お父さんが鎮守府に着任しました。これより私たちのお世話を始めます!! 作:先詠む人
かなり前に伝説になったいちかわいいみたいに第一部完結まで連続投稿を目指します。
今日の内容は時雨が前の狂った鎮守府で何をしてたかと言う内容です。
時雨本人はこの生活に満足して、幸せを感じていました。
目を開けるとそこは鉄格子の入った窓と鉄の扉、そして木の板で覆われた鉄板が床と壁を構成している部屋だった。そして僕はそんな監獄のような部屋に気を失っている間に閉じ込められていた。
「そうか……ここって
僕はかぶりを振りながらそうつぶやいた。
僕が今いるこの部屋の正式名称は牢屋3号室。
あのときのようにあの人が指揮を執っていた時は、何か悪さをした艦娘がここに閉じ込められるのがこの部屋だったからこの部屋は通称”反省部屋”と呼ばれていた。
この部屋の説明はもう十分だろう。次はなんで僕がこの部屋に閉じ込められたのかを考えてみる。
僕がこの部屋に閉じ込められる前、具体的には意識を失う前に最後に見た記憶は覚えている。それは
『ごめんなさい時雨さん』
その言葉とともにさっきまで僕の首筋があったあたりに手刀を叩きつけた体勢で泣きそうな顔をしている神通さんと、どんどん横になるのと同時にかすんで行く僕の視界だった。
「取り合えず僕をここに拘束しておいてどうするのか決めてるのかな…?」
この部屋に閉じ込めれられたのなら何もできないから僕は三角座りで小さくなった。
そのとき、いつも首筋にかけているあの人が僕にくれた鍵が制服からポロリと出てきて宙を舞った。
この鍵は今もなお僕の左手の薬指で光を放っているケッコンユビワの他にあの人がくれた唯一のものだ。
「あ……。」
僕はその鍵を見てあの人との幸せな記憶を思い出した。
『時雨。』
『なんだい提督?』
ある雨の日の出撃後、みんなと一緒に入渠ドックへ行こうとしていた僕を提督が呼び止めた。
『今日の出撃でお前確か錬度限界まで行ってたよな?』
『うん、そうだよ。それがどうかしたのかい?』
『だったらこれを………これを受け取ってくれないかい?』
急に強くなった雨に打たれながらあの人が僕へと差し出したのは、銀色に光るリングが柔らかそうな台座の上に鎮座している朱色の箱だった。
『……本当に僕でいいのかい?』
『ああ。時雨だからいいんだ。』
『……雨ひどくなってきたね…。』
『ああ。確かにそうだが答えを聞かせて『この雨…当分止みそうにないね。提督、そこにいると濡れるよ? もう少しこちらにおいでよ。雨が上がるまで、こうしていよう。』……そうか。』
僕は提督をひとまず僕自身が立っている入渠ドックの桟の下の方に招いた。
『……答えは、本当に僕で良いのならうれしいなってことだよ。』
『…時雨大好きだ!!』
あの人は僕を勢いよく抱き締めて手繰り寄せた。
『提督、少し苦しいよ。』
『お前を離しはしない。お前を決して離さない。』
あの人は僕を抱きしめたままそう言うとそのまま執務室までお姫様抱っこで連れて行った。
……そして僕と
朝は、僕が先に起きてあの人の朝食を作る。
あの人は執務の始まる時間ギリギリまで寝ていて、起きてから僕が作った朝食を食べて執務を始める。
その時僕はあの人の邪魔にならないように少し離れたところに座ってあの人が執務を取る様子を眺めているのが、この部屋から出ないことを約束させられた僕の数少ない楽しみだった。
昼になるとあの人は僕をこの部屋に残して艦隊の指揮を執りに行く。
僕はその間に部屋の掃除をしてごみを執務室の端の方にまとめて置いておく。
暫くするとあの人が執務室に帰ってきて僕に甘えようとする。
僕がそれを受け入れて彼を膝枕したりしているうちに彼はだんだん僕の体を求めてくる。
僕はそれに応えて彼に体を自由にさせる。
そして、お昼ご飯を食べてから執務室の横にある彼の私室で夜戦の演習をする。
そして、演習後にあの人は再び指揮を執りに向かって僕はそれで乱れた部屋を片付けたり、洗い物をまとめて執務室の端にあるダストシュートに放り込んだりする。
数時間後にはきれいになったシーツダストシュートの横の返却口から返ってくるから今度はそれをきれいに直して彼が帰ってくるのを夜ご飯の献立を考えながら待つ。
彼が帰ってきたら一緒に夜ご飯を作って二人で食べる。
そして、一緒に彼の私室にある彼専用のお風呂に入ってそこから二人共が寝てしまうまで夜戦をする。
僕はあの人の子供が欲しかった。
だけど、あの人がいなくなるまで僕が妊娠することは……………
………全くなかった。
そして、あの日も同じ繰り返しだった。
夜戦の演習中に執務室で大きなアラートが鳴り響くまでは。
そのアラートを聞いた途端にあの人は不機嫌になって僕から離れて電話を取って何処かへ指示を出し始めた。
それを粗方終えたあと、再びあの人は僕のもとに帰って来て
『少しトラブルがあったらしいんだ。だから演習は一旦中止だね。』
笑顔でそう言ってから服を整えて部屋から出ていったきり2度と帰ってくることはなかった。
そしてあの人が帰ってくるのをシーツを簡単に纏った姿で待っていた僕は、部屋に突入してきた憲兵さんに上着を着せられて部屋から数ヵ月ぶりに出ることになった。
そして食堂の方に案内されてそこにいたのは、何やら落ち着かないようすで椅子に座っている
そこで僕は憲兵さんから
『あの外道は艦娘保護法第3条4項を含めた多くの法律と軍規違反をしていた。だから先程逮捕権を使用させてもらいました。』
と言われた。
え?あの人が逮捕された?
確か3条4項って艦娘への不当な扱いを禁じるだったよね。あの人はそれに抵触してないよ?
『それと、秘書艦の貴女の様子を見る限り5条6項にも触れている可能性がありますね。恐らく銃殺刑となると思いま………って大丈夫ですか?』
そこまでを追想し終えた時点で、扉の鍵が開く音がして僕は現実に引き戻された。
「時雨さん。なんで私があんなことしたのかわかりましたか?」
開いた扉から神通さんが部屋に入ってきてそう言ってきたけど僕はその話を聞いていなかった。
僕は獣のように飛び上がって神通さんを突き飛ばしたあと、そのまま開いた扉から廊下へと飛び出した。
(あの後、憲兵さんが言っていた通りあの人は処刑された。あの人が居ない世界なんて生きている意味なんて無い!!)
目指す場所は
今僕の胸にぶら下がっているこの鍵はそう言った危険物を保管しておく倉庫の鍵だと前にあの人は言っていた。
(これまで……ずっと耐えてきたんだ。
もう限界なんだ!!僕はあの人の思いを抱えたまま死にたいんだ!!あの薬液を使えば苦しまずに死ねるんだ!!)
そう思いながら駆逐艦娘寮の入り口を飛び出した瞬間だった。
「イタっ!!」
「グフッ!!」
前を見ないで走っていた僕は何かにぶつかって尻餅をつかされた。
邪魔をしたのは誰だ!!と言った思いを込めてぶつかった何かを睨み付けると
「いってぇ……今日は鳩尾が厄日か!!」
鳩尾の辺りを押さえ込みながら僕の方を心配そうにみている僕が嫌いな
感想、評価をよろしくお願いします。