お父さんが鎮守府に着任しました。これより私たちのお世話を始めます!!   作:先詠む人

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おはようございます。もしくはこんにちわ。場合によってはこんばんわ。

連続投稿の日にちを数えるのが面倒になってきた先詠む人です。

雨が降ったらいろいろと大変なのに晴れたら晴れたで暑さ厳しいですね…

今回は人によっては嫌な思いをするかもしれません。若しくはご都合主義かよ!!ってツッコミも貰うかもしれませんが、あれ以上書くのはリアルな方で胃に来まして……。

それではどうぞ。


その思いは誰がために……(by神の声)

「グフッ!!」

 

 時雨ちゃんと話をつけようと駆逐艦娘寮の入口へと向かった俺の鳩尾に衝撃が走った。

 

「いってぇ…今日は鳩尾が厄日か!!」

 

 そう小さくつぶやいてから俺の鳩尾に攻撃した誰かを見てみるとそこには尻餅をついてこちらを射殺さんかのような目で見る時雨ちゃんの姿があった。

 

「……」

 

「おぉっと!!!ちょっと待った!!」

 

 俺はその目の奥にある何かがどうしても気になったから黙ってそのまま立ち上がり、俺の横を駆け抜けようとした時雨ちゃんの肩をつかんで強引に引き留めた。

 

「……なんだい?」

 

「少し話がある。」

 

「僕にはない。」

 

「俺にあるんだ。」

 

「僕がそれに応じる必要性は?」

 

「ぶっちゃけ言ってない。だけど、俺がこのままここを通したら()()()()()()()()()()?」

 

「!?」

 

「ハトが豆鉄砲くらったような顔してんな。てか、誰だってそんな悲壮な決意をしたような顔してんの見りゃそれぐらいはわかるだろ。」

 

 俺は目の前にいるこの時雨と言う少女が前の提督とケッコンカッコカリしていたことしか知らない。

 それだから普段から無表情な彼女が何を考えているのかは完全にはわからない。

 

 ………だけど、だからと言って瞳の奥に濁ったものを抱えたままで居させるのはよくないとわかってはいた。それなのに今日まで放置していたのは俺自身、彼女に負い目があったからだろう。

 

 だって、彼女は俺が他の人から聞いた地獄のようなこの鎮守府の中でただ一人幸せな生活を送っていたようだったのに俺がこの鎮守府に妖精さんの導きで訪れてあんなことをしたせいでその幸せを奪ってしまったのだから…。

 

 そこまで考えたところで時雨ちゃんが俺の方を向いて殴りかかってきた。

 

「僕の!幸せを!!奪った奴が!!!何を!!!偉そうに!!!!!」

 

 そう言いながら殴りかかってくる大人な俺からしたら小さいその拳を俺は一つずつ両方の手のひらで受け流していった。

 

「………そんな大振りじゃ当たらんよ。」

 

 このままじゃ終わりが無いと思った俺は、そう言ってから右手で時雨ちゃんの左の拳を受け止めてそのまま優しく握りしめた。

 

「イツッ!!」

 

 だけど、優しく握りしめたはずなのに時雨ちゃんはその瞬間顔を大きくゆがめて俺から距離を取ろうとした。

 

「?」

 

 俺は少しその反応が気になったから自分の右手の方を見てみると

 

「赤い筋?」

 

 時雨ちゃんの左手の肘のあたりなどにまるで鞭のような細いもので叩かれたかのような傷跡が残っていた。

 

(もしかして…)

 

 俺は軽く握りしめた時雨ちゃんの左の拳を一瞬解放してから両手でその手を覆っている手袋を取って左手首を右手で軽く握った。そうすることで明らかになった時雨ちゃんの手袋の下は

 

「やっぱり……」

 

 左手の手の甲の骨が何度も骨折したのにそれをきちんと処置していなかったかのように歪み、左手の甲が正常な形をしていなかった。

 だから、俺が優しく握ったとはいえ、歪みきっている手の甲の骨が痛みを引き起こしたんだろう。

 

「なんで、こうなるまで放っておいたんだ?入渠ドックに行けば直るだろうに…」

 

