騎士王がロキファミリアに入るらしいですよ   作:ポジティブ太郎

8 / 32
過去最速の更新スピードです!
では、アルトリア無双のはじまり、はじまり~♪


第七話 騎士王 ダンジョンに潜る

アイズとアルトリアは、『バベル』前に立っている。

『バベル』の地下に、数々のモンスター達が闊歩している『ダンジョン』がある。

階層構造をしている地下迷宮である。

この二人の行き先もこの『ダンジョン』だ。

ロキやフィン達ファミリア幹部が、アイズ同伴ならばダンジョンに

潜ってもいいと許可してくれたため、ダンジョン探索に早速来たというわけだ。

 

「じゃあ、行こう、か」

多少たどたどしい口調で話しかけるアイズ。

 

「はい、行きましょう。アイズ」

 

非常に短いやり取りを終えて、二人は『ダンジョン』に潜っていく。

 

 

「ここが、ダンジョンですか。」

入ってすぐの場所だが大広間になっていて、どことなく洞窟を彷彿させる作りだ。

アルトリアが呟く。

 

周囲を見回すと、5匹ばかりのモンスターがいた。

 

「あれが、モンスターなのですか?」

アイズに問いかける。

 

「うん。あれは『ゴブリン』だよ。でも、5匹の群れでいるのは、珍しい、かな」

アイズの話によると、1階層では、モンスターが多く出たときでも

せいぜい3匹程度であるという。したがって、5匹でいるのは珍しいのだ。

 

 

アルトリアは、視線を一番手前のゴブリンに向ける。

「アイズ。私一人で戦ってもいいでしょうか。」

 

「いい、よ。でも、危なくなったら助けに入る、よ」

緊急時(ピンチ)になったら自分が助けると、アイズ。

 

「ありがとうございます。アイズ」

 

 

アルトリアが、一歩また一歩とモンスターとの距離を詰めていく。

ゴブリンもこちらに気づいたのか、醜悪な笑みを浮かべる。

 

互いの距離が5M《メドル》を切る。

 

アルトリアは、自身の得物である細身の長剣(ロングソード)を構える。

この武器は、ダンジョンに潜る前にホームの武器庫から選んだものだ。

短剣(ナイフ)細剣(レイピア)、槍、弓など様々な武器がある中で

最もスタンダードである長剣を選んだ。

彼女の宝具【約束された勝利の剣】は、ロキの忠告どおりに使わないほうが良い

との彼女の判断によるところもある。

それ故、この武器を使用するに至ったというわけだ。

 

先に動いたのはゴブリンだった。

叫声を発しながら、走り出し、自身の鋭利にとがった爪でアルトリアを切り裂かんとする。

 

アルトリアも振りかざされた爪を紙一重のところで躱す。

再び数度、敵の攻撃を躱しながら相手の動きを確実に見極めていく。

 

(なるほど、攻撃が単調すぎますね。

このモンスターの知能はそこまで高くはないようです。)

 

アルトリアは、後ろに7Mほど後退する。

この行動にアイズは疑問の色を示した。

(なんで、下がったのかな?敵の攻撃は避けれてたから

反撃できたはずなのに。)

 

アルトリアは、呼吸を整えてゴブリンを自身の視界に捉える。

 

瞬間。地を蹴り、一気にゴブリンへと加速。

その速さは、自身と同じLv.1の冒険者を遥かに凌駕する。

彼女の『スキル』 【魔力放出】の恩恵だ。

瞬発的に魔力を消費、放出による身体能力の強化。

このスキルが無ければ、彼女の力は、並の少女の力と大差ない。

 

加速した状態で相手の懐へ潜り込む。

そして、勢いを上乗せした斬り上げがゴブリンの胴体を両断した。

場には小さな魔石が一つ残る。

勝負の決着が着いたと思われたが.......

 

同胞を屠られ、憤怒の感情に身を任せた残りのゴブリン4体全てが

アルトリアの元に集結する。

 

先の戦闘に呆気を取られていたアイズもこの異常事態(イレギュラー)

助けに入ろうとしたその時.......

 

再びアルトリアの体が加速する。

先頭のゴブリンは、横薙ぎで魔石ごと粉砕。

後ろに、並ぶ2匹ゴブリンは、急所を狙った刺突。

最後の一匹は、上段からの斬り下ろしを見舞う。

 

この一連の攻撃を見たアイズは驚愕に目を見開く。

すさまじいスキルの恩恵にも驚かされたが、

一番驚いたのはそこではない。

卓越した技と熟練された駆け引きに目をみはるものがあった。

相手の動きを見極めるまでの早さ。

先ほど見せた、加速した速度を落とすことなく、かつ一切滞ることのない連続攻撃。

水が流れる如く、行われていた、その動きは、

彼女の確かなる戦闘技術が裏付けられていた.........

