ダンまちに転生したが、脇役でいいや   作:冬威

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【閑話】毛玉とオカマ

 

 

ー黄昏の館 食堂ー

 

団員達が朝食をとる為に談笑しながら集まる。その中に長身で引き締まった体躯を持ち、鋭い眼差しの狼人(ウェアウルフ)がいた。

 

ロキ・ファミリアで最速を誇る【凶狼(ヴアナルガンド)】ベート・ローガ

 

そんな彼は絶賛片想い中。お相手は【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインだ。何とか一緒に食事が出来ないかと毎日試行錯誤し、今日もアイズの姿を探しているところだった。

 

 

(チッ!バカゾネス共しかいねーな…。机の下みて何してんだ)

 

「おはよう、ございます…。ベート、さん。一緒に、どうですか?」

 

 

ベートの心臓が跳ね上がる。自分の斜め後ろから声が掛けられ、しかも声の主は自分の思いびとだ。

 

 

「あ、ああ!いいぜ」

 

 

ベートは平静を装いながらゆっくり振り向く。視界にはなびく金髪。ぃよっしゃー!と心の中でガッツポーズをする。が…

 

 

「ッ⁉︎」

 

「アイズ嬢かと思ったか?残念ワシでした‼︎」テヘペロ

 

 

そこに居たのはアイズではなく、金髪のカツラを被った七郎治だった。

 

 

「こ、の〜!カマ野郎‼︎ぶっ殺す‼︎」

 

「そん、な…。ヒドイ、です。ベートさん」

 

「その声やめやがれー‼︎」

 

 

朝からベートと七郎治の追いかけっこが始まった。そんな様子をみていたティオナは爆笑する。

 

 

「アハハハー!ベートざまぁ‼︎」

 

「あんたね…。自分の復讐の為に七郎治とアイズを巻き込むんじゃないわよ」

 

「え〜!だってベートが人の事をど貧相とか言うし、ロージもノリノリだったよ?」

 

「あ、はは…。アイズさん、もう出てきてもいいですよ?」

 

「う、ん」

 

 

ティオネは自分の双子の妹に呆れ果て、レフィーヤも苦笑いし、アイズも机の下から出てきた。

 

 

「またやってるっすね」

 

「ほんと、仲が良いわね」

 

 

ラウルとアキも何時もの光景に苦笑いを浮かべる。

 

 

「あたし少し気になるんだけどさー。ベートって最初の頃どんなだったの?あんな態度なのにファミリアに溶け込んでるよねー」

 

「確かに私達が入団した時には、もうあんな感じだったわね」

 

「あー、まぁいろいろあったんすよ」

 

「確かにね〜」

 

 

ティオナのふとした疑問にラウルとアキがまたしても苦笑いを浮かべる。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

8年前、七郎治がロキ・ファミリアに入団してから半年が過ぎる頃ベートが入団してきた。

 

 

「七郎治。新しく入団した狼人(ウェアウルフ)のベート・ローガじゃ。儂が面倒をみることになった。」

 

「ロージたんは年も近いし仲良くしてやってな〜」

 

「はい、主神様。親方様」

 

「けっ!何で俺がこんな女みてーなガキと仲良くしなきゃなんねーんだよ!雑魚だろ?」

 

 

ガレスとロキに紹介されたベートは七郎治をみて悪態をつく。完全に見下しているのだ。

 

 

「わっはっは!ベート、見た目で決めるな。七郎治はなかなか筋がいい」

 

「けっ!それでも俺より弱い雑魚だ‼︎」

 

 

七郎治はそんなやりとりをボケ〜と眺めていた。

 

 

おお、ベートだ!割と早く入って来たな。10歳ぐらいか?そして、子供の頃からベートはベートだな‼︎

 

 

前世の記憶にある原作の登場人物が現れたことに興味がいき、バカにされていることは全く気にならなかった。

 

 

「おい!クソガキ、俺と勝負しろ‼︎」

 

「ええ〜、嫌です」

うーん、多分勝てんばい。恩恵を受けているとはいえ元々のポテンシャルが違うやろーもん。

 

「そう言うな。七郎治、手合わせしてやれ」

 

「…はい。親方様」

 

 

対峙するふたり

 

 

「死ね、オラァァ」

 

ベートの鋭い蹴りが飛んで来る。

 

