潰す!

 

(((か、勝てない…!!絶対的に勝てるわけがない……!!)))(((ウチら、今度こそ終わる…)))自然の摂理と相対するかの如き絶望感に、完全に膝を折る八百万と耳郎の2人。このままあのヴィランのような惨たらしい末路を辿るのかと最悪の想像を頭に浮かべる

 

「………………」だがヴィランスレイヤーは絶望した2人と首を掴んだ腕だけの手を外すことに必死な1人を静かに見るだけだ。そして何を思ったのか、悪戦苦闘する上鳴に手を伸ばす。「ヤバイ!!」「上鳴さん!」逃走を促す叫びを少女たちが声に出す。ヴィランスレイヤーの手が上鳴の首元に触れる!「ウェイ!?」「イヤーッ!」そして、呪いのようにしがみついていたヴィランの腕を引き剥がす

 

ポキリと硬直した指が小枝のように容易に折れる。「え?」「え…」「…ウェ?」2度起きたあり得ない出来事に同じような呟きを繰り返す。助けてもらったという思考に至っていないのは大変シツレイだが、それほどヴィランスレイヤーの容赦なさとアトモスフィアが強烈だったのであろう

 

「向こうか」メンポを上下に動かしながらそう言うと、ニンジャ脚力を駆使してその場から離れた。「イヤーッ!」不気味なほどの静寂が岩場を支配した。「助かり、ましたの?」「大丈夫?」「ウェイ…マジ死ぬかと思った!あいつマジヤベーって!!やっと戻った!」

 

さっきまでのサツバツとした空気は霧散し、互いが互いを心配し合う優しみの溢れた光景が広がっていた。それでもまだ気絶したヴィランは転がっている、油断はならない。「耳郎さん、周囲の音を警戒してください。わずかな可能性ですがヴィランが残っているかもしれませんし、ヴィランが起きても同じく厄介です。すぐこの場から離れましょう」

 

「オッケイ、分かった…ほら上鳴、そんなとこで座ってるとまたヴィランに人質にされるわよ」「分かってるって!」他の者たちの足手まといにならぬよう、細心の注意を払って離脱を開始する。ふと八百万は、あの赤黒のヴィランが向かった方向を見つめた

 

3人はまだ気付かぬが、ヴィランスレイヤーが向かった場所はUSJの入り口前の広場であった。「あの方向に一体何が……」呟きの直後、巨大な黒き影がロケットめいて空に吹き飛び、ドームを貫通した

 

 

 

 

 

 

 

USJの巨大広場、そこでは平和の象徴と悪の陰謀が対立していた。V字アンテナの髪を揺らすオールマイト(平和の象徴)は振り上げた拳を下ろす。深い彫り、濃い影、オールマイトの画風が違って見える!!「どうした?来ないのかな!?」

 

そして対立する2人の影…死柄木 弔(しがらき とむら)黒霧(くろぎり)と呼ばれる2人こそが、今回の雄英襲撃のために多くのヴィランを従え連れてきた張本人たちであった!!死柄木と黒霧は強力な“個性”を所持したヴィランである!手首から取れた手を全身につけた死柄木が首を強く掻く

 

彼らの計画の真の目的は、今の世のヒーロー飽和社会を生み出しヴィランの約()()を抑制している平和の象徴“オールマイト”の抹殺が狙いであったのだ!死柄木弔はヒーローとそれを生み出すヒーロー飽和社会、そしてオールマイトを激しく憎んでいる。なぜ!?だがその理由が今語られることはない。今の読者に必要なのは理由ではなく説明である

 

襟高のスーツを纏い、黒いモヤを肉体に包み込んだ黒霧は、霧で覆ったものは生物・非生物・自他問わずに自由にワープさせることができる“個性”の持ち主である!不意打ち、死角からの攻撃、物理攻撃無効に逃走も容易な、襲撃にうってつけの“個性”といえるだろう

 

本来授業に参加していたはずのオールマイトがいないのでは抹殺も何もない。だから計画を一部変更し、救助訓練の授業に来ていたヒーロー科の生徒たちを分散、各場所に配置していたヴィランで子供たちを嬲り殺す。そうして呼び出し、オールマイトを確実に殺すためのヴィランを差し向けて平和の象徴を葬り去る。一般的教育が義務と化したこの社会で、なんとマッポーで残虐な計画であろうか!

