ダンまちに転生したが、脇役でいいや   作:冬威

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さぁ今回の遠征のラスボスです‼︎





イレギュラー

 

 

ーーー僅かな意識の中、戦闘音が聞こえてくる。

 

目を覚ます。

自分は誰かに運ばれているようだ。

相変わらず左半身の感覚が無い。

音の方に目を向ける。信じられ無い光景が映った。

 

林をなぎ倒し、先程の芋虫より遥かに大きく、およそ6M(メルド)の黄緑色の巨体に極彩色の模様。二対四枚の翼のような腕。芋虫を彷彿させる下半身に、女体を象った上半身。

 

四枚の腕を広げ、光が舞う。七色の粒子群が辺りに広がった瞬間、爆発を起こす。そんな中、風が盾となり爆発を防いでいる場所がある。

 

化け物(モンスター)と一人で戦っているのは、自身が主神より相棒になるよう言い使った少女。

アイズ・ヴァレンシュタインだ。

 

 

えっ?マジで?なんで?

 

 

起き抜けの頭を必死に動かす。そうこうしている内にアイズが必殺の『リル・ラファーガ』で止めを刺しにはいる。

 

 

なんだこの感じ?変な気配だ…

 

 

『見聞色の覇気』により何かを感じとる。七郎治は嫌な予感が身体を突き動かし、アイズのもとへ()()()()()

 

空中歩行(スカイ・ウォーク)』。これは『縮地』と違い一定間隔で魔力を放出し、空中を駆ける。

 

 

「ッ⁉︎七郎治⁉︎」

 

 

リヴェリアの声を背に前を見据える。アイズが女体型に止めを刺し、上半身を風が削り取る。敵は膨れ上がり爆発を起こし殲滅したと思えたが…その巨体の下から、爆煙に包まれた2体目が現れた。

 

 

「ッ‼︎‼︎⁉︎」

 

 

アイズは回避へと移行する。もう一度このモンスターを倒すには魔力を練り直さなければならない…。

ふと背後に感じる何時もの安心感。そちらに目を向けると宙を駆けるボロボロの相棒の姿があった。

 

 

「七郎治…」

 

 

 

 

 

 

【悪しき魂を持つ鬼の群れ。この世に禍をもたらす】

 

 

空中歩行(スカイ・ウォーク)』を止め、宙に身を投げ出し詠唱に入る。

 

 

【邪なる者を打ち払う。我、四ツ目ケ金眼の守人。鬼を打つ鬼とならん】

 

 

七郎治の身体が金色に輝く光を纏う。さすれば四ツ目の鬼が現れる。

 

 

【鬼・千・切‼︎】

 

 

魔力を纏った金色の巨大な斬撃が、横一閃に女体型を切り伏せる。切られた女体型が膨れ上がり巨大な爆発を起こす。

 

 

あっやべっ…避けきらんわ…

 

 

七郎治が冷静に考えていると、風が自分を包む。更には脇腹に手が下から添えられ、両膝の下を抱えられる。

俗に言うお姫様抱っこだ。

 

 

 

仲間達全員が固唾を飲んで、舞起こる爆煙を見つめるなか二人の人影が見えた。アイズとお姫様抱っこされた七郎治だ。

 

 

 

「「「ーー‼︎‼︎」」」

 

 

歓声が湧き起こる。誰もが仲間の帰還を喜んだ。

ようやく50階層での戦闘を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて?七郎治、なぜ勝手に飛び出した?」

 

 

凄く良い笑顔のだが、目が全く笑っていないフィンとリヴェリアの前に、アイズにお姫様抱っこされたまま突き出される。

 

 

「だっ、だってアイズ嬢が飛び込むけん…」

 

「今回は、フィンの指示に従ったんだよ?」

 

 

アイズがどこか得意げに答える。

 

 

「うっそ⁉︎マジでか⁉︎…ワシも心の中の団長の指示に従っただけじゃ」キリッ

 

「七郎治〜?言いたいことはそれだけかい?」

 

「すんませんでした‼︎‼︎」

 

 

七郎治が全力で謝る。

 

 

「ガハハハ‼︎まぁ良いではないか。実際2体目が現れたときはどうなるかと思ったわい」

 

 

そう言うと近ずいてきて乱暴に七郎治の頭を撫でる。我らが親方様が助け船を出してくれた。

 

 

「はぁ〜しょうがないな。アイズ、帰りは七郎治を見張っておくように。」

 

「うん。…」

 

 

アイズは何かを考えると、七郎治を背負い直し落ちないように紐でくくる。

 

 

「アイズ嬢…どげんしてこうなった?」

 

 

そうアイズは背中合わせになるように結んだのだ。アイズの頭から少し七郎治の頭が出て、足は地に付かない。余談だが七郎治の身長は少しアイズより小さい。

べっ!べつにまだ14歳だから、これから身長が伸びるんだからね‼︎

 

 

「抱えてたら、戦えないでしょ?」

 

「いやいや、背負わんでも良かろうもん‼︎ワシは荷物か⁉︎文字通りお荷物ってか⁉︎」

 

 

そんな二人の姿をみて爆笑する団員達、一部はアイズと密着する七郎治を睨み付ける者と毛玉。

 

 

「…七郎治。あんまり無茶したら、ダメだよ?皆んなを守る為でも、ダメ…。約束、覚えてる?」

 

「アイズ…」

 

 

二人には他の誰も知らない約束がある。だから、アイズは心配し、怒っているのだ。七郎治はコツンとそっと頭でアイズの頭を小突く。

 

 

「さぁ、主発するぞ」

 

「えっ?このまま?」

 

 

フィンの号令と共に団員達が動き出す。

自分達の帰りを待つホームへと。

 

 

 

 

 

 

ダンジョン内に七郎治の絶叫が響きわたるとも知れずに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 






七郎治の運命はいかに‼︎

七郎治とアイズの約束とは?そのうち放り込みます。



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