Fate/Zero 聖娼婦とおじさん   作:八神っち

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 むむむ……やはり2次創作は難しい


状況整理

 聖杯戦争への決意を新たに雁夜はキャスターに飯(流動食)を作って貰い、それを食べながら現在の状況の確認を行う。

 

 

「シャムハト、今はまだ聖杯戦争の開始は宣言されて無いんだな?」

 

「はい。未だにバーサーカーの召喚が行われていないため監督側からの宣言はございません」

 

「そうか。それでシャムハトは聖杯戦争についてどれ位知っている?」

 

「聖杯から与えられたルールと知識分だけですね。相手の情報とかはさっぱりです」

 

「相手に関する情報は無しか。じゃあシャムハトはサーヴァントとして何が出来るんだ?」

 

「サーヴァントとしてですか?そうですね……」

 

 

 自身のステータスを確認しながら出来る事を伝わりやすい様に配慮して一つずつ上げていく。

 

 

「私が出来る事は前提の超効率の魔力の供給を除き、大体3つだと思ってください。まず、人ならざる者もしくは狂化やそれに属するスキルを持つ者への強力な魅了ですね」

 

「人ならざる者への魅了……か」

 

「はい。そして魔力の浄化、又は狂化及びそれに属するスキルの解除。こちらは魔力を供給する必要があります」

 

「魔力の浄化……成程それであのジジィを」

 

「普通なら消滅まで至らないのですが……それは置いときましょう」

 

「ああ、すまない続けてくれ」

 

「3つ目は魔力の供給を行った相手との記憶・知識の共有ですね」

 

「……その3つだけなのか?」

 

「陣地作成や道具作成には期待しないで頂けると幸いです。あとは宝具なのですが」

 

「何か問題があるのか?」

 

「2つあるのですが、1つは発動したら長時間マスターの傍を離れる事になってしまい、その間マスターが無防備になってしまいます」

 

「マスターである俺が狙われたら危険だと」

 

「そうです。そしてもう1つの宝具がその宝具を発動しないと使えない物でして……」

 

「その宝具でサーヴァントを相手どれるのか?」

 

「ほぼ勝てるかと」

 

「大きく出たね。やっぱり俺のサーヴァントは最強なんだ」

 

「慢心はダメですよマスター。宝具以外は戦闘向きじゃ無いんですから」

 

 

 雁夜をなだめながらもキャスターは自身の事をふまえて今後の行動に2つの案を出す。

 

 

「戦争の間、屋敷で相手が減るのを待つ。安全策ですが陣地作成が出来ないので、複数の相手から一度に狙われるとキツいですね」

 

 

 普通のキャスターなら陣地作成の能力での神殿構築で穴熊を決め込む事が出来るのだが、雁夜のキャスターはその戦術が不得手である。そこでもう1つのキャスターらしい戦い方を提案する。

 

 

「そこで他のマスターと同盟を組んで戦うのが2つ目の案です。こちらが魔力の補助を行い戦って貰う。こちらの案のリスクは言うまでもなく同盟相手の裏切り行為ですね。契約によって不可侵の締結を許可して貰えるのが必須でしょう」

 

「キャスターとしてはどちらの案が良いと思っているんだ?」

 

「どちらもリスクが存在しますがマスターの寿命を考えると後者で短期決戦を申し出たいのですが……コレは相手を見てからでも遅くないかと」

 

 

 桜の願いの1つである雁夜の生存だがこちらはリミットが存在する。バーサーカーの召喚がいつ行われるか分からない以上、悠長に構えてられないのが現状である。

 

 

「そうか……そうだね。ひとまず方針としては相手の情報を集めながら同盟相手を決めて同盟を組む。これで行こうか」

 

「マスターの意のままに」

 

 

 その後、同盟を組むにしてもこの土地について知らないといけないのとキャスターの服や食料の購入の為に一旦買い物がてら冬木市での探索を行う。

 

