破壊者は愛する者たちを守るために戦う 作:ダーク・リベリオン
かつて、天災と呼ばれた一人の科学者の発明したISと呼ばれるパワードスーツによって世界は大きく変化した
IS。正式名称『インフィニット・ストラトス』は女性しか扱えず
それによって男と女の格差は裏返った
世界がISを中心にしてから数年の時が流れた
しかし、そんな世界に突如としてある出来事が訪れていた
これはひょんなことからISを動かした二人の少年の物語である…
【アメリカ N国】
とある賑やかな笑い声が鳴り響くとある街並み
そしてここはとある喫茶店、そこの外側のパラソル付きのテーブルに座る少年が一人
「……ふぅ~。ここの紅茶はやっぱうまいな〜♪この紅茶も今日で飲めなくなるとは悲しいね〜」ズズズ
彼の名は『神童 士』あまり世界では知られてはいないが彼はこの世界で初ISを動かした男である
この事実を知るのはごく限られた者しか知らない
そして士が再び紅茶をすすっていると
ピピピピピピピピ
突然携帯が鳴り響く
「はい、もしもし~?」
『はっ、は~いつっくん。あなたの愛しい束さんだよ~♪』アセアセ
携帯から聞こえる陽気な声に思わず苦笑いをする
電話の相手はまさにこの世界を良くも悪くも狂わせた現況こと「篠ノ之 束」その人である
「はいはい。で、どうしたんだ束さん。もう出発の時間だったっけ?」
士は今、とある理由にて彼女と行動を共にしているのだった
そしていろいろな国に多少の滞在はするもある程度の期間を終えると他のアジトに移動しながら暮らすという生活を
かれこれ数年の間続けていた
『いや、そうじゃないんだけど大変、大変なんだよ〜!とにかく一度戻ってきて〜!』
なにやら慌てた様子で束が一方的に通話を切った
「いったいどうしたんだろ?まぁ、とりあえず行ってみればわかるか」
ブルン!ブロロロロロロロロロロ!!
そう言うと士は近くに止めていたバイクに跨り、ヘルメットを被りバイクのエンジンをかけ
ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!
束が待つ自分たちのアジトに向かって走っていくのだった
【篠ノ之束&神童士のアジト】
バイクで疾走する士はしばらくして人気のない場所まで来ていた
ここには束が待っている自分たちアジトに戻ってきた士はバイクを適当な場所に止めると
近くにある大きな岩に近づく
そして何かを探すかのようにあたりに手を当てていると
なにやら岩の一部が開き、中に番号入力式の装置が設置されていた
士は暗証番号を入力すると
グララララ!
突然、地面が揺れ出し、そして地面の一部が開いていき、中から階段が出現した
出現した階段を士は降りていき、それと同時にゲート状の地面が再び元の位置に戻っていった
最初は暗かった室内だがゲートが閉まるとともに明かりがともしはじめていき
士はそのまま階段を降りていった
階段を下り、たどり着いた場所はなにやら機械のコードやなにやらがごちゃごちゃしていて
実に汚いと言った場所だった
そんな場所に一台の機械仕掛けの椅子が置かれており
椅子の方からカタカタとキーボードを叩く音が聞こえる
士はその椅子の方に歩いていく
「束さん。今帰ったよ」
「あっ、つっくん。おかえり〜♪」
椅子に座りながらキーボードを叩く束に顔を見せると
束はキーボードを叩くのをやめて帰宅してきた士を歓迎する
とりあえず一息つこうということになり、束にコーヒーを入れてあげ、束は嬉しそうにコーヒーを飲む
「で、束さん。急に俺を呼び戻した訳はなんなんです?」
士は束に呼び戻した事情を尋ねる
「あっ、そうだったね。…つっくん。これを見てくれる?」
そう言うと束はとある機械を士の前に差し出すと起動ボタンを押す
ヴゥゥン!
するとある画像が表情される
そしてその内容とは
「世界で初のISを動かした男。『神童一夏』?……って、えぇぇぇぇぇーーー!!!!!????」アセアセ
「まぁ、驚くよね〜。なんたって自分以外の男が、しかも弟のいっくんがISを動かしちゃったわけだし」
皆が慌てていた原因がこれだと束はそう告げ、少々、皮肉じみたことをつぶやく
「まっ、まさか一夏のやつもISを動かすとは…」アタフタ
「言っちゃなんだけど、束さん的にはつっくんがIS動かしたことの方が意外だったな〜。いっくんの場合はちーちゃんの弟でもあるからその可能性は高かったし」
「だよね〜」
実は士と一夏、そして話しにもあった千冬とは実際の血のつながりはなく、義姉弟関係なのである
「でね。つっくんを呼び戻したのはいっくんのことを教えるだけじゃないんだ」
「どういうこと?」
士が尋ねると束がそれに答えた
「なにはともあれ、いっくんがISを動かしちゃったからつっくんを匿う必要性が半減したってことでさっきしゅんちゃんから連絡が来たの」
「えっ?母さんから?」
「うん。「直ちに日本に戻ってつっくんもいっくん同様IS学園に入学するように。学費等はこちらが出す」っていってたよ」
「いきなりすぎやしないかな~?しかもこっちの都合はおかまいなしk「ちなみに逆らったら仕置きのフルコースだって言ってたよ」Aye,ma'am!」アセアセ
少々めんどくさそうな顔をしながら呟く士だったが逆らえばおしおきと言われ、士は怯えたように立ち上がり敬礼とともに「命令を実行します、上官」の意味をこめたこの言葉をつぶやくのだった
そして長らく度を続けてきた束との別れの時が来た
「はぁ…これでつっくんと束さんの楽しい逃亡生活も終わりか~束さん少しさみしいな~」ショボーン
「俺もだよ。束さんにはいろいろ世話になったしな」シュン
「それはお互いさまだよつっくん♪」
「そうかな」テレ
他愛ないやり取りもしばらくは見納めだと思うとさみしい気持ちになる士だったが
あまり留まると別れにくくなると思い
心を押し込め、荷物を束が作った人参型ジェット機に積み込んだ
「既にその自動ジェットに目的地の座標を組み込んでおいたからつっくんを安全に目的地に送ってくれるよ」
「…見送りありがとな束さん。学園に入学してからも定期的に連絡は入れるから」
「うん♪」
ウィィィィン……ガシャ
ギュイィィィィィィィィィン!!
『じゃあ~ね~つっく~ん♪』フリヒリ
モニター越しから束の手を振る姿を見て士は笑みを浮かべるのだった
ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!
キラーン☆
ジェット機は勢いよく空へと舞い上がり、エンジン全開で空の向こうへと消え去っていくのだった
「頑張ってね。つっくん」ボソッ
束は少し不安気に、しかしそれとともに士なら大丈夫という想いを抱きながら空に舞う士の乗るジェット機を眺めていた
「まさか、こんな展開になるとはな……元気にしてるかな?一夏、それに千冬姉」
機内にて突然の事態に驚きの言葉を呟きながらも家族との再会に期待に胸膨らませる士だった