ヘタレな男とポンコツオペ子   作:人類種の天敵

18 / 24
爆ぜる鴉

 

ボガンボガンボガボガボガボガボガボガーン

 

「アギャァァァァァァァァ!!!?」

 

ボガンボガンボガボガボガボガボガボガーン

 

『AP30ーー50、70%減少』

 

『ちょ、まっ……!?』

 

ボガンボガンボガボガボガボガボガボガーン

 

『90ーーー%ーーーーー』

 

『』

 

ボガンボガンボガボガボガボガボガボガーン

 

『 Test mode end 』

 

 

 

 

「カテッコネーーーーーーーーー!!!」

 

絶叫と共にベットにダイヴする。

……………しまった、そういえば全身を痛めていた、無理だ、もう既に出遅……れェ!?

 

「ぁ痛っ………」

 

「クスクス。何してるんだ、アリーヤは」

 

「……………この世の理不尽さを全身で表現?っすかね………って…なんなんすかあの女……」

 

カラミティメイカー……実に恐ろしかった。

アリエネー反応速度と状況判断、それについていく身体能力を持つ齋藤さんよりもアリエネー戦い方でマッハで蜂の巣にされた。

 

まず第一に、あの女を探している間から状況は始まっていて、カラミティメイカーを見つけた所から、既に俺がマッハで蜂の巣にされる舞台は出来上がっていた。

 

………この時点で既にアリエネー。

 

あの女、カラミティメイカーとやらは俺を見つけるなりすぐに逃走、それに肩透かしを覚えた俺はとりあえず追撃………。

………今思っても、このとりあえず追撃が悪かった。

 

 

 

 

♡マッハで蜂の巣にされる5秒前♡

 

「なんだ?あの女……逃げやがった!ハッハッハッハァ、フロート脚部を舐めるなぁ」

 

『ピピピッーーセンサー探知 起爆』

 

「はてな?(´・Д・)」」

 

ドガァーーーン

 

「ぐぼぁぁぁぁ!!?………は、はへぇ………?」

 

『ピピピッーー付近の地雷起爆を確認』

 

「………は、はいぃ?((((;゚Д゚)))))))」

 

『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』

『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』

『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』

『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』

『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』

『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』

『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』

『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』

『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』

『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』『 起爆 』

 

「………やべっ、撤退すryΣ(゚д゚lll)」

 

ボガンボガンボガボガボガボガボガボガーン

ボガンボガンボガボガボガボガボガボガーン

ボガンボガンボガボガボガボガボガボガーン

ボガンボガンボガボガボガボガボガボガーン

ボガンボガンボガボガボガボガボガボガーン

 

 

 

 

「………チ〜ン♪」

 

「………いやいや先輩……チ〜ン♪は流石にないっすわ…ほんと、マジで……」

 

あれは本当軽くショッキングだったわ。

しかもHUDのセンサーがカラミティメイカーを捉えたけど、俺がトラップにはまってボコボコにされてるとこを見て、お腹抱えて笑ってたし…。

データの癖に生意気な………てか、なんと器用な…いや、データはあくまでも元になる生徒を反映してはわけだ………つまり、元々の人物がああいう性格?

 

「まあ、上には上がいるのさ、アリーヤ」

 

「それ……上がいっぱいで上限が見えないんすけど?」

 

「躊躇していても始まらないさ。次に行こう」

 

「……うーす」

 

カタカタカタカタカタカタ……。

ナイトフォーゲルのHUDにまた新しい武装がカテゴリーに収まる。

レーザーブレード、マシンガン、核ミサイル、スナイパーキャノン

核ミサイルかぁ………俺も離れて使わないと巻き込まれそうだなぁ………。

 

「………………か………核ミサイルゥゥゥ!!?あんたバカか!?核ミサイルとか正気じゃねぇわ!?」

 

「……そうかい?まあ、どうせシュミレーションシステムでの戦闘だから気楽にやれば良いさ」

 

「いやいやいや、そういうわけじゃなくてですよ………ん?あ、これとか良さそうじゃないっすかね!?これ使いましょうよこれこれ!」

 

HUD上に出てきた武装一覧の中、セントリーガンというカテゴリーに目を留める。

種類はまだガトリングガンのみらしいが、子機を射出すれば後はほっといても機能してくれるのだとか。

 

「ん、じゃあそれでいこうか。次の敵は……そうだね、ボクで行こう」

 

「へ?先輩のデータも……って、先輩?」

 

「クスクス。ボクだってIS学園に通ってるんだ。ISの扱いくらい心得てるものさ」

 

カタカタカタとキーボードが弾かれ、HUDに『アマツバメ』というISにしては随分と小振りに思えるISを纏ったデータ上の常盤が現れる。

 

「これが、先輩?……ISにしては、小さい」

 

それもそのはず、『アマツバメ』の装甲は無いに等しく、腕を覆う羽、背中に垂れたV字型の翼、鎖骨と腰部をぐるりと覆う緑色の羽毛以外はスーツのみで装甲は一切排除されている。

いや、唯一の装甲というべきは太ももから足の先までを覆うブーツ形状の脚だろうか?

