お父さんが鎮守府に着任しました。これより私たちのお世話を始めます!!   作:先詠む人

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今日二本書けたのでこちらも投稿します。
明日は学校に授業の関係でいかなきゃいけないのでもしかしたら投稿できず、あさってから8/2までは先生曰く「電波が通ってません」の山のほうに授業でいく関係で再開が8/3になるかもしれません。

それと途中で3人称になってますが、設定を書き込む関係でそうなってしまってます。
読みづらかったらすみません。


うふふ……(by???)

 これは俺がお父さんと夕立以外から呼ばれていなくて、まだ鎮守府に居たみんなからお父さんではなく佑太さんと呼ばれていた頃の記憶。それは2回目の建造の時のことだった。

 

『あなたが司令官……いや、違うわね。』

 

 建造が終わってポッドのハッチが開いたにもかかわらず目を覚まさない少女のことを心配した俺が、その顔を近づけると同時に目を開いた少女はそう言った。

 

『え…………なんでわかった?』

 

『だって、あなたから懐かしい臭いがするもの………』

 

 銀髪に特徴的な髪飾りを付けた彼女はポッドの中から、こちらに抱き着くかのように手を伸ばして俺を自らの方へと引き寄せる。そして……

 

『………大きくなったわね。』

 

 まるでお母さんが、幼いわが子に向けるような慈愛の表情を俺に向けながら彼女はそう言った。

 

『へ………。』

 

 その言葉の真意をつかめずに呆然としてしまった俺を前にして彼女は目を数回瞬かせると

 

『………ふぇ?…………………………ってなに!!顔が近いわよ!!!』

 

 その言葉とともにいきなり俺の頬へとその手を思いっきり振りかざして全力で振るった。そして次の瞬間工廠には

 

『理不尽!!!』

 

 と叫びながら工廠の隅の方へとはり飛ばされる俺の姿があったのだった………………………

 

 

 

 

 

「いつっ……」

 

 不意に目が覚めて目を開けると視界は何かでふさがれたかのように暗くなっていて、左手で俺はそれを外した。すると、

 

「あら、起きたのね。」

 

 丁度転がされているらしい俺と、天井の間に挟まれているかのように俺の顔を見ている叢雲ちゃんの顔があったが、その顔はいつもと違っていた。

 

 何時もだったら叢雲ちゃんは俺の顔を見ると顔を赤く染めながらそっぽをむこうとするのだけど、今俺の目の前にいる叢雲ちゃんは建造したあのときと同じような表情を浮かべていた。

 

「おでこを強く打ったから脳震盪を起こしたみたいね。まだ、安静にしてなさい……。」

 

 俺が起きたのに気付いた叢雲ちゃん?は、再び俺の顔にタオルをかぶせて俺の頭を撫で始めた。

 

「え、でも聞きたいことが「いいから寝てなさい…。」………はい。」

 

 何でかわからないけど、その叢雲ちゃん?の声に俺はあらがえずに再び眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 食堂の空母勢がごねたことでできた畳張りの座敷には、今現在二人の男女がいた。

 一人は、特徴的な髪飾りをつけている銀髪の少女。もう一人は目のあたりにタオルを被せられ、少女の柔らかい腿の上で眠っている青年。

 

「うふふ……あの子たちには悪いけど、この子は私が最初に会った子なんだから譲れないわ…。」

 

 少女は艶やかな笑みを浮かべながら薄い障子一枚を隔てた向こうで今もなお進行中の片付けをしている少女たちのことを今の体の主の記憶の中から思い浮かべながらそう言った。

 

 青年を膝枕している少女の名前は吹雪型5番艦の叢雲。

 深海棲艦によって襲われ、一時的に東京湾にまで進攻され、完全に滅びかけた日本を救うきっかけになった”始まりの日”に現れた”始まりの5人”と呼ばれる艦娘5名と同じタイプの艦娘である。

 

 そして”始まりの5人”の行方は、”始まりの日”から1か月後に妖精さんの技術提供によって艦娘を建造する機械の第1号が製造されたのを機に全員行方不明になっている。

 

 その事実を知った日本国政府は大慌てで彼女たち5人を探したが、その行方は知られることはなかった。

 そして、第1号の建造機から”始まりの5人”と同じ名前を背負った艦娘たち、あるいはその少女たちの名前のもとになった第2次世界大戦時の艦の名前を持つ少女、あるいは女性たちが建造されるようになったことから政府は一時的に”始まりの5人”の捜索を断念。

 それよりも先に、建造機と同時期に開発された機械に適性を持つ者たちを提督に任命して西は瀬戸内海、東は東京湾、北は津軽海峡まで攻め込まれた制海権を緊急で取り返すことにした。

 

 その結果、多数の人命、あるいは艦娘たちの犠牲を払いながらも日本は深海棲艦が現れる前までの日本の経済水域を取り返すことに成功していた。

 

 

 そしてそこまでの一連の流れを()()()()は見ていた。

 しかし、最初に払った物の対価のせいで彼女たちは見ることしかできなくなっていた。

 