 

「クリアとかなんとか言ってたが…出来るものならしてみろよ!!」だが全ての生徒はヴィランを撃退し、オールマイト用に薬物投与等をされ作られた改人ヴィラン“脳無”も人外めいたカラテによって空中遊泳を体験!移動中に八百万の見た黒い影は倒された脳無であったのだ

 

援護射撃でダメージを負い、疲弊していてもオールマイトは無事であり、逆に膨れ上がった正義感で睨みつける。「うぅうぉおおぉおおぉおおぉお…!!」ゲーム感覚で見学していた死柄木が恐れを抱く!広場に集まっていたヒーロー科生徒が感嘆の声を上げる。その中には緑谷出久や爆豪勝己の姿もあった

 

「さすがだ…俺たちの出る幕じゃねえみてえだな…」「緑谷!ここは退いたほうがいいーー」勝利を確信した轟 焦凍(とどろき しょうと)と同じく勝ったとみた切島 鋭児郎(きりじま えいじろう)は、今にも飛び出しそうな緑谷に引くよう声をかけ「…………なぁんてな」

 

突如大きく広がった黒霧のモヤから、上半身裸で文字通り黒い肌の筋骨隆々の何かが現れる。その口からはメキシコライオンのような歯並びの良い歯が剥き出され、しかし目は無職浮浪者の如く影がなく虚ろだ。そしてその頭部には、脳みそが何にも隠されてない状態で晒さられているのだ!コワイ!「「「!!?」」」おお…なんたることなのか!?ナムアミダブツ!……2体目の“脳無”を隠し持っていたのだ!!

 

これには第四の壁の先から読んでいる読者諸氏の皆さんにも、戦闘範囲外から眺めていた生徒たちも、直接戦っているオールマイトをも驚きを隠すことができない!!「ハハハハァッハッハッ!どうだオールマイト!!」その反応に満足いった死柄木はひとしきりに笑う

 

『今回、もしかしたら()()()()()()によって脳無がやられる可能性がある。オールマイトも弱体化しているから問題はないと思うけど……万が一のことがあっては僕も困る。全く同じ“個性”の脳無を2体用意しておいた。1体目がやられたら、2体目を出して即座に逃げなさい』死柄木の頭の中で、モニター越しに聞いた言葉が反芻される。(((逃げる?オールマイトが死ぬところが見られるのに逃げる?)))「残念だったな平和の象徴!!残機は残っているからなァ、しっかり殺してクリアするさ!」

 

周囲に絶望が伝播してゆく!多対一とはいえ最強のオールマイトに手傷を負わせた化け物の2体目。「2体目とかオールマイトでも無理だろぉ死にたくない死にたくないどうせ死ぬなら誰でもいいから違法行為して死にたかったおいら」「最低なこと口走ってるわよ峰田ちゃん」小柄な男子生徒の命乞いに対しても、カエル女子の態度は至って涼しい

 

笑いを浮かべているオールマイトも内心穏やかでは決してない。(((まさか2体目を隠していたとは!少しは動けるものの脳無とやらと打ち合えるほどの力と体力は残ってはない…どうする!?)))「どうしたヒーロー?子供達が震えてるぜ、守ってみろよ……出来るもんならな」先ほど言われたセリフを死柄木はオールマイトに言い返す。インガオホーである。が、これほど理不尽で救いのないインガオホーがあっていいのか!?ブッダは横になってイビキをかくばかりだ!

