お父さんが鎮守府に着任しました。これより私たちのお世話を始めます!! 作:先詠む人
英語だったらHelloで済むのに日本語って挨拶の数多いなと思った連日投稿……何日目だこれ?
今日は七夕。作者が住んでる町の空は晴れてはいてもお空に星が見えないです。
今回は、前回の引きだった神通さんが立ち上がった以降のお話ではなくて、そのタイミング以降の佑太のお話です。
そして、今回は佑太が建造するシーンが入ります。この小説世界での建造はこのような感じで行われていると思ってください。
今朝起きてから昨日のアクセス数とかをいつもの朝の日課で見てみたら数がすごい跳ね上がっていて腰がぬけるかと思いました。
ですが、さっき確認してきた今日のアクセス数とかはいつもみたいに落ち着いた感じだったので何が原因だったのかわかってません…。一体何が起きてたんでしょうか……?
「ん?なんか食堂の方が騒がしいな……。」
間宮さんに開いた皿が入ったお盆を渡してから食堂を出て数秒後に食堂が騒がしくなったことに俺は気付いた。
「……やな予感がするしいったん戻るか。」
そうつぶやきながら工廠の方へと向けていた体を反転させて食堂の方へ戻ろうとした俺に
「お父さんは今来ちゃダメなのです!!」
そう言いながら電ちゃんが勢いよく食堂から飛び出してきて俺の鳩尾めがけて突っ込んできた。
「ちょっ!?」
そして、それを反射的に受け止めようと手を差し出した俺の背中に
「あ、お父さぁ~ん。変態が『早く来いや!!』って暴れてるよぉ~?」
「文ちゃん!?今は登るのかんb…」
そう言いながら文ちゃんがよじ登ってきたことでそちらに一瞬気を取られてしまった結果………
「ゲホッ!!!」
受け止めようと差し出した手の隙間を縫うように突っ込んできた電ちゃんのおでこが俺の鳩尾にクリティカルヒットして俺はその場に崩れ落ちた……‥‥……。
「はわわ!!ごめんなさいなのです!!」
「コフュー………コフュー(やばい……息が……できな…い……)」
俺は電ちゃんが慌てて俺に謝ってくる姿をかすんで行く視界の端の方に収めながら、呼吸困難になったせいで脳にたどり着く酸素が足りずに気を失った。
「………きろ。」
「っ!!!」
俺は鼻に走った鈍い痛みで目が覚めた。
「ったく、この無能が。お前が起きなきゃ建造ができないからこっちが迷惑なんだよ!」
痛みに耐えながら目を開けるとそこには足を振りぬいた形でいやらしい笑みを浮かべながら変態が立っていた。そして、そんなことを言いながら俺の腹を蹴り飛ばそうとしたタイミングで
「もうおやめください!これ以上はいくらあなたが提督と言う立場にいるとしても私たちは黙って見ていませんよ!!」
霧島さんが俺と変態の間に入り込むやいなや、その足を左手で押さえつけて右手の手のひらでカンフー映画のように変態を突き飛ばして壁にめり込ませた。
「佑太さん大丈夫ですか?鼻から血も出ていますし一旦医務室に行きますか?」
霧島さんは変態を突き飛ばした後、俺の方を向いてしゃがむことで顔の位置を合わせてから俺の頬をその手で撫でてから、その改造巫女服のような艤装の袂よりハンカチを取り出して鼻の下を拭きだした。
「いえ、大丈夫です。それよりも霧島さんの方こそ大丈夫なんですか?あんなことしたら立場的にたいへんなことになるんじゃあ…。」
俺が霧島さんの手を優しく掃い、今さっき撫でられた箇所を手の甲でこすりながら立ち上がりながらそう言うと
「それに関しては大丈夫です。さて…と、あれも気絶してますので放置してさっさと建造の指示だけ出してしまいましょう。」
「……やっぱり霧島さんはここぞという時にはドライですね。」
俺が急に態度が先ほどまでと一変した霧島さんにそう言うと
「いえ、そんなことありませんよ?私もこの鎮守府に居るみんなもこいつが嫌いだからこんな態度なだけですので。」
そう言った返事が返ってきた。
「そんなものですかね…?」
「そんなものです。それでは始めましょうか。あれが今回の建造で狙うつもりだったのは大鳳さんだったみたいですね。大型建造よろしくお願いできますか?」
「あ、はい。妖精さ~ん!!!」
俺は無理に話を変えようとする霧島さんの剣幕に負けて、結局深く考えるのを止めて妖精さんに大型建造の指示を出すことにした。
「燃料4000弾薬2000鋼材5000ボーキサイト7000で開発資材を20個使います。」
