ヘタレな男とポンコツオペ子   作:人類種の天敵

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どうも、お久しぶりです。
今回は装甲固めると言うわけで、あの三兄弟?ですを


装甲さえ固めときゃ問題ない!?ー問題大有りだバカ野郎ー

鷹月大明神が育てたUNAC×6 vs.ノーマルAC×3機の試合ーー勝者はノーマルAC3機だった。

この際、存夜のオペレーターカルマが予約使用していたアリーナ席には数人の観客がいて、彼らの戦いを観察していた。

そのどれもがIS学園でも癖の強い女性操縦者ばかりだ。

そしてそのうちの3人が試合を終えてクールダウンをしようかと話をしていた存夜、フォグシャドウ、ベッツィ・ロスへとそれぞれタイマンを仕掛けた。

 

「タイマンなんぞ、慣れちまえば簡単なもんよ」

 

1人は打鉄の重装甲カスタムに、バトルライフルとハンドガンのダブルトリガーを武器にしている。

更に打鉄の脚部は通常の脚部とは違って、関節が逆になっていた。

スタイルはやはり重装甲に任せたゴリ押しのパワースタイルだろう。

因みに一年生らしい。

 

「装甲さえ固めときゃあとは問題ないって、姉貴が言ってたぜ!ナッハッハ!」

 

「フォグシャドウだ、よろしく頼む」

 

自らをシスターKと名乗る彼女は、スピードで勝るフォグシャドウの駆る『ラプター』の機動に着いて行くことができず、ミサイルやロケット、ショットガンに固められて敗北した。

 

「アイツか、妹をヤッたのは。チッ、妹め、あんなペラペラな装甲相手にヘマしやがって」

 

「ごめんよぉ、姉貴ィ。装甲は固めといたんだけどよぉ……」

 

続いて出てきたのはやはり打鉄の重装甲カスタムタイプ、しかし脚部は普通の二脚(が、無駄に重装甲)で、ライフルとガトリングガンを装備している。

妹……シスターKよりも純粋な殴り合いを得意とするようだ。

 

「姉貴と妹の装甲の違いを教えてやるよっ!ウッヘッヘ!」

 

「ターゲット補足、確実に潰す」

 

シスターKの姉、シスターTの打鉄カスタムとベッツィ・ロスのフレンチ75がぶつかり合う試合になるかと思われたが、ベッツィのガチガチに固めたタンク型AC相手にライフルとガトリングガンでは火力が足りず、逆にベッツィのレーザーライフルはシスターTに効果抜群で、しかも猪突猛進を続けるシスターTに対してベッツィは冷静に距離を取りつつ徐々に削って行く戦法でこちらもフォグシャドウと同じくノーダメパーフェクト勝利となった。

どうやら2年生みたいだ。

 

「アイツら中途半端だっからなぁ」

 

溜息を吐きつつそうぼやくのは3人の中のリーダー格もとい三姉妹の長女。

彼女は不甲斐ない妹たちの戦い方に肩を落として落胆していた。

 

「こっちが殺られる前に相手を殺りゃあいい。……何で出来んかねぇそれがぁっ!?」

 

「「す、すまねぇ姉貴ィ!!」」

 

「うおっ、タンク……しかも有澤モデルだし」

 

長女、シスターJの打鉄は妹2人のとは一線を画したものだった。

なんと、脚部がタンク型のそれだったわけだ。

差にヒートキャノンとキャノンと言う高火力兵器を積み込ませたその攻撃力は正しく妹2人とは違い、自ら言ったように倒される前に相手を倒すことが可能であろう。

あと姉妹の長女なだけに三年生だとか。

 

「オペレーター。霧積じゃなくてナイトフォーゲルで戦っていい?アレはちょっとキツイかも」

 

『分かりました……ちゃんと勝って下さいね?』

 

上半身打鉄に下半身が丸ごとタンクのシスターJが操るタンク型打鉄にさしものオペレーターも激戦になるだろうと予感した。

 

「ホラホラホラァ!!?背中がガラ空きだじぇぇぇ!!?ノロマすぎだろ亀かよ!オイオイ!オイオイオイオイオイオイ!」

 

「ぐぁぁぁ!!?そんなバカなぁぁぁ!!」

 

フロート脚部モードを活かして的確に背後に滑りまくるナイトフォーゲルの機動力にタンク型の旋回性能では分が悪く、

 

後ろに回る→二脚モードチェンジ→思いっきり蹴りまくる……の繰り返しでシスターJは存夜に完膚なきまでに叩きのめされた。

こちらも、他2人と一緒でノーダメージパーフェクト勝ちであった。

 

「「「覚えてろ〜!」」」

 

「何がしたかったんだ?あいつらは」

 

「さあ、分かりませんね」

 

「そうだな」

 

軽く蹴散らしたーーオリンピア姉妹はチンピラ紛いの捨て台詞を吐いてアリーナから逃げ出して行った。

その後はクールダウンを終えて試験結果もオペレーターに提出してその日は解散になった。

 

 

 

そんで次の日

 

「アンタかい、うちの馬鹿どもが世話になったのは。まあ、あんなんでも身内だからね。落とし前はつけさせて貰おうか」

 

「………」

 

なぜこうなったぁぁぁぁぁ!!?