 

しかし、この理不尽をブッダ以外が見ていないわけではないのだ。「イヤーッ!」突如接近してきた影が改人の心臓を穿つべく渾身のポン・パンチを胸に放つ!「ムッ!」しかし「ショック吸収」により威力は霧散され、肉の中に拳がめり込むだけだ「なんだあいつは」「ヴィランか!?」

 

轟の冷淡な声と爆豪の爆音。続けて驚く緑谷。「あいつは!!」「分かんのか緑谷!?」切島への質問を返すよりも先に、脳無は拳を振り下ろす!マニュアル通りに反撃を行ったのだ!「イヤーッ!」だがそれを冷静に受け流しながら一時離脱!自然とオールマイトの近くに降り立つ

 

「誰だお前…」死柄木の純粋な疑問。そして緑谷、オールマイトを除く全てのその場の人間に……ニンジャである彼はオジギして答える。「ドーモ。初めまして、ヴィランスレイヤーです。オヌシらがヴィラン連合とやらを率いた者か」赤黒のニンジャ装束、殺意漲らせるアトモスフィア、彼の画風も違って見える!

 

ヴィランスレイヤーの礼儀正しいアイサツを見て多くがその行動の必要性に疑問を抱いた。だが、誰もがその行動に疑問を持ったわけではない。感心したかのように黒霧はお辞儀をする。「これはご丁寧にどうも。私の名は黒霧、横の彼は死柄木弔…確かにあなたの言う、ヴィラン連合は彼によって率いられています。私は彼の補佐、といったところ」

 

「おい、何勝手に自己紹介してんだ」死柄木がため息を吐く。するとお手上げといったように黒霧はヴィランスレイヤーの正体を簡潔に語る。「ヴィランを殺すヴィランですよ、彼は」コントじみたやり取りを終わらせて、指の隙間から漏れた死柄木の眼光がヴィランスレイヤーを射抜く

 

「なんでヴィランがヴィランを殺すんだ?殺すならヒーローだろが」死柄木は子供めいた純粋な疑問をこぼす。「他の者を憎む理由はない。他の者を殺す理由もない…だが憎きヴィランにはある!ゆえに殺す!」「訳など聞いても無駄でしょう。我々を殺すというならば、我々が彼を殺せばいいだけのこと」「それもそうか。時間もないしな…行け、脳無」

 

邪魔立てするならば殺せばいいという邪悪な思考に基づいて、簡潔な命令を脳無に下す。実行に移すまでのインターバルの間、オールマイトがヴィランスレイヤーに語りかける。「もしかして、助けてくれちゃったりするのかな?」「否、ヴィランを殺しにきた」「それでも正直助かるよ」ポツリと本心を漏らすオールマイト

 

今脳無と全力で戦えば10秒と持たずに均衡は崩れ、こちら側(ヒーロー)が不利になる。何より自分が倒れるということは、人々の平和に亀裂が入ることに等しい。そうなれば地獄絵図めいたマッポーの世になることは想像に難くなかった

 

「さて、君たちは私の相手をしてもらおうか」拳を握りながらオールマイトはそう言うが、緑谷と気づいた。それは言外に、自分では脳無と戦えないことを意味していた。だが同時にそれはヴィランスレイヤーならば、藤木戸健二ならば、脳無を倒すことができるという信頼の表れでもあったのだ!微妙な背丈の違いがあるものの並んで臨戦態勢を取る2人の姿は、緑谷にバンブー・ホースめいた幻覚を意識させた。「あっ、藤木戸少年!頼むから殺さないでおいてくれよ!」「断る」

 

そのやり取りを見て、死柄木はガリガリ首を掻き毟る…瞳に憎悪を乗せて。「捕まえるはずのヴィランと平和の象徴が共闘するとか…………虫唾が走る」黒霧とともにオールマイトに向かって死柄木が強襲すると、脳無もヴィランスレイヤーを襲い掛かる!

 

英雄教育の箱庭で、血に濡れたイクサが開始された




タイトルの意は「ヒーローの箱庭でのイクサ」

とうとう「雄英襲撃編」始めちゃったけどヴィランスレイヤー=サンの扱いマジでどうしよう。生徒にしちゃったらばれた時の世間の批評がヤバそうだし、かと言って逃したらクロスした意味ないし…うーん迷う

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