あれから俺は狩りという名の戦闘を繰り返していた。
「オラオラァ、どうした。その銃は飾りか?格下相手にビビッてのかぁ?ふざけてんじゃねぇぞ、この劣等がぁ。」
今俺は自分よりlevelが上のいずれ赤の王と呼ばれるアバターと戦闘していた。
「チッ、俺は近距離が得意じゃねえのによぉ。まあ、いいぜ、見せてやるよ。」
そういってライダーは距離を取り《ヘリオス&エーオース》を構え、撃った。
「クハァ、いいぜ。そうだ。そう来なくちゃ、面白くねえだろ。なら、俺も見せてやるよ。___
体を突き破るように朱い杭が生えてきた。それをライダーに向けて射出した。ライダーは驚き避けようとしたが、避けきれずに複数被弾した。
「グハ、テメェ近接だけじゃなく遠距離にも対応できたのか。なんだそれは、HPだけじゃなく必殺技ゲージまで削れたぞ!」
「テメェ、ンなこと敵に聞くんじゃねぇよ。自分で考えれねぇのかよ、この劣等がぁ。」
俺はそう言ってライダーに向けて杭を飛ばし続けた。杭と銃弾、二人の攻防が続き、
「アアァ、いいぜ。ここまで楽しましてくれた礼だ。テメェには俺の夜で散ってもらうぜ。___
その一言から周りは紅き夜に染まっていく。やはり周りの空間が変化していく様は対戦相手のライダーはおろか観戦者のアバター達も声が出ないようだ。
「
杭が生える。杭が生える。地面から、建物から、観戦者達がいる場所からも杭が生えてきた。
「空間が書き換えられていく。もしかして、これは《心意》いやでも《過剰光》は出ていなかった」
ライダーは一人考察していた。そこへ俺は、
「戦闘の最中に考え込んでねぇよ。だが、どうだ。俺の夜は最高だろぉ?吸い殺してやるから覚悟しろやぁ。」
そう言って大量の杭をライダーに向けて放った。周囲を囲むように存在する杭のせいで避ける間もなく串刺しになった。そしてライダーに突き刺さった杭がライダーHPを吸い取っていく。やがて、一割に満たなくなった。
「じゃあな、狩りとしては楽しめたぜ。Auf Wiederseh’n.」
そして俺自ら杭を突き刺してやった。ライダーのHPが無くなり、アバターが砕け去った。
「クハァ、クハハハハハハハハ。」
また一人と狩ったことに笑いが止まらなかった。観戦者達が俺を恐怖するのを感じながらカウントがゼロとなるまでこの余韻に浸っていた。
その後、levelが4に成った頃、父親とヘルガが事故で死んだ。悲しみはなかった。それよりも俺は自分で殺れなかったことに悔しかった。保護者がいなくなった俺は故母親の実家に引き取られていった。故母親の実家はドイツにあった為、ドイツへ移住することになった。それから月日は流れ、加速世界では【ブルート・カズィクルベイ】の名は王や古参の者達以外からは徐々に薄れていった。