破壊者は愛する者たちを守るために戦う   作:ダーク・リベリオン

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第8話 招かれざる来訪者

思わぬ形で士と一夏は小学5年ごろからの付き合いであったもう1人の幼馴染、鈴と再会した

 

 

再会とともに鈴は自身が隣の二組に入ったこと、さらには自分たちのいる一組に宣戦布告しにきたことをつけだ

 

 

そん中鈴が幼馴染と知るやいなや士に鈴との関係を問いただす箒とセシリアに苦笑いを浮かべた

 

 

そしてほぼ強引な形で鈴とのクラス対抗戦に向けて一夏は士、箒、セシリアのスパルタ教育を施され肉体、精神ともにボロボロの涙目になったのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地獄のような特訓を終えて、いよいよクラス対抗戦の日がやってきた

 

 

既に会場は試合を見るべく集まった生徒たちや学園関係者たちによって埋め尽くされていた

 

 

そんな中、士たちは試合に臨む一夏とともにアリーナの待機室で試合の対戦相手が誰になるのかと考えていた

 

 

「おっ。抽選が始まるみたいだな」

 

 

一夏のその声を聞いて全員が画面に目を向ける

 

 

モニター映像に映ったクラス代表たちの顔が描かれたカードがシャッフルされていき、そして対戦相手が選ばれた

 

 

「おいおい、まじかよ?」

 

 

「まぁ、こうなるだろうなとはよんでたけどな」

 

 

シャッフルの結果、選ばれた対戦相手は鈴だった

 

 

「こんなに早く鈴と当たるなんてな」

 

 

「そうだな」

 

 

「神童弟、そろそろ時間だ。凰の方は既にインしているそうだ。お前も早く準備しろ」

 

 

そんな2人の元に千冬が歩み寄り、鈴が既にアリーナに出ていると教えた

 

 

「さてと、じゃあいっちょ気合いいれてくかな!」

 

 

「やる気だな一夏」

 

 

「当たり前だろ。伊達につか兄たちに鍛えられてないっての」

 

 

「そっか」

 

 

元気そうな顔を浮かべる一夏に安堵するように士は微笑む

 

 

そして一夏が両足をカタパルトに固定する

 

 

「一夏、頑張るのだぞ!」

 

 

「頑張ってくださいね一夏さん!」

 

 

箒とセシリアもまた士とともに一夏にエールを送る

 

 

「おう!ありがとなみんな……じゃあ、言ってくるぜ!」

 

 

そう叫んだ瞬間、カタパルトが射出され、一夏はアリーナへとインする

 

 

「まさか一回戦からあんたと当るとはね」

 

 

「ああ、俺もびっくりだよ」

 

 

「でもまぁ、なったからには全力でやらせてもらうわよ。手加減無しで本気で行くからね!」

 

 

「おう、来やがれ!俺も全力で相手するぜ!」

 

 

鈴が自身の専用機の専用武器「双天牙月」を構え、一夏もまた「雪片二型」を手に構える

 

 

そして睨み合いを続ける中、タイミングよく試合開始のブザーが鳴り響き、一夏と鈴は互いにぶつかり合うのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、士たちはというと鈴のパワーに押され気味な一夏の様子をモニター越しから観戦していた

 

 

「一夏…」

 

 

「なにをしてらっしゃいますの一夏さん!?わたくしとの特訓の成果を見せるチャンスだというのに!」

 

 

「落ち着けセシリア」

 

 

一夏の防戦一方な姿にセシリアが声を荒げ、それを士がなだめる

 

 

「で、ですが士さん」

 

 

「鈴のやつだって伊達に中国代表じゃねぇ。一夏が苦戦するのももっともだ。ここはそれを踏まえて一夏がどう挑むのか、俺たちにしてやれるのはあいつを信じて見守ってやることだけだ」

 

 

士のその言葉に反応するかのように序盤こそ押されていたが、徐々に一夏も勢いを出してきたのか、いい勝負になってきた

 

 

「…ふっ、信じてるのだな一夏のやつを?」

 

 

「当たり前さ。なんだってあいつは俺たちの弟なんだからよ」

 

 

モニターに映る一夏を見ながら士は一夏の勝利を信じ、疑いと言ったような顔をしていた

 

 

そんな士の顔を見て箒とセシリアも笑みをこぼすのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合に身を投じている一夏たちは

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

 

「はぁ…はぁ…け、結構やるじゃない。あれだけ撃った「龍砲」をかわすなんて。士ってばどんな鍛え方したのよ?」

 

 

「はぁ…へへ。当たり前だろ。こちとらつか兄たちからビシバシと鍛えられたんだ。あんなんでやられたらつか兄たちに顔が立たねえよ!」

 

 

「言ってくれるわね〜?」

 

 

士と鈴は全力を尽くし、互いに息が上がってきていた

 

 

「…鈴!」

 

 

「何よ?」

 

 

ふと一夏が鈴に声をかけ、鈴は小首を傾げる

 

 

「お互いにいい加減、そろそろ決着つけようじゃねぇか?」

 

 

「ふーん。言うわね?でも残念ね。この勝負で勝つのはあたしよ!」

 

 

「いいや、俺だ!」

 

 

「だったらやってみなさい!」

 

 

決着をつけるべく一夏と鈴が全力で突っ込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その刹那

 

 

 

 

 

 

 

ドバアアアァァァァン!!!!

