お父さんが鎮守府に着任しました。これより私たちのお世話を始めます!! 作:先詠む人
ちょっと時間がヤバくて一部駆け抜けたような所がありますが、許してください。(一時間で慣れないスマホ執筆の結果)
「……部下?」
俺は元帥のその言葉をおうむ返しした。
「そう、私の部下だ。北上と、木曾の二人とは面識があるようだから説明を省かせてもらうが彼女たちは私の指示に従っているんだよ。」
「…?でも、それだとあの変t……じゃない。提督の指示に従う必要はないんじゃあ?」
「闇を持って毒を制すということだよ。兵器派も似たようなことをしていてね、どうせその様子じゃあ最後の方までその報告書を読んでないだろうから私から言わせてもらおう。」
「君を鎮守府に軟禁するようにあの男へ指示を出したのも君の家族を誘拐して監禁していたのも全て兵器派の暴走の結果だ。彼らからしたら君の存在はさっき君自身が言っていたその通りだからだ。」
「私たち人情派はそれをよしとしなかった。だから君の家族を助け出すために特殊部隊を動かしたり君が暗殺されそうになるのを未然に防いだりしているのだがね。ん?」
元帥はそこまでいうと俺の方を向いて何かを要求するように目配せしてきた。
「………それってただのマッチポンプを軍と言う大枠の中でしているだけですよね。なのになんでそれに巻き込まれた一般人に恩着せがましく言ってるんですか?ふつう軍って国民を守るためにある存在ですよね。その本分を忘れてパワーゲームに守るべき存在そのものを巻き込んで偉そうに語るあなたの言いたいことがわかりません。」
だから、俺は自分が考えたことをはっきりと言った。そうすると
「プクク…」
北上さんが必死に笑いをこらえる様子を見せてから結局こらえきれずに口から笑い声が零していた。
「北上、何がおかしい。」
「プププ…………あ~、涙がでちゃった。だって、彼が言ってること完全に正論じゃないですか。私たちはもともと国民を守るために闘った軍艦だからわかるんですよ。今この場でぶつけあっている論議はどちらが正しいのかってことぐらい。」
北上さんは目からあふれ出た涙をぬぐってからそう言い切った。
「それに元帥が彼に伝えようとしてたのはそれじゃないでしょ~?ここに呼んだ理由から大きくずれ始めてるよ~。」
「………うむ。話を元に戻させてもらおう。君を今日ここに呼んだのは理由があってね。それは君に
北上さんのその言葉で元帥は無理やり自分の感情を整えたのか咳払いをしてから俺の方を向いてとんでもないことを言いだした。
「え……」
当然俺は固まってしまう。艦隊の指揮に関わるなと言うことは、変態が言っていたあの機械を動かせという条件を満たせずに俺は大学に行くどころか一生あの鎮守府から出ることはできなくなる。
そんな考えが一瞬俺の頭をものすごい勢いで駆け抜け、そして
「……………それは俺に軟禁され続けろということでしょうか?」
再び湧き上がってきた怒りと一緒にそれを静かな声に混ぜて俺は元帥にそう言ったが、
「ちがう。そうじゃない。」
元帥は静かな声でそう告げた。
「なら!!」
俺が元帥がした否定に食らいつこうとしたら
「君を縛るものはもう何もないんだ。」
顔を伏せた元帥がそう言った。
「え………?」
「先程、君たちが変態と呼んでいる呂利紺男は憲兵達によって彼の親が関わっていた違法取引の罪で逮捕、送検された。まぁ、彼自信も君を不当に監禁したりしていたことからその地位は剥奪されるだろうし、彼がいる派閥のものも今は地獄をみていることだろう。」
「だから、君をあの鎮守府に縛るものはもう何もない。故に君は自由だ。故に大学に通っても何ら問題はない。」
その時の俺は面白い顔をしていたよ~と後で北上さんにからかわれることになるほど、アホ面を晒していたらしい。
「それじゃあ……」
「うむ。君にはあの子達のお父さんとしてあの鎮守府にいてほしいのだ。まぁ、そうでない道もあるがね。」
「…………。」
俺は目の前の元帥に2つの選択肢を突き付けられていることに気づいた。
一つ目はこのままあの子達のもとから離れ、すべてを忘れて日々を過ごす選択。
仮に俺がこの選択肢を選べば、一生あの子達と会うことも無く平穏な日々を過ごせるだろう。
そして二つ目………。
俺が今のようにあの子達の父親代わりになって、楽しく過ごす選択肢。
………俺の選択は聞かれる前から決まっていた。
「俺は……「お父さんを返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」夕立ちゃん!?」
