少年と少女はめぐりあう   作:メガネコ

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久々にピアノで俺ガイルのOPを耳コピして弾けてご満悦なメガネコです。
でも、久々すぎて、腕が筋肉痛になるかもと恐怖しております…w

今回は、陽乃さんの心情メインです。



ご指摘ご感想していただけると幸いです。



雪ノ下陽乃は、決意する

陽乃side

 

小町ちゃんからのメールに返信した翌日。

台風が明日くると予報されている。

台風が周りの雲を巻き込み北上してくるため、今日も朝から大雨だ。

 

 

朝の朝食を手早くとり食後のコーヒーを飲む。

 

いつもの決まりきった動作。

 

その中で私は一つの考え事をしていた。

 

 

ありていに言えば、どちらを応援するかの話だ。

めぐりと雪乃ちゃんのどちらかを。

 

 

彼に選ばれるのは、一人だけ。

 

 

どちらも私にとっては妹のようなものだ。

やはり長い間小さい頃から一緒にいた雪乃ちゃんを応援したいという気持ちがある。

ただ私はあまりに変化のないあの子に少しだけいらだちを覚えてしまう。

 

 

「悩むなぁ~…。」

 

 

 

雪乃ちゃんを応援する気持ちもあるにはある。

だが………。

 

 

 

雪乃ちゃんでは、答えが出なかった。

なら、めぐりはどうだろう?

 

 

生徒会に入ってきたときも、いま時には珍しい人に流されず芯が強いこと。

 

また周囲の目を気にせず人を正当に評価できること、この二つもつあの子を気に入った。

 

私のことを尊敬はするものの、心酔はしない。

 

助言を求めてくることはあっても、力を求めてきたことはない。

 

 

 

私に好意を寄せるもの。

私の周りにいればいいことがあるからと利益のために近寄るもの。

 

今まで私と知り合ってきた中でそんな感じの人は初めてだった。

 

だからこそ比企谷君のことで力を貸してくれと言われた時、私はうれしかった。

言うなれば、今までわがままを言わなかった子が初めて親を頼ってきた。

そういううれしさがあった。

 

 

 

自分のお気に入りである子が変わろうとしていること応援したい。

でも実の妹の力にもなりたい。

 

 

だから私は考えた。

雪乃ちゃんが彼に対して抱いている『気持ち』を素直に言ってくれたら、私は雪乃ちゃんを応援しよう。

それは、あの子が変わろうとしているという証なのだから。

姉として応援したい。

ただ変わらず自分の感情すらはっきり口に出来ないなら………。

 

 

 

私はアドレスから自分の妹を探し当て、電話をする。

 

2コール目で出た。

 

 

「はろはろ~、雪乃ちゃん、元気~?」

 

 

「一体、朝に何の用かしら?姉さん」

不機嫌そうな声でそういってくる。

 

 

「最近比企谷君になにかあったかなって?」

 

 

「さあ……陰口を言われているというのは耳に入っているけれど…。

まだ、文実の件から日がたっていないから、何とも言えないという感じね。」

 

 

 

この様子だと、比企谷君にあった出来事をすべて知っているわけじゃないらしい…。

彼のことだから迷惑をかけたくないとか考えて隠してきたんだろう。

 

このことは、はなから予想できていたし、本題に入ろう。

 

私はさっきまでのつくった明るい声をやめ、『普段』の声を出す。

 

 

「雪乃ちゃんは、彼の事どう思ってるの?」

 

 

 

「私は、……………どうとも思っていないわ。彼は、ただの知人よ。」

少しのためらいの後そうはっきりと答えてきた。

 

 

 

はぁ、胸のうちでため息がもれた。

自分の中に生まれた小さな失望がバレないように、質問を続けた。

 

 

「もし彼が今大変な状況だとして、雪乃ちゃんは彼を自分から助ける?」

 

 

 

「……………彼が私に助けを求めてくるならば、助けるわ。」

その質問に戸惑いながらも彼女はしっかりと答える。

 

 

 

 

これではっきりした。

 

 

雪ノ下雪乃は、変わるつもりはない。

 

 

 

なら私がとるのは……………。

 

 

あきれたような声で

「そっか、雪乃ちゃんは変わらないんだね。」

 

 

 

