ACE COMBAT Skies Rewritten   作:遠い空

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混迷の空戦(未来人サイドmission1)

[2030年3月29日1825時/バセット宇宙センター南洋20000ft上空]

 

 

 

 

 大統領らが自爆した頃、アークバードⅡとGRDFの戦闘は混迷を極めていた。

 アルタイル1操るR-100がGRDFの操るR-100を蹂躙していた。

「くそっ!機体条件は同じなのに、なんでこんなに強いんだ!」

 所詮は企業の軍隊に過ぎないGRDFはまだ創立してから年月が経っていない。パイロットはルーキーがほとんどである。

 これは、ほとんどの軍人経験者が企業の軍隊になることを嫌ったためである。

 そのため、ゼネラルリソースは新たにGRDFの募集をかけた結果、入隊1年目ばかりのルーキーばかりになったのである。

 逆にアルタイル隊はオーシア・ユークトバニアの熟練パイロットだ。

 ルーキーが到底勝てるはずのないエース部隊なのである。

 GRDFの戦闘機の背中をアルタイル1は空戦機動で簡単にとり、機銃掃射した。

 穴だらけになり、火を吹いて墜落した。

「こちらアルタイル1、敵機を撃墜した!だか、敵機が多すぎる!いずれ俺たちにも限界がくるはずだ!その時は覚悟を決めるぞ!」

「アルタイル3よりアルタイル1へ!どうやらその時がきたようだ!先にあっちの世界に行ってるぜ!」

「了解!俺たちもすぐに追いつくからな!」

 アルタイル3は複数のGRDF戦闘機に囲まれていた。

 アルタイル3はすでにミサイルを撃ち尽くし、機銃も残り僅かであったが、回避運動を続けていたため被弾はしていない。

 アルタイル3は自身を囮にGRDF戦闘機を集めていた。

「俺たちの覚悟を見せてやる!うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 コクピット内の計器をいじり、兵装を切り替える。

 そしてミサイル発射ボタンを押した。

 その瞬間、機体は爆散し、強烈な衝撃波がはしった。

 その衝撃波に多数のGRDF戦闘機が巻き込まれ墜落した。

 実はウェポンベイにXFA-33 FenrirのLSWM(長距離衝撃波弾道ミサイル)の小型化した自爆用の爆弾、SWSB(衝撃波自爆弾)を装備していた。

 小型化したため、衝撃波の威力が半減したが、それでも十分な破壊力を持つ。

 また、自爆用のため機体から切り離すことができず、兵装切り替えをしミサイル発射ボタンを押せば自爆する。

 これは特注で作ったもので、まさに愛国軍の覚悟を具現化した兵装である。

「あいつら何積んでやがんだ!迂闊に攻撃すると巻き込まれれるぞ!」

 GRDF戦闘機隊は巻き込まれるのを恐れる余り、手が出せなくなった。

 

 

 

 

[2030年3月29日1832時/バセット宇宙センター南洋20000ft上空]

 

 

 

 

 そんな混沌とした空域にディジョン達の部隊が到着した。

「ディジョンより全機へ、奴らと交戦する。気を引き締めろ!」

「こちらパトリック!任せてください!この任務終わったらオススメのバーがあるので、そこで…」

 紫のレーザーがディジョンの部隊の一機に被弾し爆散する。

「くそっ!パトリックがやられた!」

「落ち着けキース!動揺するな!全機散開!」

 ディジョンが指示を出す。

「あの赤い機体からやる!レーザーを装備しているから厄介だ!」

 Z.O.E.操るADF-02に手を出すが、人工知能相手の勝負は分が悪かった。

「あの赤い機体!よくもパトリックを!やってや…」

 今度はレールガンで撃墜された。

「ああ!ジャンがやられた!」

「落ち着けキース!とにかく落ち着け!冷静に対処しろ!」

 元エルジア空軍のディジョンは冷静に戦況を見ていた。

「あの赤いADF-02は普通だとあんな機動性は出ないはず。ということは無人機か。」

 ディジョンは無人機だということを見抜いた。ディジョン操るR-100に搭載しているECMポッドを作動させた。

 いくらECM対策をしているZ.O.E.でも、反応速度の僅かな低下は避けられない。

 僅かに鈍くなった隙を見抜きディジョンはヒット・アンド・アウェイで機銃掃射をする。

 ADF-02の1機が火を吹いて墜落する。

「なるほど、ヒット・アンド・アウェイか。そいつは閃かなかったな。俺もやってやる!」

 キースもディジョンを真似てヒット・アンド・アウェイを実行する。

「レーダーに反応!高速で接近中!アルタイル4に向かっている!」

「アルタイル4よりアルタイル2了解した!返り討ちにしてやる!」

 2機のR-100が向かい合わせになる。

 互いにミサイルを撃つが回避される。

 再び反転して次は機銃掃射をした。

 アルタイル4、キースともに被弾したが、アルタイル4はすれ違った直後自爆した。

「あんにゃろう!自爆に巻き込みやがって!機体がいかれちまった!全くついてないぜ。キース!イジェークト!」

 R-100の機首から棺桶の如くコフィンユニットが飛び出し、パラシュートが開く。

 その棺桶は海に着水した。

「キース!無事か?」

「俺は無事だぜ隊長!隊長も気を付けな!奴ら正気じゃねぇ。」

 キースは棺桶から出て空を見上げた。

「化けモンだぜ、あいつら…。」

 日の沈んだ空を眺めて呟いていた。

 

 

 ディジョンはヒット・アンド・アウェイが有効だとわかり、戦闘を続けていた。

 しかもディジョンはアルタイル1を狙っていた。

「捉えた!」

 アルタイル1に機銃掃射するが、華麗に回避する。

「狙いは俺か。いいだろう!やってやる!」

 アルタイル1もディジョンに機銃掃射するが見事に回避する。

「なかなかやるな。面白い!」

 アルタイル1とディジョンの空戦が始まろうとした時、GRDF空中管制機より無線が入った。

「オーシア支部より入電!この戦いで兵力を損失しすぎたため、撤退命令が出た。全GRDF機は直ちに撤退せよ。繰り返す…」

 さすがにゼネラルリソースも危機を感じたのか、撤退命令を出した。

「いいところだったのに…。仕方ない。撤退する。AWACS、キースの救助を要請してくれ。」

 ディジョンは渋々撤退していった。

 

 




今回は2話同時投稿です。引き続き次話をお楽しみください。

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