1話
夢を見ていた、その夢は透明なガラスの容器の中にいる自分を、たくさんの白衣を着た人達が見ていた。
ただ見ていると言うよりは観察されているような、とても不快感がぬぐえない視線に晒されていた。
場面が変わり今度は頭に変な機械を取り付けられていた。
白衣を着た研究員がボタンの様なものを押したら頭が破裂しそうなほどの莫大な情報が脳内に流れ込んできた。
凄まじい頭痛とともに視界が暗転した。
目を開けると眩しい白い光。
手で目を隠そうとすると何かに固定されていた、まるで磔にようにベッドに固定されていた。
首に注射器を刺され、何かを投与されたあと身体中に特に右目に激痛がはしった、じたばたするが努力のかいなく意識を手放す。
目を開けると今度は目の前のテーブルに林檎が置いてあった、頭には機械が着いていた。
研究員の実験開始という言葉を認識すると同時に頭痛、右目に激痛が走った。
気が付くと林檎とテーブルが消えていた。
研究員たちは大声で実験成功だと喜んでいるように見えた。
激しい疲労感とともに意識が飛んだ。
目を覚ますとそこは見知った天井だった
「夢か…」
朝の陽気が窓から射し込んでる。
気が付くと凄い汗をかいていた。
熱くも冷たくもない何も感じない汗だった。
「おはよう親父」
「うんおはよう迅君」
俺こと九重迅の朝はわりと早い。
俺んちは寺で朝必ずお寺の掃除と親父、九重八雲の弟子(門下生)と鍛練(組手とか座禅とかランニングなどなど)
あとは当番制だが朝食作りがあり忙しい。
しかし今日はいつもと違い鍛練は無かった。
「迅君今日は入学式だから鍛練はしなくていいからゆっくり支度しなさい」
親父なりの気遣いってとこかな?
俺は今年から国立魔法大学付属第一高校に通うことになっている。
ちなみに2科生である。
「そっかそりゃありがたい!んじゃゆっくりしてるわ」
「朝食できたら呼ぶよ~」
「はいよー」
「「いただきます」」
門下生達「いただきます!!」
朝食は門下生も一緒に食べることになっているので毎朝賑やかだ。
「そういえば迅君高校生活にたいして何か楽しみとかはあるのかい?」
親父がニヤニヤしながら聞いてきた、何でニヤニヤしてんだこのハゲは…
「うーんこれといってないけど強いて言うなら色んな魔法が見れるのが楽しみかな?」
「まぁ迅君普通の魔法あまり使えないもんね」
あまりではなくほとんど使えない。
それどころか体質のためCADとか触ると壊れてしまう。
ならなぜ魔法で有名な第一高校に入れたのか。
本来ならCADにサイオンをながして魔法式を構築し魔法を発動させるのが普通だが、俺はサイオンが特殊なためCADにサイオンを流すと壊れてしまう。
基本的にはサイオンは非物質粒子なのだが、俺のサイオンは電気という性質があったのである。
そのため実技テストはほとんどダメで(CADを使用していないのに発動速度が学年トップ以外は試験機に壊れないほどの本当に少量のサイオンしか流せずビリ)筆記試験がトップタイだったためなんとか2科生になった。
合格出来た理由は自分が使えない魔法に興味があっていっぱい勉強したためであった。
他の人が扱う普通の魔法が凄く新鮮に見えるのだ。
「まぁ今さら気にしてねーしな、しかも普通の人と違うってなんか得してるみたいだし。あんまり困ったこともないし忍術も使えるし」
「まぁ今じゃ
「ただの組手じゃあまだ互角くらいだけどな」
「そこもそろそろ抜かれそうで怖いよ」
「若いしな」
ニヤニヤしながら言ってやった
「僕も若く見られるんだけどな~」
「見られるだけだろ中身は爺いなんだからあんまJK見てはしゃぐなよ?」
「迅君ロマンは捨てられないんだよ!!」
「黙れよハゲ」
「「ごちそうさま」」
門下生「ごちそうさまでした!」
「んじゃあまあ行ってきます!」
「迅君待つんだ!」
「どうした?」
「写真取り忘れた!」
「は?」
「いやせっかくの高校入学なんだから写真とってあげるよ!いや撮らせてください!」
俺の親父、九重八雲は意外と子煩悩だった。
八雲さんが迅君を拾ったという設定です
いつかその話も書きます多分