お父さんが鎮守府に着任しました。これより私たちのお世話を始めます!!   作:先詠む人

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大変お待たせしました。
課題などもまだ何だかんだと残ってますが、一応いまだに生存しています。

バイトもどうにかこうにか慣れました。更新ペースはまだまだ乱れると思いますが、これからもよろしくお願いします。


「「マイティ…アクション……X!!」」

「……た!!おい佑太!!!」

 

「ん?あ、わりぃ。半分意識なかった。」

 

 叢雲ちゃんの唐突なカミングアウトがあったあの日の記憶を思い出していると、再びゆさゆさ揺すられて俺は現実(いま)に帰ってきた。

 

「ほれ。お前のかわいい可愛い娘たちが心配そうに見てんぞ。」

 

 そう悪い笑みを浮かべる博宣が指さす方を見ると

 

「「「…………」」」

 

 そこにはすぐ目の前で俺のことを心配そうに見ている3人がいた。

 

「ごめんごめん。ちょっと考え事をしててね。」

 

 俺はそう言いながら片手を立て、席から立ち上がった。

 

 4人並んで食堂へと歩く。

 

「ごっはん~ごっはん~♪」

 

「父上とごっはん~♪」

 

「~~♪ハラショー」

 

 鼻歌を歌ったりしながら3人とも楽しそうに歩いている。ただ、全員お弁当箱だけとは思えない大きさのカバンを背負っているのはなんでだろうか……というか、なんで響ちゃんと文ちゃんのカバンはもぞもぞしてるんだ?

 

 その答えは数分後にわかった。

 

 

「じゃーん!!」

 

「なのです!!」

 

「………なんでさ」

 

 額を抑えながら某正義の味方になりたい男の口癖を呟く。

 

 食堂についてまず最初に響ちゃんと文ちゃんがしたのはカバンを床におろすことだった。

 そしてそのまま

 

「「もう大丈夫」(だよぉ~)」

 

 とか言いながらチャックを開けると、中から万歳をした雷ちゃんと電ちゃんが出てきた。

 

 もう一度言おう。響ちゃんと文ちゃんが背負っていたカバンの中から弁当箱とかじゃなくて()()()()()()()()()()()()()()

 

 そのせいで食堂の俺たちが座ろうとしていた席の近くにいた女子の多分上級生は目をギョッとさせて後ずさりしたし、数名の生徒が驚いてその手に持っていたお盆を落とした。

 

 そんな混乱の中で菊月ちゃんは一人マイペースに

 

「これがお弁当。」

 

 とか言いながらこれまたドでかいお弁当箱と

 

「間宮さんがこれもって」

 

 大きめのサイ印の魔法瓶と紙コップを取り出した。

 

「…………父上?」

 

 そしてお弁当箱とかを取り出してからいまだに額を抑えている俺のことを心配して顔を覗き込んだ。

 

「………あ、あぁ。大丈夫大丈夫。あとで俺がめっちゃ怒られるんだろうなって頭抱えたくなっただけだから大丈夫……」

 

 そんな菊月ちゃんの様子に俺はつい本音を漏らしてしまった。そんな俺の様子を見て他の子たちは

 

「やっぱり駄目だったのかなぁ?」

 

「でもそうでもしなきゃ憲兵さんにされた意地悪の意趣返しにならないじゃない!!」

 

「なのです!それに憲兵さんには下剤を入れた飲み物を差し入れてあるはずなのでこれで復讐完了(リベンジコンプリート)なのです!」

 

「ちょっと電。その話後で詳しく。」

 

 各々話していた。というか、響ちゃんの言う通り電ちゃん。さすがに後でOHANASHIがあります。議題は今の下剤云々です。

 

 結局、腹を決めてから菊月ちゃんが持ってきたお弁当を机の上に開き、それを食べる途中でこんなことをしたり遊を聞いてみた。

 

「だってあの憲兵さんがいけないのよ!昨日約束したときは5人で行ってもいいって言ってたのに今日になっていきなり3人までとか言い出したんだから!!」

 

 そうプンスカ!とでも書かれたフリップが背後に浮かんでそうな感じで雷ちゃんはおにぎりをほおばる。

 

「だから私と文月で考えて菊月にも協力してもらってからこうしたんだよ。」

 

 要はこういうことらしい。

 

 昨日の時点で今ここにいる5人でこの大学に来ることは駆逐艦娘の子たちの間では決まっていたそうだ。

 だからそのための外出申請を昨日の時点で行い、許可ももらっており、あとは許可証を受け取るだけの状態にしていたらしい。

 

 だが、今日間宮さんとお艦から俺に持っていく分のお弁当などを受け取り、5人で分担して持ってから許可証をもらいに行くとそこで憲兵さんに3枚しか渡してもらえなかったそうだ。

 

 その理由は「3人分しか申請がないから」だったらしいが、一応5人が持っていた許可証の引換証は雷ちゃんと電ちゃんの以外は引き換えたからないとはいえちゃんとあった。

 

 だから外に出れない2人のことを考えて文ちゃんたち3人が悪知恵を働かせたらしい。

 その結果が、雷ちゃんと電ちゃんをカバンに入れたまま大学まで来て、そこで二人をカバンから出すといったものだったそうだ。

 

 ………酸欠とかいろいろ問題がありすぎるんだと思うんだがその計画は……。

 

 まぁ、なんだかんだと作戦通りに無事鎮守府を出ることができ、そして教室棟で俺と合流してから食堂で「じゃーん!」というわけらしい。

 

 その話を聞いて俺は慌てて目をつむり、メニューから5人の名前を引っ張り出して編成欄の艦隊名の所に”お父さん”と書かれた艦隊の中に放り込んだ。

 

