お父さんが鎮守府に着任しました。これより私たちのお世話を始めます!!   作:先詠む人

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いや、すみません。
ちょっとリアルが忙しすぎてPC起動できませんでした。
それじゃあ、本編どうぞ。

前回の更新以降に評価を一言を添えてくれた方ありがとうございました。
おかげで下がりかけていたモチベーションも立て直せましたので、続けていけれます。
評価をくれた人たちに恥じない作品を作って行こうと思います。


それが私たちの目的(by慈愛の目を向ける者)

「人払いは済んだ。だからさっさと話せ木曾。」

 

 ゆっくりと人払いにかかる時間を考えて遠回りをしてから自室に入るといきなり球磨姉がそう言ってきた。

 

「姉ちゃん、帰ったらいきなりそれはないよ。せめて靴は脱がせてくれ。」

 

 そう文句を言ってから上がり(かまち)に座ってブーツのひもをほどいていると

 

「そうニャ。球磨姉は焦りすぎニャ。せめて木曾に一息つかせてから話させた方が情報を絞り出せるだけ絞れるニャ。」

 

 多摩姉がそう球磨姉をたしなめていた。だけど

 

「姉さんたち……絞るって果実じゃないんだから…」

 

 正直北上姉の言う通りだった。そんな思いを抱きながらブーツを脱ごうとひもを下からほどき続けていたら

 

「あ、ヤバ。軽くひも絡まった。」

 

「早くしなさいよ!!北上さんを待たせるんじゃないわよ!!」

 

 左の靴のちょうちょ結びをほどいていたら、引っ張ったらほどけるはずなのに逆に硬くなって締まりかけていた。

 

 そんなところに大井姉が本気で背中をたたいたもんだからひもを引っ張る力が変にかかって塊になってしまった。

 

「っ!!!何すんだよ大井姉!!絡まったひもがもっとひどくなったじゃねえか!!」

 

「知らないわよ!遅いあんたが悪いんだから。」

 

 反射的に大井姉に抗議すると、謝罪どころか罵倒が返ってきた。

 

「なんだと!もうあt「はい、そこまでニャ。」………イタイ……。」

 

 その反応に怒って靴を履いたまま無意識に改二になって殴りかかろうとしていた俺めがけて多摩姉がデコピンした。

 

「ほらお茶飲んで落ち着くニャ。それと大井、あとで説教ニャ。逃げるんじゃねーぞ。」

 

 多摩姉から小さいお茶碗をもらって適度に温くなったお茶をもらって飲む。不思議なことにホッとした。

 

 そんな俺と対照的に大井姉は顔を真っ青にしてガクガクふるえていた……。

 

 

 

「それじゃあさっき聞いてきた話をするけど、球磨姉本当に人払い大丈夫なの?」

 

 俺は話し始める前に一応球磨姉にそう確認した。

 

「問題……あった。」

 

「え?」

 

「少し待ってな。」

 

 そういうと球磨姉は部屋から出て言って

 

『文ちゃんどうしたクマ~?』

 

『あ、球磨さん。ちょっと忘れ物しちゃって~。それを取りに来たのぉ~。』

 

 廊下の方からそんな声が聞こえてきた。

 

『だったら一緒に探してあげるクマ~。』

 

『本当~?ありがとう~。』

 

『少し待っててねクマ~?』

 

 球磨姉はそこまで文月と話してから扉を開けて

 

「球磨のことは放っておいて始めといて。それと、あとで多摩に聞くから覚えておいて。」

 

「わかったニャ。」

 

 多摩姉とそんな会話をしてから球磨姉は部屋から離れて行った。

 

 

 

「それじゃ始めて。」

 

「あ、うん。これはさっき聞いた話で、あの叢雲たちが嘘をついていないのなら驚くしかない事実だ。」

 

「前置きは置いてさっさと話せ。」

 

「あ、はい。」

 

 

 今にも俺の首にかみつきそうな気配を醸し出した多摩姉の気迫に押されて俺は話し始めた。

 

 

 

 ~数時間前・医務室~

 

