超次次元ゲイムネプテューヌRe:birth2~黒き魔女の転生記~   作:佐久間 優

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第4話投稿です。いつもより少し長めになってます。この先も多分このくらいの長さになると思います。

では本編をどうぞ


第1章:女神のオラトリオ
第4話 トラウマ


“目が覚めたか?ネプテューヌ”

 

“…どちら様?”

 

“ぷっ…あはははっ!”

 

“ねぷっ!?初対面の人に思い切り笑われた!?”

 

“初対面か…先程まで命の取り合いをしていたのに…寂しいことを言うな?ネプテューヌ”

 

“へ……?まさか…マジェコンヌ!?”

 

“あぁ、そうだ。お前達の祈りが奇跡を起こしたんだ”

 

“そっか…良かった、私ちゃんとやれたんだね”

 

“あぁ……ありがとうな。ネプテューヌ”

 

“気にしないでよ、私がやりたくてやった事だし。それに…いーすんに悲しい顔させたくなかったし。まぁみんなのおかげでもあるんだけどね…さて帰ろうか”

 

“…帰る?何処にだ?”

 

“みんなの所にだよ!勿論、マジェっちも一緒だよ!”

 

“…あぁ、そうだな”

 

差し出された手を握り返して私は微笑んだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん…夢か…」

 

随分久しい夢を見たな……あの時、消滅する筈だった私を女神達の祈りによって救われた……ならば次は私が彼女達を救う番だ…ネプテューヌ、ノワール、ブラン、ベール。待っていてくれ、必ず助けてみせる……

 

 

“コンコン”

 

「誰だ?」

 

「あ、ストレガさん。起きてたですか?ぎあちゃんが目を覚ましたので来て欲しいっていーすんさんが言っていたです」

 

「分かった。直ぐに行くと伝えてくれ」

 

「はいです」

 

「さて…行くか。アイツにも色々聞きたいことがあるしな……辛い思いをするだろうがな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教会・執務室

 

「やっと来たわね。 遅いじゃないの」

 

「すまんな、まだ体が慣れてなくてな」

 

「お早うございます、ストレガさん…ですよね?助けて頂いてありがとうございます」

 

ネプギアが此方に気付き、礼を言って頭を下げる。姉とは違って礼儀正しい子だ…まぁ、アイツはアイツなりの感謝のしかたがあるが……

 

「気にするな…私も助けられたのだからおあいこだ」

 

「そうそう、あんたの事情も話しておいたわ」

 

「うむ…そうか。説明する手間が省けた。助かる」

 

「ネプギアさん、起きて早々で申し訳無いのですが…3年前にギョウカイ墓場で何が起きたのか」

 

「はい……」

 

ネプギアがゆっくりと重い口を開く。その内容は驚愕の一言で済まされるものでは無かった……

 

「嘘…女神達がたった一人相手に負けたっていうの?」

 

「信じられないです…あんなに強い女神さん達が負けるなんて……」

 

「相手の力量も上だったのもあるだろうが…一番の原因はシェアだろうな。幾ら女神といえども、力の源が無ければ負けてしまうのは当然だろう…」

 

「そうですね、それを知りながらネプギアさん達には無謀な戦いを強いてしまいました……すみませんでした」

 

 

「そんな、いーすんさんが謝ることじゃ。それで…あれからゲイムギョウ界はどうなっちゃったんでしょうか…私達が負けてから3年も経っちゃったんですよね?」

 

不安な表情でイストワールに問い掛ける。言うべきか悩む一同、やれやれ…変に気を遣うよりは真実を話した方が良い。今が正にそうだ

 

「事態はかなり深刻だ…犯罪組織の名を知らぬ者はもう居ない…コピーツールやマジェコンの普及率は8割以上、子供も普通に扱っている」

 

「ちょっと…ストレガ!」

 

「下手に嘘を吐いたところで気休めにもならんだろう…街に出れば直ぐに分かることだ。それに無用な優しさは逆に人を傷付けるぞ」

 

「……っ」

 

「続けるぞ?人々が犯罪組織を信仰する分、女神の信仰は失われるばかりだ…」

 

「信仰するべき女神が捕まってるから、仕方ないっていえば仕方無いけどね。救出も失敗したし」

 

「そして、マジェコンヌの目的は、おそらく犯罪神の復活…このままの状況が続けばそれも時間の問題かと…」

 

犯罪神か…私が生み出したユミニテスとは比べ物にならないだろうな。墓守ですら尋常ではない邪気を放っていたからな…もし復活しようものなら、今のままでは滅びを待つしか出来ないな……

 

「…もう、どうしようもないんですか?」

 

あまりに凄惨な世界の状況を聞き、諦めにも似た呟きを溢すネプギア

 

「諦めるのは早いぞ。策はあるのだろう?イストワール」

 