 その理由はもし自分たちが後輩を救うために動けばその代償として強大な深海棲艦が産まれるということが彼女たちにはわかっていたからだった。事実、過去に一度だけ沈みそうになった雷を助けるために電がその海域に出現したときにはその反動で雷そっくりなレ級と呼ばれる異様な強さを持った深海棲艦が誕生してしまっている。

 

 そこで彼女たちは5人は相談し合った。

 

 どうすれば、後輩たちを助けながらも深海棲艦の戦力増強を防げるのか…と。

 

 その結果決まったのが、提督が艦娘たちを指揮するときに使用している機械のネットワークに秘密裏に干渉して後輩たちのフォローをすることだった。

 

 しかしその判断は、彼女たちの想像を超えた現象を引き起こすことになった。

 あくまでも()()()()という言葉がつくが、彼女たちと同型艦の艦娘に憑依することができるようになったのである。

 そして今もなお佑太に膝枕している叢雲は、”始まりの5人”の叢雲が佑太が2番めに建造した叢雲に憑依する形で建造された存在であって、稀に叢雲の意思を乗っ取って彼女の目的を果たすために動いているのであった…………。

 

 彼女が憑依されていない叢雲の様子を知るものからは到底考えられないような顔で佑太の髪をなでていると、

 

「はぁ~、疲れた……。お兄ちゃん私きちんとやり遂げたんだから誉めてください!!ってあなた誰ですか?何時の間にかお兄ちゃんを連れて行ってひ……膝枕までしちゃってますけど。」

 

 詩歌が閉じていた障子を大きな音を立てながら開けて部屋に入ってくるなり彼女を問い詰め始めた。

 

「私はただ、この子を寝かせているだけよ。この子最近ずっと相も変わらず無理してるから…。」

 

「え……。」

 

「あなたは知らないでしょ?この子が最近何時に寝て何時に起きてるとかそういうことを。」

 

「あ……確かに知らないですけど!!」

 

「そんな人に私の行動を責められる筋合いはないわ。あら……もう時間かしら。しょうがないわね…。酸素魚雷は食らわせないけどこれぐらいならいいでしょ。」

 

 そうやって会話を続けたあと、叢雲は佑太のおでこにキスをしてからそのまま倒れた。

 

「あぁーーーーー!!!!!」

 

 その光景を見て叫んだ詩歌の声によって再び食堂に嵐が巻き起こったのは言うまでもないだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 鎮守府にて小鳥遊佑太とその妹詩歌、そして小鳥遊佑太のことをお父さんと慕う少女たちがある意味ほんわかとした状態で騒いでいたのとまったく同じタイミングである場所では緊迫に包まれていた。

 

 

 

「それで、僕を海軍総本部の元帥ともあろう方が呼んだ理由としては一体何なんだい?あ、そうだ。先に言っておくがもう僕は傭兵家業の()()()()()()()()()。もしその関係の依頼なら断らせてもらってすぐに帰らせてもらうよ。妻と娘が今日はおいしい料理を作ってくれるらしいからね。」

 

 僕が昨日の夜に昔のコネクションの関係で就職した職場から帰る途中に受けた電話。それは今息子の佑太がある意味でお世話になっている海軍の元帥からのものだった。そして今、僕はその電話に応じて元帥が指定した軍関係の建物の執務室のようなところでテーブルをはさんでお互い向かい合っている。

 正直なことを言うと僕はもう軍関係などの血なまぐさいところとかかわりたくない。その思いは佑太が生まれてから特に顕著になった。

 

 だからこそ、このことは先に言っておかなくてはいけなかった。

 しかし、僕の目の前にテーブル越しに座っている男は僕の予想に反してこう言った。

 

「あなたをここに呼んだ理由はあなたの息子のことで聞きたいことがあるからだ。勿論個人的には伝説の傭兵とまで呼ばれていたことがあるあなたの力を借りたいと思ったこともあるが、あなたが最後の仕事で足を洗うためにしたことを知ってるからそんなことをする気にはならないさ。」

 

「そうか、なら。僕の息子について聞きたいことというのは一体何なんだい?」

 

 元帥のその答えに僕は少し安堵しながら、僕を呼んだ理由である佑太について聞きたいことの中身を聞いてみた。

 

「あなたの息子は本当にこれまで()()()()()()()()()()()()()のか?もしそうだとしたらおかしい数値がこの間彼をこっそり計ってみたら計測されたのだが。」

 

「え?」

 

 そんなことは聞いたことがないし、僕自身が軍関係の人に会いたくなかったから軍の施設から離れた場所に家を建てて暮らしていたから艦娘に会うなんてありえない。

 

 ……いや、待て。そういえばあの時、佑太が………

 

「心当たりがあるようですね。できれば教えてもらえないでしょうか?」

 

 僕が心の中で考えていたことを見抜いているかのように元帥はその視線をとがらせてこちらに話しかけてきた………




感想、評価を楽しみにしています。

アンケートやってます。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=118569&uid=116136

回答お待ちしています。(リンクうまく張れてるのか回答数が少ないから心配になってくる…)

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