しばらくの沈黙の後、私はこう言った。

 

 

 

「いつまで、そのままなのかな…雪乃ちゃんは。」

 

 

 

 

 

「姉さんには、関係ないわ………。」

いらだったように雪乃ちゃんが返事をする。

 

 

 

 

「そ、じゃあね、雪乃ちゃん。」

 

 

通話を終える。

 

 

「はぁ、結局変わらなかったか…。」

予想してはいたが…。

 

思わずこらえていたため息が漏れ出てしまった。

 

 

最後のチャンスだったんだよ?雪乃ちゃん。

 

 

 

そう胸のうちでつぶやいた。

 

 

 

私は、めぐりの味方をしよう。

 

一つの決意ができた。

 

・・

・・・

・・・・

・・・・・

 

彼は、まだ疑心暗鬼に陥っていることは過去の事、そして、今現在起こっていることから予想できる。

このままでは彼はめぐりを心の底から頼ることはないだろう。

 

 

人は勝手に救われるだけ、そういう人もいるそうだが、私はそう思わない。

 

 

助けてほしいという意思がない限り、人は救われることはない。

 

ならどうするか?

 

気づかせるしか方法はない。

 

目には目を、歯には歯を、本音には本音を

 

 

「正面切ってぶつかりますか。」

 

 

そうつぶやき、私はもう一度電話を取った。

 

 

「はろはろ~、比企谷君元気~?」

いつも通りの陽気な声で。

 

 

 

「はぁ、なんで俺なんかに電話を?雪ノ下さん。」

不思議そうに彼が私に聞いてくる。

 

 

 

「いやぁ、悩める少年を助けるのは、お姉さんとして当然のことだし~」

 

 

 

「そんな建前いいですから。早く、本題を言ってくれません?」

いつもより、いらだっているようだ。

 

さてと……早速本題に移りますかね。

 

声をまじめなものに変える。

 

 

「君は今面倒な状況にいるよね?」

 

 

「まあ、そうですね…。」

 

 

「あの君が、泣き叫ぶくらいだからね~。」

 

 

「なんで、それを?」

 

 

「なんでも、知ってるの、お気に入りの子たちのことは。」

 

 

「不気味っすよ。陽乃さん」

茶化すように彼が言ってくる。

 

 

「まあなんて言おうが構わないけれど。

君は誰かに助けを求めないの?

例えば君の事を助けようとしている『めぐり』とか」

 

 

電話越しで息を呑むのが聞こえた。

 

やっぱり、めぐりのことも信用しきれてなかったか…。

 

 

「君は、おびえてるよね?過去の事、そして今起こっていること、嫌なことばかりだしね。

 

人のことを頼るのがこわいのは、わかる。

こんなことばかりあって全くおびえない人間はいない。」

 

そこでゆっくりと息を吐く。

 

「だけど昔の君と今の君は違うよ。

今は君のそばに立ち君の事を思っている人は、それなりにいるんだよ?

まあ私が言ったところで、君は聞かないと思うけど。

少なくとも、めぐりは君の事を救いたいと思い真剣に考えてる。」

 

一気に思っていることを伝える。

 

 

「そんなの……本人じゃないあなたに何が分かるんですか?」

不安そうにそう訴えてくる。

 

君ならそういうと思ったよ。

なんでも理屈に当てはめようとする君なら。

でも、これで君もめぐりのことを信用しようとするはず。

 

 

「分かるよ。あの子私の事尊敬はしてても頼ってきたこと一度もないんだもん。

そんな子が八幡君のことを助けたいから力を貸せって言ってきたんだよ?

だからこそ、めぐりの気持ちは『本物』だと思う。君の嫌いな欺瞞や上辺だけの気持ちではなく。」

 

彼の呼吸する音だけが、聞こえてくる。

さてと、後はめぐりに任せよう。

 

「まあ、めぐりが起きて来たら聞いてみるといいよ。

そうすれば分かるし~。

あ、後、小町ちゃんには私の家にいるって言ってるから、そこのところよろしくね~♪」

 

 

彼との通話を終え、一息つく。

 

 

だが、ゆっくりしてる暇はない。

 

 

まだ私のお気に入りに手を出しやがった奴らに何もしていないのだから。

私は続けて電話をする。

 

 

