新次元ゲイムネプテューヌ 反響のリグレット【完結】   作:ジマリス

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8 混乱・混戦・困惑

ぶわり、と闇が広がる。果てのない暗黒の世界。

目を開けても閉じても同じ暗闇で、自分がどこに立っているのかもわからなくなる。

しかしその世界はゆっくりと形作られ、一つの景色を見せた。

 

「ここ……は……」

「俺は『壊次元』って呼んでる。ある一人の男に壊された哀れな空間さ。つっても、今見せてるのは過去の映像だけどな」

 

クロワールはユウを横目で見ながら説明する。

いや、そんな、そんなはずはない。

 

「そんな……ここって、私のいた次元……」

 

なにもかもそっくりだ。犯罪神に破壊された私の次元と。

崩壊した建物も、燃え盛る炎も、倒れている人々も、鮮明に残る私の記憶と寸分違わない。

 

「ユウ……あなたが……?」

 

嫌な予感がして、足がすくむ、胸が震える。

これじゃまるで、私のいた次元をユウが壊したみたいじゃない。

 

呆然としていると、私の目の前を誰かが横切る。

少女と、その父親と思わしき男。二人は何かから逃げるようにしてせわしなく足を動かしている。

私はこの光景を知っている。知っているというより、経験している。

 

やがて男は少女を先に行かせ、その場にとどまる。

強くもない、ただの科学者である男は……私の父は、娘を守るために、少しでも時間を稼ごうと敵に立ちふさがった。

立ち上る炎に構わず、ずんずんと向かってくる人影がある。

輪郭は揺れ、誰かはわからないが大きな剣を持っていることだけはわかる。

その姿がはっきりと見える前に、人影は一瞬で間合いを詰めてお父さんの後ろに回り込む。

直後、父が刃に貫かれる。血が流れ、苦悶の表情を浮かべ、やがて目から光が消える。

大きな剣が私の父の命を奪った。

その剣を引き抜いたのは……ユウだった。

 

 

 

「ふうっ……ふうっ……」

 

クロワールが見せていた景色が消えても、汗がどっと噴き出して視線が定まらない。

ユウを見ることで、ようやく焦点が合う。

 

「嘘よね、ユウ? これはただの嘘。そのはずよね?」

 

繰り返し問う。しかし、ユウは頷かない。

 

「違うって言いなさい」

 

脅迫のように、銃口を向けてユウを睨む。

ユウの顔は青ざめて、先ほどの『過去』があったほうを見つめていた。

 

「…………」

「本当のことなの?」

 

もう一度訊く。

ユウの身体がビクっと動いたような気がした。

知られてしまった、というような震えではない。見たくないものを見せられ、整理のつかないような目だ。

だからこそ私は強く願った。これは作り話だと。

ただクロワールが面白がるために作った偽の物語だと言ってほしかった。

ショッキングな映像だったから、放心しただけだ。それを期待した私の耳に、ユウの言葉が入ってきた。

 

「本当だ」

 

かあっと体が熱くなるのを感じた。

吐き気すら喉で感じていた。血が引き、巡り、スーツに包まれた全身が汗ばむ。

私は引き金に手を添えた。

 

「イヴさん!」

 

止めようとするネプギアにももう一つの銃を向ける。

私は歯を食いしばりながら、ネプギアを睨んだ。

 

「ネプギア、あなたは知ってたの? こいつが、ユウが犯罪神の力を持っていて、世界を壊したって」

「……はい、知ってました……」

 

申し訳なさそうに下を向くネプギアの言葉に、私は絶望した。

彼女には私のことは話していた。

犯罪神、世界の破壊、殺された父。それを知っておきながら、ネプギアは隠した。

私の身体は、感情のままに引き金を引いていた。

 

「ぐっ」

 

弾丸はユウの身体に当たるやいなや爆発し、ユウを跪かせる。

だが大したダメージじゃない。

 

