Fate/argento sister   作:金髪大好き野郎

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お待たせしましたー!ごめんなさい、リアルフレンドと遊んでいたら滅茶苦茶遅れた。あとめっちゃ熱くてやる気がzeroになっちゃってね、ゴメンネ(;´・ω・)

で、肝心の今回の話ですが・・・・ぶっちゃけあんまり進んでないよ!まだ『導入編』って感じかなぁ・・・展開早くしたいけどアルさんの苦悩書いてるうちにいつの間にか七千文字ぶっちぎってたという。シスコン拗らせスギィ!

まぁ、長々と失礼しました。それでは、どうぞ。


・・・モーさんが来ません。どうすればいいんですかッ・・・・!!!orz

追記
誤字修正しました。


第十七話・正気は狂気を鈍らせる

 深山町の西側郊外に広がる森。御三家が一つ、アインツベルンの私有地であるその場所は一帯に結界が張られており、魔力・気配を隠さなければ即座に発見されてしまう一切の侵入者を許さない絶対領域である。

 そしてその何処かには古びた西洋風の城が存在しており、名はアインツベルン城。城壁には低級の霊異などを拒む結界が張られていることから、その周囲だけが異様に静かな城だった。

 

 城の前庭を眺められるテラスにて、黒いボロキレの様な布を羽織った白髪の少女が静かに、音もしない森を眺めていた。

 

 かつて美麗だっただろう碧眼は濁り、ただただ深い虚無が存在している。その目には光と呼べるモノはなく、見た目十五歳ほどの少女が持つにしては余りにも暗闇に満ちた双眸。もし誰かが見れば、自殺でも考えているんじゃなかろうか、というほどにその顔には『希望』と呼べるモノが存在していなかった。

 

 一体何十分そんなことを続けていたのだろうか。少女――――アルトリアはそう自問自答しながら、俯いていた顔を星の輝く空へと向ける。

 

 

 

 ――――望みがあった。

 

 

 

 絶望に身を堕とした己が「それでも」と、壊れた身体を鞭打ち手を伸ばそうとした『希望』があった。

 例えどんな物を犠牲にしてでも手に入れると誓っていた。あの人を、義姉を亡くしてから一度たりとも揺るぎはしなかった渇望。『平和な暮らしを取り戻したい』という、王になって無くしていただろう飽くなき欲望が凝縮されたただ一つの願望。

 

 だけど、それはどう足掻いても手に入らなかった。

 その望みの中心核である、義姉が消えてしまったのだから。

 

 アルトリアはその現実を突きつけられても、諦めきれなかった。もう叶わないとわかっていながら、その望みは彼女にとって己の命を差し出しても叶えたいと思える至宝だったが故に。

 だから、求めた。求め続けた。

 己を慕ってくれた兵を使い潰し、忠義を捧げてくれた忠臣を犠牲にし、残った家族をも死地に連れ、

 

 

 ――――その果てに、地獄を見た。

 

 

 顔を歪めたアルトリアの脳裏にフラッシュバックしたのは、自身が時間を越える直前のカムランの丘の光景。

 全ての兵が血まみれで倒れ伏し、死だけが広がった地獄。人の血で赤く染まった、厄災の丘。自身にとっての絶望の結晶。最後まで付き添ってくれた騎士たちが死に、己を庇った兄の亡骸が光の無い目で空を見続け、冷たくなった最愛の息子の体を抱きとめている自分。

 正しく、地獄だった。

 救いなど微塵たりとも存在しない。見るもの全てに絶望を振りまく惨状。

 残酷なまでの、歴史の現実。

 

 頭に焼き付いて離れない地獄(ソレ)をみて、アルトリアは無意識にテラスの塀を掴む手に力がこもり、そのまま塀に使われた石レンガを握力だけで砕いてしまう。しかし、気づかない。それほどに感情が高ぶってしまったから。

 

「…………私はっ……!!」

 

 ただ、幸せになりたかった。

 

 自分の幸福の渇望。人間なら誰でも一度は抱く感情。

 幸せになりたい。好きなことをやりたい。好きな人と共に生きたい。そんな当たり前の感情を抱き、一度は叶った――――そして、奪われた。だからこそ望む『やり直し』。

 

 もう一度あの幸せを感じたい。もう一度、もう一度――――今度は二度と取りこぼさないから。

 

 そのために世界を、壊すことになろうとも。

 

 そう、誓った。

 今ある自分の全てを擲って、自分の幸せを掴んでみせると誓った。狂気に身を委ね、己の家族に剣を向けた。その果てに皆の幸せがあるのだから、そのための礎になれと叫んだ。

 そして今――――後悔をしていた。

 本当に自分は正しいのか、と。

 

「――――……何を、言っているんだ、私は…………正しいわけ、ないだろう……ッ!!」

 