総武高校の校長に。

人の大事なものに傷をつけたのだ。

そんな輩に、かける慈悲を私は持ち合わせていない。

 

「さて、どうしようかなぁ~♪」

今日一番の笑みを私は浮かべているだろう。

 

 

 

八幡side

 

 

状況をもう一度考えてみよう。

 

告白された。

本音言い合った。

キスされた。

どうしよう?←今ここ

 

 

 

一つ分かったことは、めぐりさんは、信用してもいいということ。

あそこまでされて、信用したいと思わない人は、いないだろう。

 

そんな中俺はまためぐりさんにおかゆを食べさせている。

 

なんだろう、さっきのことがあったせいか、意識してしまう。

桜色の柔らかそうな唇が開き、レンゲを迎え入れる。

おかゆを咀嚼し、白くて華奢なのどが上下に動く。

普通の動きなのに艶めかしさを感じる。

 

あの柔らかそうなのが自分の頬に触れていたのかと思うと、自然と顔が熱くなる。

 

 

それなのに、さすが年上というべきか、慣れているのだろうか。

あんなことをしたのに、動揺がいっさい見られない。

 

めぐりさんがおかゆを咀嚼してるのを待つ間、無意識に頬を触ってしまった。

それを見ためぐりさんは、顔を赤くしている。

訂正、やはり慣れているのではなかった。

 

 

頼りがいがあるのに、お茶目な一面がある。

その差にくすっと笑ってしまった。

 

「あ、今ちょっと小バカにしたでしょ!」

そう言い頬を膨らませる彼女は幼い子供のようだった。

思わず頭をなでると、すねたようにそっぽを向く。

 

 

しばらくそうしていると、顔を赤くしながらめぐり先輩が一つ頼んできた。

 

「私、汗かいてるんだよね。」

 

風邪をひいているし、熱も高い。汗をかくのも当然だ。

俺は無言でうなずく。

 

「熱も高いし、お風呂に入ったら倒れてるなんてことになっても危ないじゃない?」

 

確かに、熱が高い時に風呂に入るのは、やめた方がいい。

ソースは俺。

実際に風呂場で倒れたことがある。

小町がいなかったら、やばかったはずだ。

 

「まあ、そうですよね。」

 

「だけど、汗かいて気持ち悪いし、だから、体拭くの手伝ってくれない?」

そう言って先輩はいじわるっ子のように微笑んだ。

 

「ふぇ!?」

俺の思考が機能を停止した瞬間だった。

 

 

 

めぐりside

 

あの告白をした後、私はお腹も減っていたし、彼にもう一度おかゆを食べさせてもらっていた。

なるべく、顔が赤くならないようにさっきまでのことを意識しないようにした。

年上なんだし、これくらいで動揺していたら子供っぽいと馬鹿にされるかもしれない。

 

 

そう思い平静を装っていたけれど、彼が頬を触った瞬間嫌でも、意識してしまった。

顔が熱くなる。

そんな私を見て、彼は笑っていた。

 

なんとなく悔しくて、

「あ、今ちょっと小バカにしたでしょ!」

少し怒ったように声を出す。

そうすると、彼は優しく子供をあやすように、頭をなでてくれた。

 

私の方が、年上なのに……。

照れているのは、私の方が多い気がする…。

 

彼が、照れてる顔も見たい…。

こっちばかり見られているのは、不公平だ。

そう思った私は大胆なことを提案してしまう。

 

「私、汗かいてるんだよね。」

 

彼は無言でうなずく。

私はそのまま言葉をつなげる。

 

「熱も高いし、お風呂に入ったら倒れてるなんてことになっても危ないじゃない?」

 

「まあ、そうですよね。」

 

なるべく平静を装っていう。

「だけど、汗かいて気持ち悪いし、だから、体拭くの手伝ってくれない?」

そう言いながら、微笑んだ。

 

「ふぇ!?」

 

彼の変な声を聴いたのは、昨日ぶりだ。

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
陽乃さんの心情ってこれでいいのかと疑問になりながら作りました。
難しい……。


話は変わりますが、陽乃さんって、いろんな作品で魔王のように扱われることが多いですが、絶対素直になったら可愛いと思いません??

最後まで読んでいただきありがとうございました(^o^)丿

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