 一瞬5人の周りにほのかな光が散る。

 これでもし何かあったときも艤装を展開してどうにでもできるようになった。

 

 目をつむった理由は未だにコンソールを操作するときにほかの情報が入ってくると集中できないからで、こればかりは時間が経たないと解決できそうにない。

 

 艤装を展開できるようにした理由は、至って単純。

 

 ……………だって、みんなきちんと編成しないと地上で艤装を展開できなくなるから。

 一回、ある鎮守府でこんな話があったというのを青葉が教えてくれた。

 

 その鎮守府に着任した元提督は艦娘たちの力を見て何を考えたのか大本営を乗っ取ろうと、要はクーデターをたくらんだらしい。

 それで実際に艦娘たちを完全に自分の支配下に置いてクーデターを実行………しようとして陸上で艤装を展開させようとしたところで憲兵が突入してきたそうだ。

 

 それでも最後の悪あがきとしてまだ編成していなかった艦娘たちに館内放送で指示を出して艤装を展開させ、主砲を憲兵たちに打ち込ませようとしたそうなんだが、その艤装自体が展開されなかったらしい。

 

 その理由は本当に単純で、()()()()()()()()()()からだそうだ。

 

 艦娘たちは本来海上で戦うことを前提とされているために地上で艤装を展開しようとすると深刻なエラーが発生するのだとか。

 

 それを回避するには艦隊として登録する必要があるそうなのだが、それを行っていないがためにそのクーデターは失敗したといっても過言ではないそうだ。

 

 まぁ、話がずれた。だから俺は今こうやって楽しい時間をみんなが過ごしているというのにそれを邪魔する無粋な奴が現れた場合、もし艤装を展開できなかったから怪我しましたなんて事態を避けたかったから艦隊を登録した。

 

 ………艦隊名がお父さんなのは犯人に目星がついているが……

 

 

 

 

「お父さん今日はもう授業ないんだよね!!」

 

 

 と、俺が目をつむったまま考え事をしているとすぐ横に座っていた文ちゃんが俺に抱き着きながらそう聞いてきた。

 

「ん?あぁ、今日はさっきの授業で終わりだよ。だから今から帰ろうかと思ってたんだけど…」

 

 俺がそういうと文ちゃんと菊月ちゃんの目の色が変わった。

 

「だったら!」

 

「寄ってほしいところがあるの!!」

 

「寄ってほしいところ?」

 

 俺自身が何もしていないのにもかかわらず唐突に戦意高揚状態になった二人は俺がそう聞くと顔を見合わせてから

 

「「ポイザラスに行きたい!!」」

 

 楽しそうにそう告げた。

 

「ポイザラスか~。まぁ、帰り道の途中でバス下りれば行けるし行こうか。何を買いに行くの?」

 

 ポイザラスはその扱っているものがもののために俺が一人で行くには結構年齢的に厳しいお店なので、正直理由を聞いておきたかった。

 

 すると二人は顔を見合わせ、それから文ちゃんがスカートのポケットをごそごそとし始めた。

 

「私たちがポイザラスに行きたい理由は大きく二つあって、一つ目はゲーマドライバーを買いたいんだ。」

 

 文ちゃんがポケットの中をごそごそしている間に菊月ちゃんがそう口火を切った。

 

「ゲーマドライバー?それだったら確か発売したときに買ってなかったっけ?」

 

 ゲーマドライバーというのは今テレビで日曜朝にやっている仮面ライダーシリーズの最新作のライダーが使っている変身ベルトの名前だった。

 個人的にはあれのレベル1の姿が結構ゆるキャラっぽいので好きなのだが、テレビを必死になってみているみんなの邪魔をしたくないために一人で後から録画したものを見ていたりする。

 

 そしてそれが発売された当初に睦月型の子たちにねだられて買ってあげた覚えがある。

 

「確かに買ってもらったよ。だけど、今回また買わなきゃいけない理由があるんだ。」

 

 と菊月ちゃんが言ったところで

 

「あったぁ~」

 

 と言いながら文ちゃんが一枚のチラシを取り出し掲げた。

 

「えーとなになに………プロトマイティアクションX………プロト!?」

 

 それを見て俺は驚いた。

 

 それは市販される予定がないと聞いていた変身ベルトに差し込む物の名前だった。

 

「これをドライバーを買った人に先着順で配布なんだ。」

 

「今日からなんだよぉ!だから買いに行きたいの!お願い!!」

 

「………お金はあるの?さすがに二つ目は買ってあげられないよ?」

 

「それに関しては私たちのお給金から持ってきたから問題ない!!」

 

「そっか………なら急いで行こうか。先着順なら早くしないとね。」

 

 俺はそう言って空になった弁当箱を片付け始めた。

 

 

 

 

 

 

 数分後……

 

 

「「マイティ…アクション……エーックス!!」」

 

 目的としていたものを手に入れ、俺がついつい買ってあげてしまった他の6つのガシャットが入った袋を手に喜びのあまりその場で飛び上がる文ちゃんと菊月ちゃんの姿がそこにはあった。

 

 そんな横で俺は手に入れたプロトマイティアクションXを手の中でもてあそびながら

 

 

【挿絵表示】

 

 

「………明石さんたちならこれ魔改造できそうだなぁ~」

 

 なんてあほなことを考えていたのだが、まさかそれが実際のことになるとはその時の俺には想像することなどできなかった………




感想、評価を楽しみにしています。

それとTwitter始めました。
作品のネタバレをするつもりはありませんが、進捗ぐらいは書こうと思っています。

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………明日はさっきぃ提督にあってきます。

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