目の前にはIS学園の教員、名前はマザーQ。

巫山戯た名前してやがるがその道ではかなりの有名人のようだ。

 

オペレーターの集めた情報によると、現役時代では防御性能の違いISを更に防御特化にカスタムしてモンドグロッソで大暴れしたらしいが織斑先生に斬られてちゃんちゃんだったとか。

その後はガチガチの装甲任せで削られる前に削りきる戦法を使って勝ちまくり、良い結婚相手と巡り合って3人の娘を設けてIS学園の教員に就職。

 

……何を間違ったか3人の娘は全員装甲愛に目覚め、装甲さえ固めときゃモーマンタイ!と元気に育っているようだ。

 

「別に3人で来ても良いんだけど、どうやらアンタは相当自分に自信があるみたいだねぇ」

 

「はっ?え、いやそんな別に自信とかないんですけど?え?ナニコレ?タイマン強制すか?」

 

ベティと霧影の3人でボコボコのリンチにしようかと思っていたら何故かタイマン戦という話になっていた。

しかもベティと霧影は既にアリーナの観客席でこちらを眺めて……って鷹月大明神と常盤先輩とかもいるし。

 

「さぁ行くよ!」

 

「くっそがぁっ!」

 

 

 

IS学園の教員マザーQとの戦闘が始まった。

 

正直俺はISよりも純戦闘用に開発されたノーマルACの性能に頼りっぱなしだったこともあったと思うし他の生徒よりも実戦経験はないと思う。

しかし、それを差し引いてもノーマルACの戦闘力はISのそれを凌駕している。

だから経験豊富なマザーQが相手でも少し苦戦するくらいで実際には俺が勝つだろうと確信していた。

 

だがーーーー

 

「ほらほら、どうしたんだい!?」

 

『くっ、こ、このっ!?』

 

『AC、敵マザーQの動きに惑わされないで下さい!』

 

現在、俺はマザーQ相手に劣勢を強いられていた。

マザーQは巧みな機動で上空や地上を飛び回り、スナイパーライフルによる正確無比な射撃で的確にナイトフォーゲルの頭部をヘッドショットしてくる。

 

『なんて厄介極まりない奴なんだ』

 

『現役を退いたとはいえ代表に選ばれるほどの実力者です。油断はしないで下さい』

 

射撃精度はオルコットのそれを軽く上回る。

なにせ回避行動に移りながらのヘッドショットを連発してくるんだから。

 

『チッ、インパクトミサイルだ喰らえオラァ!』

 

ミサイルを撃ちつつ左手のKARASAWAをチャージ、右手に持った051ANNRを撃ちまくる。

 

「ははは!痛くないねぇそんなのはぁっ!」

 

クソが、効果が薄い!

つーかオペレーター!!お前から貰ったデータじゃ鈍重な機動を厚い装甲で補っているてあっけど実際は逆関節の脚部で飛び跳ねまくってんじゃねーか!

 

『伊達にモンドグロッソで暴れてはいねえかっ、このババアッ!』

 

フロート脚部にモードチェンジしてアリーナを高速で滑る。

肩部武器のミサイルを撃ちまくりつつ今回背中に乗せた右背中にグレネードキャノンも構える。

狙いはマザーQが地面に着地する瞬間、地面ごと爆風ダメージで抉ってやんよおおおお。

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラァ!!』

 

左背中に今回チョイスしたのは高速ミサイルだ。

旋回性能や追尾性能が劣る代わりに加速度が高いという癖の強いミサイルで、重装甲で機動力の無いマザーQにはバシバシ当たるだろう。

 

「ふん、こんなもん痛かないよ!」

 

『痩せ我慢すんなババア!』

 

爆風を物ともしていないマザーQだが、爆風で発生した黒煙のせいで視界が遮られてさっきまでの正確無比な狙撃は鳴りを潜めている。

 

「ちぃ!少しはやるようだねぇ!」

 

今が好機、避けられると分かりつつもグレネードキャノンをぶちかます。

 

「はっは!こんなものが当たるわけないねぇ」

 

当たるわけがない、それはただの囮なんだから。

 

本命のKARASAWAフルチャージを避けた方向へぶっ放す。

当然青い閃光は真っ直ぐにマザーQへと伸びていき、その装甲を埋め尽くした。

 

『勝った!』

 

「ぐ!ぐぐぅう!!まだだよぉっ!今まで培って来た技術と装甲仲間の為にも負けてらんないねぇっ!」

 

固い!マジで固いなこのおばさん!フルチャージとは言えないが十分にISを削り切る一撃だったと思ったのに……。

……いや、この場合はISが硬すぎるって言った方が良いのか?つーか打鉄だよなこれ!?あんまり固いんで本物かどうか分かんねえよ!