 一のために全を切り捨てる。それが、アルトリアが今やろうとしていることだった。

 自分の望みのために全てを犠牲にする。それが自分たちを斬り捨てた世界への報復であり復讐。今ある世界を犠牲にして、自分にとっての理想郷(ユートピア)を作り上げるエゴの極み。

 それが分かってるからこそ、アルトリアは理解せざるを得なかった。生前、一国の王として君臨していたからこそ、この望みの善悪がわかってしまったのだ。

 

 己の望みが、今を生きる全ての人の意思を、尊厳を、歩みを、全てを踏みにじる行為だと。

 

 言うなれば『絶対悪』。自身のエゴで世界を左右させようとする、子供向けアニメで何度も見かけるような存在。欲望のままに世界征服をしようとしている悪党――――アルトリアはそんな外道(クズ)と何ら変わらない行いを、今しようとしている。

 

 過去に悲劇があったから? そうしないと幸せになれないから? ――――そんな理由で悪行が許されるほど世界は単純では無い。どう言い訳をしてもアルトリアの行いは、今の世界を生きる人々にとっては『悪』なのだから。

 

「ッ――――だから、なんだっ……!!」

 

 そんな物とっくに理解している。だから生前ただの一度さえ染まらなかった狂気に身を堕とし、何もかもを認識外に置いて行動に支障を来さない様にした。どんな罪悪感に塗れようが、どんな重圧に圧し掛かられようが、全てを忘れてただ目的のためだけに動くロボットとして――――そうなる、はずだったのだ。

 

 だが、そうはならなかった。

 

 狂気の中で、手を差し伸べられて救い上げられたから。狂った自分を、正気に戻してくれた人が――――もう二度と会えないと思っていた最愛の姉が、今の自分を許さなかった故に。

 

「姉さん……何故、何故私を、正気に戻してしまったのですかッ……!!」

 

 ずっと狂ったままだったならよかった。何も考えず目の前の敵をただ殺していくだけの機械になり続けていたのだから。しかしそれは最早無理となった。何度狂おうとしても、何度剣の切っ先を虚像に向けようとしても、『あの感触』がアルトリアを正常な世界へと引き戻す。

 

 唇に微かに残る、柔らかい感触が。

 

 

「ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!?!?!?!?!?」

 

 

 生涯通して一番驚愕した瞬間――――義理とはいえ姉との接吻。

 

 確かに生前のアルトリアもそう言った感情、本来なら異性に向けるべき恋心を姉に向けることは何度かあった。しかしその感情は『王の責務』による重圧と『姉との恋』という背徳の理解により、抑えられてはいた。だからアルトリアから手を出すことはなかったし、あちらもまた過度なスキンシップあれど一線を越えたことは一度たりともなかった。

 

 なのに、今回その一線を越えた気がした。いや確実に越えた。

 

 アルフェリア自身は家族愛から来る行動だったのだろうが、アルトリアからすれば今まで精一杯保たせていた感情の防波堤を一気に崩されたようなモノ。今の今まで胸に秘めていた姉への感情が爆発的に膨れ上がり、顔を思い出すだけで赤面する有様だ。

 

 これがシスコンを拗らせすぎた者の末路なのだろうか。

 

「ああもうっ……! 一体どんな顔して姉さんに会えばいいんですか……! 早くこの感情静めねば……いや、しかし、どうやって…………? やはり自分で慰め――――ッ、本当に何を考えているんだ私は~~~~っ…………!!」

 

 ……反応がまるで恋する乙女のそれである。

 

 顔をゆでタコのように真っ赤にしながら、アルトリアはガンガンと額をテラスの縁に叩き付ける。当然、壊れるのは縁の方。小さな罅が度重なる打撃でどんどん広がっていくのは、やっぱりアルトリアは気にも留めない。だからだろうか、自身へと近づいてくる足音に長く気付かなかったのは。

 

「ッ……誰だ!!」

「――――あ、えっと、アヴェンジャー…………」

「……アイリスフィール?」

 

 アルトリアが振り向いた先に居たのは、胸に手を当て小さく震えているアイリスフィールだった。

 狂気が一時的に晴れたことにより、前よりは格段に薄まったとはいえ英霊が放つ殺気。姿こそ成人のものだが、実年齢は今だ十歳でその人生のほとんどを冬の城の中で過ごし、他者からの敵意に慣れていないアイリスフィールからしてみれば怯えるには十分すぎる殺気だ。

 

 あらかじめ知覚できなかったとはいえ、自身の協力者に敵意を向けてしまった事に軽く罪悪感を覚えたアルトリアは苦い顔をして、ため息をつきながらアイリスフィールから顔を背ける。

 

「何か、御用でも」

「その……お話、いいかしら?」

「……ご自由に」

 

