お父さんが鎮守府に着任しました。これより私たちのお世話を始めます!!   作:先詠む人

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短編日刊ランキング………5位になりました!!

本当に読者の皆さんありがとうございます!!

とか思っていたらまた文が降りてきたので投稿します!!


お父さんと夜戦!!(byぜかまし)

「遅すぎだぜぇ~!」

 

 大○闘中の画面の向こうで青いハリネズミが足をグルグルさせながらそう言っている。

 

 上のモーション(これ)はアピールと呼ばれる行為で、場合によっては煽り等に使われることもある。

 

 ただ、アピール中はアピールが終わるか攻撃を受けるまで操作が利かなくなるというデメリットもあって、一対一(タイマン)でやっているときは極力使わない方がいいと言われてたりもする。

 だけど何でそんなデメリットを背負ってまでアピールしてるのかというと、このハリネズミのアピールは今相手してる彼女にとって効果覿面だからで………

 

「私は遅くないもん!!」

 

 と、予想通り顔を膨らませながら怒り出した。

 

「いや遅い方じゃん、ワニガメ(ク○パ)。」

 

 俺はバニーみたいな飾りを頭につけた少女の頭を撫でながらそう言った。

 

 画面の向こうではハリネズミが駆け抜けてからポーズを決める姿が写っている。

 

 その画面が示すのは俺が勝利したということだった。

 

「ほい、これで30勝目な。もう時間も遅いから早く自分の部屋行って寝ーや。」

 

「い~や~だ~!お父さんに勝って私が一番だって証明するんだもん!!」

 

「はぁ~。皆が起きちゃいけんから騒いだらいかんよ。」

 

 俺は島風が寝っ転がって手足をバタバタさせるのを見てため息をついたあと、少し離れたところに置いていたゲームパッドを操作してゲームそのものを終了。

 

 そのあとハードを操作してディスクを出した。

 

「今何時だと思ってんだよ。これでも譲歩したんだから諦めr…………って寝てんじゃん。」

 

「スゥ………スゥ………。」

 

 片付けのための一連の作業をしながら島風を嗜めつつ、振り返ると島風は健やかな寝息を立てていた。

 

「まぁ、いつも8時に寝てるのに10時まで起きてりゃこうもなるか……。」

 

 島風のきれいな金髪を手で鋤きながらそう言うと、俺は

 

「しゃーない。部屋まで送るか……。」

 

 そう言ってテレビの電源を消してから島風をお姫様だっこして立ち上がったのだった。

 

 

 

 

 

 

「スゥ………私が………いっちばーん。ムニュ……。」

 

「ハハ……夢の中でも追っかけっこかなんかしてんのかな。」

 

 遊技室を出た俺は島風の部屋までお姫様だっこで送って、同じ部屋の誰かに託そうと思っていた。

 だが、部屋に入ってみるとそこには誰もいなかった。それを見て俺はあることを思い出した。

 

「あ、そっか。今あまつんもとっきーも雪風も遠征だったわ。」

 

 島風の同部屋なのは天津風と時津風と雪風の3人だが天津風と時津風はオリョールの方へ、雪風は北方海域の方に遠征に出ていた。

 

「やっぱ姉妹艦も居ないし、一人ぼっちは寂しいんか……。」

 

 何となく……本当に何となくだが、なんで今日に限って島風が8時を過ぎても自分の部屋に帰ろうとしなかったのかわかった気がした。

 

 そもそも、なんで俺が島風と大○闘していたかというと、俺が8時を過ぎた辺りにたまたま遊技室の前を通りかかったら島風が一人兎のぬいぐるみを持って座っていたのを見かけたからだった。

 

(以下回想)

 

『お?どうした島風?』

 

『あ、お父さん……。』

 

 島風は一瞬俺の顔を見て何やらバツが悪そうに顔を下へと向けた。

 

『な~に思い詰めた顔してんだよ。』

 

 少しその様子が気になったから俺は島風の横に座った。

 