「ふっ‼︎」

死ねっておまえ…。

 

 

ベートの蹴りに合わせて、手の平をそっと足に添え力を受け流す。ガレスとの訓練でいつも気絶する程強力な攻撃を受ける七郎治は耐久力もあるが、相手の力を受け流し、相殺する技術を身に付けつつあるのだ。でないと死ぬから。マジで。

 

 

「この…ガキ〜‼︎生意気なんだよ‼︎」

 

 

蹴りの連打が打つこまれる。

 

 

ッ速い⁉︎これ、ムリやな

 

 

何とか2、3発目迄はいなしていたが、結局は腹部に一撃を叩きこまれ受けた力を殺せず大きく後方に吹き飛ぶ。

 

 

「へっ、結局雑魚じゃねーか!…俺は雑魚と馴れ合うつもりはねーからな」

 

 

ベートは七郎治を見下し吐き捨てると、ガレスと早速訓練に入る。二人の手合わせを見ていたガレスとロキはやれやれとため息をつく。

 

 

「ロージたん大丈夫か?ウチが痛いとこさすったるからお腹出し?」

 

 

ロキがワキワキと手を動かしながら、七郎治に近ずく。面倒くさいので大人しく脱ぐ。

 

 

「えっ⁉︎ええの?…いや、あかん鎮まれウチの右手‼︎」

 

「どうしたんですか?」

 

「いや、何でもあらへん…。ああ、そうやった七郎治、ベートはあんな感じやけど根は良いやつやねん。仲良くしてやってな」

 

「はい、主神様」

 

 

ロキがベートの態度を見てフォローを入れながら再度お願いしてきた。その顔は利かん坊な子供を見守る優しげな親の顔だった。元々知っていたので特に機にする事もなく返事をした。

 

 

 

 

 

 

ベートが入団して三ヶ月が経った。アイズには及ばないが成長速度が早く先に入っている団員達にも追いつく勢だ。そのせいか、他の団員達にも悪態を付き見下す態度取るため度々喧嘩をしては問題を起こし、ファミリアに馴染めておらず、相変わらずの一匹狼だった。

 

それを見ている幹部勢はベートにとってもファミリアにとっても芳しくない状況だと思い、喧嘩の仲裁に入り叱咤するがベート本人はもちろんの事、他の団員もなかなか態度が改まらない。

 

 

「良いか、七郎治。儂から見ればお前はベートの兄弟子だ。しっかり面倒をみてやれ」

 

「はい、親方様」

 

「七郎治。私からもベートには言っておくが、お前からも注意してやってくれ」

 

「はい、副団長…」

 

「すまない、七郎治。僕達はファミリアだ。ベートの事を頼んだよ?」

 

「…了解です。団長」

 

「すまんな〜、ロージたん。ベートはホンマは優しいやつなんや。仲良くしてやってや〜。そや、ロージたんが傷付いた時はウチが慰めたる‼︎」

 

「あっ、はい」

 

 

何故か分からないが、ベートが問題を起こすたびに後から七郎治もそれぞれに呼び出されては同じ事を言われる。歳が近いからただそれだけなのか…。実際、歳の近いアイズは相変わらず無口で興味がなさそうで、ベートに普通に話しかけるのは七郎治くらいだ。

 

 

「おい、ロージ!あの狼人(ウェアウルフ)どうにかしろ‼︎」

 

「あっ、はい」

 

人間(ヒューマン)の男性が七郎治を叱る。

 

 

「何とかならないの?あなたの後輩でしょ?」

 

「はい、すみません」

 

エルフの女性団員が注意する。

 

 

「ベートが文句ばっかでやらないから、お前がやれ。たく、ちゃんと躾けとけよ」

 

「…」

 

ドワーフの男性団員が雑用をわたす。

 

 

うん、どげんすればやかろうやー

アキとラウルは担当違うし…。それに、あまり関わりたくないのかベートに必要以上に喋らんし。いや、それでもワシに気を使ってベートと打ち解けようとしてくれちょる…。

 

 

七郎治は遠い目をしながら雑用をこなしていた。ベートはプライドが高いからかこう言った雑用はしないで、ダンジョンに行ってしまう。急ぎな分は注意して、幹部勢の力を借りて無理矢理二人でこなすが、急ぎでない分は一人でやった方が早い為、二人分を引き受ける。

 

 