「はい。まだ世界には女神達の妹…女神候補生が居ます」

 

「私以外にも…女神に妹が?」

 

「成る程な、候補生達にシェアを集めさせ、犯罪組織の弱体化を図る、という訳か」

 

「はい、そしてもう1つ。各国にいるゲイムキャラの協力を仰ぎ、その力を借りるのです」

 

「ゲイムキャラ?」

 

疑問符を浮かべ、問いかけるアイエフ。ふむ…私も聞いたことが無いな

 

「古の女神達が生み出した世界の秩序と循環を司る存在です。各国の土地に宿り、繁栄をもたらし続けています」

 

「それで…有事の際には女神に手を貸し、悪を共に滅ぼす…と言ったところか?」

 

「そんな方達が居たんですか…知らなかったです」

 

「ですが、正確な所在は私でも掴めていません。今もプラネテューヌのゲイムキャラの行方を追っているのですが……」

 

申し訳なさそうにイストワールは言う。まぁ直ぐには見つからんだろうな

 

「所在が特定したら連絡してくれ。その間にこの国のシェアの回復をしておこう。彼女のリハビリにもなるだろう」

 

「そうね、3年も捕まってたんだし、少しは体を動かさないとね……って、聞いてるの?ネプギア」

 

「え?あ、はい。聞いてます!」

 

何か考え事をしていたようだが……まぁ大体の予想は付くが……

 

「ではお願いします。とこれを渡しておきますね?」

 

「これは?」

 

「Nギアです。便利な機能が満載の万能デバイスなんですよ。きっと冒険の役に立ちます。持っていて損はありませんよ?」

 

「ありがとうございます」

 

「じゃあ早速行きましょうか」

 

アイエフの言葉に同意し、皆が部屋を出た

 

 

 

 

 

 

 

「という訳でギルドに来たが…」

 

 

「1つしかないわね。えーとスライヌ討伐依頼。増殖し凶暴化したスライヌが旅人を襲っている。至急対応せよ……場所はバーチャフォレストね、よし、これくらいなら肩慣らしに丁度良いわね」

 

「出来るかな…私に」

 

「何言ってるのよ、シャキッとしなさい」

 

「は、はい。ごめんなさい」

 

「上手く戦えなくても気にするな。私達でちゃんとフォローする」

 

「はい…頑張ってみます」

 

「よし、では行こうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バーチャフォレスト・入口

 

 

 

「あ、居た居た。サクッとやっちゃいましょ」

 

現地に着いてすぐ大量のスライヌが蠢いていた。むぅ…ちょっと気持ち悪いな

 

“ヌーラー!”

 

「お前達に恨みは無いが……はぁ!」

 

縄張りを荒らされたと思ったのか、スライヌ達が一斉に此方へ向かってくる。武器を構え迎撃、数を確実に減らしていく

 

「はぁっ!えいっ!」

 

ふむ…ちゃんと戦えているようだな、これなら大丈夫…む?

 

“ヌヌ…ヌーラー!”

 

不意にスライヌ達が一ヶ所に集まりだす。不味い…!

 

“ヌゥーラァー!”

 

「でっかくなったですぅ!?」

 

「面倒ね…ネプギア、女神化してパパっとやっつけちゃいなさい、ほらこれもリハビリよ」

 

「あいちゃん、絶対自分が楽したいだけですぅ……」

 

「女神化して戦う……うぅっ…ダメ、出来ない…怖いよぉっ……」

 

何かに怯えるように呟き、ネプギアはその場に(うずくま)ってしまう。それを好機としたか合体したスライヌ―キングスライヌ―がネプギアを押し潰さんと迫る

 

「ちっ…!ブリザガ!」

 

”ヌラッ……!“

 

「砕けろ!竜剣!」

 

竜の気を纏った一撃を見舞う。直撃を食らい、粉々に砕け散った

 

「大丈夫か?」

 

 

「ごめんなさい…私…」

 

「気にするな。無事ならばそれで良い…ともあれクエストは完了した。まずは報告に……」

 

”ピピピピ!“

 

電子音がけたたましく鳴り響く。発信源は先程、渡されたNギアだった

 

「はい」

 

『ネプギアさん?ゲイムキャラの所在が判明しました。至急向かって欲しいのですが』

「本当ですか!場所は何処ですか?」

 

『バーチャフォレストの深部にいるようです』

 

「そうですか。分かりました」

 

「イストワールか?」

 

「はい、ゲイムキャラがこの森の奥にいるそうです」

 

「本当に?なら早速行きましょう。報告は後回しよ」

 

「そうだな。犯罪組織が感付いていないとも限らん」

 

エネミーディスクが大量に散らばっていた場所でもあるしな……杞憂であれば良いが…

 

 

一抹の不安を抱えながら森の奥へと急いだ……


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