破壊者は愛する者たちを守るために戦う 作:ダーク・リベリオン
クラス代表戦にて突如として狂気と化したセシリアは一夏をとことんというほどに痛めつけ
止めを刺そうとした時、セ彼女の撃ったビームを切り裂き一夏を庇うように前に立つ影が
その正体は見たことのないマゼンタカラーの
士と一夏の連携によってセシリアは倒れ、こうしてクラス代表戦時に起きたこの事件は幕を閉じたのだった
セシリアとの事件が終わったあと、士は今までの出来事を目撃していた千冬たちから質問攻めを受けていた
「さて、そろそろ説明してもらおうか士。あのISはなんなんだ?」
「そうだぞ。あんな
「しかもなんかバイクとかの姿が変わってたよな?」
「見ていて驚きでしたよ」
各々がそれぞれの質問や感想を述べた
「落ち着け落ち着けって。ちゃんと説明してやるからさ」
そう言うと士は千冬たちの前にバックルとブッカーをだした
「これ、あのISに巻かれていた…っ?」
「こいつが俺のIS、名はディケイド…このバックルで変身し、このブッカーの中のカードを使って戦うんだ」
ブッカーからカードを取り出しみんなに見せた
「こんなカードでね~?」
「不思議なものだな?」
「ですね~?」
一夏と箒、そして真耶は士から渡されたカードを不思議そうな顔をしながら眺めていた
「千冬姉」
「なんだ士?」
「セシリアは?」
「あぁ、オルコットならお前にやられたあと医務室に送られた。…もっともあいつは今回、いろいろやらかした。そのため医務室に監視役を数名配置した。目覚めたとしてもそれ相応の処罰は覚悟してもらうことになるだろうな」
士の質問に千冬はセシリアの現在の状況を教えた
千冬の顔は若干怒りをみせていた
「千冬姉。頼みがある」
「頼みだと?」
♦︎♦︎♦︎♦︎セシリアのいる医務室
セシリアは現在、室内に1人、外の扉に2人の監視役がついていた
「うん…うぅ…ん?ここは?」
意識が戻り、ボヤける視界の中、セシリアが最初に見たのは室内に誰かが入ってきて室内の監視役と数秒の会話を交わし
監視役の人のかわりに自分の寝そべるベットの横に腰掛ける人物だった
「おや、目が覚めたんだなセシリア」
「あ、あなたは…神童士?」
部屋に入ってきたのは士だった
千冬からセシリアのいる病室を聞いて、話がしたいと頼み込み
数分の面会時間という短い時間を条件に一時監視役の人に席を外してもらったのだ
「どうしてあなたがここに?」
「なぁに、ちょっと様子を見に来たんだ。結構きついの喰らわせちまったからさ…身体は大丈夫か?」
心配そうな顔でセシリアに声をかける
それを見たセシリアは士の意外な反応に困惑する
「…わたくしはどうしてこんなところに?」
セシリアはどうしてここにいるのかを士に訪ねた
「覚えてないのか?」
「確か、あなたの弟さんと戦いの途中から記憶が飛び飛びになっているのですが……何があったんですの?」
「そのことなんだが」
士はセシリアにことの一部始終を語った
彼女が突然強さを増して一夏をかなりボコボコにするまで痛めつけ、さらにはその過程でアリーナに被害をおよぼしたこと
そしてそんな彼女を自分と一夏が倒したことなどを
洗いざらい話した
「そんな…わたくしがそのようなことを」
士から話しを聞いたセシリアは自分が仕出かしたことの恐ろしさに驚愕した
「なぁセシリア、そうなった時なにか感じなかったか?」
「なにかですか?……う~ん」
自分がどうしてそうなったかを士が訪ね、セシリアは記憶を辿った
「……ぼんやりとですが」
「っ?」
「あの時は体から力が湧いたのに興奮して我を忘れていましたが。今に思うと、なにか得体の知れない力に支配されていたような気がします……そのせいでわたくしは」
セシリアは自身の行いに罪悪感を感じたのかしょぼんとした顔をしていた
「そっか…まぁ、お前が正気に戻ったんならいいや」
「えっ?」
「さてと。俺はそろそろ帰るとするかな。一応大丈夫だとは思うがあんまり無理とかすんなよ」
椅子から立ち上がり、自分の体を気遣いながら部屋を去ろうとする士を見たセシリアは
「…どうしてわたくしにそのようなお言葉をかけるのですか?」
「えっ?」
出口前に差し掛かった士に声をかけた
「わたくしはあなたの弟さんに酷い暴言を吐き、侮辱をしましたのよ?なのにどうして?」
「……正直、怒ってないって言えば嘘になる。俺とて家族の侮辱をしたお前に怒りを抱いている」
「っ!」ビクッ
表情こそ変わらないものの
目は正直にモノを言うと言わんばかりに怒りがこもっていた
彼の心の内を知ってセシリアはぶるっと震えた
「でも、お前もまた俺たちのように苦難な道を歩いてきたと知ったら怒ってばっかもいられなくてな」
「…どう言う、事ですの?」
「お前のことは調べさせてもらった。オルコット家の娘として生まれ、両親や使用人たちと一緒に暮らしていたことや、その両親が他界したこと。親の遺産を狙う者たちから一生懸命頑張って自分の居場所を守りきったこととかな」
「っ…」
士の言っていたことは全てあっていた
自分は遺産を狙う者達から、遺産を守る為に来る日も来る日も必死で勉強をし
その一環として受けたIS適正試験でA+と高い成績で、国から提示された条件を承諾し
それにより遺産と家、そしてなにより大切な家族との思い出守ることができた
「お前のその努力には感服する。…だがなセシリア。一夏も形は違えど今まで幾度となく大変な日々を送り、必死に生きてきたんだ。とても日々をな…」
「っ…」
一夏のことを語る士はなんとも悲しそうな顔でつぶやいた
「あいつもあいつなりに日々頑張りながら毎日を過ごしてるんだ……だから、自分の知識だけで男はこうだって思うのは間違ってるよ」
「……」
「世界には俺たちがまだ知らないことや学ぶべきことがたくさんある。自分の知識が全てじゃない。相手と話したりぶつかってみたりすれば今まで見えなかったものも見えてくるんだ」
「自分の知識だけがすべてじゃない…」
士の言葉に思うところがあったのか、考え込む
どうすればいいのか?
どうしたらいいのかと
「…もし一人じゃ無理だってんなら」
そう言いながらセシリアを見ていた士は彼女の近くまで行くと彼女と目と目を合わせる
「俺が傍にいてやるよ。そんで一緒に見たり考えてやるから…だから、ちょっとでいいからさ、考えを改めてくれよ」ニコ
優しそうに笑みを浮かべながら士はセシリアにそう注げた
「…あなたは、何者なんですの?」
セシリアの問いに士は彼女の頭を撫でながら笑顔で囁いた
「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えとけ」
「っ…」
満遍の笑みと小さくサムズアップをしながら士はそう言った
コンコン!
「おっと、そろそろ時間みたいだな。じゃあ行くとするわ。早く戻って来いよ。待ってんからな♪」
「はっ……はいっ!」
セシリアとそのようなことを交わし終えた士は部屋を去って帰っていった
「……ふふ、不思議な方ですわね。神童…士さん」
ぼそっと彼の名をつぶやきながらセシリアはなにやら嬉しそうな笑みを浮かべるのだった