前回より、文章も少なく、あまり状況は進んでいませんが、八幡に少しづつ変化が見られます。
ご指摘、ご感想があればしていただけると幸いです。
めぐりside
や、やってしまった…。
なで続けてほしいと思ってたけど、まさか口に出してしまうとは。
年上のお姉さんぶってたのに…これじゃあ、どっちが年上かわかんないよ…。
恥ずかしさのあまり顔から火が出そうなくらい熱い。
どうしよう…この空気。
なんだかふんわりとした雰囲気が漂っている。
この後相談にのるつもりだったのに。
一人頭の中でとまどっていると…。
そんな中彼が私の頭をゆっくりとなでてくれた。
優しくなでながら言葉をつないでいく。
「今日は、その…ありがとうございました。
嫌なことがあって、自分でもおかしいくらい取り乱してしまって…。
城廻先輩がいなかったら、俺今頃どうなってたか…。」
そう言いながら、彼は泣き出しそうな顔で笑う。
その顔を見てこのままだと彼はどこかに消えてしまうのではないか?
そう思わせる雰囲気をまとわせていた。
私は彼を抱きしめる。
消えてしまわないように強く。
「何があったのか話してくれない?私は比企谷君の力になりたいの。」
そう彼の耳元でつぶやく。
すると彼が「一つ聞いてもらってもいいですか?」尋ねてきた。
私は静かにうなずいた。
・
・・
・・・
・・・・
・・・・・
話で聞いただけでも、ひどいものだった。
そのことを話しているとき彼の指先は震えていた。
実際に体験している比企谷君の立場になると……
これは、もうれっきとした『いじめ』である。
自転車の件に関しては器物損壊などの犯罪ごとだ。
「そんなことがあったんだね…。話すのもつらかったよね…。
話してくれてありがとう。」
そう言いながら彼の頭を自分の胸に当てそのまま抱きしめる。
彼の体の震えが止まるまで、彼を抱きしめていた。
震えもおさまったところで、彼に入浴するように伝えた。
彼にコンビニで買ってきた下着を渡すと、
「何から何まで、本当にすみ「そういう時は、謝るより感謝してくれるほうがうれしいんだよ?」
謝る彼の言葉を遮りながら私はそういった。
彼は困ったように頭をかきながら
「いろいろありがとうございます。城廻先輩。」
顔もうっすら赤くなっていて、照れているだろうか?
私は何となくいじわるしてみたくなり
「城廻先輩じゃなくて、めぐりさんでしょ?」
とからかうと、
顔をそらし耳まで真っ赤にしながら
「感謝してます。めぐりさん。」と言ってくれた。
からかってたのは、こっちなのに私のほうが顔赤くなってるよ…。
彼がお風呂に入っている間に、客間に彼の布団をひく。
ほんとは傍で寝ていたほうがいいのかもしれないけれど、さすがに私も彼も年頃の男女なので、それはまずいと思い別々の部屋にした。
正直彼と同じ部屋だと私のほうが緊張して寝られないかもしれないし…。
布団をひきおわり、ふと彼に替えの下着は渡したけれど、彼に替えのパジャマを渡すのを忘れていたことに気付く。
脱いだら洗濯機に入れてと伝えてあるから、出て着るものがない状態だ。
彼がお風呂に入ってから十五分ほど、今なら替えの服を持っていけば間に合うはず。
急いで替えのパジャマを用意し、脱衣所にむかう。
「ごめん。替えのパジャマここにおいt……。」
ちょうどお風呂から出てきたところなのか、髪がまだ濡れている。
濡れた髪をかき上げオールバックにしているせいか、普段のだらけている感じせず、ワイルドな感じが出ている。
体を拭くときにも見た、引き締まっている筋肉質の体。
思わず目がひきつけられてしまった。
幸いにも、下半身にはバスタオルを巻きつけていたので、いろいろと隠れて見えていない。
「し、失礼しました…。」
そう言って、慌てて脱衣所から出る。
また、やっちゃった……。
ソファのクッションを抱きしめながら座る。
いつもはこんな事ないんだけどな…。
というか、比企谷君ほんとに運動とかしてないのかな?
結構引き締まってるのに。
男の子なら当たり前なのかな?
さっき見た光景がありありと思い浮かんでくる。
顔がまた熱くなる。
今日だけで何回こんなことになるんだろう?