 俺が詰問するかのように時雨ちゃんの目を見てそう言うと、

 

「だってこれはあの人との絆だから…」

 

「はぁ!?」

 

 すごく世間一般的な観点から言えば頓珍漢な答えが返ってきて俺としては珍しく顔をゆがめてしまった。

 だって、左手の甲の骨がゆがむほど傷つけられたのを絆と言うその精神が全く理解できなかったからだ。これを虐待の記録と言うのなら俺も理解はできたと思う。その場合は何で言えなかったのかを残酷かもしれないが尋ねただろうが…。

 

 しかし、そんな俺の困惑もお構いなしにうっとりと喋り始めた時雨ちゃんは止まらなかった。

 

「はじめは何でだったっけ?そうだ。食材が切れたから外に出ようと思ったんだっけ。そしたら出てすぐにあの人に見つかっちゃってそのまま執務室に縛られちゃったんだよね。それからだんだん激しくなって行って……アハ!」

 

「………」

 

「最初はただ痛かったんだけどだんだんそれが幸せになって行って最後の方は子供が欲しいって言ったr「もういい!!!」………僕の幸せな時を思い出すのを邪魔しないでくれないk「もういいんだ…。もしそれが幸せって言うんなら…」…君はさっきから一体何が言いたいんだい?」

 

「もし、それが時雨ちゃんの幸せだっていうんなら。なんで話しながら泣いてるんだ?それは幸せ?違うだろ!本当は嫌だったんだろ!!だけどそれを認めたくなくって自分の心を騙してて、取り返しがつかなくなっただけだろ!!」

 

 さっきから時雨ちゃんは本人は気付いていなかったのかもしれないが、両方の目から涙をたくさんこぼしながら話していた。

 

「言いたいのは……」

 

 俺がしたその指摘に対して時雨ちゃんはまだ何かを言おうとしていたが、俺は

 

「もう時雨ちゃんを傷つける奴はいないし、自由だ。だけどその大事な命をそうやって自分を傷つけることしかしてこなかった奴のために使わないでほしい。」

 

 その小さな頭に手を置いて目を合わせてからそう言った。

 

 すると、時雨ちゃんはうつむいた後

 

「…………」

 

「え?」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁああああああん!!!」

 

 何かを小さい声で呟いてから号泣し始めた。

 

「え!?え!?俺泣かした!?ちょちょっ!!どうしようこれ…。」

 

 取り敢えずいきなり号泣し始めて泣くじゃくる時雨ちゃんを俺の胸の方に抱き寄せてその頭を優しく撫で続けていると、霧島さんが走ってやってきた。

 

「え?何があったんですか!?」

 

 と、駆けつけてきた霧島さんも困惑して俺に聞いて来たが、正直俺が一番知りたい。

 

 

 

 

 

 

 

 そうやって、泣きじゃくる時雨ちゃんをそのまま撫でていたら

 

「すぅ…すぅ…。」

 

「寝てしまいましたね。」

 

「ナハハ…そうみたい……ですね。」

 

 まるで子犬が母犬のもとで眠っているみたいに俺の胸元で眠ってしまっていた。

 

「ですが、これで時雨さんのことは安心できるかもしれないですね…。」

 

「……そう………だといいですけどね。」

 

 俺が霧島さんとそんな会話をしていると

 

「あ、いたいたお父さん役の人。」

 

 そんな声が後ろの方から聞こえて霧島さんと一緒にそちらを振り向いてみると

 

「今の状況は把握してるからそれは問題じゃないんだけど、それ以外のことで用があるからごめんけど一緒に来てくれないかなぁ~?」

 

 沢山の憲兵さんと一緒にいる憲兵さんと同じ緑色の服を着た北上さんがそう言いながら笑顔で立っていた。




感想、評価を楽しみにしています。

さて、カウントダウンが霧島さんの計算よりも早まりましたよ~。
第1部最終回もこれで近いです。

そこで、第2部に移るに先んじてアンケートを取ろうと思います。

お題は

「どの娘とどんなことさせたいですか?」

です。

活動報告にルールを細かく書いた解答用ページを作っておきますのでそちらに解答お願いします。

URL
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=118569&uid=116136

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