 

 

『あの打鉄はマザーQ専用のカスタムメイド機ですからね。レーザーや実弾に対してかなりの防御性能を誇っています』

 

んなそりゃ、装甲を愛すにもほどがあるだろ。

仕方ない、ならここは。

 

『右腕部パージ』

 

ーーーここはEMP効果のあるKARASAWAで頭を狙ってIS制御に対して貫通ダメージを狙う、更に右腕に持っていた051ANNRを棄ててMP7F1(特殊EMP弾仕様)をハンガーから取り出し、グリップを握る。

システムが正常に銃本体のセーフティを外し、HUD状にターゲットをロックオン、レーザーポインターも照射される。

 

「ほう?なんだかやばそうだねぇ」

 

『ケッ、今更気付いてもおせーよ!』

 

電磁パルスによってシステム障害を引き起こす凶悪な弾丸がマザーQへと垂れ流される。

マザーQは直感で特殊EMP弾がヤバイと拡散して回避行動をとるが、そこにはーー、

 

「っ、榴弾!」

 

『ミサイルもオマケだ!』

 

ドドン、ドン、ドンとミサイルや榴弾がマザーQを包み込んで爆発する。

すかさずMP7F1の弾丸を煙の中へ撃ち込んでいくとスラスターに当たったのかバチバチと音を鳴らしてマザーQがアリーナ上空から墜落した。

 

「ぐ、ァ……」

 

「「「ま、ママァーーー!!」」」

 

三馬鹿姉妹の悲鳴に近い叫びが聞こえるがんなこたぁ関係ねえ。

チャージを終えたKARASAWAの銃口を立ち上がろうとするマザーQへと容赦無く撃ち込んだ。

 

ビーーー!!!

 

 

 

 

「いやぁ、アンタやるじゃないか!それにしてもこのACってのも良い機体だねぇ。まさかアタシのカスタム機をコテンパンにヤっちゃうなんてさぁっ!!」

 

試合が終わった後、やけに大笑いしたおば…妙齢の女性に絡まれた。

まあ、分かっちゃいたがさっきまで戦っていた教員のマザーQだ。

 

「ま、今回は悪かったね!うちのバカ娘共が吹っかけたとはいえ、こいつらはアタシ達の装甲愛クラブの幹部でねぇ。それが一介の男に負けたとあっちゃあ私も重い腰を上げざる得なかったのさ」

 

「え、ま、ママァ。アイツを挑発して実力を試せって言ったのはママァでしょお?」

 

「シッ、アンタらちょっと黙りな」

 

「………」

 

「AC、学園上層部とマザーQの交信記録を入手しましたが、聞きます?」

 

「いや、良い」

 

どうせ常盤先輩が作ったACの技術力云々だとかそんかもんだろ?んなもん聞きたかねえよ。

 

「そうですか?…ふふふ。これで学園に対して弱みをまた1つ握りましたね」

 

ニヤリ、と笑うカルマ、マジ怖ぇぇ。

 

「……それにしても、ACの戦闘に対する成長速度はやはり異常ですね。まさか、あのマザーQを仕留めるなんて」

 

カルマが端末を叩きながらブツブツ呟いている。

何だろうか、また感想文提出とかじゃないだろうな。

 

「お金も……ブツブツ。弾薬もロザリーさんに頼まなきゃ……ブツブツ。そういえば先日レオンと結婚すると言ってましたし、それも含めて……ブツブツ。全く、お父さんもレオンが居なくなったらどうするのかな」

 

ああ、金か……。

一応俺には常盤先輩からデータテスターとしての報酬を貰っている。

勿論中身は物凄い大金だ、それを俺が普段から持ってたら毎日豪遊しちまうかそれを狙った何者かに盗られるかだろう。

なので報酬は全額カルマに渡してそこから月々のお小遣いを貰っている。

 

なお、消費した弾薬は常盤先輩持ちなのだが、それの調達まで常盤先輩の手を煩わらせるのはいかんだろうと武器の弾薬や修理・新調などは全てカルマが執り行っている。

……勿論そこら辺含めたマネージメント料はちゃんとカルマに支払ってるからね?

 

「存夜、アンタと戦ってみてACとやらの強さも分かったよ。それでこれはお願いなんだけどさぁ。アンタの方から雨燕の娘っ子に言葉添え頼まれてくんないかねぇ」

 

「え……い、う、あ、えぁ、いや、ちょっと俺の口からはなんとも……まあ、とりあえず言うだけは言いますけど……」

 

あっぶねこのババア、俺を通して常盤先輩からAC巻き上げようとしてねえか?

確かにノーマルACはISよりも地上メインになるだろうけど操縦さえ出来れば即戦力になる程汎用性高いからな。

 

「……あぁ、頼んだよ」

 

一応、辞めといた方がいいっすよ!って感じで常盤先輩に報告しとこ。

 

「AC、凄い戦いでしたね」

 

「元代表相手に勝つとは、実力を隠していたか?」

 

ベティと霧影と話しながら常盤先輩の待つラボまで歩く。

カルマは後ろで端末を叩いてる。

どうやらデータ取りの他にも色々な仕事が溜まってるらしい。

前にこっそり見たけど『ビーハイヴ』だとか『ゾディアック』だとか書いてて意味分からんからそれ以降は一切見てない。

 

内容的に面倒な気がしたからな!

 

そんなこんなで俺たちは常盤先輩のラボへと戻って行った。


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