お父さんが鎮守府に着任しました。これより私たちのお世話を始めます!!   作:先詠む人

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 どうも、こんにちは。あるいはこんばんわ&おはようございます。(投稿時刻的にはこんばんわが正解か?)
 お山の方に行ったら電波は走ってましたが、スマホの電池がなかったので執筆できなかった先詠む人です(コンセントとかがなかったせいで電池の回復手段がなかった)。
 そして昨日とおとといは疲労で執筆ができなかったので投稿が遅れてすみません。

 今回は、前回の続きで佑太のお父さん。ケリィがキャラモチーフとなっている小鳥遊切嗣さんの一人語りが続きます。

 その中で結構残酷描写があったりするので、そういったものが嫌だという読者さんは一気に3/4までスクロールを進めていただいた方がよろしいと思います。

 なお、この作品に出てくる切嗣さんは”正義の味方”ではなくて”家族の味方”を目指していますので、Fate/Zeroケリィさんというよりもプリヤケリィの方が近いということを先に知っていてください。(ただ、やっていることはZeroケリィの方が近い)

 それでは本文をどうぞ。


僕が見たもの(By切嗣)

「仕方ない…話します。」

 

 僕の様子から何かを悟ったような元帥の終わりのない追及の果てに、軍事系の施設のとある部屋で僕は元帥相手にあの日のことを話し出した。

 

「実は佑太が5歳のときに……」

 

 

 ~15年前~

 

 

 PiPiPiPiPi!

 

「ん?知らない番号?……一体誰からだ?」

 

 その日はよく晴れた夏の日だった。

 勿論その頃はまだ深海棲艦も海に現れておらず、艦娘も当然いなかった。

 そんな中で僕は傭兵の看板を5年前に佑太が生まれたのと同じタイミングで下ろし、傭兵時代のコネクションを使って就職した職場に勤めていた。

 

 清掃関係の職場だったこともあり、上司からの覚えもよかった僕はそのころには昇進の話をもらえるほどの業績を上げていた。

 

 しかし、過去に"伝説の傭兵"と言われてしまうほどの成果を上げてしまった裏社会での過去はそれを消し去りたい僕の意思に反してまだ振り払われてはいなかった。

 

 これはその過去を完全に振り払うきっかけになった事件の話。

 僕自身が手を出したわけではなく、しかも間に合ってすらいなかったが、この事件をきっかけに僕は完全に裏の世界からのちょっかいを振り払うことになった。

 

 

 

 Pi!

 休憩時間だったこともあり、希に佑太の通っている幼稚園から電話がかかってくることもあったからそれだと思い、僕は知らない番号からの電話に出た。

 

「はい。」

 

「小鳥遊切嗣だな。お前の息子は預かった。○○埠頭に今夜11時に来い。」

 

「おい、待て!!息子をどうしたって!?」

 

「お前が来なかった場合は息子がどうなろうと知らないぞ。」

 

 電話にでた僕へ、変声機で恐らく声を変えたのであろう何者かは一方的に用件だけ告げて通話を切った。

 

「…………嘘だ。」

 

 僕は慌てて家に佑太の通っていた幼稚園へ電話をかけると、帰ってきた返事は

 

「……………そんな。」

 

 佑太がお昼寝の時間の間に何者かにさらわれて行方不明になっているといったものだった。

 

 僕は家族か、自分。このどちらかを選ぶ選択を迫られることになった。

 

 そして僕が出した結論は…………

 

 

 

 

 

「行くの?」

 

 その日の夜の10時頃に傭兵時代のコートを身にまとい、その下に大量の銃器を持った状態でこっそり家を出ようとした僕に妻の舞が声をかけてきた。その舞の言葉に対して僕は

 

「あぁ。」

 

 とだけ答えて玄関の扉を開いた。そして

 

「佑太を連れて帰ってくる。」

 

 僕はそれだけを告げて家を出た。

 

 十数分間、車を走らせて指定された埠頭へとついた。

 車から降りる前に僕はある人物に()()の手配をお願いしてから暗視ゴーグルで周囲の状況を確認した。

 周囲にとりあえず誰もいないことを確認してから車から降りてまず最初に武装を全部再度見直す。

 見直しを済ませてから、僕は引き金に軽く指を当てた状態で埠頭の先端のほうに立っている数人の男たちのもとへ歩き出した。

 

 そして……

 

「小鳥遊切嗣か。貴様にやらせたいことがあr「僕は君の話を聞く気はない。」……アガッ」

 

 数人いた男たちの中で最初にしゃべり始めたチャラい感じの男の眉間にめがけて弾丸を放った。

 

 そして、その男が倒れるのと同時に僕はそのまま戦闘へと突入した。

 

 

 

 どうも犯人グループは最初から佑太を人質に取ったことで自分たちの立場を有利にした状態で交渉をするつもりのだったようだ。

 