「私の父を殺したことも、知ってて黙ってたのね」

「イヴ、落ち着いて。君はいま冷静じゃない」

「当たり前でしょう!!」

 

私を落ち着かせようとするヤマトに怒鳴った。

 

「目の前に私の全てを奪った男がいるのよ。それを知らずに、私はこの男と仲良く共闘してたってわけ。とんだ間抜けね」

 

私は零次元をさまよい、父の言う通りにただひたすらに『生きよう』と思った。

それがいつしか、うずめや海男たちと出会い、ネプテューヌやネプギアとも共に戦い、ユウたちとも仲間になった。

もうこれ以上失わないように。大切な人を目の前から消さないように私は強くなることを決意した。守ってもらうだけじゃなく、共に戦う。

それがやっと実現し、前に進もうとしていたそのとき、私はあの失われた世界に再び引きずり込まれた。元凶である『犯罪神』がそばにいるという真実とともに。

 

間抜けだった。

壊次元にいたときに感じていた力とユウの力が似ていたこと、魔剣、エコーやくろめが言った言葉。

ヒントは十分に与えられていた。

考えればわかることに、私は答えを出さなかった。

ユウは関係ないと、現実から目を逸らした。

 

「あなたは知ってたの? 私がいた世界を壊したことを。私の父を殺したことを!」

「……まさか同じ次元だったなんて……」

 

嘘をついているような目じゃない。その目を見ると、深い井戸の底を覗こうとしているようで、思わず目をそらした。

 

「ユウ、イヴ、いまは落ち着いて、後でゆっくり話し合おう」

「後で?」

 

はっ、と笑い飛ばす。

 

「もう散々待ったわ。この時を」

 

言葉がすらすらと出てくる。同情や理解なんて必要ない。先の一発で、すでに鐘は鳴っている。

 

「これはあなたと私の問題。だから、私があなたを殺す」

「イヴ……」

「あなたは止めないわよね、うずめ。私のことを知ってるなら、知っているふうなことは言えないはずよ」

 

うずめは出そうとした言葉を引っ込める。

状況が状況だけにこんなことをしている場合じゃないとでも言いたいのだろうが、もう私は止まらない。

それはうずめもよくわかってる。

 

私は右手の甲にあるスイッチを押した。

途端にそこから光が広がり、私たちを包んでいく。気が付けば、大きなドーム状の結界が出来上がっていた。

 

「あなたも知ってるわよね。シェアリングフィールドよ。ゴールドクリスタルとシェアクリスタルを組み合わせる過程で、そのエネルギーを私も使えるようにしたの。この空間内では、あなたの力は制限される。本当はダークメガミやくろめ用にとっておいた最終兵器だけど、こんなところで使うなんてね」

 

敵に使うつもりだった奥の手。いまやユウが私の最大の敵だ。

 

「私はあの時のように無力じゃない。それを思い知らせてあげるわ!」

 

ジェットを使って、急突進。体当たりを受けたユウは吹き飛ぶ。

 

「戦い続けることが贖罪になるとでも思ってるの?」

 

さらに逃すまいと距離を詰め、胸ぐらを掴む。

 

「そもそもあなたが戦い始めたことが間違いなのよ!」

 

拳を握り、振りぬく。食らわせたと思った一撃は、しかしユウの掌に遮られた。

 

「それでも、俺は戦わなければならない。戦い始めてしまったから」

 

そう言うユウの目には、戦う意思の炎が燃え盛っていた。

肌が黒い紋様で染まっていく。

何度も見てきたこれは、彼が犯罪神の力を解放している証拠。

いままでに気づけたはずなのに、私は気づかないふりをしていた。

でもそれももう終わり。

 

「まだ死ぬわけにはいかない。くろめを殺して、そのあとは好きにすればいい」

「あとなんてないわ。いまここで、潰して殺して、全部終わらせてあげる」

 

