少年と少女はめぐりあう   作:メガネコ

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やあ(´・ω・`)
相変わらずの一本指打法でキーボードをたたくメガネコです。


今回は校長と雪乃視点です。
ようやく雪乃と結衣がでたよ…。


あと今回から挿絵を一話ごとに二枚ぐらい入れていく予定です。



ご指摘ご感想があればしていただけると幸いです。


熊田成平は決意する

雪乃side

 

 

 

 

 

今日は祝日明けの月曜日、いつも通りに起き、シャワーを浴び、朝食をとる。

ただの決まりきった作業。

そんな中でも、いつもとは違うことがあった。

週末に比企谷君が、よりにもよって姉さんの家にいたということだ。

なんでも、悪質な行為を受けてしまったとか…。

 

 

なぜ私に頼ってくれなかったのだろうか?

言ってくれれば、私も由比ヶ浜さんも何か行動を起こせたのに…。

まあ、彼のことだから、きっと周りに迷惑をかけないようにとか考えたのだろうけれど。

納得がいかなかった。

彼が頼れる人は少ない……。

友人が少ないというか,、戸塚君以外そんなものは存在しないはず。

「なんで、姉さんなんかに………」

黒々とした嫌な感情が自分の中から湧き上がる。

これは、なんだろう………。

 

 

 

「そっか、雪乃ちゃんは変わらないんだね。」

 

 

「いつまで、そのままなのかな…雪乃ちゃんは。」

 

 

姉さんの言った言葉を思い出し少しいらだつ。

変わっていないと言われたが、彼とは少しづつではあるが関係は深くなっている。

自分の気持ちに素直になれていないということ?

前にも言われた言葉だ。

『素直じゃないと相手からちゃんと見てもらえない。』

………分からない、自分の彼に対して抱いている感情が。

 

 

そんなことを考えている内に、もう登校しなければならない時間だ。

ため息をつき、カバンを手に取り私は雲一つない空を見上げながら扉を閉めた。

 

 

学校につくと、クラスがいつもよりざわついている。

何があったのだろうか……。

 

他のクラスと違いJ組は女子の率が高くまた、比較的おとなしいクラスである。

そんなにざわつくことがあるのだろうか…?

 

 

私は自分の席に座り、耳を傾けていた。

 

「何人か警察に事情聴取されたみたいだよ!」

「えっ、てことは犯罪者がいるってこと?」

「退学ものじゃん……。べーわ。」

 

 

何か事件があったということ?

ここ最近で心当たりのあるのが比企谷君の件。

姉さんの突然の電話

 

 

彼が犯罪に巻き込まれている可能性がある。

頭に嫌な考えが浮かぶ。

とにかく放課後になれば嫌でも彼が来ているか分かるはずだ。

動悸がやけに激しく感じた。

・・・

・・・・・

放課後になり部室に入り、いつもの席に座る。

彼と由比ヶ浜さんを待つ。

時刻を逐一確認するが、時計の針はゆっくりと時を刻む。

 

昔は一人が普通だった。

最近になって一人でいることが減りつつある。

由比ヶ浜さんがいて、比企谷君がいて、そんな場所を心地いいと感じている自分がいる。

 

 

そうか、私はこの場所で彼らといることが大切なものになっているのだ。

だから、彼に頼ってほしいのだ。

 

私は朝のあの感情に無理やりそう結論づけ、私は読書をすることにした。

彼が来たら、話を聞こう。

 

 

しばらくすると扉が開く音がする。

彼が入ってきた。

そんなことにほっとし顔がほころぶ。

よかった…。

 

「よう、雪ノ下。」

いつもの声だ。だけれど、何か違う…。

目が前ほど濁っていない。

それに何か、雰囲気が変わっているのだ。

変化に気付き返事に戸惑ってしまう。

 

 

「その……こんにちは、比企谷君。休日は姉さんの所にいたようだけど……。」

 

 

「まあ、いろいろあって取り乱してな…。心配をかけたなら、謝る。」

 

 

 

やっぱり私や由比ヶ浜さんに心配をかけさせないために……。

素直に、心配していた、何かあったなら言ってほしい、そう言えばよかった。

でも、私の中のちっぽけなプライドが邪魔をする。

 

「べ、別に、あなたの事なんて心配していないけれど…。でも、何かあったなら、その…話してくれて、構わないわ。」

 

 

 

 

それを聞いた彼は悲しそうに苦笑しながら

「安心してくれ、お前に言うほどでもない。どうにかするさ」

 

 

違うそうじゃなくて…。私はあなたの力に……。

さっきの言葉を取り消すために、あわてて言葉をつむぐ。

「あなたが、突然いなk

 

 

突然扉が勢いよく開いた。

そこには、由比ヶ浜さんの姿があった。

彼女も小町さんから連絡がきて心配していたようだ。

 

「ヒッキー………その……あのね…

 

 

彼女が何か言うより早く扉がノックされる。

平塚先生ならノックはしないはずだ、では誰が?