 そう僕が判断した理由はまさかその場にいた全員が非武装だったからだ。まさか人質がいるからと非武装で交渉のテーブルに立とうとするやつらがいるなんて僕ですら思ってもいなかった。

 

 ただ、この犯行グループは僕が本心から最低だと思うタイプの組織だった。

 

「息子はどこだ!!言え!!」

 

 その場にいた男たち全員を始末した後、僕がリーダー格と判断したスーツを着た男の後頭部に銃口を当てて問い詰めていると

 

「ハハハハハハッハハアハハハハッハハハハアハハ」

 

 追い詰められている側であるはずの男が大笑いをし始めた。

 

「何がおかしい。」

 

 僕がそう問い詰めるも男は笑うのをやめない。

 

「何がおかしいんだ!!」

 

 僕は怒りに任せて男の後頭部をつかんで地面にたたきつけた。すると、男は笑うのをやめて僕のほうに顔を向けて

 

「今頃お前の息子はお前の手が届かないところで売られているだろうよ!!」

 

 そういって何かをかみしめるかのような行動をした瞬間痙攣して泡とたくさんの血を吐きながら死んだ。

 

()()()()()()………?まさか!?」

 

 僕は慌てて男たちの持ち物をあさりだしたが、そのうちの一人が持っていた携帯端末にこんなメールが届いたことで佑太の今の居場所が分かった。そのメールの内容は

 

 --------------------------------------------------

 緊急事態

 

 何者かに船が襲われている。至急交渉頼む

 

 --------------------------------------------------

 

 といったものと、太平洋上、高知から数百メートル先の海上にピンが押された地図情報の添付だった。

 

 それを見て僕はすぐに携帯を開いて

 

「僕だ。例のものの準備を至急頼む。」

 

 そう告げた。

 

 数分後、僕の姿は僕が戦闘を行った埠頭から数百メートル離れた港の一角にあった。

 

「待たせたな。高速船を言われた通りのスペックのやつ持ってきたぜ。」

 

「あぁ、すまないねトム。君には引退した後もこうして迷惑をかけてしまっている。」

 

 港に勢いよくしぶきをあげながら入ってきた最高速度300km/h出るといわれるモンスターマシンを届けに来てくれた男の名前を僕は知らない。だけど、彼が自分のことをトムと呼べと最初に会った時に言ったのでトムと呼んでいるだけであって彼はどこからどう見ても日本人だった。

 

「気にするな。」

 

 黒い髪をかき上げるようなしぐさを見せながらトムはそういって笑った。

 

「俺だってあんたみたいに優しい人が傭兵やってるのはおかしいって思ってたんだ。それで幸せをつかんだ今のあんたにどれだけ迷惑かけられようと俺は気にしないさ。」

 

「………恩に着る。それでは行かせてくれ。」

 

「あいよ。それとここだけの話でさっき無線に入ったことなんだが、聞くか?」

 

 急いで佑太のもとに行きたい僕に対してトムは何か気になることを言っていたが、

 

「今急いでいるから後にしてくれないか?」

 

 と、急いでいた僕はいつものトムの冗談が始まるのかと思って流してしまった。

 

 そして、僕は船を操縦して最大速度でメールに添付されていた場所へと向かった。

 

 

 

 体感時間にして数時間、しかし実際には数十分後に僕はメールに添付されていた箇所にたどり着いたが、そこには燃え上がっている大型の船しかなかった。

 

「!!佑太!!」

 

 僕は慌ててアンカーフックを船の甲板に打ち込んで船の甲板へと上がろうとしたが、そのときにあることに気付いき、こう漏らした。

 

「………ハッチがこじ開けられている?」

 

 僕が気付いた事、それは船体後部のハッチが何か強力なものでこじ開けられたかの如く開いていて、そこから海水が勢いよく浸水している光景だった。

 

 僕はいったん取り出したアンカーフックをコートの中にしまい、ハッチから船内に侵入した。

 

 船の中は、基本的に白で壁も床も塗られていたが、それもハッチのそばのみだった。

 上層へと続く階段を探して奥に入って見れば、そこには多数の檻が設置されていて、数多くの子供の死体が横たわっていると同時に部屋自体が血で真っ赤に染まっていた。

 

 その子たちが死体になっているとなぜ言えたのかというと、その中の一人に佑太がいるのかもしれないという不安感から僕は檻の中に入って一人ひとりの脈を確認していたからわかった。

 その子供たちは全員首に鉄製の首輪をつけられており、しかも凌辱してそのまま殺したのではないかと思われる女の子の死体も存在していた。

 

 しかし疑問に思ったことがあった。

 

 それはこの船はあの男たちの話から想像するに子供たちを売りさばく人身売買の乗った船のはずなのになぜ商品になる子供を全員殺したのかというものだ。

 

 その答えは佑太を救出して僕が完全に裏の世界から足を洗ってかなり経ってから、トムからの情報で知ることができた。

 