それにワシにばっか言われてもなー

ベートに態度をどうにかするよう、色々試したが聞かんし。

他の団員にベートの誤解を解こうとしても聞く耳持たんし。

ベートのレベルが上がれば原作みたいになるんかな〜

しゃーない、実力行使ばい…。

 

 

はぁとため息を吐きながら、どうしたものかと考える。しかし、状況は全く良くならず悪くなるばかりだ。

 

 

 

 

 

 

夕食時、ベートは食事のトレイを受け取り。空いているテーブルに一人でつく。団員達は誰も近付かず、むしろ嫌そうな雰囲気を出す。そんな様子を厨房の陰からロキ、フィン、リヴェリア、ガレスは覗いていた。

 

 

「嫌やなー。こんな夜メシ」

 

「全く困ったものだ。我々があまり口出しすると表面上だけになりかねない…」

 

「冒険者とは実力がものを言うが…。一人ではできん事も多いと言うに…」

 

「そうだね。ベートは強くなる。だけど、あれでは…おや?」

 

 

フィンは言葉をくぎり、食堂に視線を向ける。そこにはベートのところに向かう七郎治の姿があった。

 

 

「ここ。座りますよ」

 

「チッ、雑魚はあっち行け。飯が不味くなる!」

 

 

ベートが凄むが、七郎治は無視して座り食事を取り始める。今日は好物のカラアゲなので、心なしか嬉しそうだ。周りの団員達もチラチラと様子を伺うなか、そんな視線も無視して七郎治は連絡事項や当番の事を話し出す。

 

だが、その場の雰囲気がベートの癪に触り、七郎治のトレイを横に弾き落とし、床に散乱する。食堂が静まり返る。

 

 

「鬱陶しいんだ…。お友達ごっこがやりたいんなら他所でやれ」

 

「…」

 

 

七郎治は静かに立ち上がり、床に散らばったカラアゲを拾い上げ、何事もなかったように食べた。

 

 

「「「「ええ⁉︎」」」」

 

全員あっけにとられているなか、カラアゲを食べ終わりベートに向き直る。ふ〜と一息つくと怒りを抑え込む。役者は揃っている。気持ちだけは熱くしたまま叫ぶ。

 

 

「いい加減にせーよ⁉︎こんのクソ狼‼︎貴っ様、自分が何ばしとるかわかっちょるんか‼︎」

 

「…あ?」

 

 

その場にいた全員が驚愕する。たまにイタズラをしたりロキとふざけたりするが普段は敬語を使い、雑用もキッチリこなしあまり手のかからない子供である七郎治が感情的になり、言葉も鈍り丸出しで叫んでいるのだ。

 

 

「食べもんを粗末にしやがってから、マジで許さんげな‼︎」

 

「いや、お前、キャラ変わりすぎだろ!」

 

「あぁ゛?そげなもん猫被っとったに決っとろーもん‼︎アホウかお前⁉︎」

 

「いやいやいや!堂々としすぎっすよ⁉︎」

 

「社会人なんじゃけー、普通に第一印象を大切にするばい‼︎」

 

「社会人って、ロージはまだ子供じゃない‼︎」

 

「親元離れて社会に出たんなら、立派な社会人やろーもん‼︎」

 

 

ベートが余りの豹変にツッコムも、さも当然のように言い放ち。周りの団員達も次々にツッコミを入れる。

 

 

「ちゅーか、コイツとまともに向き合えん外野は黙っとれ!クソ共が‼︎しゃーしか(うるさい)‼︎ワシは今こいつと話しとるけんな‼︎」

 

「「「なっ⁉︎」」」

 

 

七郎治は騒ぎ立てる周りを睨みつける。余りの形相と怒気をはらんだ声に押し黙る。

 

 

「そんで…。おい毛玉‼︎」

 

「テメェー!誰が毛玉だ‼︎カマ野郎の雑魚が‼︎」

 

「せからしい‼︎オカマでも雑魚でもええわい‼︎それよかお前は何時までこげん事続けるつもりじゃ‼︎ガキみたいに駄々こねやがってからに…ケツん穴ば小さか男やな‼︎」

 

「テ、テメェ…。黙って聞いておけば!死ねオラァ‼︎」バキッ!

 

 

ベートが怒りに任せ七郎治を殴り飛ばすも、何事もなかったかのように立ち上がる。

 

 

「はっはー!こげん腑抜けた攻撃で死ぬわけなかろうもん‼︎」バキッ!

