モンスターハンター 紫煙の狩人 第二回アンケート実施中   作:蜘蛛の意図

13 / 17
非常に遅れてしまい申し訳ありません。学校などでショックなことがあり執筆活動ができませんでした。これから少しずつペースを上げて書いていこうと思うのでよろしくお願いします。


龍歴院調査団、目的地に到達する

*

 

「うわぁ、すごぉい!!飛行船より全然速い!!しかもずっと快適!!」

 

「それに酒場や加工屋や雑貨屋、挙句の果てに飯屋まであるとはな……うちの猟団でもここまでの物はなかったな」

 

「そりゃ元々空中での長期調査用に作られた龍歴院技術局お手製の飛行艇だからね。一通りの生活はできるはずだ」

 

現在、遺群嶺遠征隊計12名のハンターたちは龍識船の中に搭乗し目的地に向かって大空高く出発していた。乗ったメンバーたちは目的地に着くまでの時間、思い思いの時間を過ごしていた。双子姉妹は雑貨屋がある方の船に行きアイテムを物色し、アルスとヒィトはもう片方の酒場の方に向かい、早速料理の方を頼んでいた。そして、特にすることが何もなかったテノアとブルーノはシエンの付き添いで龍識船内を見学していた。

 

「しかし、テノアはともかく君からも案内してくれと言われたのは驚きだったよ、ブルーノ。君たちの団長、カイ………『蒼天の剣聖』は僕のことを蛇蝎のごとく嫌っているはずだが……僕としゃべってていいのかい」

 

「別にいいさ、今はあの男はいねぇんだ。それにあんたと一回しゃべってみたかったんだ『紫苑の荼毘』」

 

「……どういうことだい?」

 

シエンが静かにブルーノに聞き返す。するとブルーノはシエンの前をに立ちまっすぐ彼の甲冑を見つめた。

 

「俺たちも一度ティガレックスを倒したことがある。でもその時はあのバカ双子の遠距離攻撃。隊長のハンマーでの気絶攻撃。俺が当時持っていた睡眠属性の片手剣。そして罠を現地調合してやっと狩猟できた……。でもあんたは、俺たちが戦ったやつより数段強い個体をたった一人で五体満足で狩猟した、………はっきり言ってあの時、戦慄すると同時に憧れを持った……」

 

「要領が得ないな、はっきり言ってくれないかい?」

 

「わかった。単刀直入に言う、俺をあんたの弟子にしてくれないか?」

 

「「………!!」」

 

この時、あまりに意外な申し出があったためシエンもテノアも思わず目を見開いて驚いてしまった。剣聖連合は極めて閉鎖的な組織であり猟団外のパーティ編成さえ禁止にしている。ましてや団長が個人的に嫌っている人物に教えを乞うなど言語道断。つまりこの言葉が示しているのは、

 

「君は剣聖連合の脱退を考えている。……そうとっていいんだね?」

 

その言葉にブルーノは真剣な表情で頷いた。その姿を見ながらもテノアは動揺した口調でブルーノに問いかける

 

「でも、いいの?剣聖連合って超大型生物や古龍をもう何回も討伐撃退したことがある龍歴院最大の猟団でしょ?それに生活もその辺の下級貴族よりいいって噂だし……もう少し考えた方がいいんじゃないんですか?」

 

「いや、脱退することはもう決めたことだ。あそこじゃ俺は古代林の監視員と時間稼ぎで終わっちまう。それにパーティだってバカ双子はもちろん、上位2級の隊長さえ今のハンターらしくない現状で満足してやがる……!なぁ頼む!!俺ができることなら何でもする!!だから俺を弟子にしてくれ!!」

 

「………わかった。その代り条件がある。ブルーノ、テノアついてきてくれ」

 

シエンは二人に背を向け奥の方にあった扉の中に入っていった。テノアとブルーノも続いてその扉の方に入った。すると、そこには大きな地図が張られ龍歴院の制服を着た竜人族とアイルー、そしてシエンに付いてきていた素朴な顔立ちのグラビ装備の男とチャラい感じがするアグナ装備の男が何やら作業をしている部屋に到着した。二人が辺りを見渡しているとシエンから説明が入る

 

「ここは研究室。モンスターの素材等を分析したりデリバリーアイテムというクエストの途中にアイテムを届ける装置の開発整備等を行っている場所だ。………主席研究員。例のクエストの件を彼らに任せたいのですがいいでしょうか?」

 

「ああ、もちろんだ。狩りのパーティに関しては君に一任している、頼むよ」

 

「何の話スか?つか俺らも聞いた方がいいスか?」

 

「いや君たちはあとで話す。予定通り君たちは君たちの予定通り行動してくれ」

 

「わ、わかったんだな」

 

竜人族の主席研究員の応答に軽く会釈した後、疑問的な表情をしていた二人の方を向き話の概要を伝え始める。

 

「もうすぐ遺群嶺に到着する。そこで簡易的な研究用、休眠用テントを設営しなければならないがあまり時間は無駄にしたくはない。そこで目的地に到着したら君たち二人と手が余ってそうな二人に早速クエストに行ってもらう」

 

「それを無事にやりきるのが条件ってことか……面白い、やってやる」

 

「で、そのクエストってなんなの?4人で行くってことは大型モンスターの狩猟?」

 

「いや、どちらかと言えば採取クエストに入る。これを5枚以上集めてもらう」

 

と、シエンが二人に見せたのは、大ぶりの黒く焦げた甲殻だった。形は不揃いで剥ぎ取ったというよりかは、千切れ落ちたという印象がある素材だった。テノアにはこれが少なくともそんなに価値があるものには見えなかった。ブルーノもその素材に首をかしげていた。

