やっぱり失敗のない告白をしたい戸部の甘い考えは間違っていた   作:春の雪舞い散る

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 初日は陽ノンと放課後デートで次の日はママノンと観劇デートですが役者や演出に若干触れていますからわかる方もいるかと思います   


雪ノ下母子とデート

 

 

  ①  比企谷家の流行り

 

 

 小町の誕生日後比企谷家では俺の執事ごっこが流行っていて何だかんだと言っては家族の会話も増え家族の団らんという状態が生まれつつあった

 

 そして受験の終わった小町はともかく俺までもが比企谷家の味…

 

 母ちゃんに料理をいわゆるところのお袋の味を仕込まれている事態になってしまい

 

 「専業主夫目指すなら当然の事」

 

 そう言われて反論は許されず朝食の仕度弁当作りをしている、自作の弁当持参で通う為に…

 

 しかも親父と母ちゃんに学校の無い=給食の無い小町の分も用意してるがその分小遣いに反映されるため頑張っている

 

 部活は奉仕部に皆が集まること減ったがそれぞれに他の部活の応援に奔走している

 

 沙希と一色は主に家庭科クラブ、優美子はテニス部と言った感じで俺は日替わりでクラブ、同好会を回っている

 

 そして金曜日、ららぽで陽乃さんと待ち合わせ

 

 うん、相変わらず目立つ人だ…いや、そんな大きな声で呼ばないでくださいよ?難聴系の主人公じゃないんですから…

 

 ほら、陽乃さんみたいに綺麗な人が呼んでるのが俺みたいに冴え無い奴だからがっかりした女性の皆さんが俺を見て顔を真っ赤にして怒ってらっしゃるじゃないですか…

 

 まぁなれたくなくてもなりされてきてますけどね

 

 「お待たせしたようですいません」

 

 そう言って頭を下げる俺の右腕を抱き込み

 

 「悪いと思うなら今日の残りの時間くらいこの腕を私に預けなさいよっ♪」

 

 そう言って俺の腕を抱き込む腕に力を入れるもんだから陽乃さんの愛と勇気の印につつまれてヤバいぞ俺の理性が…

 

 そう理性と悩める性少年の煩悩が格闘していると

 

 「今度はうちのキャンパスにも遊びに来てよ?君に会わせろって煩くて参ってるんだよねぇ~っ♪」

 

 そう目が笑ってない笑顔が怖いので勘弁してもらえませんかね?ホント勘弁してくださいよ

 

 そう思って溜め息を吐きなから

 

 「良いですよ?今の俺にはいつでもととは言えなくなってるのはご承知の通に小町が仕切ってますからね

 

 一応俺の方からも開けておくように言っておきますが陽乃さんの方から都合の良い日を打診しておくのも有りだと思いますよ?」

 

 そんな事を話ながら最初に訪れたのは

 

 「紳士服売り場って…俺それほど持ち合わせ有りませんよ?って陽乃さんの聞いてますかぁ~っ……」

 

 心配して俺が聞くと

 

 「そんな事比企谷君が心配しなくても大丈夫だよぉ~っ、明日の観劇デートは憧れてた息子との観劇したいって夢を疑似体験させてあげてよ?」

 

 そう言われて

 

 「それとこれとは「別の話なんかじゃないよ、八幡…体裁を言うなら総武の制服なら十分フォーマルウェアの役を果たせるけど…

 

 雪ノ下夢乃の息子役には今一つ物足りない…

 

 って事でお母さんのわがままに付き合ってあげてよ、息子だって着飾らせてみたいんだってさ

 

 八幡もたまにはお母さんの前でシャキッとした格好してみたら?きっと喜んでからさっ♪」」

 

 そう言われてもあまり納得する事は

できなかったがそういうものだと考える事にした

 

 

 

 ②  迷子

 

 

 俺と陽乃さんは服の裾直しをしている間時間潰しにお茶でもって事になり二人で歩いていると

 

 「…陽乃さん、どう見てもあの女の子…迷子ですよね?」

 

 そう話す俺達の視線の先に居る赤い髪の少女

 

 「そうみたいね…外国人だからって避けられてるみたいだね…」

 

 そう話してる間に少女の目に涙が溜まり今にもこぼれ落ちそうになっているのが見えて放っておけなくなり

 

 「ちょっと行ってきます」

 

 そう言って少女に近付き少女の目線で大丈夫かと英語で話しかけると

 

 「私、白井杏子…日本人だよ、ママは違うけど…ママだってちゃんと日本語お話しできるのに…」

 

 そう言われてよく見てみると

 

 (成る程ハーフか…)

 

 陽乃さんもそう思ったらしい

 

 「お父さんとお母さんはどうした?」

 

 俺がそう聞くと悲しそうな顔をして

 

