路地裏で女神と出会うのは間違っているだろうか   作:ユキシア

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第40話

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!』

ダンジョン17階層に存在する階層主『ゴライアス』。

そのゴライアスをミクロは一人で戦っている。

リュー達は透明化の魔道具(マジックアイテム)『ファントーモ』を使用して姿を隠している。

襲いかかってくる巨人に対してミクロは劣勢になるどころか押している。

魔道具(マジックアイテム)である『スキアー』を使用してゴライアスの影を移動して死角から『ヴェロス』を使って攻撃を繰り出す。

更にミクロは左目には神聖文字(ヒエログリフ)で『S』と刻まれた『シリーズ・クローツ』の義眼の魔道具(マジックアイテム)を装着している。

これにより、ミクロの『敏捷』は高まり素早い動きでゴライアスを翻弄する。

素早い動きでゴライアスを翻弄。

攻撃が来ても影に瞬時に移動して回避。

死角から光の弓で攻撃。

それを繰り返すことによりゴライアスの体は徐々に傷付け損傷を与え続ける。

だけど、これでは決定打にならないのはミクロも重々承知している。

ミクロは勝負を終わらせる為に左手の中指に装着している藍色の指輪に意識を向ける。

すると、ミクロの手元にフェルズから託されたシャルロットの魔杖『アルゴ・マゴス』が出現する。

ミクロが作製した魔道具(マジックアイテム)『リトス』。

パルフェの収納魔法を参考に作製した魔道具(マジックアイテム)

そこにミクロは魔杖を収納していた。

「【這い上がる為の力と仲間を守る為の力。破壊した者の力を創造しよう】」

止めをさす為にミクロは魔法の詠唱を始めた。

それもゴライアスの攻撃を回避しながら。

「【礎となった者の力を我が手に】」

リューから『並行詠唱』のコツを教わり、それを取得したミクロはリューほどではないが回避しながら詠唱するぐらいは余裕を持って出来るようになった。

「【アブソルシオン】」

魔法を発動してミクロは再び魔法を唱える。

「【今は遠き森の空。無窮の夜天に鏤む無限の星々愚かな我が声に応じ、今一度星の加護を。汝を見捨てし者に光の慈悲を】」

それは同じ【ファミリア】に所属しているリューの魔法。

ミクロの魔法【アブソルシオン】は詠唱の把握と打倒により他者の魔法を吸収することが出来る。

打倒という点にミクロは気になり一つの可能性を思いついた。

殺さなくても倒せばその人の魔法が使えるのではないかという可能性に。

そして、ミクロはリューの模擬戦を行い勝利して結果リューの持つ魔法を取得することが出来た。

それがわかればミクロの行動は速かった。

ミクロは魔法が使える団員全員の魔法を取得した。

「【来たれ、さすらう風、流浪の旅人。空を渡り荒野を駆け、何物よりも疾く走れ】」

ゴライアスの攻撃を回避しながら詠唱を続ける。

「【星屑の光を宿し敵を討て】」

詠唱が終えてミクロは魔杖をゴライアスに向けて魔法を発動させる。

「【ルミノス・ウィンド】」

緑風を纏った無数の大光玉は魔杖により威力が変化した。

以前ゴライアスと戦った時はリューの魔法でも致命打は与えることは出来なかった。

だが、放たれた無数の大光玉の一つ一つはゴライアスの体を貫通していく。

最終的に肉片となったゴライアスの体は灰へと変化した。

魔杖は魔力を高めて、魔法の威力を上げることが出来る。

まさにその通りに魔法の威力が跳ね上がった。

ゴライアスの討伐が終えたミクロは魔杖を『リトス』に収納する。

「終わった」

「ええ、では地上に一度戻りましょう」

今回はゴライアスからドロップアイテムは出なかったが魔石をパルフェの魔法で収納して地上に帰還する。

「これで次の遠征もここを素通りできますね」

「ああ」

異端児(ゼノス)』達との一件から数ヶ月。

時々リド達と会いに行きながらもミクロ達は変わらず探索を続けている。

「それにしても前はあたしら全員で何とか勝てたゴライアスを一人で倒しちまうとか強くなりすぎだろう?」

「団長だから」

笑みを浮かばせながら皮肉を込めて言うリュコスにミクロは当然のように答える。

次の『遠征』に向けて少しでも円滑に行えるように先に倒せれるモンスターを倒し終えたミクロ達は本拠(ホーム)に帰還。

「お帰りなさいませ、皆さん」

「ただいま、セシシャ」

迎えの言葉を送ってくるセシシャは返事をする。

「前の魔道具(マジックアイテム)はどうだった?」

「なかなか好評でしてよ。その分の利益はもちろん頂きましたわ」

ミクロ達はあれからもいくつかの魔道具(マジックアイテム)の売買を行っている。

一定以上水を溜め込むことが出来る魔道具(マジックアイテム)や緩やかな風を発生させる魔道具(マジックアイテム)など悪用される心配はない魔道具(マジックアイテム)を売買してその利益をしっかりと頂いている。

「わかった。また何かあれば教えてくれ」

「ええ、わかりましたわ」

そこでセシシャとの会話を終えてミクロは主神であるアグライアに【ステイタス】の更新を行って貰った。

 

