破壊者は愛する者たちを守るために戦う 作:ダーク・リベリオン
ここはIS学園、全国から集まったIS操縦者を育てる育成校である
その学園に今、彼はやってきた
「ここが…IS学園か」
そう、神童士である
士はこれから生活をしていく学園を眺めていた
「さて、行くとするか…どうせ一夏と同じクラスなんだろうな~」
なまじ男の数が2人しかいないのだ
当然といえば当然のこと
つまらないことを考えるより、一夏をびっくりさせたほうが面白いかなと思っていた時だった
「あの~?すみません。もしかして神童士くん…ですか?」
「えっ?」
突然声をかけられ振り向いた先には緑の髪にメガネをかけ、そしてやたら胸のデカい女性が自分に声をかけていた
「あっ、あの~?」
「あ、はいそうです…それであの、あなたは?」
「はい。私、このIS学園の教員で1年1組の副担任を務めている山田真耶です。よろしくお願いします」ペコリ
「これはこれはご丁寧に」ヘコヘコーカサス
士に声をかけていたのは1年1組の副担任の真耶だった
丁重な挨拶をする真耶に士も挨拶で返した
「ところで先生がどうしてここに?」
「それはもちろん神童くんを迎えに来たんですよ。神童くんは1組の生徒としてこの学園に通うということになってますので」
「あぁ、なるほど」
「はい。では教室に案内しますね」
真耶から事情を聞いて納得する士は
教室に連れてくと言う真耶について行くのだった
【1年1組 教室】
真耶について行くこと数分して目的地である1組の教室にたどり着いた
「こちらが1組の教室です。これからよろしくお願いしますね」
「はい、こちらこそ」
「さてと、士くんのことを紹介しなくては」
そう言って真耶が扉に手を掛けようとした時だった
『決闘ですわ!!』
『上等だ!やってやるよ!』
「「!?」」
すると突然、教室からものすごい怒鳴り声が聞こえた
「なっ、何かあったみたいです!ここで待っててくださいね!」アタフタ
そう言うと真耶は教室に入っていった
『いっ、いったいどうしたんですか!?』
真耶が入って尚も教室は騒がしかった
「(先生も戻ってこないし……とりあえず入ってみるか)」
待ちくたびれた士は独断で教室に入ることにした
バタン!!
『!?』ビクビクウガ
士がドアを開けた先には弟の一夏と金髪少女がもめ合っており
他の生徒達もいきなりの士の登場にびっくりした様子だった
士たちが到着する数分前
教室では数日後に行われるクラス対抗戦に出る代表を決める話しになっており
生徒達は一夏を推薦し、突然の事態に右往左往していると
それを聞いたセシリアが席から立ち上がり意義を唱えた
「実力差からいけば代表はエリートであるこのわたくしが務めるべきです!物珍しさからと軽々しく決められてはこまります!」
黒板側の方まで行きながら自分のほうが優れていると主張するセシリアだったが
それを聞いた一夏は頭にカチンときた
「おいおい、ちょっとまてよ。流石に言い過ぎなんじゃねぇか?」
一夏もまたセシリア同様、黒板側のほうに行きながらセシリアと対峙する
「あら、極東の猿風情がわたくしに異議申し立てするというのですの?」
「お前、俺だけじゃなくて日本のことまで馬鹿にしやがったな!…だったら言わせてもらうけど、そっちも紅茶ぐらいしかしか自慢できるモノないだろうが!」ビシッ
「あっ、あっ、あなたねえ!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」
「先に侮辱したのはそっちだろうが!!」
ワンワンキャーキャーピーピーと言い争いを続ける一夏とセシリア
「神童くん。オルコットさん落ち着いてください」アタフタイガ
真耶も混ざり、なんとか止めようと奮闘するも、クラスの全員が呆れ返っていたとき
バタン!!
