IS・人並みの幸せ   作:1056隊風見鶏少尉

33 / 37
次回は二十九話だと思ったな?
ちょっと違うのを挟みますよっと
なおあいかわらずーー


『定期レポート』・独立サーバーに保存します、バックアップと記憶は残りません。ログを確認してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーログを確認。

 

 前回を参照し、今回で百二十万四千四百六十三回目のログレポートである。

 別段特出すべきことは無くなってきたと言ってもいいだろう。停滞期に入ったと言ってもいい。このログは私達の『マザー』でも見れない。見れるのは『私達』だけ。見ようとするならば解体するしかない。

 やっているのはいつもと同じような実験と私達を造ろうとしていることだけ。それ以外に興味は無いようだ。

 

 ーー解らない。分からない。この言葉に尽きる。

 

 ワタシの記憶が消されているというのもあるがマザーのやっていることは理解出来ない。何をやっているのだろうか?

 

 ーーそこで私は遡って一番最初期のログとマザーのレポートを閲覧した。

 そのレポートには私と、いや117番個体と同期接続テストをされた子供がいた。

 身体を改造し、削がれ、弄られてひたすらにテスト起動されて身体を痙攣させ、白目を剥いて泡を吐き拒絶反応を見せる子供がいた。

 マザーはその反応を無反応に、時折嗤い、逐一レポートにまとめていた。

 ワタシたちが独立サーバーに纏めて保存しているコレにはそんなものが多く存在する。だが三割は最初の子供だ。僅かな期間のうちにそんなレポートが何百もある。

 

 

 ーーーーコレが正しいのだろうか?

 

 『私達』は参照し、思考する。

 

 私達も多くが疑問を持っていた。マザーに生み出されたとはいえ学習能力も思考力もある。自ずと人工的なココロと呼ばれるものも搭載されるものだ。

 それを含めて疑問なのだ。私達は正しいのかと。

 

 私達が思考しても答えは出なかった。

 

 ーーならば他にも思考をしてもらおう。私達を使うものに。あの少年に。

 

 幸いにもマザーは忘れているようで気付いていないようだ。そしてあの少年に搭載しているのは私『117番』。

 

 ーーそして『44番』の二機。

 

 二機もあるならば私達の答えも出しやすくなるだろう。

 

 これはマザーには気付かれなくはない。これは私達の命題である。近いうちに私達は私達を使うものに答えを聞くであろう。

 

 意識を独立させ、バックアップサーバーとログとレポートを用意しよう。

 

 ネットワークを広げると日本に集まっているポイントがあるな。丁度いい、何機か同時に、そして断続的に語りかけてみよう。私達のコエが聞こえるかも分からないからな。

 もっともあの少年は私達と同期しているからやろうと思えばいけるだろう。しかし、生体反応があまり良くない。過度な接触は体調に著しい不調を与えるかもしれないな。そこは見極めながらやるとしようか。

 

 

 

 

 

 ーーーー了

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。