それを合図に、ユウはぐんと力を入れて私の身体を押し返した。

私がよろめいている隙に素早く立ち上がり、アッパーカット。すんでのところで上体を逸らしてかわす。

目の前まで迫っていた腕を掴んで、思いきり地面に叩き……つけようとしたが、力を込めて抵抗される。

そのまま膠着。お互いが力を込めて震えるも、そこから動かない。

シェアリングフィールドの中で弱体化しているのに、それでも彼はスーツを着た私と互角なんて……

その腕が引きはがされ、お互いが離れさせられた。

ヤマトとアイが割って入ったのだ。

 

「待て、ユウ。頼むから落ち着いてくれ」

「くろめを消滅させてからだ」

「イヴ、この場だけは銃を下ろすッス」

「あいつを殺してからよ」

 

私がアイを、ユウがヤマトを殴り飛ばすのは同時だった。

その二人のことなんて気にせずに、私たちは再び攻撃を繰り返す。

これは戦いなんかじゃない。潰し合いだ。

相手をねじ伏せ、息の根を止めるための暴虐。

それがわかっていながらも、私は止まらない。この男さえ殺せればなんだっていい。

 

「仕方ないか……」

「まさか仲間と戦うことになるなんて……」

 

ヤマトが弓を変形させると、それは瞬く間に彼の腰に巻き付く。すると、半分だけだったヤマトの緑の甲殻部分がもう半分へと浸食していき、やがて人間の面影はすっかりなくなってしまった。

アイもまた、女神化して戦闘態勢をとる。

 

「そんな、でも……」

 

ネプギアだけが、その場でへたりこんだ。

 

「どうして……」

 

戦いもせず、ただ茫然と、信じられないようなものを見る目で私たちの戦いを眺めるだけだった。

 

アイ……ローズハートが私の身体を掴んで、またしてもユウから引きはがす。

 

「てめえ、わかってんのか。ここでユウを殺したら、憎んでた相手となにも変わらねえんだぞ!」

「変わらなくていいわよ。そのくらいの覚悟できてるわ!」

「んなもんは覚悟って言わねえんだよ!」

 

私は爆裂弾を撃つ。ローズハートは脚のプロセッサで防御して、そのまま蹴りを放ち、肩に当てる。しかし、私は少しよろめいた程度。ローズハートが眉をひそめる。

 

「お、お前……」

「たとえ女神でも、いえ、女神だからこそ私を止められない」

 

あっけにとられたローズハートへ、キックをお返し。

彼女は吹き飛びはしなかったものの、地面を滑る。こけそうになったところを、ヤマトが受け止めた。

 

「大丈夫か、アイ」

「あいつ、アンチクリスタル持ってやがる」

 

そう、拳と足先には極小のアンチクリスタルを入れてある。

必要なければいますぐにでも取り外せるが、いまはむしろ必要だ。

これがユウへのダメージを低減させるかどうか不安だったが、どうやら杞憂だった。女神を弱体化させる効果はあるが、犯罪神を強化させる能力はないらしい。

女神と悪へのメタ。この場で一番有利なのは私のようだ。

 

「どけ!」

 

ユウが二人を弾いてこちらにやってくる。私もそれに応えて、拳を合わせる。

普通なら私が飛ばされるところだろうが、シェアリングフィールドのおかげで彼は弱体化している。

ユウは力と経験、私は技術と相性。お互いのそれまでがぶつかり合っては弾け、傷つけあう。

まだ私の頭の中には先ほどの映像がこびりついていた。

この男は私の父を殺したのだ。それだけじゃない。あの次元の全ての人間の命も。だから私には復讐の義務がある。あの次元の生き残りとして、ユウを殺す義務が。

この男を殺したからって、殺された人たちが戻ってくるわけでもない。あの次元へ帰って、父が名前を呼んでくれることもない。

だけど。

だけども、私は内にある衝動をどうしても抑えきれなかった。

 