「それじゃあ、この子が意識を取り戻すまで時間がかかるとは思うけれどこの子に負担をかけないためにさっさと済ませてもらうわね。」

 

 普段の様子とは全然違う雰囲気をまとった目の前の叢雲はそう言って切り出した。

 

「あなたたちの想像通り私、いや私たちはあなたたちがよく知る叢雲たちじゃないわ。」

 

「そうね。どちらかと言うと、あなたたちのことを私たちが一方的に知っているといった方がいいかしらね。」

 

「それと、木曾。できれば後であなたと個人的に話したいことがあるから。」

 

「それじゃあ簡潔に話させてもらうわ。」

 

「あの子と私たちには深いつながりがある。それを深海棲艦は狙ってるの。」

 

「なんでそのつながりを狙っているのかと言うと、もしそのつながりを深海棲管側が乗っ取ったり自由にいじれるようになったら()()()()()()()()()()()()()()()()()からよ。」

 

「おいおいちょっと待て!!」

 

 そこまで目の前の叢雲が立て板に水を流すかのように一気にしゃべったタイミングで天龍がそう言って割り込んだ。

 

「そんな風に根本的なところに干渉できるような何かが本当にコイツにあるのか?」

 

 疑いの目で天龍は佑太を見ながらそう言ったが、その瞬間気を失っている漣を除いて残りの4人の表情が急に険しくなった。そして叢雲は天龍をにらみつけながら

 

「あらそう。なら予定より早いけどあなたには出て行ってもらおうかしら。龍田()()()()()()()()()()()。」

 

 叢雲が冷めたような目でそういうと

 

「はい、わかりました。」

 

「!?おい!離せ!!龍田!!!」

 

 目からハイライトが、そして顔から表情が消えた龍田が、まるでそうプログラミングされた機械であるかのように抗議する天龍の首根っこを掴んで医務室から出て行った。

 

「なんだと………」

 

 俺はその様子を見て絶句した。

 なぜなら今目の前で繰り広げられた光景は叢雲が龍田を意のままに操ったかのように見えたからだった。

 

「それじゃあ、邪魔者も消えたから本来私、いや()()()がしたかった話を始めましょうか。」

 

 閉じられた扉をただ見ていた俺の肩をたたいてから顔を近づけ、叢雲は妖艶な笑みを浮かべながら俺にそう告げた。

 

 

 

 

「それじゃあ私たちからの要求はただ一つ。あなたの上司さんにこの子の情報(こと)をこれ以上広まらないようして欲しいと言っていたことを伝えてもらいたいのよ。」

 

 俺はその言葉に疑問を持った。

 

「自分たちのことではなくて佑太のことをか?」

 

「ええ。私たち自身はどうせすでに()()()だもの。」

 

「手遅れってどういうことだ?」

 

「すでに私たちの体は敵に抑えられているということよ。」

 

「なんだって…?深海棲艦に鹵獲されたってことか?」

 

 俺が率直な疑問を伝えると

 

「いいえ違うわ。私たちの敵はあなたたち()2()()()()()の艦娘と違って深海棲艦じゃない。」

 

「私たち5人の敵は()()よ。それも悪意を持った。」

 

「人間を守るんじゃなくて、人間に敵対するっていうのか!?」

 

 俺は真意を確かめるために艤装を召還して抜刀。そして叢雲に突き付けようとした。が

 

「<その剣を納めなさい>」

 

 叢雲がそう言った瞬間、突き付けようとしていた剣が空気と一体化するかのように消えた。

 

「ッ!?消えた!?」

 

 そしていつも戦闘中に武器を落とした時のように反射的に腰に下げている2本目の刀に手を伸ばした時に気付いた。

 

「刀が……」

 

 腰には先ほど突き付けた瞬間消えた一本目の刀が釣り下がっていた………。

 

「話を続けさせてもらうわね。」

 

 急に小さくなったその声に恐れを抱きながら顔を上げると、先ほどまですぐそばにあった叢雲の姿が少し離れたところにあった。具体的には医務室の入り口付近から佑太が今寝ているベッドのそばへ。そして

 