近くにやってきたねじり鉢巻きをした妖精さんにそう言ってから俺は建造用の機械の前に立った。
すると、たくさんの妖精さんが目の前のポッドの中に資材を投入していき、投入が済んでから俺の方を向いて右親指を立てた。
「それじゃあ、建造お願いします!!」
俺はポッドの目と鼻の先に置いてある機械のパネルに出ていた手の形をしたマークに手を添えてから妖精さんへ向けてそう言った。
すると、体中を精査するかのように青い光の帯が俺の体を一瞬包み、次の瞬間目の前のパネルに表示されている内容が手のマークから
生体認証完了
認証結果 正常 一致率98%
正規登録ユーザー《タカナシ ユウタ》さんです。
これより建造を開始します。
と言った画面を経て、2つのタイマーが表示されている画面へと変わった。
「えっと今回は……」
俺はその画面に変わったのを確認してから添えていた手を離してタイマーの表示を見ると、画面に出ていたタイマーの表示は
06:40:00
と上の方の合計時間を示すタイマーには出ていて、その下の残り時間を示す方のタイマーは一つずつ減少していっていた。俺はその画面を見てから
「霧島さん。この時間だとどうかな?」
と尋ねてみたら
「6時間40分………多分大鳳さんだと思います。大本営から送られてきたデータによればその時間で先ほどのレシピだとかなりの確率で着任したそうなので。」
との答えが返ってきたから俺はようやく一安心した。
だけど、問題はこれからだ……ってあれ?俺なんか忘れてる気が…………あ。
「霧島さん。そう言えば今朝食堂で何か大きな揉め事が無かった?」
今朝、意識が飛ぶ前に食堂で起きていた何かを結局知れていなかったことに気付いた俺は霧島さんに聞いてみることにした。
「あ~。えーっとですね…。」
「はい。(珍しく歯切れ悪いな……。もしかして俺が知っちゃあいけないことなのか?)」
何時もはきはき返事を返してくる方の艦娘である霧島さんが珍しく歯切れの悪い答えを返してきたので、心配そうに俺が顔を覗き込んでみると
「……簡単に言うと、時雨さんと夕立さんが少し揉めました。ですが、今は神通さんのお蔭で解決したそうなのであまり蒸し返さないで上げて下さい。それと顔が近いです……。」
霧島さんが顔を赤らめながら返事をしてくれた。
「その原因って何かわかりますか?」
俺が後々の遺恨につながらないためにもその理由を知ろうと聞いてみると霧島さんは俺の方をちらっと見てから辛そうな顔をした。それで俺はなんとなく理由を察した。
「……もしかして俺のせいですか?」
俺がそう尋ねると
「……そうとも言えます。」
と、うつむいて言ってから
「ですが、佑太さんが悪いわけじゃないんです。間接的に関わっているというだけなので。………それにこの件に関しては私も、大きく関係ありますし……。」
………神通さん、夕立ちゃん、時雨ちゃん、そして霧島さんと俺。
この5人の名前が関係している案件はたった一つしかない。
「もしかして、今朝揉めた理由って
俺はそれが事実だと半ば確信を持ちながらも霧島さんに尋ねた。
霧島さんはその場でうなだれてから
「はい……。」
そう、かすれそうな声で答えてくれた。
「じゃあ、やっぱり俺は時雨ちゃんと話をつけなきゃいけないですね…。」
俺はあの時からずっと目をそらしてきた事実と向き合う覚悟を決め、歩きだした。
「どこに行くんですか?」
立ち上がって工廠から出ようとした俺の肩を、霧島さんがつかんでそう聞いて来た。
「時雨ちゃんの所に。彼女と話してきちんと分かり合う。………こうでもしないと、彼女はきっと前には進めない。」
それに、これは俺が未払いでずっと貯め続けたツケのようなものだから…。
俺は霧島さんに聞こえないように最後にそう小さくつぶやいてから俺の部屋もある駆逐艦娘寮の方へと歩を進めた。
昨日春雨ちゃんから聞いた今日の予定では時雨ちゃんは特に遠征とかの艦隊に入っていなかった。だからきっと寮の中の自室にいるだろうと思ったからだった。
「あ!行ってしまいました……。」
マイクチェックはしません。私、霧島です。
「どうしましょう…あのことを言ってもよかったんですかね…?これ神通さんにあとで怒られないですかね?」
一人で
今頃、夕立さんも時雨さんも喧嘩両成敗と言うことで反省部屋に居るはずです。
佑太さんにはそのことを教えてないですから、大丈夫ですよね?