 どうも、トムが座標を僕が送ったからと言って僕が佑太を連れ出した後に沈没したあの船をサルベージしたらしい。

 その際に檻があった階層の監視カメラの記録映像の復元も行って成功したそうだ。

 

 少し迷ってから僕はその映像を見せてもらったが、そこには不鮮明な映像ながらも真実が映し出されていた。

 その映像には、クジラのような生き物がハッチを破壊して入ってくると同時にハッチのそばにいた人間を襲う様子が映されていた。トムも僕も個人的にはその続きが見たかったが、映像はそこで砂嵐になって僕の姿が映るまで止むことはなかった。

 

 ただ、そのあとずっと続いていた砂嵐の中でわずかに映っていた映像に残っていたのはクジラのような生き物に銃弾を撃つ男たちの姿と、それをまったく気にもせずに進む多数のクジラのような生き物の存在、そして跳弾によって血を吹き出す檻の中の子供たちの姿だった。

 

 

 本線から外れてしまった。話を戻そう。

 

 僕はそんな疑問を抱きながらも佑太を探すために気持ちを切り替えて上層へと続く階段を再び探し出したが、すぐに見つけることができた。

 

 階段を駆け上がると、そこは甲板へと続く建物の中だった。

 

 そして僕が階段を駆け上がった後に周囲を確認していて、

 

「ッ!!」

 

 甲板上に異形の存在がいることに気付き僕は銃を構えた。

 

 それは銀色の髪を腰のあたりまでぶら下げていて、肌色の上半身は何も身に着けておらず、何かを抱くようなしぐさを見せていた。

 しかし、その下半身は異形と呼ぶしかないものだった。

 

 その存在の下半身、いや、腰から下は黒い船のようなもので覆われており、その上その黒い何かから砲塔のようなものが生えていた。

 

 僕が銃を構えていることに気付かずに、それはそのまま何かを抱いているかのようなしぐさを僕の方に背中を向けながら続けていた。

 だが、急に下を向いていた顔をあげて抱えていた何かを下ろすようなしぐさをすると、そのまま海へと飛び込んでいった。

 

 僕はその時に初めてその存在の横向きからの姿を見たことでその存在が少女を模したものであることを知った。

 そしてその少女の顔には半分にかけたバイザーのようなものが目を覆い隠すかのようにあった。

 

「あれは………」

 

 一体何なんだ?という言葉を続けたかったが、「もし先ほどの少女が持っていたものが爆弾だとしたらたまったものではない。」と裏の世界で生きていた時に培った自分のカンが囁いてきたので僕は走って先ほど少女がいたあたりまで駆け寄った。

 するとそこには

 

「佑太!!!」

 

 着ている服は先程檻の中で見た子供たちが着せられていたような粗末な布を纏ってはいたものの、幸せそうにすやすやと眠っている佑太の姿があった。

 

 

 

 数分後、急いで船から脱出して座標をトムに送ったのち、高速ボートに乗ってその場から離脱していると佑太が目を覚ました。

 

「佑太。大丈夫かい?けがはないかい?」

 

 僕が一旦ボートの運転をやめてそう尋ねると

 

「おとうさん、あのね。あのおねえちゃんぼくにまたあいにくるって。」

 

 佑太は何の前触れもなくそういった。そして

 

「なんかぼくはえらばれたのかもね。」

 

 日が昇りだした遠くの水平線を見つめながらそう呟いていた。

 

 

 

 

 

「これが僕が知っているあの日のことのすべてです。また、家に帰ってから佑太を風呂に入れようとしたらすでにふさがってはいましたが大きな傷が刻まれていました。この間本人にそれとなく聞いてみたら今でも背中に残っているようです。」

 

 僕はそこで話をやめて出されていたお茶を飲んだ。

 

「そうか……。もしかしたら我々は大きな勘違いをしていたのかもしれないな………。ありがとうございました。」

 

 元帥はそういうと机に向けて大きく頭を下げた。そして

 

「君。最初の5人と同型艦の艦娘たちの写真を持ってきてくれ。」

 

 そう言って部屋からおそらく彼の部下であろう人を追い出して再び僕の方を向いて

 

「あなたにはもう少し聞きたいことができました。」

 

 そういった。僕がその言葉に不快感を覚えたが、どうやらそれが顔に出ていたらしく、

 

「あぁ、簡単な質問なのでお時間は取らせませんよ。ただ、写真を見ていただいて見覚えがあるかどうか尋ねたいだけなのです。」

 

 そう元帥が僕の機嫌を損ねないように言うのと同時に、先ほど出て行った部下の男が5枚の写真をもって部屋に戻ってきた。

 

「それではお尋ねします。この5名の顔に見覚えがあったりしますか?」

 

 そう言って差し出された写真を見て僕は息を詰まらせた。

 

 その写真に写っていた少女たちの顔は…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………………()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とまったくもって瓜二つだった。




感想、評価を楽しみにしています。

アンケートもやっています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=118569&uid=116136

回答よろしくお願いします。

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