 素っ気ない返事を聞いたアイリスフィールは、やりにくそうに笑顔を浮かべながらアルトリアの隣へと近寄る。

 その体は小さくも震えている。当り前だ。アイリスフィールは以前にアルトリアの殺気をその身に受けたことがある。その経験だけでアルトリアの危険性を知るのはそう難しい話では無い。

 

 だが、彼女は歩み寄ろうとしている。

 無垢な心で、純粋に他者を知ろうとしている。アルトリアの本質が、決して悪しき物でないと感じたがために。

 

「実はね、貴女の家族の事を聞きに来たの」

「私の家族の事を……? 何故、貴女がそんなことを。まさか、衛宮切嗣に言われて――――」

「ううん、切嗣は関係無い。ただ単純に、貴女の事を何一つ知らないから。だから知りたいの、貴女の事が」

「……知る必要は、無いと思いますが」

「…………ごめんなさい、無理を言ったみたいで」

「いえ、大丈夫です。どうせ暇を持て余していたところ、昔話も悪くはないでしょう」

 

 抑揚のない声でそれを告げ、アルトリアは空に浮かぶ月を見上げる。

 音のない世界。何処までも広がる静寂の中で、彼女は自身の胸にある『思い出』を少しずつ鮮明に思い出し始めた。かけがえのない、忘れてはならない『幸せ』の一時の光景を。

 

「……兄がいました。態度はいつも素っ気なくて、でも一番家族の事を考えてくれている優しい兄です。少し毒舌でしたが、それはあの人なりの優しさでもありました。私の間違いを指摘して、私のことを想ってくれて……私を引き取った瞬間から、自身が死ぬその瞬間まで、ずっと私の事を支え、守ってくれた。……それに私が気づけたのは、兄が居なくなった後でした……」

 

 ――――自分に迫る凶刃から身を挺して庇ってくれた兄の背中を思い出す。

 

 確かに円卓の騎士の中ではそこまで腕が立っていたわけじゃない。

 それでもアルトリアは、その背中に憧れた。自分が護りたい物を守り通すと誓い、ただの一度さえ折れなかった兄の後姿。静かに燃える信念は、円卓の猛者と比べても遜色ないほど強かった。

 

「……息子がいました。いえ、娘と言えばいいのでしょうか。不義の子ながら、私に憧憬の眼差しを向けてくれた。素行に問題あれど、その精神は確かに騎士の物でした。明るく、周りを楽しませ、明日への希望を抱かせてくれる。暗闇の中で道しるべの様に燃える炎のような。でも私は……娘が死ぬ前まで、その存在を否定していました。望まれず生まれた子だと、蔑んだのです。彼女には、何の罪もないというのに……」

 

 ――――死ぬ最期まで、己へ感謝の言葉を言ってくれた娘の笑顔を思い出す。

 

 その存在は、望まれない物だったのかもしれない。

 しかし、彼女自身には罪など無かった。ただ彼女は魔女の思惑に巻き込まれて誕生した被害者。なのに自分はその存在を否定した。向けること自体が間違った憤りを向けた。それでも彼女は、自身を慕ってくれた。それを思い出すと、アルトリアは自分の心臓を握りつぶしたくなる苦しみで一杯になる。

 

「……姉が居ました。血のつながりは無くとも、私の事を愛してくれた。私のことを大切に思ってくれた。何度も、助けてくれた、自慢の姉が。私も、そんな姉のことが大好きでした。誰にも優しく接して、誰にも笑顔を向けて、国民を、家族を、その身一つで守り通し続けた彼女は……ブリテンにとっての太陽でした。無ければならない、無くなってしまえば全てが終わる。そんな存在だった彼女は………全てを守るために、自身の身を捧げました。後の者に全てを託して。けどそれは……我々にとって、重すぎました。そして知ったのです。彼女が背負っていたのは、王の責務よりはるかに重い物であったと。そして、彼女は家族のためにそれをずっと背負い続けていたのだと。……最高の姉です。誰よりも大好きな……だから、だから…………」

 

 ――――災厄の大蜘蛛に、半死半生の体を引き摺りながらも立ち向かった姉の背中を思い出す。

 

 その存在は正しく全てを照らす太陽だった。全ての者に希望を示し、暖かい光で包み込む守護の光。

 彼女が居たから、ブリテンは理想郷として君臨できた。もし彼女がいなければ、ブリテンの運営は難航を極めただろう。考えられるだけでも食糧難の解決、インフラ整備、農産物生産管理、資源再利用機構の設立と安定化、民間警備部隊の構想と編成、魔術師の安定育成方法の確立、建築技術の効率化、食文化の発展――――彼女がいなければこれだけの事が実現しなかった。まさに欠けてはいけない、ブリテンの心臓とでもいうべき人だった。

 

 そして何より――――アルトリアにとっての、一番の心の支えだった。

 

