お父さんが鎮守府に着任しました。これより私たちのお世話を始めます!!   作:先詠む人

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 はい、なんだかんだで連続投稿。

 目指せアンケートの内容を書き終えるまで途切れない投稿を!!…な先詠む人です。

 今日は、広島に原爆が落ちた日ですが、そちらに関しては先詠む人の別作品「
リアルでもダメになりたくないなぁ……( ̄▽ ̄;) 」でやったのであえてこちらの作品では触れないことにしました。(一応この作品の舞台として想定している地域も関東圏なので認識が薄い人が多かったりしますから………)

サブタイトルは件の彼のトレードマークのすぐ近くにあるやつですw


よっ。(by傷もちの料理人)

「はぁ………。」

 

 俺は実家のリビングのソファに座ってため息をついていた。その理由は単純なことで…………

 

「カップラーメンばかりあるっぽい?」

 

「冷蔵庫の中は………なにこれ!?きしょいものが入ってた!!」

 

「お茶もないみたいだね~。」

 

「客にお茶すら出さないってどういうこってぇい!!」

 

「いや、お客様って言っても私たち押し掛けたも同然だから………」

 

「本当にすみません。姉や妹が…………。」

 

 勝手にキッチンのそばにある保管庫を開けてたくさんのカップ麺を取り出して首をかしげる夕立ちゃん。

 

 冷蔵庫をこれまた勝手に開けて中からさらに入った黒いグロテスクな物体を取り出して落としそうになる白露ちゃんと、その後ろから冷蔵庫の中を覗いてから鎮守府と違ってお茶が冷蔵庫の中にないことを指摘する村雨ちゃん。

 

 客としてこの家の中に入ってきたのにお茶の一杯も出てこないことに腹を立てて文句を言いだす涼風ちゃんと、それをたしなめる五月雨ちゃん。

 

 そんな中春雨ちゃんは、自由奔放に振る舞う姉や妹を代表して先ほど俺がした説教のせいで灰になっている母さんにひたすらぺこぺこ謝っている。

 

 こんな混沌(カオス)極めている光景が目の前で繰り広げられているからだった。ただ、白露ちゃんが持っているお皿に見覚えがあった俺はソファから立ちあがり

 

「白露ちゃんその皿渡して。あ、投げるなよ。たぶんそれの中身ゲル化してるから皿の外に出たら大惨事になる。」

 

 村雨ちゃんにくっつかれている白露ちゃんの横に回って皿を受け取ってから、その皿を覆うようにピンッと張られていたラップを外した瞬間だった

 

「くせぇっ!!!!!」

 

 ラップを外した瞬間、その皿を中心としてあたり一面に漂ったのは腐敗臭。

 もともと酢を使った料理の残りがお皿の中には入れられていたのだろう。ラップを開けた途端まず最初に酸っぱい臭いが鼻をついた。

 その次に鼻に入ってきたのは肉が腐ったようなにおいと、目が痛くなるような刺激臭。

 

 俺はそれで中身を確信して急いで開けていたラップを閉じた。

 

「母さん!なんで正月に帰ったときに俺が作り置きしておいた()()()()()()がここまで腐った状態で保管されてんだよ!!!」

 

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 鳥の酸っぱ煮。

 それは簡単に言うと鳥の手羽元を甘酸っぱいたれで煮込んで作る料理。

 甘酸っぱさの内の酸っぱいのもとである酢で煮込むことにより鳥の手羽元から臭みが消えてうまみが生まれる。また、長時間煮込まれたことで鶏肉は箸でほぐすことができるほど柔らかくもなり、関節部についている軟骨もおいしくいただけるようになる。

 

 鶏肉がここまで柔らかくなるのは酢の成分が肉のたんぱく質に及ぼす科学の関係とかいろいろとあったりもするけども、この作品はおいしかったら服がはだけて天使が出てきたりする某少年漫画をベースとしてないからここで説明はお開き。お粗末!!

 

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 俺が顔を真っ赤にして母さんに追求すると母さんは俺から顔を背けて

 

「だって、それ食べちゃうといつ佑太が帰ってくるのかわからないからもったいなくって………ね?」

 

 阿賀野さんがよく責任を回避しようとするときにやっているぶりっ子ぶりを俺にしてきた。だけど、それは俺からしたら逆に………

 

「ね?じゃねーよ!!もったいなくっても腐ったらそっちの方がもったいないわ!!!てことは全然ダメな食生活続行中かよ!!!俺が完全に独り立ちしたらどうするつもりなんだよ!!」

 

「あ。その時は完全に外食に頼るつもりだから」

 

「そういうことじゃねーーーー!!!!!」

 

 火に油どころか焼夷弾ぶち込むようなことをしてることにいい加減気付いてほしい。

 

「はぁ……はぁ………。」

 

「ところであなたたちは一体佑太とどういう関係なの?」

 

 俺が突っ込みをしすぎたせいで顔を真っ赤にしたまま息を整えていると、母さんも母さんで唐突にそんなことを聞いてきて、

 

「「「「「「お父さんです(ぽいっ)!!」」」」」」

 

 みんなが声をそろえてそんなことを言ったもんだから

 

「佑太!!」

 

「戦略的撤退!!あと、買い物行ってきまーす!!」

 

 俺は母さんが振り返るのと同時に玄関へと駆け出して、そのまま靴もきちんと履かずに外へ飛び出した。

 

 目指すはゆきひらに料理を教えてもらいに行ってた時や、高校時代によくお世話になった商店街。

 

 その名もすみれ通り商店街。

 

 

 

 

(活気がまた無くなってる……?)

