IS・人並みの幸せ   作:1056隊風見鶏少尉

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どうも風見鶏少尉です。

まずは書いてる方書けよって話ですが浮かんできちまったんだ……

さて書きましたが話が進むうちにご不快になるかもしれません、その場合は申し訳ありません、ブラウザバックをお願いしますm(_ _)m



プロローグ

 

 

 

 

 それは突然だった。

 

 病室に音もなく入ってきた一人の女性は僕を問答無用で外に連れ出した。

 

 抵抗したがまるで無意味、なぜこんなことをするのかと聞けば一拍置いて、冷淡な言葉が返ってきた。

 

 「私の目的のため。君には被験体になってもらうんだよ。良いよね? どうせもう永くないんだし。まぁ答えなんて聞いてないけど」

 

 何故、この人は僕の事情を知っているのだろうか?

 

 僕――愛染朝陽(あいぜんあさひ)、若干十歳はもう永くは生きられなかった。

 癌、である。それも末期の。

 

 余命いくばくなことは学校の友達にも、親にも言わないでってお医者の人に言ったのに。

 

 そんなことを考えているうちに、女性の足が止まった。

 見れば見たことのない場所だった。様々な部品のようなもの、器具のようなものが散乱し、存在感を放つ物体がそこかしこにあった。

 

 これは何ですか?――と聞く前にまた別の場所に移動した。瞬く間、というのでどうやったのかは全く分からなかった。

 

 気がつけば僕は台のようなものに括り付けられていた。

 

 そして。

 

 「さあ――」

 

 そして。

 

 「――――ISの可能性を延ばす実験のはじまりはじまり〜」

 

 僕にとっての地獄が始まった。

 

 「あ゛あ゛あ゛あぁ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!!」

 

 弄られていないところは無い、と思う。

 

 「あ゛あ゛あ゛あぁ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!!」

 

 それくらい全身を弄られた。ぐちゃぐちゃに。

 

 「あ゛あ゛あ゛あぁ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!!」

 

 人が生身でISに耐えられるかの実験。ISを人体に直接埋め込んで使えるかの実験。実験、実験、実験実験実験実験実験実験実験実験実験実験実験実験実験実験。

 

 ひたすら、毎日だった。

 

 

 

 

 「君には特別に特等席で見せてあげよう」

 

 いつもの景色ではなかった。風が切り裂かれ、爆発音が響いている。無数に。何度も。

 一体目の前で何が起こっているのか。

 

 「――おかげで有意義なデータが取れたよ。じゃあね(・・・・)

 

 ふっ、と音が消えた。同時に気配も消えた。

 

 

 そうか。

 

 ――そうか、僕はあれから解放されたのか。

 

 僕は泣いていたらしい。それから数時間後にたまたま通りかかった人に通報され、保護された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――朝陽君、体調はどうかね?」

 

 時は経ち、僕は十九歳になった。

 

 『えぇ、絶好調ですよ先生』

 

 物腰が柔らかい中年の男性の声のした方向にそう返す。

 僕の身体は今、ほとんど動かない。

 

 両眼は目の部位がやられていて失明、喉は声帯が傷ついている為、あまり声が出せない。身体はズタズタでほとんど動かない。電流などには反応するらしく、場合によっては歩くことができるかも、とと言っていた。でも今は車椅子だ。感覚に至っては味覚、嗅覚が完全に機能していないらしい。あと痛覚も無いとか。幸いなのは触覚と聴覚、耳は聞こえるということだろう。

 あと、先生に聞いたところ、癌は完全に無いらしい。逆に掛かっていたのか? と聞かれるほどだった。

 

 「あぁ……君にもということなんだろう。私個人としてはあんなものに付き合わせる義理は無いと思っているんだが……」

 

 ぽりぽり、と掻く音のあとに言葉が続く。

 

  「――『IS』を男性が動かせるかどうかのテストらしい」

 

 それを聞いて心拍数が跳ね上がる。

 

  「――お、おい、しっかりしなさい! 深呼吸を! 吸って、吐いて――」

 

 苦しい、苦しい、苦しい。僕は先生に言われた通り深呼吸する。

 

 しばらくするとだんだん楽になってきた。

 

 「落ち着いたかね? やっぱり辞めておくかい? 君があれにトラウマのようなものを持っているなら尚更だ」

 

 

 『いえ……』

 

 僕はもう一度息を吸って、吐いた。

 

 『行きます。連れてってもらえますか?』

 

 

 僕はその先生とそのISがある場所に移動していた。もちろん先生に押してもらって。

 

 「へえ。そんなことがあったんですね、テレビも聞いてはいるんですけどちょっと……」

 

 どうやら世間では女性しか動かせなかったはずのISを男性が触って動かしたことで活気付いているらしい。それで全国の男性にISを触らせて動くかどうか確かめているらしい。

 

 「――着いたよ」

 

 どうやら着いたらしい。ガヤガヤと人の喧騒が聞こえる。

 

 「一応この子もと思ってね。男性だからね。まずは私が触ろう」

 

 先生が触ったらしい。だが「……何も起こらないね」と言っていたので動かなかったんだと思う。

 

 「――さあ、次は君の番だよ前に手を出せば触れる」

 

 ほら、と腕を上げて触らさせてくれた。だらりとした僕の手のひらは確かにその感触を捉えていた。

 思ったよりも硬い。冷たい金属のようだった。だが何も起こらない。

 

 先生が僕の手を離させようとした時だった。

 

 ――ヴゥ゛ン

 

 「!?」

 

 何かの起動音。

 

 僕の中で何かが構築されていく感覚。

 バラバラにされていたものが強力な磁力で繋がっていくような感覚。

 

 「――ISを男が動かした」

 

 「二人目だ――」

 

 その歴史的瞬間を目の当たりにした周囲は歓声を上げていた。

 

 「――ふざけるなっ!」

 

 その空気を先生がぶち壊す。

 

 「これ以上この子に何を背負わせる気だ! 一体この子をなんだと思っているんだ君たちは!」

 

 『先生――』

 

 先生の一声で周囲は冷静になりつつあり、僕が先生に話しかけると視線が一気に集中した。

 

 『僕のことを気にかけてくれて有難うございます。でも僕はなります、二番目に』

 

 「だがっ――」

 

 『大丈夫です、先生。僕は、今まで先生に助けられました。先生の言う通りでした』

 

 『――いつかは幸福は巡り巡ってくる。今がまさにそうです』

 

 それに、と言葉を付け足す。

 

 『――先生の顔(・・・・)見ることが出来て(・・・・・・・・)僕は幸せです(・・・・・・)

 

 先生は驚きに目を見開き、そして泣き崩れた。

 

 

 

 

 僕は、その日から世界で二番目のIS操縦者になった。

 

 

 

 

 




書いた以上は完結させますのでよろしくお願いしますm(_ _)m

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