 彼女が傍に居たから、彼女と共に歩められたからアルトリアは、何の不安も抱かず王としてその威光を照らし、民を導くことができたのだ。王としても、人としてもその心を預けられる人がいたから――――。

 

「傍に、いて欲しかった。一緒に……生きたかった、だけなのに……」

「……アヴェンジャー」

 

 悲しそうに、アイリスフィールが顔を俯かせる。しかしそれは同情からくる仕草ではない。謝罪――――アルトリアへ向けられた感情はそれであった。

 それがとても不思議で、アルトリアは悲痛に顔を歪ませながらアイリスフィールに顔を向ける。

 

「私は、貴女を誤解していたわ。目的のためなら何でも使う冷酷な人間。前までは、そう思っていた。でも違った。貴女は……切嗣に、よく似ている」

「……私が、マスターと?」

「ええ。彼も、自分を殺して無理をしようとしている……悲しい人だから」

「マスターが……」

 

 己の理想のために己を殺し、機械の様にただ淡々と己の目的を果たそうとする衛宮切嗣。

 

 己の目的のために己を殺し、歯車が壊れてる機械仕掛けの人形のフリをするアルトリア。

 

 互いに一度は理想を目指して、しかしその果てで折れ――――それでもなお抗おうとしている様は『似ている』としか形容できなかった。性別、性格、趣向は違えど、その生きざまはよく似ている。

 唯一の相違点で言えば、衛宮切嗣は自分から幸せを手放そうとしていることと、アルトリアは手放してしまった幸せを取り戻そうとしているという事か。

 

 それを指摘されて、アルトリアはようやく無意識のうちに衛宮切嗣を嫌悪していた理由を自覚する。

 自身が求める幸せを自分から手放そうとする男。それが許せなくて、アルトリアは召喚当初以来マスターと全く会話をしていない。当然念話もだ。

 

 あちらもあちらで無視をしていたので、互いに互いを無視する協力関係という名状しがたき何かの様な関係が、今のアヴェンジャー陣営の状態だ。他者から見れば見てるだけで胃が痛くなるような惨状だろう。

 

「あまり詳しく聞いた事は無いんだけど……切嗣は昔、大切な人を助けられなかったんだって。そのせいで大勢犠牲が出て……だからあの人は自分に誓ったのよ。『最低限の犠牲でより多くの人を救う』って」

「……だがそれは――――」

 

 小を切り捨て大を救う。それは客観的に見れば『最善の行動』と言えよう。だがそれは飽くまで客観的な意見。当事者からしてみれば多数の命を左右する究極の選択だ。

 一を捨てて十を救う。言うのは簡単だが天秤に乗っているのは『命』だ。決して一人の人間が弄んでいいような物では無い。だが、アルトリアは生前そんな選択を何度も強いられた。

 

 敵に囲まれた部隊を助けるか、見捨てるか。助けるならばそれ相応の準備が必要だし、救助の際に出る犠牲も決して少ない物では無い。そして見捨てればそれらを一切行わなくて済む。犠牲は囲まれた部隊のみ。むしろ怪我人の世話をしないだけ足が軽くなる。

 

 だがそれは道徳的に見れば『最悪の選択』だ。効率的に見れば最善の選択だが、最良では無い。不用意に切り捨てれば兵たちの指揮に支障が出る。「次自分が斬り捨てられても可笑しくない」と。だからといって無条件に助けに行くという事が正解というわけでは無い。下手すれば助けに行った部隊も全滅する恐れがあるからだ。

 

 そんなジレンマに陥っても、選択を強いられるのが王という存在だ。そしてアルトリアは心を殺し判断を下した。何度も、兵たちを見殺しにした。村一つを干からびさせ物資を整えたこともあった。

 

 救国の英雄――――アルフェリアがブリテンの環境を改善させる前のイングランド統一戦争ではよくあったことだ。アルフェリアがブリテン単独でも物資を安定供給させられるようにしたので長く忘れていた感情だが、アルトリアは今ようやくその苦しみを思い出した。

 

「――――人の命を数だけで判断し、左右することは容易だ。だが選択することの苦しみは……人一人で耐えられるような物では無い」

「ええ。でも切嗣はそれをやってのけた。心が強い、なんてものじゃないわ。あの人は自分を最初に殺して、機械の様にふるまったのよ。感情の無い殺戮機械の仮面をかぶって、あの人は何人も、何十人も人を殺した。殺し続けた。……本当は、誰よりも優しい人なのに」

「……理想に狂ってる、と言い表せばいいのでしょうか」

 

 アルトリアも自身のマスターの願いをアイリスフィールから聞いたので知ってはいる。恒久的世界平和。誰も争わない永遠の楽園の形成。それを衛宮切嗣は、聖杯という奇跡を使い実現しようとしている。

 それがどんな世界なのかも知らず。どうやって形成されるかも知らず。

 