「でもオールバックにした比企谷君かっこよかったなぁ」
クッションに顔をうずめながら、ぽつりとつぶやいた。
八幡side
いつもの城廻先輩らしくない。
こんな事決してするような方ではないはずだし。
もしかして文実での俺に言った言葉について相当気にしていたのかもしれない。
そう思い俺は先輩の頭をゆっくりとなでる。
なでるたびにふわふわと甘くいい匂いが漂ってくる。
髪も丁寧に扱われているのかさらさらしていて気持ちがいい。
今思えば先輩には今日さんざんお世話になっているのに、お礼の一つも言えていないことに気付き、お礼の言葉を伝えた。
「今日は、ありがとうございました。
嫌なことがあって、自分でもおかしいくらい取り乱してしまって…。
城廻先輩がいなかったら、俺今頃どうなってたか…。」
なるべく心配をかけないように笑顔をはりつかせて。
でも先輩には、お見通しみたいだった。
ゆっくりと俺の体が抱き寄せられる。
「何があったか、話してくれない?比企谷君の力になりたいの。」
そう俺の耳元で城廻先輩がつぶやいた。
先輩の鼓動の音と体温を身近に感じて、この人なら頼ってもいいんだ。
そう思える何かを城廻さんは持っていた。
だから「一つ聞いてもらってもいいですか?」とたずねてしまった。
先輩に文実が終わってからのこと、今日あった出来事のすべてを話した。
それを城廻先輩はただ静かに俺のことを抱きしめながら話を聞いてくれた。
すべてを話し終わった後、先輩は俺に
「そんなことがあったんだね…。話すのもつらかったよね…。
話してくれてありがとう。」
耳元でささやき抱きしめる力を強めた。
その言葉がさび付いていた心にスッとしみこんでいく。
この人に話してよかった…。
俺は心の底からそう思った。
しばらくして落ち着いた後、下着を受け取り風呂を借りた。
体を洗って、あったかい湯船に体をつけると気持ちが安らいでいく。
とある方も風呂は命の洗濯と言っていた。
これは本当に当たっていると思う。
体がきれいになることで、さっきまでの気分が多少さっぱりした。
風呂に入る前にいろいろあり先輩のことをめぐりさんと呼ぶことになった。
女子を名前で呼ぶなんて…。
小町以外じゃ初めてのことだから照れてしまった。
けーちゃんは小さいから名前を呼ぶのにも照れたりしないんだが。
「めぐりさん…か。」
名前を呼ぶだけで胸のあたりが温かい気持ちで満たされていく。
今までにない感覚に戸惑うが決して不快なものではない。
どちらかと言えば心地いいものだ。
あまり長く浸かっているのも先輩に悪いと思い普段よりも早めに出る。
ちなみに俺の平均入浴時間は30分ほどだ。
ちなみに小町はこの倍近く入っている。
よく女性の風呂は長いといわれるが、そんなに入っていて、ふやけてしまわないのだろうか??ときどき不思議に思う。
軽く体を拭いた後、腰にバスタオルを巻きつける。
その時替えの下着はもらっていたが、替えのパジャマをもらうのを忘れていた。
さっきまで着ていた服は絶賛洗濯中だ。
さすがにバスタオルだけで出るのは気が引ける…。
どうしようか?と悩んでいると、ばたばたと足音が聞こえてくる。
「ごめん。替えのパジャマここにおいt……。」
めぐりさんが、慌てて着替えを持ってきてくれたようだが、固まっている。
それはそうか…。
目の腐った全裸(腰巻装備)の男が目の前にいるんだし。
雪ノ下や由比ヶ浜あたりなら、こんな時にここぞと言ってくるんだろうけど。
そんなことを考えていると、固まっていためぐり先輩がロボットのようにぎこちない動きをしながら
「し、失礼しました…。」そう言い残しそっと脱衣所をでていった。
そんなめぐり先輩を見て笑ってしまった。
さっきまで、あんなに頼れる人って感じだったのに、たまに見せる天然なところのギャップに惹きつけられている自分がいるのを感じる。
一緒にいて雪ノ下や由比ヶ浜のいる奉仕部よりも居心地のいい場所があったなんて。
先輩についての気持ちが大きくなるのを感じた。
めぐりside
比企谷君がお風呂に入った後、私もお風呂にはいることにした。
何かあるわけではないが、いつもより念入りに体をあらう。
手にボディーソープをつけ泡立ててから洗う。
体についた泡を流し、湯船につかり今後のことを考える。
まずは比企谷君の周りの状況についてだ。
これは少しばかり考えがある。
自分の生徒会長という立場を使えば。
職権乱用しているような気がしているが…。
うまくいけば、どうにかなるはずだ。
自転車のことは監視カメラなどでやった人を当てるのは、さほど難しくない。
警察沙汰になると言っていれば、自首しに来る可能性もあるだろうし。
まあ最低でも停学となるのはみえているけれど。
後は、一番の問題は、彼自身の気持ちのことだ。
あんなことがあってすぐに学校に行けるはずもない。
しばらく休んでもらうべきなんだろうけど、今の彼を一人にはさせたくない。
幸い私、生徒会長もしたことがあり、優等生だったため推薦で大学は決まっている。
私が彼のそばにいたいというのもあるけど、彼のことを支えてあげたいそんなおもいが強くある。
「はぅ~」
湯船で思いっきり伸びをする。
ある程度の考えはまとまった。
後は私がうまくやるだけだ。
大変だろうけど、がんばらないと!
お風呂からあがりパジャマを着て、リビングにいくと比企谷君の姿が見えない。
客間をのぞいてみると彼はもう布団の中に入って眠っていた。
当然かな…。
今日一日でいろんなことがあったんだ。
体よりも心が疲れているのだろう。
眠っていると、年齢よりも幼く見える。
時々見える男の人の面と、幼い雰囲気との差にドキッとしてしまう私がいる。
柔らかそうなほっぺ。
つつきたくなり彼のほっぺをムニムニとつついてしまう。
想像していたよりも柔らかく癖になってしまう。
「んっ」
ほっぺを触り続けていると、彼が反応してきた。
まだ触っていたいという気持ちもあるけれど、起こしても悪いしおとなしく自分の部屋にもどることにした。
「おやすみ。比企谷君。」
そう小声でささやき、客間の扉を静かに閉めた。
今日は彼が嫌な夢を見ませんように
自分の予想していたものより多くの方に見ていただき、また、お気に入り登録してくださった方、評価をしてくださった方、感想をくださった方、本当にありがとうございます!
すごく励みになっています!
まだまだ、拙い点が多々あると思いますが、これからも見てくださるとありがたいです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました(^o^)丿