超次次元ゲイムネプテューヌRe:birth2~黒き魔女の転生記~   作:佐久間 優

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投稿が一ヶ月以上遅れてしまいました。楽しみにしていた方々には申し訳ない気持ちでいっぱいです。週一更新に戻れるように努力しますので暖かい目で見守ってくれると有り難いです。では第6話投稿させて頂きますm(__)m


第6話 炎の魔神

「はい、これで終わりです。あまり無理しないで下さいです」

 

「すまない…肝に銘じておくよ」

 

「すみません…私が不甲斐ないばっかりに」

 

「気にするな…勝手にやったことだ。それに私の負傷のみで済んだのだから良いではないか」

 

「良くありません、貴女はもう少し自分を大事にしてください」

 

不機嫌を隠そうとせずにイストワールは呟く。あちらのイストワールや四英雄達にも良く叱られていたな…懐かしい

 

「…善処するよ」

 

「善処ではなく、遵守してください」

 

真剣な顔で少々威圧を籠めて、彼女は言う。やれやれ…こちらのイストワールもかなり頑固なようだ

 

「…分かった、約束しよう」

 

こうなった彼女は絶対に折れないのを知っているので、此方が折れる他ない

 

「あの…ストレガさん」

 

「ん?どうしたネプギア」

 

「お願いします、私を鍛えて下さい。もっと強くなりたいんです!」

 

そう言い頭を下げるネプギア。ふむ…どうしたものか

 

「…強くなりたいのは心か?それとも力か?」

 

「どちらもです…心だけでも力だけでも本当に守りたいものは守れないって思ったから」

 

「…良いだろう。但し私は厳しいぞ?」

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

元気良く返事をし、頭を下げるネプギア。さてこいつは何処まで強くなるだろうか……

 

「さて、時間も惜しい…早速始めるとするか」

 

「へっ!?あの…大丈夫なんですか?」

 

「このくらいの傷、なんて事はない。行くぞ」

 

「あ、待って下さい!」

 

そう言い、教会を出る私の後を慌ててネプギアは追い掛けてきた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バーチャフォレスト

 

 

「ふむ…ここなら周りに迷惑は掛からんだろ。さて始めるぞ」

 

「あの…ストレガさん、本当に大丈夫なんですか?」

 

「ふ…手負いの状態ならば、充分なハンデになる。さぁ掛かって来い…」

 

「分かりました…行きますっ!」

 

大地を強く蹴り、真っ直ぐ此方に向かってくる。ふむ…臆せず向かってくるのは褒めよう。だが……

 

「甘い!」

 

“ガキィン!”

 

「くぅっ…!?」

 

槍で軽く受け流し、流れるように蹴りを入れる

 

「どうした?遠慮せず掛かって来い!」

 

「まだです!ラジカルセイバー!」

 

高く跳躍し、落下速度を利用した斬り下ろしを放つ……だが易々と受け止め弾き返す。

 

「どうした?もう終わりか?なら此方から行くぞ!ヘイスト!」

 

時を早める魔法を唱えネプギアへと迫り、絶え間なく攻め続ける。何とか反応し捌き続けるが徐々に押されていき、弾き飛ばされる

 

「あぅっ……!」

 

「どうした、その程度で世界など救えぬぞ」

 

「まだまだ…っ!」

 

目を閉じ、集中しシェアの光を纏い、女神化する

 

「ふ…さぁ来い!」

 

「おーおー、面白れー事してんな、俺様もまぜろよ!」

 

はぁ…この不快な声は

 

「また貴様か…面倒な奴め。ネプギア…一時中断だ。奴を片付けるぞ」

 

「はい!」

 

「けっ!前回は油断してたが今回はコイツがあるからな!」

 

そう自信満々で言い、懐から数枚のディスクを取り出した……あれは!

 

「エネミーディスク!? 何故貴様がそれを持っている!」

 

「ほぉー、コイツを知ってんのか?ならこれから何が起きるかも分かるよな!」

 

「くっ…ネプギア、構えろ!来るぞ!」

 

「はいっ!」

 

下っ端がディスクを高く掲げる。禍々しい光を放ち、灼熱の炎が吹き上がり深紅の魔神が姿を現した……コイツは

 

 

「見たこと無いモンスター…これは一体」

 

「イフリート…炎の魔神。過去に私と共に戦った召喚獣だ」

 

「じゃあ、呼び掛ければ応えてくれるんじゃ…」

 

「残念だがそれは無理だ。召喚士が死ぬとその契約は切れる。倒すしかないな」

 

「そんな…」

 

まぁ、再契約し直すという手もあるが…正気を保っていない状態では失敗するリスクが高い…!

 

「どうした!?ビビって声も出ねーか!じゃあそのまま死にやがれ!行け、イフリート!」

 

”グオォォッ!!“

 

雄叫びを上げ、拳を振り下ろす。ギリギリまで引き寄せ、後ろに飛び回避する。先程まで居た場所にはクレーターが出来ていた

 

「チッ…相変わらずの馬鹿力め……ブリザガっ!」

 

“…っ!”

 

「そんな…っ」

 

「ちぃ…っ!」

 

魔力で出来た氷塊を飛ばすも片手で止められ、そのまま握り潰される。くっ…魔力が足りん…っ!

 

「はーっはっは!その程度かよ!さて、そろそろ止めを刺しちまいな」

 

イフリートが高く飛び上がり、目の前に巨大な火球を作り出す…まずい地獄の火炎か…!