「…………馬鹿な男だ。一人でそんな身に余る理想を背負う必要など、何処にもないというのに」

「あの人は、自分自身を許せないのよ。多大な犠牲を払ってもなお、自分の理想を果たせないなんて彼自身が許さない。だって――――」

「そうしないと犠牲になった人々が報われない、か? それなら実に滑稽だ。――――死人は何も語らない。死ねばそこまでだ。例え亡霊が現れたとしてもそれは怨念。既に消えた者の痕跡。そんな物を仮の重責として背負いこんでいるとしたら……筋金入りの理想馬鹿ですね、マスターは」

 

 皮肉を交えながらも、アルトリアは微笑を浮かべながらそう言い放った。

 かつて理想を目指して、理想に生きたからこそ共感できたからか。その道を『愚か』と断じながらも、それが一度は自分が通った道であるとわかっているから何とも言えない苦笑しか浮かべられない。

 

 そんなアルトリアの表情を見たアイリスフィールは思わずクスリと小さく笑った。

 

 何処か意地っ張りな娘の面影を見てしまったから。

 

「ふふっ。あの人、普段は達観気味だけれど、何処か子供じみたところがあるから。……私はあの人の望みを真の意味では理解出来ない。でも、これだけは思ってる。例えあの人が折れたとしても……私が死んだとしても、切嗣の心を、切嗣の心の中で支え続けたいって。……ちょっと、メルヘンチック、かしら?」

「死んでも尚心の中で支え続ける、ですか。………確かに少し浮いた話ですが――――素敵だと、私は思っています」

「……ありがとう、アヴェンジャー」

 

 アイリスフィールの白く華奢な手がアルトリアの手を包む。

 人の物とは思えない人形の様な美しい手。しかしその手は確かに暖かった。人の温もりを持っていた。

 思わすアルトリアはその手を優しく握り返し、アイリスフィールを見る。

 

「礼を言うのは、此方です。話を聞いてもらい、少し気が楽になりました」

「私が貴女の助けになったのなら、嬉しいわ」

「ええ、感謝します。――――おかげで、少しだけ『やるべきこと』が、理解出来ましたから」

「やるべき、こと?」

「はい。だからまずは――――」

 

 アルトリアが何かを言おうとした瞬間――――それは耳に轟いた。

 

 空間を圧すような強烈な雷鳴。高ぶる轟音は夜の空を裂き、酷い重圧となってテラスに居る二人に襲い掛かる。

 その轟音によって魔術回路に多大な負荷がかかり、倒れそうになったアイリスフィールを支え、抱き上げながらアルトリアは舌打ち混じりに城内を駆けだす。

 

 アルトリアに抱き上げられた――――いわゆる「お姫様抱っこ」されているアイリスフィールは顔を赤くしながら「あ、わ」と声を上げている。しかし動揺はしているものの、特に抵抗はしてない。実は一度はされてみたいと思っていたのかもしれない。

 

 目指すは轟音の発生源に一番近い玄関ホールのテラス。突風の様に城の廊下を駆け抜けたアルトリアは一分もかからず、黒い少女騎士は目的地へと降り立つ。

 

 案の定、アインツベルンの森に張られた結界を見事破壊しながらここまでやってきたサーヴァント――――二メートル超の巨漢、ライダーは自慢の宝具『神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)』で腕を組み、仁王立ちしていた。そしてその顔は実に「待っていた」と言った風の顔。人の私有地を荒らしただけでなく住居まで破壊しておきながら、どうしてこのサーヴァントはここまで自慢気な顔ができるのだろうか。

 その正体があの征服王なのだから、道理と言えば道理と言えるかもしれないが。

 

 それと、マスターらしき少年は戦車の隅で縮こまっている。その顔には「もうヤダこいつ」と書かれているかの如く暗い顔だ。苦労しているのだろう。

 

「…………ライダー。貴様、これはどういう了見だ?」

「おぉう。いつ見ても並ならぬ殺気よのォ、ブリテンの騎士王よ。それでも、前会ったときよりは格段にマシになっている様だがな」

「どういう了見かと聞いている」

「よせよせ。余は別に戦いに来たわけでは無い」

 

 ライダーの態度に苛立ったアルトリアは静かにアイリスフィールを降ろし、間髪入れず右手に魔剣を具現化させる。流石のライダーもこれには焦ったのか、両手を振りながらそれを制止した。

 

「……では、何をしに来たと?」

「フフン。これを見よ!」

 

 そう言いながら、ライダーはその丸太の様に太い剛腕で戦車の座席に置いていた『ソレ』を持ちあげ肩に担いだ。しかしそれは剣でもなければ槍でも、ましてやハンマーでもない。

 

 樽、だった。

 

 どう見ても、何処から見ても何の変哲もないオーク製のワイン樽。

 それを見たアルトリアは「そんなまさか」とある可能性に感づく。

 