 

「これは『灼けた甲殻』。現在龍歴院が全力で探している希少な素材だ。ボロボロなため素材には向かないが成分を分析すると普通の甲殻とは異質の構造でできていることがわかる。以前のネコ斥候隊の話だと遺群嶺はこの甲殻が普通の狩場より比較的多く確認されているらしい」

 

「要するにそれを集めて来いってこと?」

 

「フン……ずいぶん舐められたもんだな……そんなもんバラけて行動すれば収集すれば10分と掛からず終わるぞ……」

 

「まあ一応念のためだ。まだ遺群嶺は階級分けが決まっていない狩場だし、リオレウス等の飛竜の観測も確認されている。用心に越した話はない。……と、そんなことを話しているうちに二人とも窓を見て見ろ」

 

シエンに促されテノアとブルーノは窓を覗く。するとその時二人が見えた光景は、とても神秘的なものだった。

 

「うわぁ……!!きれい……!!」

 

「すげぇ……まるで秘境じゃねぇか………!!」

 

まるで、天にまで届くかのようにそびえる山、その上にまるで大自然が作り出したような雄大さと古代の人々が作り上げたように思われる古代の遺跡が完全に融合したような見ただけで全てを圧倒する光景だった。

 

遺群嶺。天高くそびえる天空の聖域。

 

 

「「遺群嶺に、とーちゃーく‼」

 

「イェイっっ!!」

 

「おい、バカ双子プラスアホ……ボケやってねぇでさっさと荷物降ろすの手伝え」

 

遺群嶺に到着した調査団面々は当面の生活拠点とあるベースキャンプ付近に龍識船を着陸し、消耗品や早急に使う物資、簡易テントの材料等を運んでいた。本来はそういう雑務をするアイルーや従者もいるのだがこれはハンターがやった方が最も効率がいいというシエンの意見から行っている。一通りの作業が終わった後シエンは調査団のハンター全員を集めて今後のミーティングを始めることにした

 

「もうテノアとブルーノには話したが今からテント設営、ベースキャンプ防衛班と採取クエスト班の二つに分けたいと思う。今のところ本人の強い希望でテノア、ブルーノがクエスト班。僕、ユカリ、モーリィ、クラウスは今後の方針について隊長たちと話をしなければならないから防衛班に回る。他は何か希望があるかい?」

 

シエンはハンターたちを見渡して見ると、エレンとアルス、アオイが手を挙げた。

 

「今日はリズムが合いませんクエストはほかの方々に譲りましょう」

 

「俺も今日はやめておくよ…………ちょっと酒場で調子のりすぎて気持ち悪いんでね」

 

「私らも今回はパスするわ。だって採取クエストじゃ大したお金にならないし~」

 

「ほ、ホントホント!お、お姉ちゃんが言うなら私もやめとくー!」

 

アイだけは途中で言いよどんだがとりあえずこれで防衛班の規定人数ちょうどになった。ということで必然的に、

 

「じゃあ、消去法になってしまうが、ヒィト。そしてギーヴ。君たちに今回のクエストを頼みたいのだけど……いいかな?」

 

「おぅ‼任しときな‼なに集めるかしらねぇが、がっぽがっぽと集めてやるぜ!!」

 

「チッ。テメェに命令されるのは気にくわねぇが、まぁ狩場がどんなのかは見てみてぇ……ただし一つ聞かせろやぁ」

 

「……何だい?」

 

「クエストターゲット以外の中、大型モンスターが現れた時、フリーハントしていいんだろうなぁ……?!」

 

フリーハント。採取クエスト、小型モンスター討伐クエスト等で依頼書には乗っていなかったモンスターが現れた場合に行う依頼に全く関係ない狩猟のことである。例を挙げるなら以前の古代林でシエンが親ティガレックスを狩猟したこともフリーハントに分類される。

もっともこれは一歩間違えば狩場の環境を乱してしまう危険な行為であるため、ギルドや龍歴院が許可した場合、又は戦闘を回避することができない状態の場合のみ行うことを推奨される

 

「もちろん構わないが、かなわないと確信したらすぐに引くように。他の三人も分かったね」

 

「………うん、分かってる」

 

「……了解。」

 

「要するに負けなきゃいいんだろ余裕余裕!!」

 

「チッ、…!」

 

テノアとブルーノは静かにうなずき、ヒィトは大きな声でサムズアップ、ギーヴは大きめの舌打ちをした。前半の二人に関してはシエンは不安視していない。テノアは古代林の一件からハンターとして心身ともに成長しているし、ブルーノは自分では卑下しているが以前もらったハンターとしての戦歴や今の反応を見る限りなかなか腕のいいハンターであることがわかる。

心配しているのは後半の二人、ヒィトとギーヴだった。どちらも違うベクトルで短絡的な思考の持ち主であるため自分が劣勢な状態になった時きちんと冷静になれるかどうか不安である。特にギーヴは自分の想像以上に自分を敵視しているため自分の忠告を聞く保証がほとんどない

 

「では四人とも早速クエストに出かけてくれ。ベースキャンプはあちらにある」

 

シエンは四人に向かって発破をかけながら、クエスト出発を促す。頭の片隅でこの不安を消す思案しながら。

 

クエスト:新天地にて焼けた星見たり

フィールド:遺群嶺

環境:不安定

メインターゲット:灼けた甲殻を五つ納品 3000z

サブターゲット:なし 

制限時間:50分

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。