新武将の野望in恋姫†無双 ROTA NOVA   作:しゃちょうmk-ll

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久しぶりにやったウィッチャー3でルーン増殖バグが修正されてて金策で悩み中
商人にひたすらガラクタ売りつける生活をしてました。


第六話 個人的に商人プレイが一番楽しい

 襄陽の港に停泊するバーケンティン帆船、その船体によって港に大きな影を落としており、同じく停泊している船に比べてもその威容は一際目を引くものがある。

大きくそびえたった3本のマストには帆がたたまれておりそれを支えるために船上の張り巡らされた数多くのロープは船を姿を際立たせている。

 

 それを背に「さぁなんでも聞くがいい!」とばかりに腰に手を当てこちらを見ているタケマサ

 が、必死に働いて稼いだ金がいつの間にか消えており茫然とする呂範を除き、華佗たちは何とも言えない顔でタケマサを見ている。

 

「(確かに見たこともないような大きい船だしすごいんだが・・・)」

 

「(普通に町で噂になってたのよねぇ~ん)」

 

「(じゃがここは驚くなりなんなりしてやるというのが筋ではないか?)」

 

 荊州全体に疫病が流行した中で薬によって莫大な利益を上げ、名医と称されるまでになったタケマサ。そんな人間が4人に増えてまで忙しくあちこちと動き回ればかなり目立つ。

 

 船を建造するための資材の確保から造船所での技術指導、船員の手配に積み荷や物資の調達などをすべて同時進行で行い今日ようやく出港ということで襄陽の町から多くの見物客が港に集まっている。

 大きな木造船であり屋外で建造していれば目立ってしょうがない、タケマサ本人としても噂になることで後々便利になると考え積極的に触れ回った。ただ呂範にだけは伝わらないように周到に口止めを行っていた。

 

「す、すごいじゃないか!なんだいこの大きな船は?」

 

「こんな立派な船、都でもめったに見ないわぁん」

 

「それにあの見事な船首、まるでいきり立っておる。見事なご立派さまじゃ!」

 

「うむうむ、そうだろう!天下に二つとない自慢の船だ」

 

「「(意外に子供っぽいところがある(わねぇ~ん)(のじゃな)///」」

 

 華佗たちのリアクションに満足したのか腕を組みうんうんとうなずいている。ちなみに船首像は翼を広げた大鷲であり断じて名状しがたき〇ーラ様ではない

 

 船の周囲では見物客はもちろん艤装の最終確認や積み荷の点検などで忙しく水夫たちが動き回っており、その動きを遮らないような位置で埠しばらく船を見ながらあれこれとタケマサの話を聞いていた彼らに2人の女性たちが声をかけた。ちなみ呂範はいまだ闇モードのまま立ち直っていない。

 

「おうどこ行ってたんだよ旦那!」

 

「もうすぐ出港ですよ先生、準備のほどはいかがですか?」

 

「ああ問題ない、作業の進捗はどうだ?」

 

「積み荷と物資の積み込みは終わり、今は出港に向けての最終確認中です。もうしばらくというところでしょうか」

 

「水夫共の配置や航海中の役割分担も終わってるよ。こっちはいつでもいけるぜ」

 

 1人は背が高く薄く焼けた肌、背中には得物と思われる身の丈以上の鉄棍を下げている。南部の人間らしく露出が多い臍出し短パンスタイル、短めの髪も相まって快活な印象を受ける。

 なお例え話だが葡萄は豊かな土地でたわわに実るという、彼女の土地は肥えているようだ。

 

 もう一人は黒髪を腰まで伸ばし、真面目そうという印象をうける。袖のダボついたゆったりとした服装だが動きやすいよう下は短めの短パンで、額に巻いた鉢金と背中にかけた直刀からあからさまに隠密めいた格好をしている。

 なおどことは言わないが特に平坦でも豊満でもなく、最も正解に近い大きさであると明記しておく。

 

「ところで旦那、そっちの人らは誰なんだい?なんというか・・・えらく個性的な恰好をしてるが」

 

「・・・正直、長時間視界に入れておきたくないですね」

 

「「だぁ~れが筋肉ムキムキキモカワ系中の人の無駄遣いキャラ(ですってぇ~(じゃとぉ~!!!」」

 

「「ごめんなさい、あとそこまで言ってないです」」

 

「なんか恒例行事になってないかコレ? 俺は華佗、こっちの二人は貂蝉と卑弥呼だ。病魔を治療するために大陸中を旅してるしがない医者だ」

 

 漢女2人の圧力にビビり腰が引け華佗の挨拶も半分耳に入っていない。やはり初対面の人間には刺激が強いようだ

 

「お、オレは王平、字は子均、益州巴西郡の出だ。旦那の手腕を見込んでこの船に乗った」

 

「私は蒋欽、字は公奕、揚州九江郡の出身です。こんな大きな船を作っている人に興味があって調べていたら先生に出会い師事することに決めました。」

 

「両名ともなかなか見所があってな、己れの弟子ということになる。陽花、いつまでブツブツ言ってる。早く挨拶しないか」

 