「ライダー。もしや貴様は……酒盛りでもしに来たのか?」

「おう! 中々勘の鋭い奴よ。戦が再開する前に一杯交わそうと思ってな! それ、そんなところに突っ立ってないで何処かいい場所に案内せんか。宴に誂え向きの庭園などにな。それともなんだ。まさかこんなシケた城内で酒を飲もうとは、考えておるまいな?」

「……………………」

 

 そんなライダーの余りにも不遜な物言いにうんざりしながら、アルトリアは衝動的に右手の魔剣に魔力を流そうとする。

 

 しかしそれは、次にライダーが発した言葉により中断された。

 

「因みに、お前さんの姉君も誘っているぞ? いやはや、実に楽しみだ。あの『天上の料理人』と呼ばれた者の美食を味わえるかもしれんのだからなァ!」

「…………姉さん、が?」

 

 自分の発した言葉を反芻しながら、アルトリアはアイリスフィールへと視線を向ける。

 やはりというか、ライダーの滅茶苦茶な行動に苦笑していた。しかし今アルトリアが求めているのはそれでは無い。

 

「アイリスフィール、これは」

「罠、とか…………は、あり得ないわね。彼、そんな性格じゃなさそうだもの。本当に飲みに来ただけ……?」

「……でしょうね」

 

 あれだけ大胆な行動を仕出かすライダーが罠などという小賢しい手を使う光景など、二人には想像がつかなかった。本当に罠であるならばもう少しやりようがあるだろうし、そもそも正面突破などという目立つ行為などするはずがない。

 十中八九、ライダーは単純に酒を飲みに来ただけだろう。

 

「しかし――――遊びでは無い」

 

 そう、これは遊びでは無い。王にとって、弁舌の戦いこそが本来の戦場。杯を交わす場、二国の王が君臨するとなれば始まるのは”戦い”。剣では無く己の持つ知略、機転、人脈――――全ての『手札』を使い行われる卓上戦争(テーブル・ウォー)。故に、油断など許されない。

 

「ハッハッハ! わかっておるではないか騎士王。剣を交えることができぬのならば、杯を以て互いの器を図り合うまで。今宵は貴様の『王としての器』をとことん問い質してやるから覚悟しろ」

「……王としての器、か。フン、そんな物勝手に量ればいい。――――来い、征服王。相応しき場に案内してやる」

「そうこなくては」

 

 承諾を受けたライダーは厳つい笑みで大きく頷いた。

 

 しかし――――アルトリアは何処か空虚な顔で、空しそうな表情を見せるだけであった。

 

 

 

「…………私は、王の器では、ないというのに…………」

 

 

 

 誰にも聞こえない小さな呟きが、誰にも聞かれることなく宙に霧散した。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 冬木ハイアットホテル――――地上から三十二もの階層が詰み上がった高級ホテル。

 数々のホテルが立ち並ぶ新都にて最高級の設備とサービスを誇るそのホテルの最上階にて、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは窓際の本革ソファに腰かけ、ガラス越しに眼下に広がる景色を眺めていた。

 だが、その表情はとても優れているとは言えない険しいもの。実際、ケイネスは鬱屈とした気分で外を見ており、景色などその目には映っていない。

 

 原因としてはやはり、記念すべき聖杯戦争の初陣の成果が期待していた物とは程遠かったことだろう。

 

 参加しているサーヴァント八騎中五騎の真名を持ち帰ったことについてはまずまずと言える。しかしその代償としてこちらのサーヴァントの真名も知られた。更に言えば相手に大した手傷を負わせることもできずに戦いは終了を告げた。

 

 こちらの被害としては真名を暴かれただけで、戦いで負った傷はランサーがあらかじめルーン魔術で応急処置を施していたが故にそこまで深くもなく、問題なく直ぐに治療できた。しかしケイネスにとっては一つの失態が生じた時点で、彼にとってはその結果は『異常』だった。

 

 ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは自他ともに認める天才だ。

 彼は幼少のころからいつも周りの者より抜きんでていた。彼より上手く課題を終わらせられる者は同年代では誰一人としていなかったし、また彼と何かを競い合って勝ちを拾えるライバルと呼べる者もただ一人としていなかった。

 

 だが――――そこに彼の執念染みた努力も無ければ、並外れた目的意識があったわけでもない。ただ単に彼の成し遂げる成果が、いついかなる時でも他者より立ち勝っていたという事でしかなかった

 だからこそ彼は今まで一度たりとも『失敗』という物を味わったことが無い。このロード・エルメロイにとっては全てが成し遂げられて必然。故に根源に至れることもまた必然――――それは『誇り』などではなく『当然』の事として、彼は認識していた。

 

