七郎治…
大きくなれよ。
これからどうすればいい?
冒険者を辞める?
本当に?
殺しだから?
モンスターが人を襲うから良いのでは?
千年前に娯楽を求めて天界から降りた神々が人類に恩恵を与えたんだ。その力を使わなくては…
ただの言い訳だ。
そもそも命を狩りとる事とは…
食事をする。これも何かの犠牲の上だ。
生きるために仕方ないから?
この世は弱肉強食。弱ければ死に強ければ生きる…
私は間違いなく弱者だ。
では死ぬのか?嫌だ。前世よりは長生きしたい。
では、強くならなくては。
脇差を手にとり、裏庭に行く。
ひたすら基本の素振りをする。
また、考える。
なぜ強くなる必要が?命を奪うんだぞ。
死にたくないから?ダンジョンに潜らなければいい。
拾ってくれたファミリアにまだ何も出来ていないのに?
入団試験を思い出す。
あの時は必死だった。ならあれは本心では無いのか。
そんな事は無い。剣道は死んだ父と私を繋いでいる気がする。危機に陥れば打開しなければならない。もう何かを失いたくない‼︎
素振りが止まる。
あぁこれで良いじゃないか。ダンジョンに潜る理由はある。モンスターの命を奪う事は変わらないが…
では、モンスターの死を無駄にしないように魔石やドロップアイテムは有効活用しよう。モンスターに敬意を表しよう…
私は…僕は…
冒険者になろう‼︎‼︎
そうと決まればとにかく特訓だ。特典の効果で特訓次第でアニメやマンガの技が使えるんだ。よしやれば出来る子‼︎
あれから何時間たった?もう朝だ。向こうから誰かが走ってくる。
「ロージ君そこにいたっすね‼︎この顔は何すか‼︎」
変な顔のラウルが走ってきた。やべぇ忘れてたわ。落書きしてたわww
全力疾走しようとした時、足が思う良いに動かず思いっきり転けた。
「ちょっ!ロージ君大丈夫っすか⁉︎」
「zzzz」
「寝てるっす…」
私は昼過ぎに目が覚めた。
お腹が空いているので、とりあえず食堂に向かう。
誰もおらん…
キッチンに行って何か食べ物は無いかと探していると、後ろから首根っこをつかまれた。またか‼︎猫かわしは‼︎
「目が覚めたようだな七郎治。お前に話がある。このままロキのところに行くぞ」
やべぇ…ラウルのイタズラの事だべ。怒られる。
ヤバイよ!ヤバイよ!ロキの部屋ってことは幹部が揃ってるだろ。詰んだわ…
ガレスに運ばれながら、腹を鳴らしながらロキの部屋に着く。案の定ロキ、リヴェリア、フィンがいた。
「来たな。ロージたん」
「さて、七郎治。昨日、私の講義の後何をしていた」
ヤバイよ!ヤバイよ!
ロキ達って仲間を大事にしてたっけ?新参者が、イタズラとかまずいよな…正直に言うか。
「ラウル…さんの顔に落書きをしました。すみませんでした‼︎」
「そんな事はどうでもいいわい。その腕の傷はどうしたときいているのじゃ」
えっ?傷?
…ダンジョンに潜ったこと?
ッ‼︎ヤバイよ!ヤバイよ!なんも考えてなかった。あぁまた変な汁を身体から吹き出す。
「まさかとは思うけど、ダンジョンに潜ったなんてことは無いよね?」
ビビクッ⁉︎
バレとるがな⁉︎やべぇ…何も言えねー
ぐ〜
腹が鳴る。空気を読め‼︎
「何も言わ無いとゆうことは、肯定と受け取るぞ」
「はい…ダンジョンに行きました」
やはりかと全員ため息をつく。
「なぜだ?私はダンジョンがどのようなところが教えたつもりだぞ?」
「正直に言うと、興味本位です。モンスターに勝てるとも思っていました。」
「どうしてだい?君はもう少し考えて行動できる子だと思っていたよ」
「・・・・」
「それで、モンスターを倒したのか?」
「ガレス‼︎何を言っている⁉︎」
「すまんのぅ、リヴェリア。こやつは儂が面倒を見ると決めたのじゃ…で、どうなんだ」
「…ゴブリンを1匹だけ」
「そうか!勝ったか‼︎」
ガレスは豪快に笑い、私の頭を撫でる。
「七郎治!腹が空いているだろう‼︎飯にするぞ‼︎」
そのまま私を抱えて部屋を出ようとする。リヴェリアは納得していないようだ。
「ふざけるなガレス‼︎これは大事なことだぞ‼︎」
「説明してくれるかい?ガレス」
「ふむ、こやつはダンジョンから戻って、ずっと剣を振っていたからのぅ」
「見ていたのかい?」
「まぁな、こやつは何かを吹っ切りおった。太刀筋から迷いがなくなったのじゃ。七郎治は間違いなく冒険者じゃ」
「はぁ〜。必ず誰かと行くこと、これが条件だよ。」
「フィン…」
「七郎治…自分のなりたい冒険者になれ」
「はい…親方様」
私は…僕は…いや、
ワシは冒険者じゃ‼︎‼︎
冒険者になる事を決めた七郎治。
幼少期はこれで終わりです。挿し話であるとは思いますが。次回からはソードオラトリアの本編に入ります‼︎
それでは‼︎
ロキ「うちもおったのに、喋ってへんやんか…」