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

 

「なっなに!?」

 

 

 

突然アリーナ上空のシールドが破壊され、何かが落ちてきた

 

 

 

「いったい何が?」

 

 

「一夏、あそこに何かいるわ!?」

 

 

「なに?」

 

 

鈴が指差すと煙の中から歩いてくる巨大な影があった

 

 

そして煙の中から抜け出て現れたのは不気味な雰囲気を漂わせた謎のISだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ何!?何がおきましたの!?」

 

 

「なんなんだあの妙なISは!?」

 

 

「システム破損、どうやらアリーナの遮断システムを突き破ったようです!」

 

 

「…話は後だ。試合は中止だ!生徒達は直ちに退避しろ!」

 

 

セシリアと箒が驚きの声を上げ、真耶が状況を分析し、千冬はアリーナの生徒や関係者たちに避難を促した

 

 

突然の状況で慌ただしくなっている中

 

 

「……ゴーレムか」

 

 

士はなにやらボソッと呟いた。まるであのISのことを知っているかのように

 

 

「(一夏、鈴。気をつけろよ…)」

 

 

そしてゴーレムと相対している一夏と鈴の身を案ずるのだった

 

 

「神童先生!?」

 

 

「どうした山田くん?」

 

 

「敵IS、神童くんと凰さんに攻撃を開始しました!」

 

 

どうやら敵の方から攻撃を仕掛けてきたようであった

 

 

「神童弟、凰。聞こえるか?」

 

 

それを知った千冬が急ぎ通信機で一夏たちに語りかける

 

 

『はい』

 

 

『あぁ、聞こえるぜ千冬姉』

 

 

一夏たちも通信システムをオンにして千冬の通信を聞く

 

 

「緊急事態により、今から教員チームをそちらに派遣する。それまでの間なんとか持ちこたえろ、くれぐれも無茶はするな……山田くん。直ちに準備を」

 

 

千冬は通信を終えると真耶に教員チームを向かわせるよう指示をだす

 

 

真耶もまた指示をうけてすぐさまに教員たちに連絡を取った

 

 

そして教員たちの出撃準備が整った

 

 

「神童くん、凰さん、準備が整いました。直ちに離脱してください!すぐに先生達がISで制圧しに行きます」

 

 

『わかりました。応援に来るそうよ!!』

 

 

『わかった!』

 

 

指示をうけて一夏たちがその場から避難しようとした時だった

 

 

 

pppp

 

 

 

「っ!?こっ、これは!?」

 

 

「どういうことだ山田くん?もう教員たちが到着してもおかしくないはずだが!?」

 

 

「大変です。アリーナの遮断シールドが!」

 

 

 

《シールドLEVEL4》

 

 

 

「なっ!?遮断シールドがLEVEL4に設定!?」

 

 

「しかも扉が全部ロックされて……まさか、あのISの仕業かしら?」

 

 

「やられた……どうやらそのようだな。これでは非難することも救援に向かうこともできない……山田くん!直ちに学園の三年の精鋭たちを集めてシステム・クラックを」

 

 

「はい!」

 

 

真耶が再び連絡を回す

 

 

「っ…」

 

 

顔には出してないが千冬もまたなにもできないことに歯がゆさを感じていた

 

 

「っ!?神童先生!大変です!神童くんが!?」

 

 

「なに?」

 

 

モニターを見ると一夏と鈴がISと交戦していた

 

 

「お前たち!なにをしている!?」

 

 

指示を無視して勝手な行動をとっている一夏たちに千冬が通信機で話しかける

 

 

『わるい千冬姉。でも、増援が見込めない今、みんなを守れるのは俺たちだけだ。だからここは俺たちに任せてくれ、なんとか時間を稼いでみせる!』

 

 

「しかし「千冬姉、借りるぞ」士?」

 

 

通信の途中で士が千冬から通信機を借りた

 

 

「一夏、任せていいんだな?」

 

 

『あぁ、なんとかしてみせる。だから信じてくれ』

 

 

「……わかった。遮断シールドを解除し次第、俺たちも応援に行く」

 

 

『おう!』

 

 

士は一夏の言葉を信じて任せてみることにした

 

 

「鈴、聞こえるか?」

 

 

『なに?』

 

 

次に士は鈴の方へ通信する

 

 

「すまない、一夏のサポートを頼む。おそらく一夏だけじゃあいつを足止めしきれないだろう」

 

 

『…士、OK!任されたわ!』

 

 

「助かる。だが、お前も無理はするなよ?」

 

 

『平気よ。大船に乗った気でいなさいって』

 

 

鈴の強気な物言いに安心しながら士は通信を止めた

 

 

「士…」

 

 

「千冬姉、確かに一夏の言う通りだ。今あいつを足止めできるのはあいつらだけだ。そして俺たちが今すべきことは早く救援に行けるよう準備しておくことだ」

 

 

「……そうだな。ならばぐすぐずはしてられないな。…山田くん!」

 

 

「はい!」

 

 

士の意見を聞き入れ、すぐに救援に向かえるように準備を急がせる

 

 

「(俺たちが到着するまで負けるなよ一夏、鈴)」

 

 

モニターの画面に映る一夏と鈴を眺めながら内心そう呟く士だった

 

 

 

 

 


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