 しかし今、彼は人生でほとんど味わうことが無かった『失敗』を苦く噛みしめていた。

 その失敗についてはケイネスは一日経った今しつこく咎めるつもりはない。話し合いなら既に交戦後の当日に行ったし、しくじった理由の説明も明細な報告も受けた。

 

 それでも、ケイネスにとって”目論見が外れた”という事は実に重大な要素となる。

 

 ずっと成功を続け、敗北を数える程度しか味わわなかったが故の脆さ。

 ケイネスは深いため息をつきながら椅子の背もたれに背を預け、片頭痛を収めるために用意しておいた薬品を幾つかのみ込む。当り前だが、化学的に作られた物では無く魔術的に作られた薬品だ。効果は良好。頭を悩ませていた痛みがスーッと引いて行く感覚をケイネスは感じた。

 

「――――よぉマスター、シケた顔してんな」

「……ランサー、後ろから話しかけるならば気配を殺すのはやめたまえ」

「ん? あぁ、わりぃわりぃ。つい生前の癖が出ちまった。すまんな」

「良い、許す。それで、何の用だ? まさか用もなく話しかけたわけでもあるまいな」

 

 ケイネスが振り返れば、そこには体のラインがクッキリと出ている青いタイツの上に毛皮のマントを羽織った青髪の好青年が獰猛な笑顔を浮かべて立っていた。体からにじみ出る神秘の気質は現代ではあり得ない密度。間違いなくサーヴァントである。

 自身のサーヴァントであるランサーを一瞥しながら、ケイネスは鋭い眼光でランサーを睨んだ。彼とて用もなく話しかけられるのは嫌悪するからだ。故にランサーに用を問う。

 

 そんな視線を向けられても、ランサーは笑みを崩さず肩をすくめるだけだ。その態度がケイネスの消えた頭痛を少しずつ再発させ始める。

 

「屋上で警戒をしていたら意外なことが起きてな。アンタ宛ての御届け物だ。ほらよ」

「何だと……? ――――ッ、これは……!」

 

 ランサーがマントの内側から取り出したのは、金属製の小鳥。ピンポン玉程度の大きさのそれは目に宝石を組み込まれており、調度品としてはかなりの値打ちものだろうという事がわかる。しかしケイネスが注目したのはそこでは無い。――――金属で作られたそれが独りでに動き出したことだ。

 

 金属の鳥はまるで本物の鳥のように軽やかに宙を舞い、ケイネスの眼前のガラステーブルへと落ち着く。

 そしてその口が開けば、とても見聞き覚えがある声がそこから聞こえてくる。

 

『――――ケイネス先生、聞こえるか』

「その声……ヨシュア・エーデルシュタインか……?」

『ああ。どうやらちゃんと聞こえてるようだな。試作品だったから少々心配していたが、問題がなさそうで何よりだ』

 

 引き攣る顔を直しながら、ケイネスは冷静に目の前の物体を観察する。

 

 恐らく目と喉辺りに術式が刻まれた宝石を組み込み遠隔操作を可能としている。魔力も宝石に籠められたモノから確保しているだろうから、推測するに時間制の通信用礼装。大きさからしても、万が一爆発したとしても危険性は皆無に近いだろう。爆発させたところで起きるのは精々爆竹程度の物だ。

 

 それを理解し、ケイネスは胸を撫で下ろして一度わざとせき込み、声を鋭い物へと変え金属の鳥と相対する。

 

「何の用だね? いくら講師と教え子だからと言って、今の私たちは敵同士。慣れ合うつもりはないぞ」

『安心してくれ。慣れ合うつもりなんざ毛頭ないよ。俺は単純にアンタの魔術の腕を見込んで『依頼』をしたいだけだ』

「……『依頼』だと? 同盟の申し込みか?」

『残念ながら違う。俺が頼みたいのはある物の解析。俺一人じゃ少し手が折れそうなんでな、どうか手を貸してはもらえないだろうか』

「ふむ……」

 

 顎に手をあて、ケイネスはじっくりと考え込む。

 依頼というのが聖杯戦争での同盟の申し込みではなく『ある物』の解析――――どこかきな臭い物はあるが、罠ならば素直に同盟を申し込むふりをすればいい。にもかかわらずあえて『違う』と言ってきたのは何らかの意図がある。

 じっくり三十秒考え――――ケイネスはある答えにたどり着く。

 

「――――その『ある物』とは…………聖杯か?」

『……ああ。その通りだ』

 

 ケイネスはヨシュアの腕はある程度評価している。それこそ自分の後釜を預けてもいいと思うほどに。

 そんな彼が『一人では苦労する』と評する代物がある。もしただの礼装や聖遺物ならばわざわざ聖杯戦争中に話を持ちかけたりなどしまい。つまり解析する者は必然的に聖杯戦争に関係のある物へと絞られてゆく。

