24 / 45
エピローグ
奇怪な建物が立ち並ぶ近代的な都市の一角。
そこに赤いリボンをあしらった白い日傘を差す少女が一人、宙に浮かんでいた。
黄色いネクタイが目立つ赤白格子柄のベストの下に半袖のブラウスを着込み、赤いもんぺを合わせた服装をしている。
背中まで伸ばした翡翠色の髪が風に揺らされ、その都度手で押さえながら視界を遮るのを防ぐ。
少女の赤い瞳は遥か彼方を見据えている。
「いい天気ね。もうすぐ夏だわ。そろそろ帰らないといけないのだけど……」
少女の瞳が感情の色を変えて、好奇心を宿す。
「でもこんな面白そうな戦いは見逃せないわ」
視線の先で派手に戦い合う影を眺めて少女は胸を高鳴らせた。
「見ててね。太陽。私は生きて遊んでくる。例えその所為で夏が過ぎ去ってしまってもきっとあの場所は私を温かく迎えてくれるわ」
そう。向日葵郷は少女を拒まない。
いつでも、いつまでもそこにあって。
いつまでも、変わらずにいてくれる。
それを理解してるから少女は自由に生きていけるのだ。
「西方で戦う連中に魅せつけてやるわ。東方の大妖怪、風見幽香の力を!」
白い傘をひらりひらりと回転させながら、少女はふらふらと飛んでいく。
途中で開いた六枚の翼をはためかせながら。
もうすぐ夏が来る。
風見幽香に会える夏が来る。
-おわりー
本作はこれで終了となります。
プロットもなしに手軽に簡単に執筆してきましたがどうでしたでしょうか。
読んでくださっている方の暇潰しにでもなればいいと思いますが。
次回作は多分執筆するなら
「幻想郷探偵パッチェ・サンダー」
をお送りしたいなと思います。
※今回もプロット無しのほのぼの適当。
では。