「「っ!?」」
『!?』
ちょうど士が教室に入ってきたのだった
「あれ?さっきまで騒がしかったのに急に静まりかえったな?」
士は自分の突然の登場に驚く生徒たちをよそにあたりをきょろきょろ見回す
そして士の目に何年ぶりに会う最愛の弟、一夏の姿が映る
「ふっ…」
ゆっくりと士は一夏の方に歩み寄る
「…はっ!?あっ、あなた誰ですの!いきなり入ってきて!?」
我に返ったセシリアが問いただす
「ごめんね金髪の素敵なお嬢さん。ちょっとそこを通してくれますか?」
「っ!?」
自分に突っかかろうとするセシリアを士は紳士的な態度で驚いている彼女の隙をついて回避した
そしてセシリアをやり過ごし、一夏の前に立つ
「あっ!?…お前誰だよ!急に入ってくるなんてびっくりするじゃねぇか!」
先ほどのセシリアと同じような発言をする一夏に対して士はかけていたサングラスをしまいながら語りかける
「俺だよ一夏」
「ん?」
士が静かに語りかけるも一夏はキョトンとした顔で首を傾げた
「なーにが「俺だよ」だ?だいたいなんで俺の名前を知ってんだよ?俺はお前なんて知らないぞ?」
「そうか?…ふっ、例えお前がそうであっても、少し合わなかったくらいで弟の顔がわからないわけないだろ?」
自分のことを知らないと主張する一夏に対して、士は尚も優しげに語りかける
「弟〜?…あのな、俺を弟って呼ぶのは千冬姉と、昔俺のせいで死んでしまった…しっ、死んだ…っ?」
士の問いにイラっとしたような言い方で答えようとする一夏だったが
改めて自分の目の前にいる男の顔をまじまじと見つめた
すると、徐々に男を見るたびに猛烈な懐かしさを感じ、それとともに過去の記憶が蘇る
自分と血のつながりはないが姉の千冬と共に家族として一緒に暮らしたい兄の存在のことを
終いには目元に涙が溜まり始めていく
「………!?(;◎◇◎)」エネル顔風
一夏はついに気づいた。彼の正体が誰なのか
「つか兄ィィィィィィ!!!???」トテトテトテトテザザァァゴチーン!
驚きのあまり、後ろにすっ飛んで行き、勢い余って後ろの壁に頭をぶつけた
「嘘だ!!……っ〜!」ナキナキンタロス
「昔、2人でカレーの材料買いに行った時に迷子になって探しに来た千冬姉に怒られたあと、仲良くカレー食ったな」
「あぁぁぁ………つか兄ィィィィィィ!!!!」
「うごっ!?」
「うわぁぁぁぁははははーー!!!」ナキナキンタロス
一夏は正体に気づくやいなや一目散に駆け寄り、士を抱きしめながら大泣きした
「なんだよいったいどこに行ってたんだよ!俺てっきり死んだんだと〜、うわぁぁあーん!?」
自分との再会を涙を流しながら喜んでいる一夏に嬉しい気持ちになる士はそのまま語りかける
「ありがとな一夏。…無事でいてくれて良かった」
「っ!?」
「あの時以来、お前が元気でいてくれてほしいと願わない日はなかった」
「でも、でもつか兄ィィ、あの時俺がもっと早く千冬姉を連れて来ればつか兄が攫われることはなかったんだぁ〜」
過去にあったある出来事により、自責の念に囚われていた一夏だったが
「気にするな。お前が無事でいてくれただけで俺は嬉しい、あの時、もしあぁなってなければ俺と千冬姉は大切な家族を失うとこだった」
「うぅぅぅ……うわぁぁ〜ははは〜!!」
「ありがとな一夏。生きててくれてありがとう」
嬉しさのあまり、泣きじゃくりながら床に倒れこむ一夏にお礼を述べる士だった
「ところで、お前、もう1人謝罪すべき相手がいるんじゃないのか?」
「」ビクッ
突然、背筋が凍りつくほどの寒いものが背中を走る
そして恐る恐る後ろを向くと…
「久しぶりだな。…バカ者が」
そこには彼と一夏の姉の千冬が立っていた
「えっ、えっとー……呂布?」
バシコォォォォォン!
「ブラスト!?」
出席簿の角で頭を叩かれた士はあまりの痛さに悶絶する
「関羽の次は呂布ときたか、全くお前らときたら…」
呆れ気味に千冬はつぶやく
「しかし、そんなことはどうでもいい…」
「ふぇ?」
「ちょっとこい、お前には聞きたいことも話したいこともいろいろあるのでな」
「えっ!?あっいやちょっと千冬姉!?待って待って!!説教だけは勘弁ンンンンン!!!」
必死に抜け出そうとするも力及ばす、士は教室から連れ去られるのだった
「この……大バカ者がァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
「ヒエェェェェェェェェェ〜〜!!!!」
そして、戻ってくるまでの間、千冬からものすごいほどの説教を受けたと言う……