ミクロ・イヤロス

Lv.4

力:F343

耐久:E432

器用:D575

敏捷:E491

魔力:E487

堅牢:G

神秘:H

精癒:I

 

相変わらずの伸びと思いながらアグライアは新たに発現したスキルに視線を向ける。

 

前向生存(ヴィーヴォ)

・生きることを諦めない限り効果持続。

・身体・精神力(マインド)を少量ずつ回復。

 

新たに発現したスキルにアグライアは自然に頬を緩ませる。

ミクロが生きることに前向きになってきた証に等しいスキル。

それが嬉しかった。

他の団員、主にリュー達の【ステイタス】の伸びが良くなっている。

近い内に【ランクアップ】する団員も出てくるかもしれないと思いつつ更新を終わらせる。

「ミクロ。次は何階層まで行く予定なの?」

「37階層。取りあえずはそこまで」

それ以上はまだミクロ達にはまだ難しい為、しばらくはそこまでとしている。

数日後には『遠征』を行う為、その準備をしっかりと行わなければならない。

ミクロの場合は主に魔道具(マジックアイテム)の点検だが、『遠征』には必要不可欠の為しっかりと準備しなければならない。

「何度も言っていることだけど無理はしちゃダメよ?」

「わかった」

頷いて更新した【ステイタス】の確認を終えるとミクロは早速自室で魔道具(マジックアイテム)の点検を行う。

前回の『遠征』で発見した改善を加えてより性能を上げることが出来た魔道具(マジックアイテム)

次の『遠征』でどこまで通用するのかによってまた改善もしくは新たな魔道具(マジックアイテム)を作製しなければならない。

『ミクロ・イヤロス。調子はどうだ?』

「問題ない」

水晶から声をかけてきたのはフェルズ。

フェルズが作製した交信の魔道具(マジックアイテム)眼昌(オルクス)』によってミクロ達は定期的に連絡を取り合っている。

「リド達は?」

『彼等も問題はない』

君と会いたがっているけどね、と言うフェルズ。

「遠征が終わったら会いに行くって伝えといて」

『ああ、わかった。魔宝石の交換が必要になったら教えてくれ』

「わかった」

交信を終えて手を動かすミクロは一通りの作業を終えて確認のため魔道具(マジックアイテム)を持って中庭に向かう。

『ヴェロス』に魔力を流して光の弓を形成させる。

遠くに的を設置してミクロは空に向けて矢を放つと矢は宙で軌道を変えて的に的中する。

「問題ないな」

『ヴェロス』の新たな機能『弧曲』

複数同時には無理だが、一本だけなら軌道を変えることに成功した。

「次」

次にミクロは『ヴァルシェー』を構えて想像した魔法を放つ。

回数制限はまだ改善しなければならないが今の『ヴァルシェー』なら持っている者のイメージした力を放つことが出来るようになった。

だけど、その代わりか一つ欠点が増えた。

詳細にイメージしなければならない。

荒唐無稽なものはまず不可能で持っている者がイメージできる範囲のものでなければ発動できない。

使用範囲は増えたが扱いが難しくなった。

「まぁ、パルフェ達なら問題ないか」

一番よく使ってるパルフェ達ならその辺は問題と判断して次の魔道具(マジックアイテム)を手に取る。

一つ一つ新しく搭載した機能と不備がないか確認を終えたミクロは『リトス』に収納している魔杖を取り出す。

ゴライアスとの戦闘でもよくわかるようにこれは本当に凄い魔杖だと思った。

これを使用していた母親シャルロットはどれだけ凄い人なのかよくわかる。

「会って話がしたかったな……」

今亡き母親と話がしてみたい。

そう願うようになったが今はもう会うことさえ出来ない。

「あ、今度団員全員でゴライアスと戦わせたら何人かは【ランクアップ】するかな?」

不意にそんなことを思いついたミクロはそれは『遠征』が終えてゴライアスが復活してからにしようと決めた。

「さて、次は新しい魔道具(マジックアイテム)を試すか」

前回の『遠征』で採取した物を使い新たに作製した掌で収まるぐらいの水晶の魔道具(マジックアイテム)

それを地面に叩きつけると水晶は割れてミクロ周囲に結界が展開する。

防御系統の魔道具(マジックアイテム)『クリスターロ』。

使い捨てだが、強力な結界を展開させることが出来る魔道具(マジックアイテム)

これから激しくなるモンスターの攻撃に対して防げる手段を考えて作製した。

ミクロは光の弓を形成して結界内から矢を放つと矢は結界を抜けて外で着弾する。

「問題ない」

この魔道具(マジックアイテム)の特徴は強力な結界を展開できるだけじゃなく中から攻撃することも可能。

詠唱を唱える時間も稼げる事も可能として後は『遠征』までに量産できるようにすればこれからの『遠征』にも重宝できる。

問題点は3分間だけという時間制限を何とかすれば問題はない。

「ミクロ。ここにいたの?」

「パルフェ」

「そろそろ夕飯の時間だよ」

「わかった」

パルフェの言葉にミクロの腹の音が鳴る。

集中しすぎたせいか腹が空いていたことに気付かずパルフェの言葉を聞いてようやくそれに気づいた。

「ふふ、行こう」

「うん」

微笑するパルフェと共にミクロは食堂に向かう。


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