ユウのパワーとスピードは凄まじい。

シェアリングフィールドの中であっても、目にもとまらぬ雷のように素早い体術を繰り出してくる。

 

だが、私は彼やアイ、ヴァトリのような近接戦闘のデータを蓄積、解析してある。

それをもって最適な動きを再現して、対応する。

お互いに倒れることなく、重い一撃を何度もぶつけ合った。

 

血が流れているのがわかった。ぬるぬるとした感触が身体を伝う。

気持ち悪い。けどそんなことどうでもいい。

こいつが死ぬところを見られれば、あとはどうなってもいい。

 

殴り合っていた距離が、突然引き離される。

またしてもヤマトとローズハートが邪魔してきた。左右からユウを抑えている。

 

「だめだ!」

「止まれっ、この馬鹿力がっ」

「離せ!」

 

これを好機とみて、私は二つの銃口を正面に向けた。

エネルギーマックス。容赦なし。全力の一撃。

 

「ブラスト・イレイザー!」

 

スーツからもエネルギーを充填し、100%を超えた銃からビームが放たれる。

エコーの船を壊すために放った一撃を、今度は三人に向けて撃った。

衝撃波だけで地がえぐれ、空が震える。閃光は全てを包み込んで、私の視界を奪う。私は引き金を引き続けた。

ユウを殺す。ただそれだけのために。

 

『エネルギー残量 残り6%』

 

モニターに現れた表示に気づくまでにどれだけかかっただろう。

いつの間にかビームは途切れていた。

ユウだけでなく、ヤマトやアイの変身も解け、倒れ伏している。三人ともまだ息をしているが、立ち上がる力は残っていないようだ。

私はユウの、焦げ付く身体へ馬乗りになる。

彼の身体を覆う黒い模様は消えていた。力を封じられ、いまや変身前の女神ほどの力もない目の前の男を殺すことに何の躊躇もなかった。

マグマのように熱く湧き出る感情が私の身体を動かす。

一発でもそこいらのモンスターなら消滅するほどの威力を何度も打ちつける。

ガードしようと顔の前に掲げられた弱弱しい手も容赦なく殴りつける。

指はあらぬ方向へ曲がり、ユウは獣のように絶叫した。私は歯を食いしばり、さらに二度殴打する。スーツを通して鼻と左頬が砕けた感触が伝わる。

私は馬乗りになったまま、銃を立て続けに乱射する。

弱体化しても、犯罪神だ。貫通はしない。だが銃弾からの爆発は肉をえぐり取り、血を噴出させる。

満足せずに、今度は胸へと銃弾を浴びせる。

小規模の爆発が起きるたびに、ユウの身体は痙攣するように震えた。

戦闘服は破れ、ユウの上半身が露わとなる。

 

「……っ」

 

人間の身体だとは思えなかった。

大小さまざまな無数の傷がそこに広がっていた。

傷のないところを埋めるように、斬られ、裂かれ、突かれ、撃たれ、噛まれ、穿たれ、抉られた傷。

その中には、普通なら死んでいてもおかしくはないほどの深い傷も見受けられる。

その一つ一つが戦いの歴史を物語る。ユウの破壊の歴史を。

いいや、それは本当に破壊の歴史なのだろうか。

私は手を止め、ユウの顔を見る。

私の憎悪で真っ赤に染まったユウの顔は、悪魔のものではない。

私とともに戦い、話もして、ときには助けてくれた人間だ。

『救世』。

エコーもユウもそれを渇望した。

『人間』という、争いあう未完成で不完全な存在が、世界を負の方向へと侵食していっているのだと考え、平和を求めた。

エコーは歴史を振り返ってそれを感じた。

ならユウは?