 

「それにしてもシャムハトは俺のシャツとズボンでごめんね」

 

「いえ、ご配慮感謝します。雁夜さん(・・・・)

 

 

 人前でマスターと呼ぶのはおかしいという事で名前で呼ぶことになったキャスターであるが、その恰好が下着なしのYシャツと男物のズボンと街を歩くには少し煽情的な姿である。たわわに実っている胸に視線を集めながらもそれを気に掛ける事無く雁夜に話しかける。

 

 

「それにしても知識としては知っていますが実際に見てみると人類の進歩はすごいですね。ウルクとは大違いです」

 

「時代が違うからね。気に入ったかい?」

 

「空気の汚れを除けば気に入りました。人々がこんな安心しきった顔で生活できるのは喜ばしいことです」

 

「普通に暮らす分には不自由が無い国だからね」

 

 

 他愛ない事を話しながらも近くのデパートに到着し、洋服の購入を行う。途中で雁夜が彼女ですか?と尋ねられたのはご愛嬌である。

 服の購入を完了させ、現在の恰好は地味な緑のワンピースとカーディガンとまるで思い人を投影したかのような洋服のチョイスであった。

 

 

「これが遠坂……桜さんの元の家ですか。随分裕福に見えますが」

 

「ああ、実際裕福なんだ……本当は桜ちゃんがあんな地獄に行かなくても良かったのにっ!」

 

「雁夜さん……」

 

「あら?雁夜さんじゃありませんか」

 

 

 憎まし気に屋敷を睨みつけていると横から声がかかる。そちらに視線を向けるとキャスターと似た格好の女性が立っていた。

 

 

「あら?そちらの女性は彼女さんですか?雁夜さんも隅に置けませんね」

 

「葵さん……いやこの人は……」

 

 

 言い淀む雁夜を見かねたキャスターは誤解の無いように自己紹介を行う。

 

 

「どうもシャムと申します。雁夜さんとは向こうで知り合い、日本の観光を行う際に泊めてくれると言って貰ったので泊まっている所です」

 

「あらあら外国から……流暢な日本語ですね。私は遠坂葵と言います。雁夜さんとは昔からのお友達(・・・)でこの屋敷の持ち主の妻です。桜は元気に(・・・)していますか?」

 

「……ええ桜さんは元気ですよ」

 

 

 悪意無く雁夜の地雷を踏み抜く葵にキャスターは内心で苦笑いしながらもそれを悟らせない様に返す。チラリと雁夜の顔を横目に見やると哀愁と憎悪が入り混じった表情を浮かべていた。

 

 

「では、私達はこれで。機会があればまた会いましょう」

 

「あ、はい。いつでも遊びに来てください」

 

 

 雁夜の暴走も配慮して早々に屋敷から離れる事にしたキャスター。なお、キャスターの存在は葵から時臣に伝わるのは1時間後の事であった。

 

 そんな事がありながらも3日後、バーサーカーの召喚が確認され聖杯戦争の開始が宣言された。




 シャムハトの能力は逸話の超独自解釈の結果です。今のFateならこれ位いけるだろうと思いました。
 シャムハトの超ピンポイントすぎる能力でどう戦っていくのか……次回を待て(書くとは言ってない)。

最後にシャムハトのステータスだけ公開

【CLASS】キャスター
【真名】シャムハト
【性別】女性
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力E 耐久C 敏捷E 魔力A+ 幸運B 宝具A
【クラス別スキル】 陣地作成E 道具作成D
【スキル】 魔力譲渡A 魔力浄化A+ 狂化解除EX フェロモンA
【宝具】『???』B 『???』A

 スキル的には冬木や月のタイマンやそれに近い形は不向きで、どちらかと言えばアポやGOの大戦方式の方が向いている感じですね。
 スキルは文字の通りの効果です。記憶・知識の共有は魔力譲渡の中に含まれています。

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