「ソンナタンジカンニソンナソウサデキナイッスアアモウジカンガガガガガ・・・っはあたしは何を!?あれ師匠この人たちは誰っすか・・・?」

 

 意識が帰ってきた呂範が二人と目が合う、がお互いに言葉を発さず見つめあう。目は時に言葉よりも雄弁だ、互いに理解した。この人は同類だ

 ガッ!とその場に三人で抱き合い初対面ながらも互いの苦労を慰めあう

 

「あたしは呂範、字は子衡っす!同じ師匠の被害者(弟子)、陽花って呼んでほしいっす!」

 

「おうオレも朱燐って呼んでいいぜ!旦那からもう一人弟子がいるって聞いてたがあんた一人で良く頑張ったな!」

 

「私たちは互いに励ましあって何とかやってきましたからあなたの苦労はよくわかりますよ。私のことは杏明と呼んでください」 

 

「はっはっは、仲が良いようで大変結構」

 

 ああそうだよお前のせいでな!とは言えない弟子たちの心情はいかに

 

「それでは最終確認が終わり次第直ちに出港だ、華佗殿も旅立たれるということならよろしければ乗っていきなされ」

 

「あらいいのぉ?こんな立派なお船で船旅なんてステキだわぁん」

 

「確かに、河での航行のみならず外洋航海にも耐えられそうな頑丈なつくりをしておるようじゃな」

 

「それは助かる。それでこの船はいったいどこに向かうんだい?」

 

「長江を下り海に出て黄河をさかのぼり都・洛陽へと向かう予定だ。寄港する予定はないが言ってもらえれば好きなところまでお送りいたそう」

 

「ええっと、師匠。あたしまだ状況が理解できてないんですがこんな大きな船まで用意して一体なにをする気なんすか?」

 

「それを今から言うのだ。早く乗り込むといい」

 

 タケマサ達が襄陽で稼いだ金はそれはもう莫大な額である。宋の時代、1つの商家だけでは船は持てず合同で出資して船を建造したという記録がある。

 その船を1から建造できるほどの金額を荒稼ぎし、この後一生遊んで暮らせるだけの金を稼いだ男がいったい何をしようというのか

 

 タケマサ達が船に乗り込むと作業中の水夫たちが手を止め甲板に集まってくる。ざっと見たところ100人にはやや届かないほどの人数が甲板に集まった。

 その集団を前に黙してうなずくと甲板からやや高くなっている船首の楼に立ち彼らを見回す

 

「まず初めに、作業ご苦労。なにぶん珍しい船の作りをしているから荷の積み込みに不便やもと思ったが間に合ったようで何よりだ。」

 

いやまぁ遅れるようならどんなシゴキがあるか想像もしたくないから、というのが弟子2号と3号の内心である。

 

 弟子2号こと王平の場合は儲け話を嗅ぎ付けて酒場で賭博やってたところ,タケマサに軽い気持ちで声をかけ、統率と武力を見込まれ酒をおごってもらい弟子となった。

 軍学と並行して武術の師事も行っており、もともと武力が高く鉄棍が得物ということもあり剣術と槍術を中心に師事を受けたが今のところ連敗記録が増えていくのみである。

 とりあえず槍術では引落し、剣術では吉岡流のある意味究極奥義を習得することが今後の目標となっている。

 

 弟子3号の蒋欽は幼馴染の妹分と共に学んだ技を生かすため、どこぞに仕官しようかと街中を忍び足で歩いていたところをタケマサに発見された。

 忍術は個人戦で良し交易に良し調略に良し、と何かと便利な技能でありさらに忍犬の術まで習得しているあらば完璧にキャプチャー対象である。

 彼女は知力が高く、武力も王平ほどではないがそこそこあるので現在は正面での戦闘ではなく苦無を使った遠距離戦と術の技の指南を受けている。

 なお彼女は犬派であるが仲の良かった妹分の少女は猫派であり、事あるごとに互いの主張をぶつけ合ってきたが決着がつかぬまま襄陽にやってきている。

 

 

 

 さて今回船に積み込んだ荷というと江南でとれる果物類で、青果であるため日持ちがせず通常の船では遠方への交易は向かない品目である。まぁ北海道の宇須岸(函館)でとれた牡蠣を鹿児島までもっていくとか普通にやってたので今更ではあるが

 

「今回は都で積み荷をさばいて服を仕入れ、それをまた幽州でさばいて薬剤と毛皮を仕入れ~~~~」

 

「だ、旦那もうその辺で・・・とりあえずいったいどれくらいで襄陽に戻ってくるんだ?」

 

「さぁあな、流行というのはいつ起きていつ終わるかわからんものだ。いうなればこの船が己れ達の本拠地といったところだ」

 

「ですが先生、長江流域には江賊が跋扈しており最近では錦帆賊という賊が出没してきているそうです。長距離の航海は危険ではありませんか?」

 

「それは確かにもっともだ。こいつの快速で一気の逃げ切るのが一番だが逃げ切れん時は・・・交渉の時間だっ!」

 

「「「「(すごく悪い顔をしている・・・)」」」」

 