「この子は今後多数の勢力から狙われることは決まってしまった。恐らくその中に私たちの身柄を抑えた奴らも混ざってるはず。この子は奴らからしたら格好の実験動物にしか見えないのは間違いないのだから。」

 

 

「なぁ、それってどういうこと「ごめんなさい。肝心なことを伝えるのを忘れていたわ。この子に私たちのことは秘密にしておいてもらえないかしら。」………それはいいけれど。結局お前たちって何者なんだ?何を知っていて、何をなそうとしているんだ?」

 

 俺のねえさんたちと違って足りない頭で必死に考えた末の質問だった。

 

「そうね…。私たちのことを名乗るとするのならば”始まりの5人のデッドコピー”と言ったところかしらね。そして何を知っているのかは話せないけど、何をしようとしているのかは言えるわ。」

 

「……それは何なんだ?」

 

 そこでいったん話を区切った叢雲へ俺が話の続きを促すと

 

「この子がその命を無事に終えるまで見守り、場合によっては守ること。それだけが私たちの目的だから。」

 

 佑太の頭を優しくなでながら叢雲はそう答えた。そして変な声を漏らしながらよだれを垂らし、そんな状態で佑太にすがるかのように寝ている漣の方を見てから

 

「……まぁ、一部ショタコンに走った結果ネットスラングを口走りながらあの子を襲う変態になったのもいるけれど。」

 

 そう額に手を当てながら喉の奥から絞り出すかのように告げた。

 

「……………しら。」

 

「ん?今何を」

 

 最終的に目から光が消えた電の手で佑太から引きはがされた漣を見ながら叢雲が何かを言ったが、それは距離のせいでうまく聞き取れなかった。だからそれをもう一度言い直してもらい、その上でなんで佑太に対してそこまでするのか尋ねようとしたが、

 

「それじゃあ、お話はここまで。ほら帰った帰った。」

 

「あ!ちょっとまだ聞きたいことが!!」

 

「いいから出てけ!!」

 

 そう言いながら叢雲に背中を押されて俺は医務室から追い出されてしまった。しばらく訳も分からずにその場に突っ立っていたが、何も状況は変わらなかった。

 だから一度球磨姉たちに全部相談しようと思って俺は部屋へと帰ることにした。

 

 

 

 

 ~球磨型の部屋~

 

「これが俺が聞いた話の全部だ。」

 

 俺はそう言ってから座りなおした。

 

「佑太がねえ……。なんでその5人にそんなに好かれているのか聞いた?」

 

 北上姉がそう聞いてきたから俺はその問いに対して首を横に振ることで答えた。

 

「それじゃあ、元帥にこのことを伝えるか?」

 

 多摩姉がそう言って俺に聞いてきたから

 

「あの叢雲はそれを望んでいるみたいだからそうした方がいいのかもしれない。」

 

 と答えた。すると多摩姉は元帥に連絡するために部屋の隅に寄って行って、そのまま耳を抑えてぼそぼそと話し始めた。

 

 そんな多摩姉の様子に対して北上姉と大井姉は大井姉が北上姉に絡み始めたのをきっかけに北上姉とイチャイチャし始めた。

 

 そんな中で、一人だけ放置された俺はさっき医務室で最後に見たあることを思い出していた。

 

(あの時の叢雲の口の動き……)

 

 確かに()()聞こえなかった。だけど、口の動きは見えていた。それを一つずつ思い出してつなげると

 

(『本当にこんなのが()()()()なのかしら』?一体どういうことなんだ……?)

 

 さらなる謎が生まれてしまった。

 

(佑太。お前一体何に目をつけられたんだよ…)

 

 窓から見える雲で半分にかけた月は、俺が内心投げかけるその問いに答えてはくれない。

 答えは自分で探すか、叢雲たち5人があの時のような雰囲気をまとったときに直接聞くしか得ることはできなさそうだった。




感想、評価を楽しみにしています。

PCを起動できない間に行った先の青いコンビニにて大量の艦これグッズを発見。
念願の初月のクリアファイルを手に入れることができました。
江風のタペストリーもありましたが、ファイルのために中居君がCMやってる方を優先して買ったらお金が無くなったので泣く泣く断念しました。

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