魔法少女リリカルなのはVivid Saiyan   作:伝説の超サイヤ人になりたい。

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書き直し版です


砲撃番長と半サイヤ人

「んん?お、イクサじゃねぇか!」

「…ん?」

 

 とある日。書店にてお目当ての本を買って出てきた所で呼び掛けられ、聞き覚えのある声の方へ顔を向ければ一人の少女が視界に入った。赤い髪を後頭部で結んだ髪型(ポニーテール)にし、無邪気な笑顔でこちらに腕を振る美少女の姿が。

 

「よ!イクサ!」

「よ、ハリー」

 

 赤い少女の名を『ハリー・トライベッカ』。数年前までイクサと同じ学校に通っていた少女だ。

 

「こんな所で会うなんて奇遇だな!」

「そうだな」

「今日はどうしたんだ」

「見ての通り本を買いに来た」

 

 手に持った書店の店名が描かれた紙袋を見せる。大きめのサイズの紙袋の中には新品の本が数冊入っていた。

 

「なんの本だ?」

「勉強用に資料集を幾つか、それと古代ベルカの歴史本」

「古代ベルカ?それってあれだろ、聖王様や覇王様とか出てくるヤツだろ。なんでいきなりそんな本買ったんだ?」

「最近ベルカと所縁(ゆかり)のある知り合いができてな、ちょっと興味を持ち始めたんだ」

「…ふーん」

 

 あんまり興味が無さそうなハリーにイクサは内心でため息を吐き話を切り替える事にした。

 

「そういうお前こそ今日はどうしたんだ?いつもの三人もいないみたいだしな」

「ん?」

 

 ハリーには自分を慕ってくれる妹分が三人居る。普段はこの妹分三人も共に行動しているのだが今回は珍しく一人だった。

 

「ああ、あいつらな。なんか今日は其々用事があるみたいでな」

「そうなのか?」

「おお、そうだなあ。リンダは今日ーーー」

 

 妹分の事について本当に楽しそうに話すハリーの姿をじっと見つめる。

 するとハリーはイクサの視線に気付き「な、なんだよ」と少し赤くなった頬を人差し指で掻きながら顔を逸らす。

 

「いや、皆がお前みたいな奴だったら世界は平和なんだろうなって思って」

「……それ、褒めてんのか?」

「勿論」

「へ、へへ。そ、そうか?」

 

 イクサの言葉に嬉しそうにはにかむハリー。

 心配になる程チョロさにイクサも苦笑い。

 

「と、そんな事はいいんだよ」

「ん?」

「イクサ頼む!ちょっと付き合ってくれ!!」

「……?」

 

 

 

 場所は変わってファミレス。イクサとハリーの二人は向かい合って座っている。

 

「それで頼みってのは?」

 

 ロクな説明もないままファミレスまで来た為ハリーがイクサに何を頼もうとしているのか把握できていなかった。イクサはファミレスのメニュー表に手を伸ばしながら尋ねる。

───といってもあらかた予想はできているのだが。

 

「いや〜、その、魔法プログラムの調整とかをして欲しいんだ」

「…やっぱりか。あ、定員さん。このチーズハンバーグセットハンバーグ500グラムライス大盛り。あとオムライスにナポリタンとフライドポテト、食後にイチゴサンデー。あぁ、ドリンクバーも付けてください」

「いや構築自体はできてるんだぜ!?……でも、その、使い辛いっつーか、うまく起動しないってつーか。は、ははは。てか頼みすぎだろ!」

「お前は頼まないのか?」

「ちょっ待て、メニュー見せろ!」

 

 イクサの手からメニュー表を奪い取り急いで目を通すハリー。そしてキノコとシャケのムニエルのセット、それに苺ミルクを頼み注文を聞き届け去っていく定員を見届けてからため息ひとつ溢しイクサをジトッとした目で見つめる。

 にししと笑ってからイクサが手を差し伸べる。

 

「…んん?」

「……魔法式、見せてみろ」

「お、おう!」

 

 ハリーのデバイスから魔法式のプログラムを掲示され、イクサが投影された魔力ディスプレイに指を伸ばし調節していく。

 

「不必要な部分が多い、詰め込みすぎだ。どうせ幾つも作るのが面倒くさくなって一つにしたら調子に乗ったんだろ」

「うっ」

 

 図星である。

 

「あれもこれもと欲張るから無茶苦茶になるんだ。一つの魔法に多様性を求めるよりも複数の魔法を創るなり既存のモノを自己用に改造したりする方が効率的だぞ。使用魔力量も少なく済むしな」

「……へーい」

「……一応分解して別々の魔法として再構築しておくぞ」

「おう、任せた!」

「……お前はほんと」

 

 浮かび上がる魔力ディスプレイで魔法式を弄りながら小言の様にしっかり助言するが聞く耳をもっちゃいない。いつもそうだ、そして結局イクサが手直しする。今回の会話も一体何度目なのか当事者達にもわからない。

 

「ほい、あらかた調整終わったぞ。後は自分で試して改良していけばいい」

「サンキュー!さっすがイクサ!」

「へいへい」

 

「どれどれー?」とイクサが調整した魔法を一つ一つ目を通すハリー。すれと注文した品が届いた。

 

「ほら、目を通すのは後にして食べるぞ」

「……えー」

「えー、じゃない」

「ちぇ、わかったよ」

 

 チーズハンバーグセットを切り分けて一口、ファミレスの品と思えない程にしっかりした肉の噛みごたえに濃いチーズの味付けが良い感じの一品。続けてライスも口含みハンバーグの濃さを和らげつつライスに味が移る。口の中の物を飲み込んから思う。旨い。

その後食事を進め、食後にはたわいもない世間話を交えながら時を過ごした。

 

「あ、魔法式見てやった礼に今回奢れよ」

「!?ぜってぇーやだ!!」

「冗談だよ」

 

 以前、イクサ(大食漢)に奢らされた事をトラウマに持つハリーはイクサの奢れよ発言に過剰なまでに反応してみせ、わかっていたイクサ軽く返す。

 

 そこからファミレスを出て其々の帰路に着こうとしていた。

 

「今日はありがとな」

「どういたしまして」

「また、頼むわ!」

「自分でできる様になれ」


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