 

 

そこからは二人の手加減なしの殴り合いが始まり、止めに入る団員達も巻き込んで大乱闘だ。

 

 

「やれやれ。まさかこんな事になるとはね。七郎治ならもう少し上手く立ち回ると思っていたんだけどね」

 

「そうとう溜め込んでいたのだろう。七郎治が怒りを爆発させるとはな。我々にも責任がある。」

 

「ガハハハ‼︎彼奴らにはこんぐらいが丁度ええわい‼︎」

 

「んー、でもロージたん本気で怒っとると思う?」

 

「何?どういう事だロキ?」

 

「いや〜」

 

 

結局、フィン達が止めに入り、暴れるヤツを押さえつけその場を収める。そして明け方まで団員達全員を説教をした。ベートと七郎治は謹慎処分で黄昏の館の地下にある謹慎室(牢屋)に入れられる。残りの団員でグチャグチャになった食堂を片付けることに…。

 

 

「ふぁ〜。眠いっす」

 

「ちょっとラウル君!サボらないで」

 

「それにしても昨日はビックリしたっす」

 

「そうねー。ロージがあんなこと言うなんて…。」

 

「まぁ、アイツに八つ当たりしちまったからな後で謝らないとな」

 

 

「私も…。」「俺も」と他の団員達もアキとラウルの会話に加わり口々に言う。

 

 

「それに、ロージ君は団長達のお説教に意見してたっす」

 

「ああ、それもビックリした!誰も反論しないで、黙って聞いてるだけなのに、キッチリ自分の意見を言っていたわね」

 

「しかも、私達だけじゃなく…。ベートの事もかばってたわ」

 

「子供のくせにどんだけしっかりしてんだよ」

 

「仕方ない。私達も悪いところがあったもの…。今後を考えないと」

 

 

はぁとため息を吐き、黙々と後片付けを続ける。

 

 

 

 

 

 

 

ー謹慎室ー

 

「チッ、クソが…。なんで俺がこんな所に」

 

「仕方なかろーもん。そんだけの事をしたっちゃけん」

 

「だいたいテメェが…。くそ!」

 

「?あぁ、なんや」

 

「別に…」

 

 

ベートは悪態を吐こうとするも飲み込む。ベートなりに心境の変化があったのだろう。そんなベートをみて七郎治は話しかける。

 

 

「こっちはお前のおもりで大変やったんやぞ?」

 

「…」

 

「まぁ、いい機会やったけどね。猫かぶるんも面倒になっとったし」

 

 

カラカラと笑い牢屋も住めば都と言わんばかりにくつろいでいた。そんな七郎治の話に答えず。ベートは昨日の事を思い出す。

 

 

『いいかい?僕達はファミリアだ。互いに助け合い研磨しあっていくものだ』

 

 

乱闘騒ぎを止めた後、全員を床に座らせフィン達が説教をする。

 

 

『何が助け合いだ!足の引っ張り合いだろ⁉︎』

 

『毛玉‼︎いい加減にせい‼︎ダンジョンに潜りゃあ一人で行けるとこなんてたかがしれとるんぞ⁉︎それに一人で居れば誰だって自分が最強じゃろーもん‼︎井の中の蛙たい』

 

 

ベートが否定するも七郎治が反論する。

 

 

『オレ達だって、おまえと組みたくないね…』

 

『なんじゃ⁉︎ボソボソと、言いたい事があるんなら腹の底から声ばださんね‼︎毛玉の言いよる事が全部間違っとる訳じゃないんぜ⁉︎』

 

 

他の団員がベートに対して文句を呟くと七郎治が反論する。

 

 

『七郎治。少し黙ってくれないかい?』

 

『やかましいわ‼︎立ち場やなんだ気にしてワシに押し付けといてから、都合が悪くなったらしゃしゃり出てきてよ、引っ込んどれ‼︎』

 

『『『なっ⁉︎』』』

 

 

団長であるフィンに対してあんまりな態度の為、全員が目を丸くする。

 

 

『ボソ(ロージ君、マズイっすよ〜)』

 

『せからしいわラウル‼︎ワシは皆んなにどうにかせーって言われとるんじゃ‼︎そんならワシに任せてもらわな‼︎』

 

