ACE COMBAT Skies Rewritten   作:遠い空

15 / 28
今回は2話同時投稿です。


作戦会議

[1995年3月31日0830時/アークバードⅡ/作戦会議室]

 

 

 

 

 作戦会議室にはハーバード機長とアルタイル隊の3人、ベレゾフスキー主任、その他数名のクルーが集まっていた。

 部屋の中央には円卓型の大型コンピュータが置かれている。これはマップの立体映像を映し出す機械だ。最新の衛星データにより、山脈などの起伏を正確に映し出す。このコンピュータはそのまま円卓と呼ばれている。ブリーフィングOSはグランダー社製のGASAである。

 ハーバード機長は参加者を確認してから会議を始めた。

「それでは作戦会議を始める。大体の作戦案を考えたんだが、皆の意見が欲しい。円卓の周りに集まってくれ。円卓のマップは2030年時のもので分かりづらいかもしれないが我慢してくれ。」

 ハーバード機長はベルカ公国とノースオーシア州周辺を拡大した。バルトライヒ山脈が立体映像としてはっきり映る。

「私は、まずベルカの核兵器を封印することが第一と考えた。核を封印すれば7つの核起爆を阻止し、犠牲者になってしまう多くの人を救うことができるからだ。」

 バルトライヒ山脈付近の7つの町にキノコ雲の立体エフェクトが出る。

「核を封印するにはベルカ国内に侵入する必要がある。その中で最大の脅威はレーザー兵器エクスキャリバーの存在だ。ベルカの制空権内に入った途端、航空機は全部焼き鳥になってしまう。」

 ベルカ中央部のエクスキャリバー跡地であるタウブルグ丘陵にTGTのアイコンが出る。

「そこで、先にエクスキャリバーを叩く。まずはハッキングでベルカの防空システムを麻痺させる。次にアークバードⅡの大気圏外からのレーザー攻撃でエクスキャリバーを真っ二つにする。そうすればベルカの防空能力は著しく低下することになる。」

 立体映像の高高度にアークバードⅡが現れ、レーザーのエフェクトでTGTアイコンにバツ印をつける。

「その後アークバードⅡは大気圏に突入し、ベルカ上空に到着次第、すぐにアルタイル隊とZ.O.E.を射出し光学迷彩をかける。アルタイル隊とZ.O.E.には核の貯蔵庫に向かってもらい、核が二度と掘り起こされないように封印する。」

 立体映像のアークバードⅡが高度を下げ、立体映像の戦闘機のリボンが表示され、ベルカ国内に分散する。

「当時の資料から核が封印されているのは、イエリング鉱山、アヴァロンダムだ。資料だけでは情報が少ないから、ベレゾフスキー主任にベルカのコンピュータにハッキングしてもらう。」

 バルトライヒ山脈近くのイエリング鉱山とベルカ北部のアヴァロンにTGTのアイコンが表示される。

「無事封印に成功したらアークバードⅡに帰還する。防空システムを無力化しているとはいえ、追っ手はやってくるだろう。ここで死ぬわけには行かないし、ベルカ人にも犠牲は出したくない。うまいこと振り切って帰還して欲しい。もし帰還が難しいと判断したら、やむを得ないが追っ手と交戦してくれ。」

 TGTアイコンにバツ印がついたあと、分散した戦闘機のリボンがアークバードⅡに戻っていく。

「艦載機格納後は光学迷彩を維持したまま北極に移動し、一旦着水する。そこで世界の情勢を観察し、次の作戦を考える。」

 マップが縮小され、アークバードⅡの立体映像は北極に向かって止まる。

「以上が私の考えだ。皆の意見が聞きたい。質問ある者はいるか?」

 アレンスキー大尉が質問した。

「今回の作戦は鬼神やラーズグリーズに先駆けてエクスキャリバーや核封印を行うわけですが、いきなりそんな目立った行動をするのはリスクが大きいのではと思いました。」

 鋭い質問にハーバード機長は答える。

「確かにリスクは大きい。ここまで行動すれば我々の知るベルカ戦争とは異なる戦争になるだろうし、我々の存在がさらに世間に広まることになるだろう。だが、誰かが自分を犠牲にしてやらなければならないこともある。何かを変えるには痛みを伴うのだ。私は未来を変えるためにはやむを得ないことだと思う。」