入ってこれるように入室を促す。

 

 

入ってきた人物を私は知っていた。

「校長の熊田成平という。比企谷君だね。少し校長室で話がある。一緒に来てくれないか。」

おだやかな声でそう答える。

 

 

「はい…。分かりました。」

彼はこわばった顔でそう答え、部室を出ていった。

 

 

 

彼が出て行ったあと、私と由比ヶ浜さんの二人がこの部屋に残された。

 

「ねぇ、ゆきのん。聞きたいことがあるんだけど…」

おもむろに由比ヶ浜さんが口を開く。

 

「何かしら?」

 

 

「ヒッキーの事心配してないって、本当?」

 

私はその質問に………

 

 

 

 

 

 

熊田成平(校長)side

 

 

 

 

放課後となり、私は彼に会うために、奉仕部があるという部屋に向かっている。

彼についてのことは、大方城廻君と平塚先生、陽乃君に聞いて予想はできた。

後は、本人に会ってからだな…。

目当ての教室まであと少しと言うところで、扉の前にたたずんでいる女子生徒がいた。

お団子状に髪を結び、明るい髪の毛をしている今風の若い子だ。

なかでの会話でも聞いているのだろうか…?

 

 

そう思っていると、突然彼女が中に入る。

何か中であったのかと思い私も慌てて後に続く。

扉の前でノックをする。

 

 

しばらくの沈黙の後、中から女性の声がして入室を促された。

 

怖がらせないようになるべく穏やかな声で

 

「校長の熊田成平という。比企谷君だね。少し校長室で話がある。一緒に来てくれないか。」

と男子生徒に言う。

 

 

話に聞いていた男子生徒と少し印象が違う。

目が腐っていると平塚先生が言っていたが、そんなことはなく顔も整っている。

雰囲気も想像しているようなとんがっているような感じもなく、優男と言う感じだ。

 

 

 

ただいきなり校長から呼び出しをくらったせいか、彼の表情は硬い。

「はい…。分かりました。」

それでも、拒否せずに素直についてくる。

 

 

彼がゆっくりと教室の扉を閉めた。

 

・・・

・・・・・

 

校長室に入り、城廻君にしたようにお茶を出し、ソファーに腰かけてもらう。

お茶を飲んでもなかなか彼の緊張は解けないようだ。

彼の眼には疑いの色が濃く見える。

あの時と同じだ。

昔の平塚君と。

 

 

 

「安心してくれ、今回の件を隠蔽するようなことはしないよ。」

そう言うと彼は驚いたように

「なんで、俺がそういうことを考えていると………?」

 

 

「長年の勘………と言うのは冗談さ。最近そういう出来事を隠蔽するようなことが増えているからね。いじめを受けていた側の君がそんなことを考えないわけはないからね。」

 

 

そこまで言うと彼は少し驚いたように

 

「校長も冗談とかいうんですね。」

 

 

「見た目がいかついからな、どこの組の人間かと疑われることもあった。

ならば、せめて態度だけでも柔らかくしようと思ってね。」

私はおどけたように言う。

 

 

それを聞き、彼はくすっと笑い張りつめていた顔が和らいだ。

 

 

さて、今なら彼も思ったことを素直に言ってくれるだろう。

人は安心したときに本性を見せやすい。

悪いが、きみの人柄の事を少し調べさせてもらうよ。

 

「今回の件だが、私は君が悪いとは思っていない。どちらかと言えば、平塚先生や城廻君に責任があると思っている。実際相模君の変化には平塚先生も気づいていたようだし、それは城廻君も同様だ。

ならば、その時に手を打っておかなかった、彼女たちに問d」

 

そこまで、言ったところで彼が

「そんなことありません。」

静にしかし、怒りを含んだ口調で話し始める。

 