 

 家を飛び出してから数分全力で走って商店街にたどり着いてみると、高校のときに京都弁をしゃべるいけ好かない変な顔のおばちゃんが代表をしていたから揚屋が入ってる駅前商業施設に客足を取られていたときみたいに商店街の人気が少なくなっていた。

 

「あぁ、その後ろ姿は小鳥遊君かい?」

 

「お、富田のおじさん久しぶり。」

 

 活気がなくなったことに気付いて俺が商店街の入り口で考え込んでいると、後ろから富田のおじさんに声をかけられた。

 

 富田のおじさんは、この商店街の商店会長で弁当のとみたやっていう弁当屋の2代目店主でもある。ただ、その会長というえらい立場とは逆に気弱で頼りなかったりする。

 

 それで俺が高校生のときにさっき挙げたから揚屋のせいで客足を奪われて店の売り上げが落ちてかなりやばい表情になっていたけれど、今のおじさんの表情はそれよりも深い絶望を見せていた。

 

「おじさんこれどうしたの?すみれ印の唐揚げロールは?」

 

「やめてはないんだけどね……。どうしても原材料の調達が深海棲艦の侵攻のせいでうまくいかなくて値上げせざるを得なくなってしまったんだよ…。それに…」

 

「元が学生をメイン層に狙っていたのにその学生も深海棲艦を恐れて避難したことで減ったって感じですか?」

 

「そういうこともあったりして大変だよ……。はぁ。」

 

「でも、おかしいですよね。俺が大学に行くまではここいらの地域は学生が多かったはずだし深海棲艦の侵攻もそんなにひどくはなかったはずです。それなのになんでこんなことになったんですか?」

 

「それもあるけど大体はあの唐揚屋のおばさんのせいだよ。ったく、味で勝てないからってそこまでするか?って話だ。」

 

 そうやって俺が冨野のおじさんと話していたら後ろから聞き覚えがある声がした。俺が反射的にその声がした方に振り替えると

 

「よっ。久しぶりだな。ユータ。」

 

 いつものゆきひらのユニフォームに身を包んだ最後に見た日よりも成長した様子を見せるソーマの姿があった。俺はソーマの方に歩いて行って

 

「おぅ。久しぶりだな。ソーマ。」

 

 と言いながら右手を挙げた。俺のそんな様子を見てソーマは少し笑ってから

 

「ハハッ……。変わってねーな、お前は。」

 

 俺が掲げた右手に自分の右手をしっかりと組み合わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、あの変顔おばさんが一体何をしたんだ?」

 

 そうやって昔からしていた合図みたいなものを終えてからソーマがさっき言ったことについて詳しく聞いてみた。

 

「あのおばさんが経営してた唐揚屋って有名な店だっていうのはあの日手伝いに来てくれてたからお前も知ってるだろ?」

 

「あぁ。確か、関西圏で大きな勢力を持つもず屋だったか?性格は本当に関西の人か?って思うぐらい陰湿だったけど。」

 

「それで、こっちは小規模の商店街だろ。そこを頭においてからこっからの話を聞いてほしい。」

 

「おぅ。だけどその規模の問題って関係あるのか?」

 

「あぁ。まぁ、規模というか金の問題というか…。」

 

「?」

 

 俺が冨野のおじさんと一緒に首をかしげてソーマの言葉の続きを待っていると、

 

「やっとお父さんを見つけたっぽい!!」

 

 という言葉とともに俺の背中に大きな衝撃が走った。

 

「な………。」

 

「おいおい…、ユータお前いつ子供を相手に産ませたのかよ…。」

 

「いてぇ…。あと、ソーマ。それ誤解みたいなもんだからな。言いふらすなよ!!」

 

 俺は必死に呆然としている二人、特にソーマに対して強く言ってから背中にくっついていた少女をお姫様抱っこの形になるように体を動かした。

 

「夕立ちゃん、俺いつも言ってじゃん。人に勢いよく後ろから抱き着いたらダメだって。」

 

「ぽい~~。」

 

 俺が静かにお説教していると、

 

「夕立、早いって…。私が一番じゃないじゃん。」

 

「あ、お父さん居た。」

 

 白露ちゃんと村雨ちゃんがこっちに走ってきた。

 

「そっちじゃなくて春雨ちゃんと五月雨ちゃんがよかったな~。」

 

 と、その光景を見て俺はつい漏らしてしまった。

 

「ぽい?」

 

「あ、うん。こっちの話。気にしなくていいから。」

 

「気にするも何も、お父さんを探してみんなお父さんの家から出てるっぽいよ?」

 

「うげっ……。」

 

 俺がその夕立の言葉に絶句していると

 

「聞きましたか、富田のおじさん。あのユータがお父さんと呼ばれて女の子に抱き着かれてますよ?」

 

「聞いた聞いた。あれはうらやましいね。」

 

 目の前でさっきまで話していた二人が悪い笑みを浮かべてニマニマしていた。

 

「…………………はぁ。そこニマニマすんじゃねぇ!」

 

 どうやら、この誤解を解くためにもこの後色々と話さなきゃいけなくなりそうだ…。

 

「あ、そうだ。さっき時雨にも連絡したら『もうすぐ帰る予定の遠征任務が終わったらお義母さんにあいさつするためにも伺わせてもらうよ。』だってさ。」

 

「ヲイ。」

 




感想、評価を楽しみにしています。

 そろそろ誰のアンケートの回答内容について書いているのかわかる人にはわかると思います。
 しかし、アンケートの回答であったのがソーマが高1のときの話なのでその後という設定で書かせてもらっています。
 「こんなのソーマじゃねぇ!!!」とか、「富田のおじさんってこんな人じゃない!」っていうご指摘がありましたら感想欄にてお願いします。できる限り直していこうとは思っています。

アンケート実施しています。
下記URLからジャンプして回答をお願いします。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=118569&uid=116136


………自分の文ってやっぱり変な癖があるんだろうか……?

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