……先ほど連絡で神通さんから聞いた話によると、今の時雨さんと佑太さんを合わせるのは危険な気がします。
どうも、時雨さんはあの一件のせいで未だに情緒不安定になってしまっているみたいですね。
まぁ、無理もないでしょう。
私たちが帰投してもあの男はそのままバケツを港で私たちにぶっかけるなどして陸地に上げさせませんでしたから私たちの現状を知ることはできないでしょう。だから彼女が知っているあの男が運営する鎮守府の景色は彼女がケッコンカッコカリするまでのもので終わっているはずです。
後で聞いた話によるとあの男は食事も食堂でとらずに執務室で時雨さんが作ったものを食べていたそうですからそんな生活をしていたのなら時雨さんはあのときの鎮守府を知ることはできなかったはずです。
まぁ、それも多分完全に惚れていた時雨さんに自分の本性を見せないためでだと今では推測できますけどね………。
それにあの時、完全に私の心は終わってましたから特にそれが異常だと気付きませんでしたが、よくよく考えたらどこからどう見ても私のその時の精神状態は異常なんですよね……。
お姉さまが目の前で沈んでも何も感じず、榛名がドックであの男にひどい目にあわされていても全く動かず、あのころの私は自分勝手で身勝手でした。
だって、目の前でお姉さまが沈んだ時に感じたことは
『ああ、次は私かな…』
位でしたし、榛名があの男にひどい目に遭わされていた時に感じたのは
『私もいつかはああなるのかしら…』
位だったからです。それは今でも私の心の奥底に消えない棘として残っています。
なぜならそれは、私があんな地獄の中で自分のことしか考えずに
だからこそ、あの地獄から救ってくれた
彼が今のこの鎮守府の駆逐艦の子たちへのぞんざいな扱いに腹を立てて隠しドックを作ろうとしたときは、変態と彼に気付かれないように最大限気を使って妖精さんに資材と資金を横流ししましたし、先ほどのようにたまに間に合わないこともありますが彼が変態のせいで傷つかないようにしたりしています。
そして、今は明石さんの立てた計画に乗っかって動いてもいます。
佑太さんが通っていた大学が始まるのはあさって。
彼女づてで大本営には既に私たちが送った書類は届いているでしょうから、私の計算が正しければこの目の前で伸びている変態の地位は遅くても明日には終わるはずです。
「さて、
そう呟いてから駆逐艦娘寮へと向かった私が見たのは
佑太さんの胸で号泣する時雨さんとその頭を優しく撫でてあげている優太さんの姿でした。
一体彼が建造ドックから出て行ってから私が駆逐艦娘寮の玄関にたどり着くまでの10分間の間に何があったのでしょうか………………………………?
感想、評価を楽しみにしています。
いつも誤字報告をしてくださるSERIOさんにこの場を借りて感謝の言葉を言わせてもらいます。
ほんとうにありがとうございます。