 商売の基本は安く買って高く売ることであるが喧嘩に関してはその限りでない、捨て値で売って尻の毛一本残さないぐらいの高値で買い取ってやるのだ

 

 戦争とはあくまで経済もしくは外交手段の一環であるが時には手段と目的が入れ替わった頭のおかしい連中がいる。友好度が最高ランクであっても何の脈絡もなく攻め込んできたり引き抜けない武将がいるから勢力ごと吸収したり、まぁプレイヤー以上の狂犬はいないともいえる。

 例えば大義名分もなしに飲み屋のハシゴ感覚で城に攻め込んだりして悪名がすごいことになるのは稀にでもなく普通によくあること。

 

 基本的にこの時代の海戦は接舷しての白兵戦か、艨衝や火船による船の破壊が主となり、この船も戦闘用に前部の竜骨は鋼板で補強しており衝角を取り付けるといったヤル気満々の構造である。

 

 

 ややおいていかれ気味だった呂範ではあったが今までの流れでこれから商売をやっていくというのは理解できた。しかしここである素朴な疑問が浮かんだ。

 

「えっと師匠、この船で商売をするってのはわかったんすけど屋号はどうするんすか?」

 

「屋号か、特に考えてなかったな・・・そうだな、大和屋とするか。これより己れ達は大和屋として活動していく!」

 

 自称・倭の女王の卑弥呼に感づかれたくはなかったが時間さえも遠く離れた大陸の地で生きていく中で自らのルーツを何らかの形で残しておきたい、そういった郷愁めいたものをタケマサは感じていた。

 この地に来てから短くない時間を過ごしてきたが主に襄陽を中心とした範囲に限られておりこれからは本格的に大陸全土にかけて活動していく。中華の大地は日ノ本の何倍も広大だ、この世界で自らの力がどこまで通用していくか。

 

 まずは交易で資金稼ぎ、そこから船の改築と増産を行い規模の拡大を図る。さらに華北と比べて発展度の低い江南一帯に投資を行い地盤を築く。

 特に揚州の長江南岸は茶に陶磁器に酒にと、投資次第で高額な特産品が生まれる可能性がありそこから生まれる利益は莫大なものとなるだろう。が、そのために必要な投資もまた莫大なものになる。

 

 加えて部下の修行も欠かせない、今のところ王平に軍事、蒋欽に調略、呂範に内政系といった技能の指南を行っている。ゆくゆくはそれぞれが独立して船団を率いることができる程度の技能を身につけさせたい。

 また来るべき乱世に向けて拠点の確保も視野に入れておきたい、そのためにはさらなる資金の確保が必要となるだろう。

 

 何をするにも金、金、金。商人として生きていくには何より資金が必要となる。町に特産品を生み出すためにこれまでウン百万貫投資してきたことがあるが今回はお米の錬金術()が使えないため地道に交易で稼ぐしかない。

 部下の教育に拠点の整備と課題は多く、前途は未知数。にもかかわらず柄にもなくワクワクとしている自分に気づく。

 

 身分も様々、生まれもまちまち、能力もそれぞれながら天下に立志を志し、己を磨き技を究める。そうやってのし上がっていく過程は何度経験しても実にたまらぬ。

 しかしある程度の出世してしまえば途端に同じことの繰り返し、実に詰まらなくなってしまう。大志と野望を胸に駆けずり回っていた日ノ本といえどいささか手狭に感じてしまうものだ。

 

 だがこれから向かうは未知で未踏な天下の英雄達が駆け巡る広大な大陸の地、そしてその先のまだ見ぬ星を裏側へとめぐる果てのない旅路

 いままでにない絶好の遊び場を前にして胸が高鳴る。漢女風にいうならドキがムネムネして股座がいきり立つといったところであろうか。

 

「さぁ者ども出港だ!錨を上げろ、帆を下ろせ!目指すは都、金儲けを始めるぞぉっ!!」

「「「「「「うおおおぉぉぉぉぉぉっっっっ!!!」」」」」」

 

 タケマサの覇気に充てられた水夫たちの怒号にも似た雄たけびが響く。その声を皮切りに総員が持ち場へと向かうために忙しく動き回り、やがて3本のマストに張られた帆が風をつかみ船が襄陽の港から離れていく。

 

彼 が海賊砦で伝授された操船術秘伝とかつて参加した南蛮商会名物・スーパー航海士育成サバイバルブートキャンプ2年コース(温泉付き)の効果はいかんなく発揮され、船は見る見るうちに加速し長江を下って行く。

 船上で忙しく動き回る水夫や弟子たちに指示を出すタケマサの様子はそばで見ていた華佗たちからみれば長期休みを前にした子供のようにこれからおこること全てが待ち遠しくてたまらないかのように見えたのであった。




「あの陽花さん、少しモフらせていただいてもよろしいでしょうか」
「ちょ!?杏命さんなにするっすか!そのワキワキとした手が怖いっす!」
「さ、先っぽだけですから・・・暴れんな暴れんなよ、です」
「いやぁぁぁ!」

「あれは助けなくていいのかい旦那?」
「別に同性で乳繰り合うとかよくあるから当人同士で何とかするだろう、己れは馬にけられたくはない」

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