 ヒヤマ大尉が続けて質問する。

「核を封印するなら、わざわざ艦載機を使わなくても、アークバードⅡのレーザーだけで充分じゃありませんか?」

「確かにアークバードⅡのレーザーを使えれば楽なのだが、レーザーの威力はかなり強力だ。エクスキャリバーと同じか、それ以上だ。下手すれば貯蔵施設の入り口だけでなく、施設そのものを破壊してしまう。そうなってしまえば元も子もないだろう。」

「それじゃあ、何で封印するんですか?」

 ハーバード機長は整備長が作成した報告書を円卓に平面映像で映し出した。

「整備長がまとめた報告書だが、この中には誘導貫通爆弾とファルケン専用のレーザーがある。爆弾の中では効果範囲が狭く、なおかつ威力が高い。頑丈な岩盤で覆われているイエリング鉱山の核封印には使える。」

 再びマップが表示され、アヴァロンダムの立体映像が出る。映像は2030年のもで観光地のため、観光施設も映っている。

「アヴァロンダムの場合は、ダム内部に貯蔵している。現段階では核の存在を隠蔽するため水を張っている可能性がある。それに関してはファルケンのレーザーでダムを決壊させ水を放出、その後はダム内部施設入口をレーザーで破壊し内部に侵入、貯蔵庫入口を誘導貫通爆弾で破壊する。もし、ダムの決壊が難しければリスクは高いがアークバードⅡのレーザーを使う。」

 アヴァロンダムに爆発エフェクトが入り、その後戦闘機のリボンがアヴァロンダム内部にめり込み、爆発エフェクトが出る。

「機長、イエリング鉱山を攻撃するなら、ベルカの重巡航管制機XB-Oも破壊してもいいのではないでしょうか?確かイエリング鉱山に隣接する空軍基地で組み立て作業中ですから破壊した方がいいと思います。」

 マクドネル大尉が質問する。

「そうか、XB-Oもあったか。確かに、先のことを考えれば破壊した方がいい。しかし、鉱山を崩落させてからだと武装がなくなる可能性もある。こればかりはアークバードⅡのレーザー攻撃のほうがいいかもしれない。」

 ハーバード機長は新たにXB-O破壊も作戦に入れることにした。

「この作戦が成功したら、もう後戻りはできない。鬼神が抜くはずだったタウブルグの剣を抜き、XB-Oを破壊し、アヴァロンを陥落させ、ラーズグリーズが封印するはずだった鉱山を封印し、完全に我々の知る史実とは別になる。だが我々がやらなければ、我々の望む未来にはならない。今日の作戦会議は終了する。皆の意見は参考になった。次は修正した作戦内容を全員に報告しようと思う。それでは解散。」

 クルーやパイロット達はあいさつをして部屋を出て行った。ハーバード機長は円卓の電源を落とし、書類を片付け部屋をあとにした。

 

 

 

 

[1995年3月31日0845時/アークバードⅡ/機長室]

 

 

 

 

(作戦の大まかな流れはこのままでいいな。新たにXB-O破壊を入れるからアークバードⅡを戦闘に入れるが、安全圏から攻撃すれば大丈夫だろう。)

 ハーバード機長は作戦を練り直していた。しかし修正箇所は少なかったため、早めに終わった。ハーバード機長はコーヒーを入れ、椅子に座り、コーヒーをすすりながら机の写真立てを見ていた。

(撮影日は今日の15:04か。懐かしい写真だ。ヴァレー空軍基地で傭兵達と撮った写真か。鬼神、片羽、ラグテンコ、ナガセ、懐かしいメンツだ。もう1人の私は今ヴァレー空軍基地にいるな。明日からヴァレー空軍基地の傭兵達は反攻作戦にでる。まさか、懐かしい出来事があと数時間後にまた繰り返されるとは妙な気分だ。また戦闘機パイロットに戻りたいものだ。)

 機長はこれから起こる懐かしい出来事を思い出していた。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
2話同時投稿ですので次も楽しみにしてください。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。