 

アイズがこの戦闘を見た瞬間に口に出た言葉はただ一言。

「......綺麗。」

凄い、という感想よりも先に思い浮かんだのはこの言葉だった。

彼女の剣技は、芸術の域に達していると言っても過言ではないほど美しい。

 

アイズは、子供の頃に読んだ『英雄譚』の一節を思い出していた。

どんな時でも気高く、果敢にモンスター達に立ち向かっていく『英雄』達の姿。

アイズの中で先のアルトリアの戦いは、その『英雄』達の姿を彷彿させていた。

 

(私もこんな風に戦えるようになりたい。英雄のように。

 自分の悲願(ねがい)を叶えるために。)

 

この日、アルトリアはアイズの中で憧憬の的になったのであった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

【ロキ・ファミリア】黄昏の館内のロキの私室にて

 

アルトリアは、ステイタスの更新をしていた。

 

「アルトリアたん。どうやった?初めてのダンジョンは」

ロキが興味津々に問いかける。

 

「はい。地上とは全く異なる別世界にいるようでした」

真面目かつ素直な返答にロキは、吹き出しそうになるのを必死に堪える。

 

ダンジョン内での出来事を話ながら、ステイタスの更新を進めていく。

そして、更新を終えたロキに二度目の驚愕が襲う。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

アルトリア・ペンドラゴン Lv.1

 

  力:H 110

 耐久:I 50

 器用:I 94

 敏捷:G 225

 魔力:S 999

 

 

 

《魔法》

【風王結界】(インビジブル・エア)

・無詠唱。

・風の鞘。

・自身の武器に纏うことで武器を透明化、不可視(・・・)にする。

・風の解放(・・)により、真価発揮。

 《スキル》

 【魔力放出】

・任意発動(アクティブトリガー)

・魔力瞬発的放出により自身の身体能力を強化。

・魔力の消費量に応じて、効果増減。

自分以外の物(・・・・・・)も強化可能。

 

【竜の因子】

・魔力限界値。

・魔力自動回復。

・回復量は稀に変化。

 

【騎士の誓い】(ナイト・オブ・プロミス)

仲間(ファミリア)緊急事態(ピンチ)の時発動。

・一時的に自身と仲間の基本能力値(アビリティ)強化。

・仲間への思いの丈により『経験値』(・・・)取得量増加。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(熟練度上昇値 トータル470オーバーやて!

なんでこないな事になったんや?)

驚愕と疑問が入り混じりながら、もう一度ステイタスを確認する。

そして、原因を突き止める....

 

(分かったで、最後のスキル【騎士の誓い】(ナイト・オブ・プロミス)の恩恵や。

最後の項目をしっかり見てなかったわ! アイズたんとダンジョン探索したことで

アルトリアたんのアイズたんとの絆が深まり、スキルが発動していたんやな。)

 

仲間への思いの丈により『経験値(・・・)』取得量増加。この効果が原因で

あるとロキが判断する。

同時にファミリアとの絆が深まれば今の上昇値とは比べ物にならない程、今後

成長していく可能性があるとロキは内心、冷や汗をかく。

 

「ロキ。終わりました?」

アルトリアの呼びかけでロキを現実へと引き戻す。

 

「お、終ったで。そうや、今から夕食の時間やで!ほな食堂に行くで。」

 

 

「っ! 行きましょう!」

夕食という単語に過剰に反応したと思えば、即座に食堂へ行こうと

ロキを急かすアルトリア。

 

「今日は、体を久しぶりに動かしたのでお腹が減りました。

たくさん食べれそうです」

 

「いっぱい食べてもええけど、ほどほどにな...」

目を輝かせながら言う彼女に向って食べるなとは

直接言えるはずもなく、曖昧な返事をしてしまう。

 

 

食堂前に来るとアイズが扉の横に立っていた。

 

「アルトリア、一緒にご飯食べ、よ?」

まるで、主人にかまってほしい子犬のような表情のアイズ。

 

「ええ、一緒に食べましょう」

アルトリアも暖かな笑顔を返しながら言う。

 

 

こうして、すっかり仲の良くなった二人は、一緒に夕飯を取る事になった。

ただ、一人忘れ去られたロキは、静かに涙を流していたのだった...........

 




今回の話は書いていて、特に楽しい話でした。
やっと、物語が進み始めたという実感も得ました(汗)




▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。