アクセル・ワールド 闇の不死鳥(仮)   作:羽撃鬼

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極東のみで一度は起こると思われる一人の女性による洗礼


第19話 ハルユキの苦難

クロウside

 

 

今日僕は一人でこの【神々の食卓】へ来ていた。先輩は生徒会関連で、タクとチユはそれぞれ部活が有ったので一人で入ることに来たのだ。

一人でダイブするのは久しぶりかな?最近複数でプレイすることが当たり前だったからな。本来なら寂しいのだがここでは違う。何故ならここのNPCはNPCぽくないのだから!

例えば、

カウンターでお酒飲んでるジーナさん。大人らしい色気があり話しかけてくれるのは嬉しいですけどお酒飲まそうとするのは止めてください!

ひたすら筋トレしているブレンダンさん。僕のアバターがひょろひょろなのは分かっていますけどジムに連行するのは止めてください!

頼れるお兄さんに見えるタツミさん。ヒバリさんの事となると目を血ばらせるのは止めてください!

守銭奴なカレルさん。守銭奴に恥じない高額なクエストを持ってきてくれるししっかり報酬もくれる。だけどその理由が「お前といれば楽に戦えるからな!だってお前飛べるし!」ってなんなんですか!それだけではなく、「なぁ!お前の飛行で金稼がないか?勿論広告料は払ってやる。空を飛びたい一般人がこぞって集まってくるぞ!」とか言うの止めてください!

えっとシュンさんは・・・特に無いか?まぁいいか。「おい!」

ハルオミさんはやっぱりお酒勧めてくるのは止めてください!

だけど癒しはある。それがカノンさんだ!手作りのお菓子をくれる。アラガミの形をしたクッキーだ。本当に美味しい。

 

 

「あのクロウくん?」

「あっはい。何でしょうか?カノンさん。」

「これからクエスト行きませんか?」

「えっ!いいんですか!行きます!」

「じゃあ準備して待っててください!」

「はい!」

 

 

あんないいお姉さんである。カノンさんとの初任務だ。楽しみにしていると他の防衛班の皆さんがこちらに来た。

 

 

「何ですか?」

 

 

彼らは僕の前にアイテムをそれぞれ置き、僕の肩を叩き、「頑張れ!」といって去っていった。普段から仏頂面のカレルさんにも言われたので不思議に思った。皆さんから戴いたアイテムの中にはヒバリさんの写真やブレンダンさんのブロマイドや回復錠に偽装したプロテインとかあったけどそれら以外はまともで良かった。そうしている内に、

 

 

「クロウくん!準備できたよ!行こう!」

「はい!あれ?そちらのかたは?」

「えっ?ああ。キグルミさんだよ?」

 

 

そこにはウサギ?の着ぐるみがいた。

 

 

「え、えっと。よろしく?」

 

 

手を差し出すと、

 

 

「・・・」ギュ

 

 

無言で握ってきた。そして、

 

 

「・・・」ポンポン

 

 

他の防衛班の皆さんと同じように肩を叩いた。着ぐるみなのに不憫そうに見られているように感じた。

 

 

 

そして、嘆きの平原

 

 

「うわー!何ですか!あの竜巻!」

「あれですか?ごめんなさい。私たちもまだあれのことはわかってないんです。」

「そうですか。キグルミさんはなにか知っているんですか?」

「・・・」ワタワタ

 

 

キグルミさんジェスシャーしているつもりだろうですけど着ぐるみなため動きが単一化して全くわかりません。その事をはっきり言うと、

 

 

「・・・」orz

「クロウくん。今までキグルミさんにはっきり言う人はいなかったのに。」

「不便じゃないんですか?」

「第一部隊やブラッド隊の皆さんは何故か無言で通じているんですよ。いきなり無言になり見つめ合ったら、よし!その作戦で行こう!ということもあるくらい。」

『偵察班から連絡!中型アラガミがそちらに向かって移動中!30秒後そちらに到着します。』

「じゃ、行こっか!」

「はい!」

「・・・」コク

 

 

それから順調に戦っていったが乱戦になると、

 

 

ドカーン

 

 

「うわぁ~!何が?」

 

 

いきなり爆発に飲まれ、後ろを向くとそこにはこちらに銃口を向けたカノンさんが!えっ?

 

 

「射線上に立つなって私言わなかったけ?」ゴゴゴ

「えっと、言ってません!」

「アハハハ、避けないと当たるよ!ほらほらほら!」

「えっ、ちょ!危な!」

 

 

それからカノンさんの砲撃を避けつつ、避けれそうになければキグルミさんが助けてくれ、

 

 

「ありがとうございます!」

「・・・」グッ(気にするな!これはどうにもならん。と、言っているように感じた。)

 

 

このクエストはカノンさんの、

 

 

「アハハハハ!」

 

 

という高笑いで幕を引いた。

他の防衛班の皆さんがこちらにアイテムを渡して来たのはこれが原因かと戦慄した。そして怖かったのは帰りのヘリでカレンさんが、

 

 

「今日は誤射が少なかったような気がします!」

 

 

と言っていたことだ。

 

 

「・・・」ポンポン(彼女は極東の誤射姫の異名を持っているからね。気にしないでね。と、言っているように感じた。)

「そうですか、誤射姫ですか。あれ?」

 

 

ポーン スキル【翻訳(キグルミ語)】を習得した。

 

 

と、謎のアナウンスが、

 

 

「・・・」テヲフリフリ(どうしたの?)

「いや、なんでもないです!」

 

 

そして僕たちは上機嫌にしているカノンさんを放っておいて会話を楽しんだ。

僕はまだ無言では通じ合えないけど。

帰投後は他の防衛班の皆さんは一人一品ずつ奢ってくれた。守銭奴なカレルさんも含め。そこで僕は彼らと打ち解けたのだ。同じ誤射姫の餌食となった者達で。




ハルユキはキグルミとの絆が深まった。

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