 「ママは病院、パパはつきそいだから私は浜河内のおじさんとこに遊びに来ててお兄ちゃん達と遊び来たんだけど…」

 

 そう言って涙ぐむ少女の頭を撫でると最初は驚いた顔をしたがすぐに嬉しそうな顔をしたが俺は違うことを考えていた

 

 「あ…○○の浜河内さんの事か?元網元の…」

 

 そう俺が問い掛けると少女は頷いて

 

 「ペンションやってる人」

 

 そう言われてあっさり連絡先があっさりわかった…正確には親父が知っているのだが

 

 そう思ってスマホを取りだし親父に電話している不安そうな顔をする少女に

 

 「安心しろ、連絡取れる目処がついたからもう少しだけ待ってろ…

 

 あ、親父…仕事中悪いんだが○○の浜河内さんの知り合いの白井杏子ちゃんって娘がはぐれててな…ああ頼む、俺の番号に連絡してくれれば良い、わかった」

 

 そう言ってスマホを閉じ

 

 「杏子ちゃんって比企谷って変わった名前のおじちゃん知ってるか?」

 

 そう俺が聞くと少し考えてから

 

 「うん、知ってる…おじさんのお友達の面白いおじちゃん」

 

 と、言うのを聞いて親父…なにやってるんだよ?と、思いつつ

 

 「そうか、その面白いおじちゃんは俺の親父で親父も杏子ちゃんの事を知ってたから今、浜河内さんの所に連絡してるから俺達と一緒にお迎え待てるか?…」

 

 俺がそう聞くと

 

 「一人じゃないなら…お兄さんとお姉さんが一緒なら…」

 

 そうはっきりと答えたから

 

 「わかった、ならここでぼーっとしてても仕方ないからフードコートでジュースでも飲んで待ってるか?」

 

 そう話し掛けると再び悲しそうな顔をして首を横に降り

 

 「ジュース飲んだら帰りの電車賃が足りなくなっちゃう…」

 

 そんな悲しいことを言うから

 

 「俺にはな、お前よりはずと大きいけど妹が居るし仲の良い友達の弟と妹はお前とそんなに変わらないくらいなんだ

 

 だからお前がそうやって悲しそうな顔をしてると幼い頃の妹やその子らが悲しそうな顔をしてる気分になるからそんなのは千葉のお兄ちゃんの名折れ、妹は妹らしくお兄ちゃんに格好つけさせろよな?」

 

 そう俺が言うと嬉しそうに

 

 「お兄さんは格好つけなくても十分格好良いよ、ねっお姉さんっ♪」

 

 そう言ってやっと明るい笑顔を見せてくれた

 

 それからしばらくして浜河内さんが迎えに来て連れられていったが去り際に陽乃さんの耳元にナニかポショポショ言ったかと思ったら陽乃さんの顔が真っ赤に染まっていた

 

 手を降りながら去っていく少女を見送り

 

 「あの子、陽乃さんに一体なんと言ったんですか?」

 

 と、それが地雷とも知らずに聞いてしまったら

 

 「お二人の式には呼んでね?私がお姉さんの後ろでベールを持つからって…」

 

 そう言われて俺も自分が真っ赤に染まっている自覚があったが

 

 「つっ…」

 

 と、言葉がでなかった

 

 

 

 

 

 ③  雪ノ下本宅 

 

 

 

 その夜ある意味陽のさんにお持ち帰りされた俺は雪ノ下の客間に泊まることになった

 

 ママノ下さんが明日は朝から付き合って欲しいからだそうで家にも既に外泊の事は伝えてあるそうでてっきり食事の後に解散と思っていたら雪ノ下家本宅に案内されビックリしたものだ

 

 翌朝すっかり大人しくなった雪ノ下も含めて雪ノ下家ノ皆さんとの朝食

 

 すっかり静かになって落ち着いた由比ヶ浜は給仕として居合わせているがその姿に馴染めない俺的には落ち着かなかった

 

 なんにしろ最近めっきり接触の無くなった二人の変化に驚く程だった

 

 朝食後、早速昨日買ってもらったスーツに着替えると向かった先は意外や意外だがちょっと考えると当たり前の事なのだが建設中のホテル

 

 つまり雪ノ下建設の現場の視察に来たわけだが勿論こんなところに来たのは初めてだから不思議な感じがした

 

 完成予定図と現状をしきりに見比べる俺を勘違いした現場責任者が不快そうに

 

 「何か問題でも有るのでしょうか?」

 

 そう聞かれて

 

 「そんなのは素人の俺がわかるはず無いじゃないですか?ただその…何と言えば良いのか…そう、とても不思議な気分なんですよ」

 

 そう何とか言葉にすると俺の多分予想外に感じたんだろう

 

 「不思議…ですか?」

 

 そう聞き返してきたから

 

 「えぇ、不思議ですね…今は何も無いこの空間がこうなるって思ったらなんか魔法みたいだな…

 