「今回の責任は、時間が無かったからとは言え、相模をあの方法でしか解決させることが出来なかった自分にあります。

そもそも、めぐりさんや、平塚先生は他にも担当がいくつもあったし、今回のことで対応を取ることが出来たのは自分一人です。

彼女たちに責任は一切ありません。それに、あの二人は、自分のしたことを周りに流されずちゃんと判断してくれました。

それに、二人がいなかったら、俺はこれからも変わらずこういうことを続けていってたと思います。」

 

堰を切ったかのように彼は話し続ける。

彼は予想通りの人間のようだ。

 

「先生の言葉とめぐりさんの行動のおかげで、俺は今のままではだめだと感じて変わろうと思えるようになったんです。だから、二人を悪く言うのはやめていただけませんか。」

 

そう言い私をにらんでくる。

私の中で一つの決意が固まった。

 

 

ふっと、私は顔をほころばせた。

 

そんな私に疑問に思ったのか、

「何かおかしいことでもありましたか?」

と尋ねてくる。

 

 

「いや、すまない。君の事を少し試させてもらったよ。

彼女たちのことをそこまでかばうということは、君自身は問題のことをちゃんと把握しているということ。

また、人の評価を下げてまで自分が助かろうとはしないところを見ると、他人に対しての優しさと言うのもちゃんと持ち合わせているということ。

何より君は変わろうとしているといった。

いじめと言うのは、されている側にも原因がある場合がある。」

 

彼はきょとんとしながら私の話を聞いている。

 

「その原因を直そうとその子が努力しなければ結局はイタチごっこになってしまう。

いじめる相手が変わるだけでね。

私はそれが心配だった。変わろうという意思のないもの、原因を理解していないものそれを助けることは無理だからね。」

 

そこまで言って、私は一口お茶を飲み、舌の渇きをいやす。

 

「私は、君の人柄が知りたかった。

助けるべき人かどうか見極めたかった、直接自分の目でね。

そして、今君と話していて私は君を助けるべきだと私は考えた。

君に対して、直接悪意を働いてきた人物は、退学をさせよう。」

 

 

そこまで言うと、彼は驚いたように

「いいんですか…?その退学させるのって結構大変なんじゃ…。」

 

 

「もう根回しは終わっているよ。後は私の判断だけだ。」

 

彼の肩から力が抜ける。

「なんか、陽乃さんみたいです……。

掌で転がされている感じで。」

 

 

「陽乃君ほどではないさ。」

そう言い笑いながら、煙草を取り出し、火をつける。

 

すると彼が

「平塚先生と同じ銘柄なんですね。煙草。」

 

 

「ああ、平塚君とは昔いろいろあってね。」

 

そう言いながら、ゆっくりと煙を吐き出す。

それと会話の中で少し気になったのが、彼は城廻君のことを名前で呼んでいた。

両想いだといいんだが…。

 

 

「もう部室に戻って構わないよ。私からの話は以上だ。

ながながとすまなかった。もう気付いていると思うが、君の周りには君の事を大切に思ってくれている人がいる。そのことを忘れてはいけないよ。」

 

 

それを聞き彼は深く頭を下げ、

「ありがとうございました。」

一言だけ発して、校長室を出て行った。

 

 

若いというのはいい。

いくらでも変わっていける。

 

「出てきていいですよ、平塚先生。」

彼には見えない位置に隠れていた彼女に出てくるように促す。

彼女は彼が私に変な印象を持たれないか心配で隠れて話を聞かせてほしいと言っていた。

 

「あなたの教え子は変わろうとしていますよ。」

 

「私は、彼になにもしt……。」

そう言い泣きそうになっている。

彼のことを教員の中で一番気にしていたくせに、ここまで事態を悪化させてしまったことに責任を感じているようだ。

 

「起きてしまったことを嘆いても仕方ありません。これからのことを考えましょう。」

 

そう言って、一本煙草を彼女に手渡す。

涙を拭いた後、受け取った煙草に火をつける。

 

二本の紫煙が、ゆっくりと上っていく。

 

 

 




いかがでしたでしょうか?

次回は今回の雪乃の答えを由比ヶ浜視点でするつもりです。


【挿絵表示】



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あと、後日談で使う予定の八めぐの子供達の絵が出来たので活動報告の方に後ほど載せておきます。その際、こんな性格だとか、趣味や好物はこんなのがいいとか意見を募集します。
作者がネタ切れとかそんなことはないんだからね!
なので、できればしていただくとありがたいです!


最後まで見てくださりありがとうございました(^o^)丿

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