なんにしても防御、装甲、という概念を排斥した超高速機動戦特化のISだろう。

当たらなければ、どうと言うことはない………ということか?それにしても紙装甲すぎるとは思うが。

 

『クスクス、そんなに見つめないでくれるかい?これでもボクも1人の女性だ、羞恥心だってあるつもりさ。ああ、先に言っておくとSE消費効率と高速で移動するためにギリギリまで軽減したISだから思いの外、肌を露出する仕様でね。アリーヤには目に毒かい?』

 

「いや、その……………そ、そっすね……いや!……今のうちに目に焼き付けときます」

 

それにしてもISスーツというのは非常にアレだ、男を殺しにかかってると言っても過言じゃねえと俺は断言する。

なんでスーツって名称なのに外見がスク水なんだよ!?そんなん見てるだけで俺の息子が軽く死ねるわ!シュミレーション空間だからそうでもないけど本体の股間が勃ち上がるぞ!

 

『目に焼き付ける……ね。さてさて、ノーマルACにボクが捉えられるかどうか……』

 

「はい?なんか言いましーーー」

 

瞬間、目の前にいたはずのISが消えた。

ロックしていたはずの照準が外れ、HUDが『 敵ターゲット ロスト 』という警告文が現れる。

 

「ぐ、おあっぁぁあっ!?」

 

続いて訪れる衝撃、衝撃、衝撃。

立て続けに喰らう不意打ちに堪らずノーマルACが倒される。

地面に手を付いて後ろを振り返るがそこには誰もいなかった。

 

「………………!!」

 

右手の051ANNRを構えてセンサーとホロサイトスコープを空へ向けるがどこにも常盤先輩の『アマツバメ』は見当たらない。

 

「ぐおっ!?痛ぁっ!!?」

 

背中に衝撃を喰らった?

 

いや、脚部を斬られた?

 

一体なぜ?どうやって?

 

「あぁぉあああ!!クソがっ!!何処だよ!?」

 

ぐるりと周囲を見渡すが『アマツバメ』を駆る常盤先輩の姿は見えない。

 

『 敵の攻撃 接近』

 

「あ…?……痛ぁぁぁああ!!?」

 

突如風を纏った礫を機体全体に打ち付けられる。

痛みを堪えて立ち上がるが次の瞬間には背中から地面に転がっている。

AP……………あと………1030……………あ、これはもう無理ーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

『 test mode end 』

 

「………………」

 

「お疲れ様、アリーヤ」

 

「…………寝ます」

 

「ああ、お休み」

 

ナイトフォーゲルの装甲をパージしてベットにうつ伏せになる。

そういえばナイトフォーゲルの装甲って、パージしたら消えるけど、どこに行くんだろうか。

G-SHOCKの中?いや、違う、G-SHOCKはあくまでナイトフォーゲルを呼び出す装置だから格納している……ガレージは別にあるのか?

 

「ボクを捉えられたかい?」

 

ナイトフォーゲルの行方を考えている思考に先輩の声。

シュミレーションで先輩を捉えられたかって?いや全然?姿をちっとも見ることもなく敗北。

マッハで蜂の巣もいいとこだろ。

 

「セントリーガン、使えませんでしたけど?」

 

「うーん、データ上のボクは思いの外、過激らしい。クスクス」

 

「………疾いっすね、先輩」

 

「うん、速く疾くを先鋭化させてるから、当然のことさ」

 

「ナイトフォーゲルじゃ捉えられない。ISのハイパーセンサーはどうなんすか?」

 

「お陰様で無敗記録更新中でね」

 

「………それはまた、おめでとうごさいます?」

 

「ありがとうと、言っておくよ」

 

はぁ、とため息をついて仰向けになる。

体の節々が痛い、自尊心もズタボロだ。

 

「………ついでで聞きたいんですけど。先輩なら、世界にどれくらい通用しますか」

 

「ふむ。上位に割り込めると自負しているよ」

 

「……そっすか」

 

コーヒカップ片手にパソコンのキーボードを叩く先輩。

その時、織斑からメールが入った。

 

要件は『修羅場なんだが』、俺はそっとゴミ箱に突っ込んだ。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。