 俺の回りで昔からこんな感じになる子は、何か抱えていることが多かったから多分そのせいで気になったんだと思う。

 

『何でもないし。』

 

『ふぅ…(絶対何かあったろこれ)。』

 

 俺はテレビの横にいつも置いてるゲームハードの電源を入れてスマ○ラのディスクを入れた。

 そしてその流れでハードに繋いだG○コントローラーを島風の目の前に置いた。

 

『うし、やるぞ。やり方は何度か駆逐艦の皆で大会やったときに参加してたから知ってるだろ?』

 

『……うん。』

 

『………(これは重症か?)そんな覇気の無いままプレイしたら俺が一番とっちゃうぞ~。』

 

『!?』

 

『それでいいのか?』

 

『…………私が一番じゃなきゃやだもん!!』

 

 俺が煽ったことで、いつもの調子に戻った島風の頭に手を置いて俺は

 

『いつもの島風に戻ったな。』

 

 って笑いながら言うと、島風は顔を真っ赤にして

 

『早くやろ!!』

 

 とコントローラーを握って画面の方を向いた。それを見て俺はニヤリと笑ってから

 

『オーライお姫様。さ~て、蹂躙するとすっか!!』

 

 と宣言してからゲームを起動させた。

 

『お……お姫様!?』

 

 そう言って島風はボンっと言う音を立てたかのように頭から湯気を出しながら

 

『ま……負けないんだらね!!』

 

 と画面を俺同様に注視し始めたのだった。

 

(回想終了)

 

「さて、じゃあベッドに寝かしておいとま………できねぇなこりゃ。」

 

 抱っこしていた島風をベッドに寝かせて、その場を離れようとした俺だったけど、その手を寝ている島風が掴んで離さなかった。

 

「ね~んね~んころ~り~♪」

 

 俺は苦笑してから歌いつつ掴まれて無い方の手で島風の頭を撫でていたが、

 

「ふぁ~……俺も眠……い。ヤバ………………スゥ………」

 

 気づかぬうちに俺も眠ってしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

「ん………お、おぅ!?なんでお父さんがここに居るの!?」

 

 遊技室で寝ちゃった私が目を覚ましたらすぐ近くにお父さんの顔があってびっくりしたけど

 

「あ………そっか。私掴んだままで…」

 

 何かに長い間掴まれていたかのような皴がついているお父さんの右袖を見て私は自分が何をしたのか気付いた。

 

「でも、お父さんの寝顔初めて見たなぁ~♪」

 

 ちょっと自分自身に嫌悪感を覚えたけど、それもお父さんの寝顔を見て一瞬で吹き飛んだ。

 

 優しい表情のお父さんの寝顔は少し童顔と前にお父さん自信が言っていたように幼い。

 

「大好きだよお父さん♪」

 

 私は我慢できなくてお父さんのほっぺにちゅ……チューをした。

 どうしよう自分でしたことなのに恥ずかしいよぉ~。

 

 それで顔を真っ赤にしながらふとドアの方を見たら

 

「青葉、撮っちゃいました!!」

 

 いい笑顔のパパラッチ(青葉)が居た。

 

「ーーーー!?(声にならない悲鳴)」

 

「これで佑太さんにアプローチする子が増えますねぇ~。それでは~♪」

 

「止めて!!消してぇー!!」

 

 私は慌ててベッドから跳ね起きて青葉さんを追いかけ始めた。

 

「新聞屋は捕まりませんよ~。」

 

「追いかけっこなら負けないんだからぁー!!」

 

 結局、その騒ぎを聞いて駆けつけた皆の手によって青葉さんは捕まったけど、代わりに青葉さんが撮った写真が

 皆に公開されちゃって、今度は私が

 

「抜け駆けとか許さないわよ!!」

 

「島風ちゃん酷いっぽい!!」

 

「待てぇ~。」

 

「もうやだぁーー!!」

 

 朝御飯ができたってお父さんが私たちを探しに来るまでずっと追いかけられることになっちゃいました………。

 

 




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