 そんなことを想像したらなんかとても不思議な気持ちになったと言うか…なんか変ですよ?自分で言っててなんなんですが…」

 

 パンフレットの完成予定図と未だ内装工事の始まってない屋内を見比べながら俺がそう言うと

 

 「その話を聞いたらデザインを手掛けた者も喜ぶでしょう…

 

 成る程、わざわざ奥様が現場の視察にお連れするだけの事のある青年だ…」

 

 と、ナゼか変なことを言ったのに気に入られてしまった

 

 お昼は早めに取ることになり移動中の道すがらにある小料理屋と言った佇まいの店でどうやらママノ下さんは顔馴染みらしい

 

 昼御膳と言う日替わりランチを頼みママノ下さんと談笑…主に部活の話をしていると店の女将らしき人が現れ

 

 「今日は珍しくお連れが居るんですね?」

 

 そう話し掛けると

 

 「料理を楽しみたい時は一人か気心の知れた者とでなければ楽しむどころの話ではありませんからね

 

 この青年は現在外堀を埋め娘婿になってもらおうと画策中の男性で勿論娘とも親しいので無理矢理ではありませんよ?」

 

 そんなぶっとんだ紹介をされ焦っていると

 

 「うちの倅もそれくらいの覚悟があれば良いんですけどねぇ~っ♪」

 

 そう辛うじて聞き取れた言葉に首を捻りつつ

 

 (まぁたまたま聞こえてしまっただけで俺に聞かせるつもりの無い呟きを立ち入って聞くのも失礼に当たるし俺に何かできるわけでも無いのだからな)

 

 

 

 

 

 ④  歌舞伎の世界へようこそ

 

 

 新橋演舞場…歌舞伎か?

 

 ママノ下さんに誘われなきゃ一生涯縁がなくても何ら不思議じゃない世界だな

 

 肘おきに肘を置いてパンフレットを開いてみたが勿論よくわからない

 

 主演の五人が若手で…なんだよ、皆高校生じゃねぇかよ?なら名前知らなくても…あ、こいつだけは微かに見覚えがある

 

 小町が読んでる偏差値の低そうな雑誌の表紙に顔が写ってたのを見た覚えがある…へえ、歌舞伎役者だったんだ

 

 演目は白浪五人男…何だよ、あの演出…おーすげっ!スーパーヒーロー戦隊みたいでマジに格好いいな…

 

 弁天小僧役をやってる役者さんも戸塚に負けてない可愛さだな…小悪魔的な…一色を思い浮かべるな

 

 …歌舞伎って古くさいとか堅苦しいとかイメージあるから縁の無いもんだとばかり思ってたけど………

 

 観劇料が高いからやはり俺には縁が有るとは思えんな

 

 それに役者さんて確か梨園の御曹子って呼ばれてる連中…

 

 改めてメインの五人の顔ぶれを見てはぜろリア充っ!と、思ってしまったのは不可抗力だ、俺が悪いんじゃない不平等な世界が悪いのだ

 

 ただその…どうやらあの一見なんの苦労も知らなさそなボンボン達って思った彼等も部外者の俺にはわからない苦労があったらしい

 

 かつての雪ノ下が雪ノ下家に抗っていたように旧家名家の嫡男に生まれ育った彼等のプレッシャーは俺なんかにはとてもじゃないが想像もつかない…そんなものがあるらしい

 

 そんな事を女形の役者さんのファンらしき人達が話してるのを聞いて改めて俺も人の事を批難しておきながら人の上っ面しか見れていないんだって気付かされた

 

 イヤ、ここは素直に今気付けて喜ぶべき事なんだろうな…

 

 歌舞伎…か…縁が有ったら又観に来たいな、あのカワイイ女形の役者さんの舞台を観に…あとのリア(イケメン御曹子)充四人はどうでもいいがな

 

 観劇の後食事の席で舞台の感想を聞かれ素直に感じたままを身ぶり手振りで話した

 

 ちょっと目を向ければ俺が知らない、気づけなかったことがすぐそばに有ることに気付いた事を改めて思い知らされた事も

 

 規模は違っても母校の文実に海浜との二つの合同イベントに絡んできた経験で思った事がある

 

 あの五人は自分達を輝かせるために舞台裏で汗を流す人達が居ることを…

 

 そしてこう言うのを温故知新ってゆーんだろうなとかあの舞台の雰囲気ならけーちゃんや蒼空が舞台に興奮して騒いでも煩くは言わないだろうな

 

 勿論ちゃんと場面を選ばなきゃだろうが実際あの五人が勢揃いの場面は俺も燃えたし小さい子達も興奮してたからな

 

 都築さんが運転する車の中で今日一日経験した事を思い出しながら微睡む俺だった

 

 

 

 

 

 


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