 

“ガアァァァッ!!”

 

咆哮の後、力強く拳で火球を叩き付け真っ直ぐ此方に飛んでくる……くそっ!

 

「ブリザガ!」

 

自身の槍にブリザガを放ち、冷気を纏わせ火球を受け止める

 

「ぬぅぅっ…!はぁぁっ!」

 

ギリギリ打ち消すことが出来たが、槍が燃え尽きる。くぅ…まずいな

 

「だったらもう一度……おい、なんで動かねーんだよ!」

 

「当たり前だ…あれほどの大魔法が連続で使える訳が無いだろう」

 

「ち…役立たずが!」

 

「…っ!」

 

役立たず…だと?今、コイツは何て言った?

 

「…ふざけるな」

 

「あ?何か言ったか?」

 

「ふざけるな!私の戦友(とも)を侮辱することは許さん!」

 

先程の火球で負った火傷が痛い…体もフラフラだ。だがかつて共に戦った仲間を侮辱されて黙ってなどいられなかった……アイツは、アイツは…!

 

“トモ…?…グォ…ウォォォッ!!”

 

「苦しみだした…?」

 

「ストレガさんっ!あれをっ!」

 

ネプギアの指差す方へ視線を向けると、角に小さなリングが付いているのが目に入った…なるほどな。

 

「操りの輪か……ネプギア」

 

「分かってます。あの魔神を助けたいんですよね?私が下っ端を引き付けます、その間に!」

 

そう言うとネプギアは下っ端と戦闘態勢に入った。

 

「すまない……待っていろイフリート。今救ってやる!」

 

痛む体に鞭打ち、立ち上がり真っ直ぐ見つめる

 

”グゥッ…ウォォォッ!“

 

「がはっ!?」

 

苦しみから逃れようと暴れまわり、振り回した腕が体に直撃する。倒れそうになるのを堪え、踏み止まる

 

「倒れるものか……お前を救うまでは!思い出せ、私だ!契約者にして、唯一の友、マジェコンヌだ!」

 

“マジェ…コンヌ……ニゲロ……!”

 

「くっ…誰が逃げるか!他人から疎まれていた私を…初めて受け入れてくれたお前を…見捨てたりしないっ!」

 

迫り来る拳をギリギリで回避しながら、少しずつ…だが確実に近付いていく

 

「く…あと少し……届いた!イフリート、今解放してやる!あの時、私を救ってくれたように…今度は私がお前を救ってやる!」

 

パキィィン!

 

槍を振り上げ、イフリートを戒めている操りの輪を破壊する。これで洗脳は解ける筈…!

 

“グゥ……全く、相変わらず…無茶をする…おかげで助かった”

 

「ふ…無茶をするのはお互い様だ。また…共に戦ってくれないか?」

 

“あぁ…俺でよければな”

 

「ならば、契約の儀を……」

 

「ち…させるかよっ!」

 

再契約を行おうとするが、下っ端が新たなディスクを投げつけ再び魔物を呼び出す。く……っ!?

 

「魔界粧・轟炎!」

 

地面から突然、炎が吹き上がり魔物を飲み込んだ。一体何が……

 

 

「バーチャフォレストから火柱が見えたから何かと思えばとんでもない事になってるわね……」

 

「アイエフ…!?」

 

「さて…状況が良く分かんないけど、何かするならさっさとしなさいストレガ!」

 

「助かる……どうした?イフリート 」

 

“ストレガとは今のお前の名か?”

 

「あぁ…訳あって1度死んでからこの世界に転生した……それがどうした?」

 

“否、相変わらず中二臭いなと思ってな”

 

「う、うるさい!咄嗟に思い付いたのがそれだったんだ!そんなことより再契約が先だっ!」

 

“ふ…そうだな。昔話はそれからだな…”

 

全く、緊張感の無い奴め…まぁ良い。一呼吸置き、魔方陣を展開する

 

 

「我は魔女ストレガ、汝と契約を望む者…我にその資格はあるか?」

 

”汝、我が灼熱の炎を受け入れる器なり。お前になら喜んでもう一度力を貸そう“

 

そう宣言し、イフリートは頷く。さて反撃と行こうか!

 

「ち…こうなったらありったけ使ってやらぁ!行けぇっ!」

 

自棄になった下っ端がディスクを大量にばら蒔く。次々と光り出し魔物の群れが現れる

 

「ふぅ…多いな。イフリート、行けるか?」

 

”甘く見るな…この程度、造作もないわ!“

 

頼もしく答えると、魔物の群れへ突撃しあっという間に一掃する

 

「いっ!?嘘だろ!?」

 

「凄い……」

 

「本当、あんた何者よストレガ。こんな力を持った魔神を従えるなんて」

 

「言っただろ?ただの転生者だとな……さて残りは貴様だけだぞ?」

 

「ち……此処は逃げるが勝ちだ!覚えてやがれー!!」

 

またもや捨て台詞を残して下っ端は逃走していった…ふぅ、終わったか

 

「相変わらずの逃げっぷりね…」

 

「あはは… ストレガさん、大丈夫ですか?」

 

「すまん…もう…限界…だ……っ」

 

「「“ストレガ(さん)!!”」」

 

 

気力も尽き倒れる。皆の悲鳴に似た叫びを最後に意識は闇に沈んだ……


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