 聖杯戦争に関係のある礼装または聖遺物――――つまり、聖杯。その答えにケイネスがたどり着くのはそこまで難しくはなかった。

 

 自身の推測が的中したことに光悦を覚えながら、ケイネスは少し喜色を得た声で更に問う。

 

「なぜ聖杯を解析する必要がある? そしてそんなことをして私に何の得がある? 魔術師ならば誰もが知っている法則に乗っ取り、答えてみよ。ヨシュア・エーデルシュタイン」

『……等価交換か。まぁ、忘れてはいない。報酬については――――令呪一画だ』

「――――何?」

 

 一瞬自分の耳が遠くなったのかとケイネスは思わず目を丸くした。

 令呪一画。聖杯戦争に置いてサーヴァントへの絶対命令権であるそれが報酬となれば、ケイネスとはしては飛びつきたい気持ちでいた。命令権としてでは無く、単純な研究対象としても価値が高い代物だ。当然、金に変えられない代物ゆえにその価値はさらに高まる。

 

 だからこそケイネスはもう一度持ちかけられた話を見直す。

 妙に高い報酬がある話ほど信用できない物はない。等価交換が絶対法則として働く魔術社会にとっては高い報酬であればあるほど高い危険性を持つ依頼という事なのだから。

 つまり、ヨシュアが持ちかけてきた話は令呪一画に相当する危険性を持つ可能性がある、という事だ。

 

「……ヨシュア、君は一体何をするつもりだ?」

『事情はこの話を受けてくれたら話す。それで、どうするんだ?』

「…………フッ、この私を誰だと存じる? このロード・エルメロイに成し遂げられないことなど何一つない。高いリスクがあろうがなかろうが、依頼されたからには完璧な形で成し遂げて見せよう。――――これが、私の答えだ」

『――――流石ロード・エルメロイ。威勢の強さも一級品だ』

「ククッ、褒めても何もやらんぞ?」

 

 ケイネスは久しく浮かべなかった笑顔を浮かべながら、満足げに足を組んで光悦に浸る。

 

 迫りくる難題。しかしそれを前にしてもケイネスは『問題無い』と言い切る。彼にとっては成功が当たり前であり、この前の失敗は偶然の産物。それを証明する今回の件はいいきっかけだと捉えた。

 今度こそ完璧なる成功を。――――つまり、ケイネスが依頼を受けた理由はただのコンディション直しという事だった。何とも複雑な人間である。

 

『あ、そうだ。ランサーはいるか?』

「? 隣に居るが、それがどうかしたのかね?」

『いや。深山町の西あたりの森奥で、ライダーが宴会を始めるみたいでな。どうせなら行ったらどうだ? って思ってな』

「宴会だと……? ……一応聞いておくが、貴様のサーヴァントは」

『向かわせたよ。証拠はないが――――エーデルシュタインの名前に掛けて真実だと保証しよう』

「ならばいい。信じよう。それで、集合場所はどうするのだ?」

『円蔵山。柳洞寺が建てられた山だ。そこに聖杯はある。今から大体一時間後に合流したい』

「了解した。ではこれで」

『……感謝する』

 

 魔力が尽きたのか、最後の言葉を機に金属の鳥は動きを止め、そのまま砂へと分解された。証拠が残らぬように自壊術式まで組み込む手の込みよう。流石、とケイネスは己の教え子を称える。

 そして気を張り詰めたせいで肺に溜まってしまった空気を吐き、ケイネスは隣に立っていた自身のサーヴァントへと視線を向けた。

 

 ――――何処か期待を含んだ目線を飛ばしてくるランサーがそこにはいた。

 

 それを見てケイネスは何を思ったのか、残念そうに深いため息を吐く。

 

「……行きたいのならば行けばいい。どうせ今回の事に貴様を連れて行く気はない。自由にせよ」

「おう! ありがとよ、マスター。話が分かる奴は嫌いじゃないぜ。んじゃ!」

 

 そう言い放ち、ランサーは直ぐに霊体化して部屋から立ち去ってしまう。行動の速さだけは一級品だな、とケイネスは心の中でランサーへの皮肉を飛ばしながら、テーブルに置かれたワインをグラスに注ぎ、口直しに軽く一口飲んだ。

 

 グラスから口を離し、ケイネスは口の中に広がるワインの芳醇な香りと風味を楽しみながら、先程とは打って変わった喜びの笑みで夜景を眺める。

 

「……悪くない」

 

 それは彼の前に広がる景色か、それとも今の状況か。

 

 答えは、彼のみぞ知る。

 

 

 

 




実は今回結構難産でした。ケイネス先生が意外に書きにくかったんですよ、うん(´・ω・`)。あと戦闘がないからモチベが上がらない・・・運動もしてないから関節痛い・・・モーさんが来ない・・・だるい・・・・!!

教えてくれ五飛・・・俺は一体何回(ry

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