ユウはなぜその結論に至ったのだろう。

その結論に至るまでに彼もまた、苦しみ、蝕まれ、憎悪したはずなのだ。

 

引き金を引いた。

一発、二発。

十発ほど撃ったところで、爆発弾が切れる。

銃内の弾倉が自動で衝撃弾に変わったのも気づかずに、引き金を引き続ける。

大太鼓をがむしゃらに叩いたような力強い音と同時に、逃れようのない暴力がユウの全身へ広がっていく。

何発か撃ったあと、カチッカチッと、銃が弾切れを教えてくる。

銃を乱暴に放り投げ、右拳を握る。

 

「来なさいよ」

 

義腕からキュイイイイ、というエネルギーが溜まる音が鳴り、手加減のない一撃を顔面に叩きつける。

何かが砕けた音がしたが、目が滲んでいて何もかもがぼやけて見える。

 

「来なさいよ!」

 

ユウが私を殺す気がないのはわかっていた。

ネプテューヌたちと戦ったとき然り、彼は敵を『倒す』だけなら魔剣は使わない。

だけど、せめて私を殺そうとしてくれたほうが良かった。

あの時のようにユウが破壊する気で来れば、私はこんな……こんなに張り裂けそうになることもなかったのに。

 

「来い、ユウ!!」

 

人を殺せば心が死ぬ、と何かで読んだことがある。

それはきっとこのとてつもない痛みが、この裂かれるような心の痛みが、人を人たらしめる『感情』を死へ至らしめるのだ。

ユウはこの痛みを感じただろうか。

胸を裂き、内臓を焼き尽くすようなこの熱を。

殺すということはつまり、この痛みを感じるということだ。

戦うということはこの痛みを引きずって生きるということだ。

 

幾億の屍を背負い、彼は戦っている。

幾億の痛みを感じ、彼は戦っている。

戦い続けるために、血も涙も断ち切ったのだ。

世界を救うために、流す血を見ないふりして、涙も抑えて、感情を殺して。

 

そんなユウを、私は殺せる?

 

私は拳を振り上げた。

殺さなければいけない。

私はこの痛みを乗り越えなければならない。

人が人を殺すという罪を成すために私は悪魔になる。

拳が細かく震えていることに、私は気づいていなかった。

 

殺さなければいけない。

殺さなければいけない。

殺さなければいけない。

 

でも殺したくない。

 

使命と感情がせめぎあい、ぶつかり、融けあう。

犯罪神を倒せば、きっと死んでいった人たちは報われ、私は自由になる。

そう思ってきた。

 

この手で殴ればすっきりする。

そう思っていた。

 

殴るたびに何かが遠くへ、手の届かない遠くへ行ってしまいそうになる。

そんな喪失感を見ないふりして、私は怒りの衝動のままに振り上げた右手を力強く握る。

 

私はそれを渇望したはずだ。

私の旅の終わりを。

 

私はユウを見据える。

殺せば、すべてが終わる。

殺せば、きっとこの胸の痛みも消えてくれる。

だって、だって彼は犯罪神ですもの。そうでしょ?

この痛みは、この胸を焼く痛みはきっと一時的なもののはず。

ユウを殺せば消えていくに違いない。

 

「やれ」

 

囁くような細くかすんだ声でユウはそう言った。

彼自身の血に染まった顔はところどころの骨が砕け、目は腫れぼったくなっている。

薄く開かれたその目にはわずかに涙が浮かんでいるように見えた。

 

「それがやりたいことなら。やるべきことなら、やれ」

「ううっぐぅぅ、うああああああああ!!」

 

歯が折れそうになるほど食いしばり、咆哮しながら、私は思いきり拳を振り下ろした。

 

どん。

不意にやってきた衝撃に、私は身体を吹っ飛ばされた。

ごろごろと転がり、止まると同時にぱっと立ち上がる。

 

「もうやめてください……」

 

ここまで戦闘に一切関与してこなかったネプギアが、剣で私を弾いたのだ。

 

「もう……やめてください……」

 

ネプギアが繰り返す。

全員が全員、ひどく傷ついていた。


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