答えを言おうとした瞬間、この部屋の南側に填められていた硝子を蹴破って夕立?が部屋に飛び込んできて、俺を庇うかのように元帥と俺の間に着地した。
「お父さんを返すっぽい。今なら戦艦が来ても簡単に潰せるっぽい。」
目を赤く光らせ、右手に持った主砲を構えながら夕立はそう言っていたが、
「………大丈夫。俺は大丈夫だから落ち着けって。」
俺は歯を剥き出しにして周囲を威嚇している夕立の頭を軽く叩いてからそう優しく言って
「元帥。俺はあんたに家族を救ってもらったのは感謝してるけどそのやり方は気にくわない。」
「……だけど、俺はあの子達のお父さんと言う在り方から逃げるつもりはない。」
「だから……取り敢えずはあんたの思惑に乗ってやるよ。だけどまともな奴を鎮守府に送ってくれ。そうじゃなきゃこの子達が不幸になる。」
元帥の方を軽く睨みながら言い切った。
「帰ろう、夕立ちゃん。」
俺は夕立の背中を軽く叩いてから振り返って扉の方に歩き出した。
「あれで良かったんですか?」
あの青年が謎の進化を遂げた夕立を連れて部屋を出ていった後、大和がそう私に言ってきた。
球磨たちは「食後の運動に行ってくるクマ。」と言って彼の後についてこの部屋を出ていったので、恐らく今頃は復讐しようと彼を狙う残党狩りに精を出しているに違いない。
「あぁ。彼には今のままでいてもらった方があの鎮守府に居る彼女達にとって一番良いだろう。」
「だからってあなた自身が悪役にならなくても……」
大和が言っていることは正しい。
だが……
「これでもトップなんだ。彼を軍そのものから離れさせるために灰を被るのは私だけで良い。」
これは元帥と言う地位についた日に私自身に誓った譲れない決め事だった。
「……あなたはやはり自分のことを大事にしなさすぎです。」
大和はそう言ってから私の横に座って肩に頭をのせてきた。
「………それが私だから仕方がない……。」
私はあの夕立が蹴破った窓から空を見上げた。
空は自由になった彼を祝福するかのように綺麗な青を見せていた。
「夕立ちゃん、なんか大きくなった?」
北上さんに連れられて辿り着いた車の中で俺は夕立ちゃんに顔を擦り付けられているときにふと気づいたことを聞いてみた。
「ん~、わかんないっぽい。ただ、反省部屋で寝てたらお父さんが危ない気がして、どうにか部屋から出ようと暴れてたらいつの間にか姿が変わって力が溢れてきたっぽい。」
反省部屋で暴れてたと言うことは気になったが、それは俺のことを案じてくれていたと言うことなので
「へ~。ま、いっか。成長するってことは良いことだし。」
「えへへ~。お父さん誉めて誉めて~。」
「良い子良い子。」
夕立ちゃんに言われるままに頭を撫でていた。
「そろそろ着くってさ~。」
そんな俺たちを他所に助手席でマイペースを貫いていた北上さんが、振り返って教えてくれた。
「あ、了解です。「それと、降りても驚かないでよ?」………へ?」
なんか、含みのある言葉を加えて。
その言葉を気にしながら車を降りたらそこには皆が鎮守府入り口に立って待っていた。
「………ただいm「「「お父さん(父上)!!」」」ぁぁぁぁぁぁぁ!?」
それを見てから心配かけたんだなと後悔して、ただいまを言おうとしたら皆に飛びかかられて俺は呆気なく潰された。
「ホントに良かったにゃしぃ……。あの変態が『今頃アイツは殺されてるだろうよ!!』って言ったから生きてるか心配したんだよ!」
そう泣きながら睦月ちゃんは言った。
「父上が連れてかれるのを見て動揺する私たちの前でそう言った直後に憲兵さんにドナドナされていくあいつの道化っぷりを見て、私は乾いた笑いしか出来なかったがな……」
菊月が肩を竦めながらそう言って俺の首に抱きついた。
「あ、皆でお父さんが帰ってきたらするって決めたの忘れてた!!」
そんな、感動ムードのなかでいきなり吹雪ちゃんがそう言って話を断ち切った。
その後に
「お父さんが鎮守府に着任しました。」
と言ってから
「せーのっ!!」
とその場に居た全員の呼吸を合わせて
「「「「「「これより、私たちのお世話を開始します(にゃしい)(っぽい)!!」」」」」」
皆で俺の方を向いて言った。
「ハハハ。」
俺はそんな皆の様子を見て少し笑ってから
「よっしゃ!取り敢えずあの変態がいなくなった記念にパーティするよ!!食堂へ急げーーーー!!」
立ち上がって食堂の方へと駆け出した。
この話で最初に建てたプロットは完全に消化しました。
先詠む人からしたら初めて……になりますね。
プロット分全てを書き終えたのは。
これから先はアンケートの回答の内容だったり、降りてきた内容を不定期で書いていこうと思います。
感想、評価を楽しみにしています。