『そうだね。確かに僕達幹部は表面上の仲間にならない為に団員達に任せてきた。しかしこの有様だ。君はどう思っているんだい?』

 

『はん‼︎表面上のお付き合いが嫌なら、良かったろうもん。どうせ何言ったってお互い聞く耳もたんのやけん、言葉で理解しあえんならボディーランゲージだべ‼︎』

 

『『『はあ⁉︎』』』

 

 

あんまりな爆弾発言に団員達の声が揃う。その後も、ベートが何か言えば叱咤し、団員達が文句を言えば叱咤し、フィン達が全員を叱ろうとするものならそれを良しとせず、それの繰り返しだ。

 

 

『ほんで…。この事に責任者が欲しいんならワシをファミリアから追い出すなり好きにしたらええがな。後悔なんぞしとらん』

 

『『『ええーーー⁉︎』』』

 

『あっはっはっは!まったく、そこまで咎める気はないよ』

 

 

団員達は七郎治の一言一言に驚かされる。フィンも七郎治の思い切りの良さに清々しい思いを抱き、結局ベートと七郎治の謹慎処分で話を付けたのだ。

 

 

 

 

ベートは少し黙り込むと、七郎治に語りかけた。

 

 

「…俺は、弱いヤツが大嫌いだ。何もしないで諦めて、弱い事を嘆くだけの雑魚が、見てるだけで腹がたつ」

 

「あっ、そうなん?お前の本音はそれなん?…能ある鷹は爪を隠すって言葉があるように、上っ面だけじゃ、相手の本当の力量は分からんよ。これから、しっかり見極めたらどうなん?」

 

「…ああ」

 

 

ベートの意外と素直な返事にビックリするも、俯けているベートの顔が少し赤くなっているのに気づき、七郎治は気付かれないように小さく微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

騒ぎの後処理を済ませたロキ、フィン、リヴェリア、ガレスは執務室に集まっていた。

 

 

「はぁー、取り敢えずひと段落ついたかな?」

 

「そうじゃの。七郎治には苦労をかけたわい」

 

「そうだな。まさかあそこまでとは…。」

 

「むふふ…。見た目は幼女!中身は仁侠!その名もロージたんはウチの嫁‼︎」

 

 

ロキが訳の分からない事を叫び、はぁと自分達の主神に呆れ返る。

 

 

「それで…。ロキ?さっき言ってた七郎治が本気で怒ってないと何でわかったんだい?」

 

「ん〜?ロージたんはあんなに感情的に怒り狂うタイプとちゃう…。どこまでも静かに怒るタイプなんや」

 

 

ロキは普段は細められている目を薄く見開きフィンの問い掛けに答える。

 

 

「なぜそうと言いきれるのじゃ?」

 

「ッ⁉︎え?まぁあれや、ほらウチは主神やし〜なあ?」

 

 

ガレスの問いにビクッと震える。

 

 

「ロキ…。七郎治に何かしたのではないだろうな?」

 

「そ、そそそんなことせーへん⁉︎ウチはただ風呂に乱入したり?勝手に布団に潜り込んで柔肌蹂躙した…だ、け」

 

 

リヴェリアの怒気の含む声にロキはたじろぎ、ボロを出す。リヴェリアの背後に金剛羅刹像をみたロキは逃走をはかるも失敗し、乱闘騒ぎを起こした団員達より長い説教をくらい、ベートと七郎治が入っている牢屋にお隣さんが出来た。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「と、まぁこんな事があったっす」

 

「へぇー!結局ベートはベートだったんだ」

 

「七郎治っ‼︎あの野郎、団長に向かってなんて事を⁉︎」

 

「し、七郎治さんが礼儀正しいかったなんて嘘ですよね⁉︎ね、アイズさん‼︎」

 

「ん、ほんとだよ?」

 

 

ティオナはよく分からない納得をし、ティオネは七郎治のフィンに対する態度に激怒し、レフィーヤは普段適当な七郎治の子供時代に驚愕する。論点がずれた感想に昔の事を話したアキとラウルは苦笑いを浮かべる。

 

 

 

 





今回はベートと七郎治の話でした。
思ってた以上に文字数がいってビックリしました。

ベートは絶対最初からあんな感じだろうと勝手に決めつけました。そして七郎治の猫被りも捨てさる場面がようやくかけた次第です。



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